動物霊園グリーンメモリアルのブログ

「いとしい子たちよ安らかに」

通信紙版 第53号

2013年08月01日 | 通信紙版バックナンバー
平成25年 8月

{お知らせ}
平成25年 盂蘭盆会行事日程について以下の予定とさせていただいております。
●期日:8月15日(木)  
●時間:午後1時より読経開始 

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処暑
今年は梅雨明けが早く序盤は猛暑日が続きました。8月に入ると立秋が過ぎ処暑を迎えます。
処暑とは二十四節気の1つで、8月23日頃、暑さが終わるという意味です。
まだ昼間は暑い日が続きますが、朝夕は涼しい風が吹き渡わたり、気持ちのよい時期です。
この頃には秋の台風が訪れます。


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兄妹の7月
「お兄ちゃん、いたよ!やっぱりいたよ!!」
夏休みのある朝、妹の悦び立った黄色い声に眠い目のままの兄は呼ばれるまま近所の公園に足を向けました。
前日の夕方、遊び場の公園の一角で仔猫の鳴き声が聞こえたが日暮れの空腹とともに空耳になり妹と家路に着き夕食時には鳴き声の事などすっかり忘れていました。
妹の方はどうしても鳴き声の行方が知りたくて、一人早朝から公園を探索しておりました。
公園と隣接する団地との垣根、植え込みの茂みがどうも怪しく、自分も仔猫の泣きまねよろしく呼び掛けすると、緑の奥から返事が返ってきました。
小学生の子供の目線でなければ見つける事が出来ない位置を色めき覗くと藍色に輝く小さな両の瞳が見えます。
手を差し出し捕まえようとするものの届きません。
そこで兄に助けを求めました。眠い目をこすりながら妹の言わんとしている事をすぐに理解した優しい兄は身を屈めて植え込みに半身を潜らせました。
およそ数日、不安と寂しさで鳴き続けた仔猫はなかなか捕まってくれず、
掌で抱き上げようとしたら怖さのあまり兄の二の腕から下を所かまわず引っ掻きまわしたそうです。
夏場のTシャツ姿は仔猫を保護しましたがまるで崖から転げ落ちたような擦り傷だらけの腕になりました。
様子を見に来た出勤前の母に介抱されながら兄と妹は仔猫を大事に抱き家に帰りました。
あの日と同じ7月の朝、あれから20年の歳月が経ち兄妹は大人になりそれぞれ独立しました。
藍色の瞳だった猫さんが生涯を終え、出棺前、何ひとつ変わっていない公園の風景のもと、母と共に二人は猫さんに別れの気持ちを伝え、思い出話に笑顔の花が咲きました。






第53号紙面