古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十一章 苫草場争い 其の五十

2014年05月20日 05時43分54秒 | 古文書の初歩

 

 

「苫草場争い・願奉口上」第十一頁、上の九~十行目

 

解読 一、下村之儀、いさば、漁船、灰方、諸

    職人、諸商買人多ク御座候得者

 

読み 一つ、下村の儀、いさば・漁船・灰方・諸

    職人・諸商買人多く御座候えば、

解説 「一」・・・一つ。この文書の最後の一つ書きになります。 「下村之儀」・・・「下村は」。「下村」=「田並浦」の事。 「いさば」・・・漢字で書くと「五十集」ですが、色々な意味が有ります。本文、田並浦の場合は、「水産物や薪炭などを上方へ運送する、小型廻船」の事を言います。利益は出るものの、海難事故も多く、結果として職業としては、大成しなかったと言われています。 「灰方」・・・暖かいこの地方では、サンゴの一種、菊目石が大量に採れ、この菊目石を焼いて、粉にして「漆喰」・・『しっくい』を製造し、地場産業として発達しました。焼いて砕いて粉にした製品が灰状のものであった事から、その職業を「灰方」と呼びました。「方」とは、或る物を取り扱う人と言う意味です。 「諸商買人」・・・各種の商売人。「賣」が正しい字ですが、ここでは「買」の字を使っています。 「多ク」・・・「多」は難しい。