古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十一章 苫草場争い 其の五十三

2014年05月23日 06時20分36秒 | 古文書の初歩

 

「苫草場争い・願奉口上」第十二頁、上の五~七行目

解読 (苫)草引セ申儀罷不成候間、乍恐

    以御了簡被為仰付被下候ハゝ、難在

    奉存候。以上。

読み 苫草引かせ申す儀罷り成らず候あいだ、恐れ乍ら

    御了簡を以て仰せ付けさせられ、下され候わば、在り難く

    存じ奉り候。以上。

解説 「引セ」・・・「引かせ」と読みます。 「申儀」・・・申す儀。苫草を引かせる件は。 「罷不成」・・・罷り成らず。してはならない。 次の小さい点の様な字は「候」です。「候間」・・・現代文に訳すれば、「・・・ので」。今後は苫草を引かせる事は絶対させないので。 「乍恐」・・・慣用句で、下から返って、「恐れ乍ら」。恐れ多い事ですが。 「以御了簡」・・・お取り計らいをして戴いて。 「被為仰付」・・・下から返って「仰せ付けさせられ」。「被」は受け身や尊敬の意味の助動詞で、「・・・られ」等と読みます。「為」は使役『しえき』の助動詞で、「・・・させ」等と読みます。その次は「仰付」ですから、「仰せ付けさせられ」と読み、続けて難しいですが、「被下」・・・「下され」と読み、目上の人に対するへりくだった言い方になります。 続けて難解文字ですが、「候ハゝ」と書いています。『そうらわば』。下されるならば。 「難在」・・・当て字です。『有り難き』と同じです。 最後も難解ですが、「奉存候以上」。