石巻のいちばん石巻らしい風景は、旧北上川の河口にある中州の景観だろう。
高台の日和山公園に登ると市の全景が見渡せる。
中州には東内海橋と西内海橋という2つの橋がかかって、北上川の両岸をつないでいる。
その中州のまん中に岡田劇場という映画館があった。
同じ中州には「石ノ森萬画館」もあった。
仙石線終点の石巻駅で降りると、所かまわず設置された石ノ森章太郎漫画のキャラクターに驚く。
岡田劇場のたたずまいは、映画館というよりまさに劇場というのがふさわしかった。
かつて中田町に住んでいた石ノ森章太郎が、2時間も自転車をこいで映画を観に来ていたそうだ。
140年以上の歴史を持つ岡田劇場は、今回の津波でいともあっけなく流失した。
在りし日の岡田劇場
ご覧の通り、川のそば、しかも低地にある。
今思うと危険な立地だった。
前の道路は北上川を渡河できる数少ない街道である。
交通量も多く、駐車場もないので歩いて行くしかなかった。
風情のある客席だった。
歴史は幕末の芝居小屋から始まり、数度の建て替えを経て昭和23年に映画館として改築された。
劇場内は確か、床は木の板で椅子の肘掛も木製だった。