三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

めずらしい計算尺

2014-07-01 05:08:16 | 日記
先日フリーマーケットで珍しいものを手に入れました。まずは写真でその外観をご覧ください。

長さ15cm程度の小型計算尺です。やや疲れていますが,立派なケースに収められていました。売値を聞くと,300円とのこと。詳しく検分もせずに買うことを即決。
専門柄(という言葉があったっけ?)何用の計算尺かが気になります。それにはまず,CF,DF尺を見ます。普通は√10切断か,π切断です。ところが,この計算尺は3.6切断ではありませんか?つまり,D尺にカーソルを合わせると,DF尺にはその3.6倍の数値が対応するのです。
上の写真を再度ご覧ください。小さくて見にくいでしょうが,カーソルはいまD尺の4.7に合っています。そのカーソルのDF尺の目盛は1.7程度と読み取れます。つまり,4.7×3.6=16.92です。
なぜ3.6切断か?インターネットで調べたところ,かつて1ドル=360円時代の名残であろうとのことでした。
しかし,本当にそうだろうか?この計算尺の裏面にはドイツ語らしい単語が書かれています。計算尺に詳しい人なら,計算尺のメーカとしてまず第一に思い浮かべるのはヘンミでしょう。ついで,リコーだろうか?わたしもドイツ製の計算尺は初めてお目にかかった次第です。
で,ドイツ製の計算尺がなぜ円とドルの換算を組み込むのだろうか?日本向け仕様だろうか?もしそうならなぜ日本語で表示しないのだろうか?
一日中考えた結果,これは円グラフなどを作成するときのためのものではなかろうかということに思い至りました。つまり,1を360度とすると,先ほどの0.47は170度に対応します。本来の計算式では,360×0.47=169.2度ということです。果たして,本当のところはどうなのでしょうか?
前置きが長くなってしまいましたが,この計算尺の特徴は裏側にあります。下の写真をご覧ください。

最初何かわかりませんでしたが,ADDITION とか SUBTRACTION などといった単語が表示されていますので,足し算・引き算をするための仕掛けだろうとは想像がつきます。しかし,その使い方はまったくわかりません。
これもインターネットで調べていると,なんと使用説明書が見つかったのです。(インターネットはすごい!)操作は意外に簡単。残念ですが,その方法をここで説明することはできません。(容易でないということ。)
ご存知のとおり,計算尺では加減算ができません。この計算尺は裏面に加減算の仕掛けを備えていたのです。
これが,300円とは!いい物を手に入れました。
ところで,いきなり計算尺の話に突入してしまいましたが,今の若い人達には計算尺など知らないでしょう。今では,計算は電卓でするものと決まっていますが,わたしが20歳代のころまでは,計算する道具といえばそろばんと計算尺しかありませんでした。そのほかには筆算。もっとも,手回し式の計算機(計算器だったかかな?)がありましたが,普通の人は持てませんでした。しかも,大きくて重い。
学生の頃,実験データから実験式を求めるのに最小二乗法なる方法で計算したことがあります。加減算はそろばんで何とかなりますが,乗除算がどうにもなりません。計算尺はありましたが,桁数が足りません。仕方がないので筆算。とうとう徹夜してしまいました。