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IgA腎炎 張琪氏漢方治療2 加味理血湯による血尿治療1(腎病漢方治療226報)

2014-01-05 00:15:00 | IgA腎炎 漢方

患者:陳某 35歳 女性

初診年月日200382

現病歴

顕微鏡学的血尿が反復出現三年余、軽ければ沈渣RBC2030/HP、重いときには50個/HP以上、中西薬治療にて軽減せず、北京中日友好病院で腎生検を受けIgA腎病と診断される。軽度の増殖性変化を伴う。

初診時症状

腰痛乏力 舌淡紅 脈沈滑 沈渣RBC3040/HP

中医弁証:尿血(腎陰欠耗、相火迫血 兼挟瘀滞)

西医診断IgA腎病

治法:補腎固渋を主として、清熱化滞を補佐とする

方薬加味理血湯

竜骨20g 牡蠣20g 海螵蛸烏賊骨に同じ、収斂止血、固精止帯、収温斂瘡、制酸止痛)20g 茜草(涼血化瘀止血)20g 熟地黄25g 山薬30g 阿膠(養血止血 養陰潤肺)15g 知母15g 黄柏15g 白芍15g 牡丹皮(清熱涼血 活血祛瘀)15g 白頭翁(清熱解毒涼血)15g 焦山梔子(清熱解毒 止血)10g 甘草15g

水煎服用、11剤、2回に分けて分服

二診

ここ2ヶ月近く、服薬50剤。最初の14剤で尿RBC3~5個/HP、継続服用中に再度2030/HP、但し以前よりも減少、原方を継続服用するように言う。再度14剤で、尿RBC15~20個/HP、咽部やや痛み、扁桃体紅赤、原方に重楼30g、金?

30gを加味し継続服用14剤、咽頭痛は癒え、尿RBC1~3個/HP、暫く停薬するように伝え、後2回の尿検査で沈渣RBC0~2個/HP、1~2個/HP、緩解にいたる。2004215日、尿検査陰性、再度腎生検を勧めたが、患者は同意せず、病理結果を知らない。

生薬解説付記:

重楼(じゅうろう)には蚤休、七葉一枝花、草河車の別名があり、功能は清熱解毒、消腫止痛、熄風定驚とされています。ユリ科に属し清熱解毒薬の七葉一枝花と同じであるとする清書があります。過去の記事を参考にしてください。

http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20061115

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清熱解毒薬に属し、利咽の良薬とされます。

ドクター康仁の印象

IgA腎炎の顕微鏡学的血尿はなかなか消えるものではないという印象を持っています。張琪氏の方薬で消失するのが事実であれば使用生薬を丸暗記してしまうのが最良でしょう。それでも何らかの理屈をつけなければ覚えられるものではありません。もっともらしい理屈は竜骨、牡蠣、茜草、海螵蛸は尿血を固摂し、山薬、阿膠は補血益陰に、白芍は斂陰に、白頭翁は下焦の清熱解毒に、牡丹皮、焦山梔子、知母、黄柏は清熱涼血、活血化瘀、解毒堅陰に働き、固摂回復、補血益陰、清熱涼血、活血化瘀を以って総合的に止血するということになるのでしょうか。おっと、熟地黄が抜けていました。補腎に熟地とでも覚えましょう。補腎陰という意味では山茱萸や女貞子も加味しても可であろうと思います。

20141月5日()