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勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

雪は降る♪

2013-01-14 21:38:38 | Weblog

 未明に降り始めた雨が、午前中から突然雪に変わった。爆弾低気圧などという物騒な名前の低気圧がもたらした大雪は、新春の浅草を忽ちモノクロの世界に変えた。強風に舞う雪の中、慣れない足取りは、歩き始めたばかりの子供のよう。


 1月半ばになっても、多くの初詣客が訪れる浅草寺境内は、降り始めてから数時間で積もった大雪の除雪作業に余念がない。


 成人の日の大雪は、晴れ着姿の女性をより美しく、より淑やかに振舞わせ、雪の中に咲く一輪の大和なでしこのようでもある。


 浅草寺本堂の屋根瓦は、2年前にチタン製に葺き替えが終わったばかりだが、チタンは材質の特徴として、雪が溶けやすく、溶けた雪は凍りにくく、雪を滑りやすくする性質があるらしい。


 屋根のあちらこちらから落雪があり、宝蔵門や本堂付近では係員が注意を呼びかけ、本堂への上り下りは1箇所が許されているだけである。大きな雪の塊は大怪我の恐れもあるという。


 降りしきる冷たい雪と風にかじかんだ手指は、自分のものとは思えないほど自由が利かなくなった。帰途につこうと浅草寺境内裏を歩いていると、雪の中に座り込んでもがいている人がいる。近づいてみると、靴は脱げ立ち上がれないで困っているご年配の方だった。手を貸していると、通りすがりの子供連れの女性も手助けをしてくれた。どこまで帰るのかと訊ねると、我が家からそう遠くはない。

 シャーベット状に積もった雪の中を、腕を抱えて歩きながら御年82歳だということを知る。時々よろめいては倒れそうになる。これを老々介護というのだろうか。そして一言「危うく行き倒れになるところだった」との感謝の言葉に、「これが本当の雪倒れですね」といって笑った。自宅玄関まで送り届け、中に入って下さいという言葉を背に帰路につく。


 前を歩く親子連れの会話が耳に入った。 「雪のないところを歩きなさい!」 「どうしてなの?」 「・・・」 「ボク、雪の上を歩きたいんだもん」 雪は厄介なものであるが、楽しかったときもある。