初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」

2009年04月02日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」です。

「ラズモフスキー」という名前がついたベートーヴェンの弦楽四重奏は全部で3曲あります。なので、「ラズモフスキー」というタイトルの後にも、更に「第1番」とかの番号がついてるんですね。(ちょっとややこしい)

そして、3曲まとめてラズモフスキー伯爵に献呈されたので、現在もこの名前で親しまれています。ちなみに、「ラズモフスキー第3番」は前にブログで書いたのでそちらもよろしく。

曲調は、弦楽四重奏という限られた楽器編成の中から、これでもか!と言わんばかりにさまざまな表情を見せてくれます。明るく楽しい表情から、つらく悲しい表情まで、たっぷりといろんなメロディを聴かせてくれる一曲です。

ちなみに、弦楽四重奏なので、編成はヴァイオリン2台、ヴィオラ、チェロがそれぞれ1台ずつで、計4台の小編成のアンサンブルです。



 第1楽章:小刻みなリズムに乗って、チェロのメロディが流れると、
 ヴァイオリンがそれに続きます。
 高音に続き、低音のハーモニーが流れると、チェロがざっくりと刻み、
 ヴァイオリンの華やかなメロディが流れます。
 その後も、弦楽器の華やかなメロディが続き、曲を彩っていきます。
 しばらくすると、最初のチェロのメロディが流れて、少し影のある
 雰囲気になりますが、ヴァイオリンや高音のフレーズが明るく
 しなやかに流れます。
 後半では少し激しいフレーズも続きますが、弦楽器のしなやかに
 流れるような美しいメロディでつなぎ、最後はサラッとしあげて
 終わります。

 第2楽章:ズンズンズンズン!というチェロのリズムに、ヴァイオリンが
 サラリとしたフレーズで入ると、ズンズン!が次第に盛り上がります。
 更に、ズンズンが入ると、今度はヴァイオリンが少し違うフレーズを奏でます。
 弦楽器が入り乱れ、激しく短いフレーズをかき鳴らしていくと、
 急にピタッと音がやみ、少しやわらかな表情を見せます。
 しかし、それもつかの間、また激しく刻む弦楽器が現れると、
 細かく刺すようなフレーズが機敏に動きます。
 しなやかなフレーズを挟みながら、機敏に動くリズムを利用して
 大きく動く展開に、リズムはそれぞれの楽器を渡るように奏でられると、
 最後は堂々と締めくくって終わります。

 第3楽章:中音域の長い音が静かに響くと、それに忍び寄るように、他の楽器
 が加わり、次第に厚みを増していきます。
 芯の通った音がひとつ、貫くように長く響くと、周りの音もそれを気遣うように
 悲しいフレーズを作り出していきます。
 チェロがしんみりと、低音を聴かせたかと思うと、ヴァイオリンが甲高く
 悲しい旋律を聴かせます。
 こんなに美しい響きなのに、雰囲気は悲しくひっそりとたたずむように
 聴こえます。
 やがて、その悲しみが核心に迫ったような音がひとつ、
 そこからはまた、しんみりとゆっくり聴かせます。
 チェロのメロディがじんわりと聴かせると、ヴァイオリンはやさしくその
 メロディを際立たせていきますが、そのやさしさが返って、身にしみるほど、
 切なくつらく響きます。
 後半では、リズムが※ピチカートに変わると、悲しいメロディが余計に響き、
 やがて、こころをしめつけられるような切ない音を聴かせます。
 悲しい胸の内を明かすように、しずしずと告げると、
 ヴァイオリンソロが現れ、ソロはまるで大空を自由に駆け巡る小鳥のように
 スイスイと自由に飛び回っていくように解き放たれると、
 そのまま、4楽章へ~
 
 第4楽章:チェロのフレーズをひとつ挟んで、明るくさわやかな
 ヴァイオリンのメロディを奏でていきます。それまでの事がまるで嘘だった
 かのように、明るく快活なメロディが、スイスイと泳ぐように駆け巡ると
 とても晴れやかな表情が、その有り余る力を存分に発揮するように、
 快活なフレーズを聴かせてくれます。
 チェロのリズムも弾み、ヴァイオリンが楽しげに聴かせると、
 踊りだしそうな勢いもそのままに、楽しく陽気に楽しませてくれます。
 最初のチェロのフレーズを何度か挟みながら、はやる気持ちを
 落ち着かせようとしますが、その度に盛り上がっていきます。
 中盤ではようやく落ち着いて、ゆっくりとした表情を見せますが、
 それでもやはり、弾む気持ちを抑えられず、どんどんと曲は続きます。
 最後は、ひとつ仕切りなおすと、
 ヴァイオリンからメロディをつなぎ、徐々に盛り上がると、
 しなやかなヴァイオリンソロをゆっくり聴かせて、ラストスパートを
 一気に決めてスカッと終わります。
 

演奏時間は40分弱と、結構長めのこの曲ですが、とにかくいろんな表情で聴かせてくれますから、聴いていると時間の経つのも早く感じるかも?!
結構有名なこの曲ですが、実は最近初めて聴いたこの曲。
最初は明るいメロディで始まって、「うん、明るくてイイ感じの曲だな」と思っていると、第2楽章では、ズンズン!のちょっと変わったフレーズに「ややびっくり」、そして、第3楽章の悲しいフレーズ、「やっぱりベートーヴェン、涙を誘う、つらい表情が得意だなぁ」なんて思ったりして、そうこうしているうちに、後半からヴァイオリンソロのイキイキとした表情。そのまま流れ込むように第4楽章。
聴きどころは、やっぱりこの3~4楽章の移り変わりでしょうか?!

ベートーヴェンというと、「交響曲」や「協奏曲」、「ピアノソナタ」他、いずれ劣らぬ名曲がその名を連ねていますが、
これらと比べても決して見劣りする事はない「隠れた名曲」ということが出来るかもしれません。(というか自分が知らなかっただけなんですけど・・・。)

それは、ともかく、クラシックの曲はベートーヴェンに限らず、○月○日、ニューアルバム発売!みたいな事がありませんから、(新曲という意味で)いろんな曲を聴いて、その中から人があまり知らない曲を、「自分で発見した!」と思うと(別にオマエが見つけた訳じゃないだろ!)、何故か意味もなく嬉しくなってしまいますよね。

≪オススメCD≫
スメタナ四重奏団でどうぞ。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番&第8番
スメタナ四重奏団
コロムビアミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
四つの弦楽器が色彩豊かな表情を聴かせてくれます。


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2 コメント

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人気曲です (eyes_1975)
2009-04-03 22:15:35
この曲についての経緯はだいぶ前に書いたトラックバックを参考にして下さいね。
名高いのはアルバンベルク四重奏団だが、私はメロス四重奏団が気に入っています。でも、残念ながら国内盤は廃盤なのよね。結構、競合版が出回っているので人気が高いでしょう。
ベートーヴェンのあらゆる楽曲が重量たっぷりといったイメージがありますが、「弦楽四重奏曲」は軽いタッチでサロン風といったところでしょう。
返信する
ラズモフスキー (けい)
2009-04-03 23:10:19
有名なんですよね、この曲。
何故か最初に第3番のCDを持っていて、結局第1番を聴いたのがつい最近になってしまいましたが、さすが人気の曲はいつ聴いても名曲ですねぇ。
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