ブログ人 話の広場

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老舗が泣く

2008-05-30 09:23:19 | 日記・エッセイ・コラム

 一度は食してみたいとあこがれる人の多かった”吉兆”がついに廃業しました。社長の女将さんは、「暖簾に胡坐をかいていました」と涙を流してひたすらお詫びを続ける姿に、むしろ哀れっぽさを感じました。大阪の人は厳しいから廃業するのは当たり前との反応が多いのではないでしょうか。

 この10年ほどの間に、よもやと思われたブランド名の高い企業が廃業していますが、100年も前に小さく始めた創業者はさぞかしはるかなかなたから嘆き悲しんでいるに違いないでしょう。かつて松下幸之助が指導者を作るには最低10年はかかると話していたことを想いだします。しかし現実は指導者になるべき修業期間以上も前から不正を行っていた人物とその周辺か居たというのですから、なんとも皮肉な結果です。

 西条八十の詩「歌を忘れたカナリヤ」は捨てる問いを出しながら、歌を思い出してくれるようなところにつれて行けば美しい鳴き声を聞かせてくれるでしょう、と優しさと希望のフレーズを忘れていません。欲は欲に誘われ、自制心を失うのは人間の業とでもいうのでしょうか。周囲に優しさや諭しの勇気があれば暖簾が泣かなくてもすむのかも知れません。人間の愚かさを見た反面、自らも傷ついたであろう心をどこかで取り戻されるよう望みたいですね。

やさしいタイガー


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