三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

わたしの電鍵

2014-09-13 07:23:51 | 日記
最近電鍵を2つ手に入れた。すでに持っていたものと合わせると9台になった。
まずは写真をご覧いただきたい。

電鍵ということばをご存知ない方も多いであろう。モールス符号はご存知の方も少なくないかも知れない。あのモールス符号を打つ器具である。英語では telegraph key と言うのだろうか?

電鍵がどのようなものかおわかりいただいたということで,わたしの電鍵を見ていこう。
写真には9台の電鍵が写っている。ここでは,それぞれの電鍵を「行番号・列番号」で示すことにする。たとえば,中央のものは22であり,左下は31である。

11の電鍵はわたしが最初に手に入れたもので,中学校の3年生頃ではなかったろうか?兄の友人が電波高校(当時,「電波高校」という学校があった!)に通っていて授業(実習)で使ったものだった。教育用なので非常に質素に作られている。わたしのもっとも思い出深い1品である。
そのころわたしは電話級アマチュア無線技士の資格を取ったばかり。しかし,モールス符号での交信はできなかった。モールス符号を送信するには電信級か2級以上の免許が必要だったのである。
しかし,いつかはモールス符号で交信したいと思い続け,常に身近に置いていた。学校・会社の寮の自室,結婚してからはアパート・自宅の部屋に。
電信級・第二級の免許を取得したのは電話級を取得してからほぼ20年経っていた。

21の電鍵はその後購入したものである。小型で斬新なデザインを店頭で見てすぐ買った。値段もそれほど高くなかった。
ただ,この電鍵,背が低い。11と比較してみれば,つまみの位置が低いことがおわかりいただけるであろう。当時は単なるデザインと思っていたのだが,どうもアメリカ人などは打鍵するとき掌の手首側を机につけるらしい。その形ではつまみは低くなければならない。われわれが打鍵(キーイング)するときは腕全体を中空に保つ。それに比べてアメリカ式(?)は安定がいいのかもしれない。たとえば,揺れる船内や戦場での過酷な状況では好都合なのかもしれない。

話が長くなりそう。興味のない人は退屈であろうし,意味も理解できないかも知れない。少し簡略化しよう。

31はわたしの自作品である。
インド製の栓抜きを利用した。インド仏教の仏像を題材にしたもののようで,不謹慎だと非難されるかも知れない。しかし,今では栓抜きを使うことはほとんどない。どこかの隅で埃をかぶっているよりいいであろう。つまみには家具の引き出し用のものを利用した。乏しい工具での手作業だったため,仕上がりは今一つというところ。

12の電鍵はハムフェアというハム(アマチュア無線家)の祭典で買った中古品である。新品同様ながら格安であった。台座が大理石でできている豪華品。動きもしっかりしている。

22はインターネットオークションで手に入れた古い品。米軍用だったかと思う。その古めかしく独特な外観が気になって,使いもしないのに欲しくなったものである。21と同様つまみが低い位置にある。

31は最近手に入れた2台のうちの1台。昭和三十年代のもののようだ。台座は木製。郵便局とか電報電話局で使われていた型ではなかろうか?打ち心地もなかなかいい。

以上はすべて縦振れ電鍵と言われる型である。米搗きバッタと言う人もいる。最も基本的な構造である。

これに対して13は複式電鍵あるいはパドルとか呼ばれる,横振れ電鍵である。
この電鍵は普通には電子回路を仲介して送信機に接続される。エレキーと呼ばれている。英語では electronic key(er) だったかな?
レバーが2つあり,左のレバーを右に倒すと短点が,右のレバーを左に倒すと長点がそれぞれ連続して発生する。そのスピードは電子回路の調整による。最近はこれを使う人が多い。

23はさらに変わった外観をしていると思うであろう。バグキー(bug key)である。時代的には縦振れ電鍵とエレキーの中間に位置している。完全機械式で,レバーを右に倒すと振り子の動きに連動して短点が連続して出ていく。右側についているつまみを左側に倒して長点を出す。ただし,長点の長さは自分で調整しなければならず,自動的に連続するものでもない。この電鍵が最も高価であった。

最後に33。これも最近手に入れた2台のうちの1台である。同じくバグキー。
これは某ハムの自作品である。しかし,その作りが素晴らしい。材料もいいし,工作技術もかなり高い。もちろん,工作機械も充分揃っているのであろう。今はもっぱらこのバグキーを使って交信できるよう練習中だ。

最後にモールス符号に関して一言。
モールス符号は短点と長点の組み合わせで符号を形成し,文字に対応させる。たとえば,Aまたはaは・―,Bまたはbは―・・・である。
ところで,この符号の作り方が素晴らしい。符号と文字との対応を決めるとき,使用頻度の高いものには短い符号を,少ない文字には長い符号をあてたということである。そのため,印刷所に行って活字の使用数量を調べたということである。何と合理的なことか!
E ・
T ―
I ・・
A ・―
という具合である。使用頻度の少ないQは― ―・―である。
なお,和文の場合は合理性がまったくない。強いて言えば,濁点・・だけだろう。とにかく,欧文のABC・・・に順にイロハ・・・とあてただけである。その結果,最も短い符号(・)は「ヘ」になった。

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