遂に発見したのである。札幌駅から出てきた若い女性が「携帯扇風機」 (正式にこう呼ぶのかはしらないが)を顔に当てながら歩いていた。 初めてみた。商魂の巧みさに仰天するが、本州あたりの猛暑の中でなら 珍しくもないかもしれないが、北海道では滅多に見られる光景ではない。
それだけ札幌も例年に比べ暑いのかもしれない。ぼくは半年も続く厳しい 寒さと雪の毎日にうんざりしていて、この程度の暑さで愚痴の一つでも 言おうものなら、バチが当たるとさえ思うほどだ。
今年は洪水による大水害、それが抜けたと思うと今度はカンカン照り、 どうなっているのか、といらだつ人も大いに違いない。熱中症で倒れる人も 例年より多いそうだ。自然の業とは言え、いささか恨みたくなるだろうし、 早く秋が来てくれないかなあ、と嘆いている人も多かろう。
この暑さの中、日傘をさして歩く女性からどこかに文化的風情を感じ、 夏の風物詩のように思うのはぼくくらいかもしれない。ところが近年、男性も 日傘をさして歩く姿がみられるようになったと新聞で知った。
これも北海道ではみられないシーンである。電子レンジの中を歩いていると いう決してオーバーな表現でもない季節に男性とて我慢できないのは不自然 ではない。今に札幌でも見られるかもしれない。
とにかくやせ我慢や見栄では暑さは乗り切れない。知恵を絞って乗り切るしか あるまい。もうしばらく続きそうな今年の夏を乗り切るために。
やさしいタイガー