初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

年末年始はテレビでクラシック

2006年12月31日 | テレビでクラシック
たまには、テレビでクラシックを見てはいかがですか?

1年が過ぎるのは早いですね。このブログももうすぐで1年になりますが、思いの他たくさんの方に読んでいただいているようで、いつも読んで頂いているみなさんには本当に感謝しています。ありがとうございます。


 さて年末年始になるとテレビでも少なからず演奏会の様子を放送していますが、今日はテレビの番組表を見ながら年末年始の放送予定を紹介してみたいと思います。
 
【ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」】
日本では年末になると第九(ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」)が年末の恒例行事のように各地で演奏されていますが、第九が年末に演奏されるのはどうやら日本だけのようですね。

そこで、せっかくなので日本で毎年第九が演奏されるようになったのか、聴いた話を紹介してみます。(ホントかどうか知らないけど)

そもそも、第九を初めて年末に演奏したのはNHK交響楽団(N響)みたいですね。今をさかのぼる事50年前、日本は終戦を迎えていましたが、N響はメンバーもままならず、演奏会も開けず、年末になってもメンバーに餅代(年末のボーナス)も払えない状況にあったようです。

そこで、なんとか演奏会を開いてメンバーの餅代にしようとしたようです。そこで、なんとかお客を呼べる曲をと言う訳で挙がったのが、第九だったようです。演奏会が成功したかどうかは、知りませんがそれ以来N響では毎年、年末になると第九を演奏するようになったそうです。

そして、テレビでもその様子が放送されています。それが今日12月31日の夜なんですね。
PM7:00~NHK教育で1時間半やってます!(紅白のウラなんですけどね。)
その後の教育テレビでは、「モーツァルトイヤー2006」と銘打ってモーツァルトの名曲を再放送で、深夜までやってるみたいです。よかったらこちらもどうぞ。

≪イメージCD≫
ベートーヴェン:交響曲第9番
朝比奈隆, 片岡啓子, 伊原直子, 小林一男, 勝部太, 東京芸術大学, NHK交響楽団, ベートーヴェン
フォンテック

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【ジルベスター・コンサート】
 一方、海外では年越しの演奏会として「ジルベスターコンサート」が開かれているようです。「ジルベスター」というのはドイツ語で「大晦日」の意味みたいです。
本場ドイツではベルリンフィルがコンサートをやているみたいですが、こちらは
1月1日AM1:15~ NHK-BS2で放送するようです。

さらに日本でも東京フィルハーモニー交響楽団のジルベスターコンサートが
12月31日PM11:30~テレビ東京で放送予定みたいです。

≪イメージCD≫
ジルヴェスター・コンサート 1997
アバド(クラウディオ), ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, オルフェオン・ドノスティアーラ合唱団, 南チロル児童合唱団, ジャン(ベロニク), オッター(アンネ=ゾフィー・フォン), ドゥフェクシス(ステッラ), ターフェル(ブリン), アラーニャ(ロベルト), ビゼー
ユニバーサルクラシック

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【ニューイヤー・コンサート】
 日本でも各地のオーケストラがそれぞれのプログラムでニューイヤーコンサートを演奏していますが、やっぱり本家はウィーンフィルのニューイヤーコンサートでしょう!
毎年このコンサートに迎えられる指揮者が話題になりますが、今年はズビン・メータが指揮を振るようです。9年ぶり4回目だそうです。(紅白みたい)どんなコンサートになるか楽しみですね。
放送時間は1月1日PM7:00~NHK教育
2002年には日本人として初めて小沢征爾さんが指揮をした事で有名になりましたが、ほぼ毎年CDで販売されていますから、そちらもたのしみですね。

≪イメージCD≫
ニューイヤー・コンサート・ベスト・オブ・ベスト
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, 小澤征爾, J.シュトラウス, ウィーン少年合唱団, アバド(クラウディオ), カラヤン(ヘルベルト・フォン), バトル(キャスリーン), ムーティ(リッカルド), Jo.シュトラウス
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という訳で、年末年始はテレビでもオーケストラサウンドが楽しめますから、たまにはこういうのもいいかもしれないですね。(紹介しといて全部見るかは分かりませんが)
今年も今日で終わりですが、2006年はブログを初めてたくさんの方に見て頂いた事を誠に感謝しております。
来年は1月5日からの更新を予定しておりますが、来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。それではみなさんよいお年を。

≪関連記事≫
♪べートーヴェンの交響曲第9番「合唱」の記事はこちら
♪ニューイヤー・コンサート(1992年)の記事はこちら


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交響曲第3番「ライン」 (シューマン作曲)

2006年12月30日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はシューマン:交響曲第3番「ライン」です。

シューマンは全部で4つの交響曲を作曲していますが、この曲は一番最後に作曲された交響曲のようです。しかし、例によって出版順序からこの曲が第3番として現在は広く知られています。

タイトルの「ライン」はドイツのライン川の事です。タイトルをシューマンが直接付けた訳ではないのですが、シューマンはライン川のほとりを好んでよく散歩したと言われていますから、そのライン川に想いを寄せて作曲したと言われています。

編成は全5楽章と、通常の交響曲とは若干違う作りをしていますが、演奏時間はそれ程長くはなく、35分程度です。(と言っても交響曲なんで一般的には長いんですけど)


 第1楽章:大胆におおらかなラインの流れをイメージしてしまうダイナミックな
 オーケストラ演奏で始まります。
 弦楽器を中心にした大きな流れがさわやかに響き、ティンパニ(大太鼓)がドドーン!
 と鳴ると、迫力が伝わってきます。
 途中、少し抑えぎみになる部分もありますが、それでも熱心に語りかけてくる
 ところには熱いものを感じてしまいます。
 そして・・・、遠くからホルンの響きが聴こえてくると、曲に勢いが戻ります。
 同じフレーズが何度となく形を変えても、その魅力を失わないのははまさにライン
 の貫禄でしょうか?

 第2楽章:チェロのゆっくりとしたフレーズは船にゆられて優雅に河を渡るような
 印象を受けます。
 途中に入るヴァイオリンの小刻みなリズムは船が河をかきわけるさざ波でしょうか?
 おおきなフレーズをそのまま活かした心地よいリズムです。
 弦楽器に少しずつホルンが加わり、アクセントをつけて行くと曲にも深みが増して
 きます。

 第3楽章:ほんわりとしたクラリネットは眠そうな目をこすっているような
 とてもおだやかなフレーズから始ります。合わせる弦楽器もクラリネットを
 起こしてはいけないとばかりに、ゆるやかにそうっと聴かせてくれます。
 クラリネットのやわらかい表情を弦楽器が彩りをくわえて際立てるなごやかな曲です。

 第4楽章:ティンパニと共に弦楽器が悲しい叫びをひとつ。
 さっきまでとは違い暗く悲しいフレーズになります。ヴァイオリンの張り詰めた
 音色は緊張感を保ち、こぼれそうな涙を必死にこらえているように聴こえてきます。
 弦楽器はやがて低音に変わり一層暗くなっていきます。
 そこにトランペットが鳴ると・・・、諦めたようにガックリと肩を落とすかのように
 再び元の暗いフレーズに戻って暗い響きを残したまま終わります。
 
 第5楽章:少しテンポを速めたチェロのフレーズが小走りで軽快なフレーズを
 聴かせます。
 ホルンやトランペットが少しずつ加わると、徐々に明るく賑やかな響きになり
 これから始る何かを楽しみに待つかのようにワクワクするようなフレーズを聴かせて
 くれます。
 弦楽器は楽しみを待ちきれないようにどんどん先に行こうとしますが、我こそはと
 とばかりにホルンやトランペットが我慢しきれずに、こだまします。
 そして、いよいよクライマックスを迎えるトランペットが鳴り響くと、ここぞと
 ばかりに待ちかねていたオーケストラが、雄大な音色で曲を包み込んで堂々と
 エンディングを飾ります。
 

かなり大味のこの交響曲。他の作曲家の交響曲と比べても演奏時間はそれ程長くはないハズなんですが、一曲聴き終わると大曲を聴き終わったような充実感を与えてくれます。
特段目立つような派手な音楽ではないので、初めて聴くと少し物足りない感じが残る曲かもしれませんが、弦楽器と管楽器がバランスよくそれぞれをじっくり聴かせてくれますから、味わいの深い一曲と言えるのかもしれません。

≪オススメCD≫
とりあえずセルで聴いてみました。
シューマン:交響曲第1&3番
セル(ジョージ), シューマン, クリーヴランド管弦楽団
ソニーミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
おおらかなゆったりとした気分になれると思います。


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交響曲第39番

2006年12月29日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:交響曲第39番です。

この曲はモーツァルトの後期6大交響曲のひとつとしても有名ですが、6つの交響曲の中では名前もついておらず、一般的にもそれ程有名とはいえない曲ですが、それでもやはり歴史に残る名曲ですから、聴けばこの曲の魅力にも気付くと思います。

演奏時間は25分少々と、交響曲としては他の作曲家と比べると少し短めですが、短い曲の中にもたっぷりといろんな要素が詰まっていますから、その意味では短い曲でたっぷり楽しめる曲とも言えるのかもしれません。


 第1楽章:どっしりとした低音弦楽器から始まり、ヴァイオリンが上からヒラヒラと
 舞い降りてくるような調べは、思わず聴き入ってしまいます。
 やがて、だんだん静かな曲調になっていきますが、序奏(イントロ)が終わると
 トランペットの響きと共にメインテーマが流れてくると、目の覚めるような明るい
 響きが眩いばかりに広がっていきます。
 賑やかで明るい響きから、素早く鋭い響きまでを見事にうまくあわせて
 最後まで息を飲むようなダイナミックな演奏で聴かせてくれます。

 第2楽章:そうっと優しいヴァイオリンの響きがゆったりと流れてきます。
 優しい響きはだんだん、ひっそりした響きに変わり静かにゆっくりと聴かせてくれます。
 フルートの音色を合図に曲調が変わり、少し影を落としたように暗い表情を
 見せますが、ふたたびのんびりとした表情に戻り、ヴァイオリンを基調に
 ゆっくりとしたフレーズを聴かせてくれます。
 ソロ楽器もファゴット・クラリネット・フルート等が伸び伸びとした音を聴かせて
 くれますから、その辺も聴き所ですね。

 第3楽章:弦楽器が勢いよく元気なフレーズを聴かせてくれると、力を与えてくれる
 ような快活な曲です。
 最初はザクザクとした小気味よい切れ味のあるフレーズから、次にはヴァイオリンの
 しなやかなフレーズにつながり、バランスの取れたメロディを聴かせてくれます。
 中盤ではクラリネットがやわらかいソロを伸び伸びと聴かせてくれます。

 第4楽章:ヴァイオリンの繊細なフレーズから一気に盛り上がり大きなフレーズに
 なりエンディングを派手に飾っています。
 そして大小のフレーズをくりかえし織り交ぜながら曲は次第に厚みを増して行き
 最後まで勢いを保ったまま、ラストまで聴かせてくれます。


モーツァルトの交響曲は演奏家にも人気がありレパートリーとしている指揮者・楽団もかなりあります。というかモーツァルトの交響曲を演奏したことの無い楽団はほぼ無いと言っても過言ではないくらいだと思います。
それだけに、この曲のCDもかなりたくさん販売されているようです。選ぶのがなかなか難しいですが、番号違いで聴き比べてみたり、どのCDにするか選んでみたりとか、それだけでも結構楽しめる曲かもしれないですね。

≪オススメCD≫
せっかくなのでモーツァルトの「後期6大交響曲」のCDでどうぞ。
モーツァルト:後期6大交響曲集
カザルス(パブロ), マールボロ音楽祭管弦楽団, モーツァルト, プエルト・リコ・カザルス音楽祭管弦楽団
ソニーミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆☆   →明☆☆☆☆☆
怒:★★★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
元気を分けてくれるようなとっても明るい曲です。


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水のたわむれ  (ラヴェル作曲)

2006年12月28日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はラヴェル:「水のたわむれ」です。

音楽で「水のたわむれ」と言われても、なかなかピンとこないですが、聴いてみるとなかなかどうして水のたわむれっぽく聴こえてくるから不思議なものですね。(どうだろう?)

この曲はピアノのためのちょっとした曲で、アンリ・ド・レニエの「水にくすぐられて微笑む川の精」という詩の一節が曲に付けられているそうです。ラヴェルなりに、水のたわむれる様子をイメージして作曲しているようですが、CMなんかで水面に水滴が落ちたときに出来る「ミルククラウン」みたいな感じ?なんでしょうねきっと。


 お風呂の閉め忘れた蛇口から水滴がポツンと湯船に落ちると、水滴は水面を跳ねて
 そのまま何度も水面をピョンピョンと跳びはねているように聴こえてきます。
 やがてたくさんの水滴が落ちてきてザーッと浴槽をあふれ出すように大きな流れに
 なって行きます。
 しかし、大きな流れが押し寄せたかと思うと、それもすぐに消えてしまい、
 また小さな水滴たちがいくつも生まれてあちこちを駆け回っているような可愛らしい
 フレーズが続きます。
 細やかで繊細なフレーズはどことなく不思議で幻想的なイメージをかきたてられて
 しまいます。
 本当に小さな水の妖精たちが何か怪しく相談をしながら、せっせと何かの仕事を
 しているようにも聴こえてきます。不思議な世界を聴かせてくれる不思議な魅力を
 持った曲だと思います。

 
CDではピアノ名作集とか、ラヴェルの作品集とかに入っているようです。5分程度の短い曲ですから、たまには不思議の世界を覗いてみるのも面白い作品だと思います。
元々、音楽という抽象的な分野に水というある種の不確定要素を含んだ題材を取り上げている一風変わった作品ですが、「水」の持つ神秘的なイメージは聴く人によってもかなり違ったものになると思いますから、聴く人それぞれのイメージの曲になると思います。


≪オススメCD≫
いろんなピアノ曲がたくさん入ってます。
エリーゼのために~P名曲集
アントルモン(フィリップ), ベートーヴェン, モーツァルト, ヘンデル, ドヴォルザーク, シューマン
ソニーミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆★★★★
哀:☆☆★★★  →幻☆☆☆☆☆
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
たまには不思議な世界に浸ってみるのもいいと思いますよ。


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ピアノ協奏曲第2番 (ベートーヴェン作曲)

2006年12月27日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番です。

この曲は特にベートーヴェンの協奏曲の中でも特に有名な訳ではなく、一般的にも特に取り上げられる事もない曲ですが、さわやかなピアノに軽快なオーケストラは初心者でも、違和感無く聴ける曲だと思います。

同時代の作曲家としては、モーツァルトのピアノ協奏曲の方が有名ですが、ベートーヴェンのピアノ協奏曲も決して引けは取らない曲だとおもいますから、この機会に聴いてみるのもいいかもしれないですね。

ちなみに作曲されたのは、ピアノ協奏曲第1番よりは先だったようですが、出版されたのが第1番より後になってしまったため、第2番とされています。(当時は結構こんな感じで作品番号が振られていたようです。)

 第1楽章:張りのある弦楽器の一声からヴァイオリンや管楽器が軽やかなフレーズを
 奏で始めます。
 しばらく続く少し長めの前奏(イントロ)が終わると、可愛らしいピアノの音色が
 少し控え目に顔を見せ始めます。
 オーケストラ演奏に負けず軽やかで流れるような演奏は、とてもさわやかに響きます。
 鮮やかに聴かせるテクニックから、細かく聴かせる繊細なピアノの魅力をうまく
 引き出しているすばらしい曲になっています。

 第2楽章:ファゴットを中心にして低音の弦楽器がゆったりとした序奏から始まります。
 オーケストラががゆっくりと雰囲気を盛上げると、それに寄りかかるように、ゆっくり
 とピアノがかぶさってきます。
 高音の美しいピアノのメロディを壊さないように弦楽器も優しくピアノを支えて
 いきます。
 やがてオーボエがしなやかなメロディをホルンに支えられてたっぷりと歌うとピアノは
 一時伴奏になりますが、ピアノのメロディに戻ると、そのちょっとした演出にすごく
 引き込まれてしまいます。

 第3楽章:元気良くピアノソロが始ると、更に勢いを付けた弦楽器がその後を追います。
 そこからピアノソロに戻り、しばらく聴かせると、今度はオーケストラとピアノの
 掛け合いが始りますが、無邪気なピアノが跳ねるように動き回る様子がとても心地よく
 響きます。
 ところどころに、はしゃぎ過ぎて心配になり、少しトーンが下がるところもありますが、
 基本的には元気いっぱいのフレーズと、愛くるしくニッコリとかわいい笑顔を見せて
 くれるような微笑ましい雰囲気を与えてくれます。


ベートーヴェンの初期のピアノ協奏曲という事もあり、モーツァルトやハイドンの影響を受けたと言われる事も多いこの作品ですが、これはこれで明るく楽しく聴かせてくれますから、テクニックと共にピアノ演奏の魅力を堪能できる一曲だと思います。

≪オススメCD≫
結構難しそうなのに、サラッと聴かせてくれます。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番/第2番
シュタイン(ホルスト), グルダ(フリードリヒ), ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ベートーヴェン
ユニバーサルクラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:★★★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆☆☆

≪おすすめシチュエーション≫
明るく楽しくスッキリ聴けます。


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ドラマ「のだめカンタービレ」(最終話)

2006年12月26日 | テレビでクラシック
たまには、テレビでクラシックを見てはいかがですか?

今日はドラマ「のだめカンタービレ」(最終話)です。

今週は、とうとう最終回を迎えたこのドラマ。
前回は、淋しい後ろ姿を最後に終わっていましたが、のだめ(上野樹里)はなんと実家の九州に帰っていたのでした。

実家に帰ったのだめが、そのへんをぶらぶらしている頃、オーケストラメンバーはのだめに連絡を取ろうとしますが、なかなか携帯電話がつながりません。

業を煮やした千秋(玉木宏)はのだめが実家に帰った事を知ると、一路九州へ向かうのでした。福岡の駅で降りると、タクシーを飛ばしてのだめの実家へ向かいますが、なかなか到着しません。
すると、のだめから千秋に携帯電話がかかってきます!なかなか感動の再会シーンでした。二人の抱擁のシーンにはガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」が流れていました。川辺で千秋がのだめを抱きしめていると、川から漁船に乗ったのだめの父が登場するシーンにはモーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲が流れていました…ん?!結婚??

そして、千秋はのだめの実家へ向かいますが、のだめは千秋の事を“彼氏”と紹介すると、2世帯の家族は千秋を喜んで大歓迎するのでした。(千秋は否定してましたが)それにしてものだめ一家は、笑いの絶えない面白い大家族でしたね。

のだめの父親は千秋にのだめの過去を話すのでした。小さい頃の「のだめ」はモーツァルトばりにピアノを弾いていたんですね。

のだめも元気を取り戻して東京へ戻ると、いよいよクリスマスコンサートのリハーサル。オーケストラ全員での記念撮影…のハズが、のだめは千秋だけをアップで撮っていましたが、楽しそうに笑顔でのだめが撮影するシーンでは、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」から第2楽章の“ワルツ”が流れていました。

リハーサルが始ると、清良(水川あさみ)ちゃんがサラサーテの「カルメン幻想曲」を弾きながら、これまでの回想シーンが千秋の脳裏をよぎるのでした。リハーサルのシーンから、そのまま本番の舞台へシーンが変わり清良ちゃんのアップからカメラが引くと・・・、おおお!コレってホントのサントリーホール!!じゃぁないですか!!!(セットじゃないよねぇ!?いくらなんでも、作るんだったら借りた方が早いし。)

そして、クリスマスコンサートのメインであるベートーヴェンの交響曲第7番が始ります。今回は、曲の始めから再び回想シーンとともに、オープニングで流れる盛上がる部分までを演奏していましたが、オープニングテーマが流れると大迫力と共に感動を与えてくれましたね。
曲はすぐに第4楽章に変わり、千秋も懇親の力を振り絞って指揮を振っていましたが…、最後はやっぱり、峰くん(瑛太)や真澄ちゃん(小出恵介)、そして清良ちゃんまでが、千秋に目配せをして、合図を送るとSオケでやっていたように楽器を回したりグイっと上に掲げてみたり、見せる演奏でラストを飾るのでした。



最後は拍手喝采で大団円のエンディングでしたが、クラシック曲を扱ったオーケストラのドラマなんて、なかなか面白い作品だったと思います。個性豊かなキャラクターがオーケストラ演奏をめぐっての熱いやり取り、笑いあり、テクニックあり、感動ありのこのドラマはクラシックファン以外にもクラシックの魅力を伝えてくれる大変ありがたい番組でした。

来週からは見れなくなってしまうのが、残念ですが…
前にも少し触れましたが、実は原作マンガではこの続きをちゃんと描いてます。だから気になる人はマンガでどうぞ。そして、なななんと!既にご存知の方も多いと思いますが、アニメ化も決定しているので、アニメでもこの続きが見れるかも?!

ちなみに、アニメはやはりフジ系列局で毎週木曜24:25~だって1月11日スタートみたいです。たぶんまたストーリーは初めからになると思いますがどうなんでしょう?それにしても楽しみですね。よかったらこちらもどうぞ。


≪原作マンガ≫
のだめカンタービレ第11巻
原作は10巻からパリに二人で行ってます。パリへ行ってものだめパワー全開のようです。
のだめカンタービレ (11)

講談社

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≪今週のドラマに出てきた曲≫

♪ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」の記事はこちら
♪モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」の記事はこちら
♪チャイコフスキーの弦楽セレナーデの記事はこちら
♪サラサーテの「カルメン幻想曲」の記事はこちら
♪ベートーヴェンの交響曲第7番の記事はこちら

ドラマ「のだめカンタービレ」(第10話)の記事はこちら


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喜びの島  (ドビュッシー作曲)

2006年12月25日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はドビュッシー:「喜びの島」です。

この曲は、前回のドラマ「のだめカンタービレ」に登場した曲ですが、せっかくなので紹介してみます。(短い曲だし)

この作品はドビュッシーが画家ジャン・アントワーヌ・ワトーの作品「シテール島への船出」に影響を受けて作曲された曲のようです。シテール島はエーゲ海に浮かぶ島で、ギリシャ神話に登場する女神ヴィーナスの島という事のようです。(ああエーゲ海行ってみたい)

ピアノの小品(ちょっとした曲)として作曲されたこの曲は、かなりテクニカルな曲で、どこか幻想的で神秘的な魅力を持っています。


 キラキラと流れるようなトリルから、艶やかにそしてなめらかに下っていきます。
 その後もめくるめくピアノの響きは延々と続き見事なピアノテクニックを堪能できます。
 中音域のピアノが階段をどこまでもコロコロと転がり落ちるような音色は勢いをつけて
 加速していくようにも聴こえます。
 やがてピアノが高音になると、とても神秘的な印象を感じます。
 すると、すこし穏やかな表情になり、ゆっくりとしたテンポになりますが、
 また、転がり始めたボールは更に勢いをつけて、もう誰にも止められないほど
 になってしまいます。賑やかに勢いが増すと、とうとう長い階段の一番下に
 たどりつくと、ドンと大きな音をたててピタッと止まります。

演奏時間は5分弱と短めの曲ですが、めまぐるしく続く音の響きを聴いていると結構長く感じてしまいます。そして、どこかへさまよいこんでしまったようなピアノの響きは、まるで白昼夢をみているような、またはデジャブーを見ているような幻想的な雰囲気がたっぷりの一曲です。


≪オススメCD≫
ベルガマスクと一緒に入ってますからよかったろどうぞ。
ドビュッシー:ピアノ名曲集
ワイセンベルク(アレクシス), ドビュッシー
ユニバーサルクラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆★★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
幻想的なテクニックをどうぞ


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「神童」アマデウス・モーツァルト(最終話)

2006年12月24日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「神童」ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(第19話)です。

≪作曲家の肖像≫


アマデウス~モーツァルト名曲集(ザ・クラシック1200-57)
クリヴィヌ(エマニュエル), シュタットルマイヤー(ハンス), コッホ(ヘルムート), フィルハーモニア管弦楽団, シンフォニア・バルソビア, アドリヤン(アンドラーシュ), ミルドニアン(スザンナ), ミュンヘン室内管弦楽団, オムニバス(クラシック), ベルリン放送合唱団
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【Wolfgang Amadeus Mozart】

さて、怪しげな男からレクイエムの作曲依頼を受けたモーツァルトですが、今日はその続きからです。

(第19話)【レクイエム】
 モーツァルトにレクイエムの作曲を依頼した、この謎の依頼人。現在ではちゃんと正体が分かっています。ヴァルゼック伯爵は亡き妻のために自分でレクイエムを作曲していましたが、特に音楽の才能がある訳でもない、素人の伯爵は作曲に行き詰ってしまい、やがてゴーストライターを探すのでした。そして、見つけたのがモーツァルトだったようです。

 借金に苦しむモーツァルトなら喜んで引き受けると考えていたのでしょう。そしてこのヴァルゼック伯爵は、依頼人である自分の名前を伏せて、モーツァルトの元にロイドゲップという使者を送ったというのが真相だったのでした。(別に冥界からの使者じゃなかったんですね。)

 一方、劇場支配人からの依頼である歌劇「魔笛」が完成すると、1791年9月シカネーダーの劇場で初演されます。これまでに行った王宮でのかしこまった劇場とは違い、日常の娯楽を求めて集まったウィーンの一般聴衆の間で、モーツァルトの「魔笛」は大成功のうちに幕を引き、久々の大喝采を浴びる事になりました。

 10月保養地バーデンにいる妻を迎えに行くモーツァルトでしたが、そこで再会を果たした妻コンスタンツェはモーツァルトを見て愕然としてしまいます。しばらく離れているうちに、モーツァルトは痩せ細り衰弱しきっていたのでした。

 ウィーンに帰ると友人シュタッドラーのために「クラリネット協奏曲」を作曲しますが、11月になると病の床に伏せてしまいます。モーツァルトは病床に居ながらも、依頼を受けた「レクイエム」が未完のままだった事が気にかかり、弟子に作曲を指示しますが、モーツァルトは8小節目までを書き残すと、やがて昏睡状態に陥ってしまい、1791年12月5日ついに永遠の眠りにつくのでした。享年35歳の冬でした。


[モーツァルトの死後]
 モーツァルトの葬儀はしめやかに行われ立ち会った人も数少なかったと言われています。貴族ではないモーツァルトが埋葬されたのは聖マルクス墓地の第三等。借金もあったためでしょうか、それほど盛大には行われていないようです。そのため、現在でもモーツァルトが埋葬された場所は不明でお墓すら残っていないようです。
 それにしてもモーツアルトと同じ宮廷作曲家という職にあったグルックが宮廷で盛大な葬儀を行われていたのを見ると、ちょっと悲しい気もしますが、皇帝が変わった影響もあったんでしょう。

 しかし、プラハではモーツアルトの死が伝わると12月14日には、大規模な追悼ミサが行われ有名な音楽家やプラハ市民が悲しみの涙を流していたようです。

 一方、ウィーンでは葬儀は地味だったものの、歌劇「魔笛」が大ブレイクを巻き起こし、年間で何十回も再演が行われていたようです。更に、これをきっかけにドイツの諸都市でも「魔笛」が演奏されるようになり、没後3年の1974年にはドイツでモーツァルトブームが既に起こっていたようです。モーツァルトブームは留まることを知らず、没後10年を過ぎた頃にはヨーロッパ全域に広がっていたのは、なんとも皮肉な限りですね。

 そして、気になる未完の「レクイエム」ですが、これはその後妻コンスタンツェがモーツァルトの弟子ジェスマイアーに補筆を指示して無事にヴァルゼック伯爵に届けていたようです。 



モーツァルト生誕250年記念 エターナル:モーツァルト
オムニバス(クラシック), クリヴィヌ(エマニュエル), フィルハーモニア管弦楽団, モーツァルト, コシュラー(ズデニェク), チェコ・フィルハーモニー管弦楽団, ブロムシュテット(ヘルベルト), ドレスデン・シュターツカペレ
コロムビアミュージックエンタテインメント

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 さて、かなり長くお付き合い頂いたモーツァルトでしたが、いかがだったでしょうか?短い生涯でしたが、ぎっしりと詰まった人生はやはり常人には持ち得ない才能の持ち主だった証のような気もします。
そして、今年、2006年はモーツァルト生誕250年のアニバーサル・イヤーとして多くの記念CDが発売されていますが、去年も今年も来年もモーツァルトの音楽は変わらず明るい響きを我々に聴かせてくれる事は、間違いないハズですから、これをきっかけにいろんなモーツァルトを聴いてみるのも面白いと思います。

 特にこれからは、CD店でも「年末セール」とか、年が明けても「年度末売り尽くしセール」とかで安く手に入る季節になってくると思いますから、これからが“買い時”なのかもしれないですね。



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「神童」アマデウス・モーツァルト(第18話)

2006年12月23日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「神童」ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(第18話)です。

≪作曲家の肖像≫
モーツァルト:歌劇「魔笛」
レイミー(サミュエル), アンブロジアン・オペラ・コーラス, アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ, モーツァルト, マリナー(ネビル), ベーア(オラフ), アライサ(フランシスコ), ステューダー(シェリル)
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【Wolfgang Amadeus Mozart】

なんとか借金返済のため、仕事を求めるモーツァルトですが、今日はうまくいくんでしょうか?

(第18話)【作曲依頼】
 1790年6月にはコンスタンツェがまたしても体調を崩し、保養地バーデンに向かうと、出費は更にかさみ、自分自身の体調も崩してしまうモーツァルトに残された道は、商人プフベルクへの借金を頼る手紙でした。

 しかし、モーツァルトも決して借金を踏み倒そうと考えていた訳ではなく、10月には新帝レオポルト2世の「戴冠式」がフランクフルトで行われることを知ると、呼ばれてもいないのに、フランクフルトに向かい、なんとか自分をアピールしようとします。

 とは言っても作曲依頼の仕事にはありつけず、せっかく新作歌劇を披露して臨時収入を得ても、自分の医療費や妻の療養旅行費など出費が続き旅費もままならないモーツァルトは、またしても借金をしてフランクフルトへの旅費を作るのでした。

 背水の陣を敷いて、必死の覚悟でフランクフルトへ向かうモーツァルト。どうにか演奏会を行うことは出来たようですが、期待したほどの収入を得ることは出来ず、借金だけが残る結果となってしまいます。

 1791年3月、モーツァルトは歌劇の作曲依頼を受けます。今回は皇帝からではなく、ウィーン郊外の劇場支配人エマヌエル・シカネーダーからの依頼でした、シカネーダーは自らも俳優、歌手を務め台本まで書いてしまうというマルチタレントの持ち主でしたが、経営する劇場の不振を打開するためにモーツァルトにドイツ語の新作歌劇を依頼するのでした。

 シカネーダーに依頼されたこの作品こそが、歌劇「魔笛」でした。モーツァルトは早速この作曲に取りかかります。
 「魔笛」の作曲を続けていると、夏にはプラハから作曲の依頼が舞い込みます。皇帝レオポルト2世がボヘミア王に就任するための9月に行われる戴冠式に演奏する歌劇「皇帝ティトゥスの慈悲」でした。しかし、9月に開催される戴冠式にもかかわらず、依頼は直前だったため、モーツァルトはプラハへ向かう馬車の中でも作曲を続け、なんとか本番には間に合わせたようです。 

 この頃にモーツァルトは別の作品の依頼も受けていました。モーツァルトを訪ねた背の高く痩せた男は「ある人の依頼」とだけ言って依頼主を明かさず、モーツァルトに「レクイエム」を依頼しました。かなり怪しげな依頼でしたが、借金を抱えるモーツァルトは、多額の頭金を積まれて、これを引き受けるのでした。

 借金を抱え体調を崩していたモーツァルトは、この謎のレクイエムの依頼人を見て「これは冥界からの使者だ、私は自らのためにレクイエムを書かなければならないのか…」と言ったという。



おっと、変な依頼人からレクイエムの注文を受けるモーツァルト。ホントに大丈夫なんでしょうか?このつづきはまた明日。そしていよいよ明日が最後です。


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「神童」アマデウス・モーツァルト(第17話)

2006年12月22日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日は「神童」ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(第17話)です。

≪作曲家の肖像≫
モーツァルト:コシ・ファン・トゥッテ(抜粋)
アーノンクール(ニコラウス), ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団, オランダ・オペラ合唱団, カシュマイユ(ジル), ワルト(デオン・ファン・デル), ハンプソン(トーマス), マルジオーノ(シャルロット), ジーグラー(デロレス), シュタイガー(アンナ), モーツァルト
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【Wolfgang Amadeus Mozart】

ついに、借金生活に突入したモーツァルト。ちゃんと返せるんでしょうか?
「ご利用は計画的に」といきたいところですが、どうなんでしょう?
今日はその続きからです。

(第17話)【金策の日々】
 モーツァルトが借金生活に陥ってしまったのは、それを妻コンスタンツェに打ち明けていなかったから、という事もあったようです。

 かつてのウィーンやプラハで大喝采を浴びる「華やかな夫モーツァルト」という印象を愛する妻の前では崩したくは無かったようです。すると当然妻との共通の友人にも借金の依頼など出来るはずもなく、借入れ先はいつも決まって商人プフベルクという悪循環が続いてしまったようです。

 今で言うと会社からリストラされたのを妻には打ち明けられずに、公演のベンチで弁当を食べて夕方に帰るサラリーマンみたいな生活だったんでしょう、たぶん。ただ、モーツァルトの場合は「作曲」が仕事ですから、ピアノの前に五線紙を並べておけばそれらしく見えたでしょうし、実際、作曲活動は続けていたようですから、妻コンスタンツェも、よもや借金をするほど家計が困っていたとは夢にも思っていなかったのでしょう。

 1789年、家賃の安い住まいに引っ越しながらどうにかウィーンでの生活をしていると、カール・リヒノフスキー侯爵からベルリン旅行の誘いを受けると、ウィーンでの成果が上がらないモーツァルトはこの誘いを受けて侯爵と同行してベルリンへと旅立つのでした。

 4月にウィーンを出発し、ドレスデンに到着するとザクセン選帝侯の御前演奏をする事ができ、ここでピアノ協奏曲第26番「戴冠式」を演奏すると、謝礼としてモーツァルトはいくらかの金額をもらい受けていたようです。

 5月にベルリンに着くと、プロイセン国王ヴィルヘルム2世の御前演奏に成功し、チェロを弾くという国王のために弦楽四重奏を6曲、皇女のためにピアノソナタを6曲という作曲依頼を受けます。

 どうにか依頼主を見つけてウィーンへ戻ってきますが、もともと貴族や王族の身分ではないモーツァルトには、作曲に対する謝礼金くらいしか臨時収入は無く、ウィーンの貴族たちと遊び歩くと、すぐにお金は無くなってしまうんでしょう。また、この頃妻コンスタンツェが病気がちになり、保養地バーデンへの度々の療養旅行も出費の原因になっていたようです。

 プロイセン王から依頼された曲を作曲していると8月には、ウィーンの皇帝からオペラの作曲依頼が入ります。これが歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」です。台本は今回もダ・ポンテが担当しました。作曲は年末には完成し、この年の大晦日には自宅にハイドンと借金で世話になっているプフベルクを招いて、ちょっとした試奏が行われていたようです。

 1790年1月歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」が初演されるとまずまずの成果を収めます。
ところが、2月になると皇帝ヨーゼフ2世が亡くなってしまうのでした。このヨーゼフ2世がモーツァルトの事をどう思っていたかは分かりませんが、少なくとも「啓蒙思想」を掲げ、音楽にも理解のあったとされる君主の死にはモーツァルトにも多少の影響を与えていたようです。

 後を継いで即位した弟のレオポルト2世は音楽にはさほど興味が無いらしく、新皇帝即位をきっかけに、モーツァルトも「これはチャンス!」と考えてレオポルト2世に宮廷では常勤の副楽長を志願して「請願書」を提出しますが、あっさりと却下されてしまい、ダ・ポンテに至ってはウィーンを追い出されてしまう始末でした。



借金もかさんでしまい、新皇帝にもあまり受け入れられないモーツァルト、今後は大丈夫なんでしょうか?つづきはまた明日。


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