Team Nishimura Project 2013年6月の活動報告ーその3

2013年07月13日 | 風の旅人日乗
九州から戻った翌日、つまり昨日は、
横浜ベイサイドマリーナ沖で、
こんなゴキゲンな、
オランダ製の帆装艇でのセーリング仕事。


photo by Yuji Futami / Kazi


開国を間近に控えた近代日本が、
海運王国へと発展していく端緒を開くのに
大きく貢献した国、オランダ。
(白石一郎著『海の夜明け』参照)



そのオランダ人の子孫たちが造った帆装艇を、
その日本人たちの子孫であるワタクシが
現代の日本の海で走らせる。
思えば浪漫があり、感慨深くもある、
ような気がしてくる。


photo by Yuji Futami / Kazi

多くの人たちが街の中の仕事で暑さに苦しんでいる中、
涼やかな風が吹きわたる東京湾で楽しんだツケで、
これから何日かは、
多くの人たちがスヤスヤと眠っている深夜、
この艇を紹介するレポート書きに苦しむことになります。


photo by Yuji Futami / Kazi


この艇でのセーリングのあと、
弊社で帆装への改造をお手伝いしたこの艇を訪ね、



Kオーナーのいつもの有難いおもてなしで、
冷たいビール&ワイン&おいしい料理。
真夏の大汗をかきながらの熱いおでんが、
意外な暑気払い。

冷たい北風の冬の夜、
屋台のコップ酒片手に、ハフハフ言いながら食べるおでんもオツだけど、
暑い夏の日射しの中、
火傷しそうなくらい熱々の大根やコンニャクを口に放り込み、
それを追いかけるようにして
キンキンに冷えたビールをのどに流し込むのも、こたえられない。

その後マリーナでシャワーを浴びてさっぱりし、
夕方になった横浜の街まで出て、
練習帆船日本丸の船長だった
A宮キャプテンと、深夜まで語り合う。



一昨日までの九州出張の合間に、
北九州小倉の実家に戻ってきた。

小倉の街中を流れて関門海峡にそそぐ紫川の上流。
夏休みはこの川の、この堤で、よく泳いだなあ。




夕方、涼しくなってから
高校時代の悪友たちと会うために、
旦過市場(たんがいちば)を通り抜ける。
夕食の買い物に行く祖母にくっついて
子どもの頃から通い慣れた市場。

当時の小倉では『貝柱』とだけ呼ばれていた平貝の貝柱の、
あのサクサクした歯ざわりが好きで好きで、
祖母が贔負にしていた魚屋さんで、
あれば必ず買ってもらっていた。
今のような高級食材ではなく、庶民の食べ物だったんだよな。




その頃、年の瀬が迫ると、
正月用の料理に使う水菜や京野菜を売る
露天商の人たちの店が、この橋の上にたくさん並んだ。




松本清張氏のエッセイを読むと、
赤貧の時代の松本清張氏と父上は、
ここに野菜を並べたり屋台を出したりして
暮らしを立てていたらしい。




関東に帰る日、
小倉城の城壁の中にある八坂神社に母とお参りしたあと、
外堀を出ると、植木職人さんたちが城壁の草取りをしていた。
ボートを2隻、横に繋いでダブルハル(双胴)にして、
その上にデッキを渡し、刈り取った草を載せている。




九州北部では、筑後川上流の温泉地・日田の、
鵜飼を見物し、鮎料理を楽しむ屋形船も、
川平(かわひらた)と呼ばれる和船を二つ並べてダブルハルにして、
その上に座敷の屋台を載せたもの。

ダブルハルは、アメリカズカップに採用されるよりもずっと前に
すでに古い時代の日本では当たり前のものだったんだよね。


photo: America's Cup Image Bank

ダブルハルの本家である日本含めた太平洋圏の民族が参加しない
アメリカズカップなんてね、
日本が参加しない柔道の世界選手権みたいなもの。
とかいう負け惜しみを言うのは、
みっともないことなのかな。

先々週の、Team Nishimura Projectでの沖縄遠征の
眼目だったサバニも、
ヤギなどの家畜を運んだりするときは、
ダブルハルにしていたらしい。

今年のそのサバニレース、古式部門は
そんな、いろんなサバニの話をしてくれる
糸満の船大工・大城清さんが造り、帆を操るえみ丸が
見事優勝。


photo by Atsushi Omori


総合優勝は、座間味島の青年集団が乗るざまみ丸。


photo by Atsushi Omori

みごとにそろったエーク。
アウトリガーを高く上げた状態でサバ二を安定させる実力があるのだから
次は古式部門(アウトリガーなし、舵なし)での参加を期待したいもの。


こちらは船齢63年の、源丸のレース。


photo by Atsushi Omori


16海里強のレースを観戦させていただき、
とてもいい勉強をさせていただいた。




座間味島・古座間味浜。
ここからサバニたちが那覇に向かってスタートする。




古座間味浜の海中を泳ぐ生物の身体の一部。
デジカメが古くて、被写体をつかまえられない。




朝6時20分の世界遺産、首里城の守礼門。
泊港の船員会館から歩いて
1時間弱とペットボトルの水2本を要した。すでに汗だく。




来年のために修行に来た我々が
今年のサバニの本レースに出ると勘違いして、
座間味の美味しい食堂の御主人が
マリリンカップ前夜に特別に焼いてくれた
ひらやーちー。
ごめんなさい、来年は頑張って本レースに参加しますので。



photo by Wataru Suzuki

マリリンカップを翌日に控え、
阿真ビーチから、レースコースを不安そうに見つめるO森とワタクシ



photo by Wataru Suzuki

今回の座間味島での我々の宿泊地、阿真ビーチで眠る4人。
黒いゴミ袋状態がワタクシ、その隣がS木さんの起床後、
青いシーツがR汰、青いシュラフO森。
海からの風が吹き付けるので、奥の薮から蚊が出て来られない。
快適。




また我々を鍛えて下さい、座間味島。




次また早く乗りたいよ、フェリーざまみ。




じゃまた近いうちにね、沖縄。


明日は東京湾で早朝スタートの、
西洋型帆走艇でのレース。
逗子駅発のJR始発上り電車に乗らなければ、
明日乗る艇の出艇時間に間に合わない。
葉山から逗子に行くバスが動き始める前なので
歩いて逗子駅へ。