初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

旧友 (タイケ作曲)

2007年11月30日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はタイケ:旧友です。

マーチ「旧友」は日本でもとても有名な行進曲のひとつなので、おそらくこのメロディを聴けば、ほとんどの人は知っている曲だと思います。

ドイツマーチとしても代表作とされるこの曲は、これでもか!というほどコテコテのマーチで、軍隊や警察などの制服がとっても似合う曲だと思います。曲に合わせて規則正しく大手を振って力強く踏みしめる行進の足音が聞こえてきそうなくらい、これぞマーチ!と言えるマーチだと思います。


 シンバルとバスドラムの響きがガツンと入る短い序奏が決まると、
 軽やかなトランペットがリズムを刻むメロディが始まります。
 トランペットのファンファーレ風のメロディがスカッと始まると雰囲気が
 盛り上がってきます。
 ピッコロやフルートの機敏なリズムにユーフォニアムの裏メロが入ると、
 曲もやわらかみがついて、厚みを増していきます。
 更にトロンボーンがメロディに厚みを加えると、今度はピッコロ、フルートが
 軽やかに彩りをつけていきます。
 次には伸びやかなホルンが朗々と歌い出していくと、しばしゆったりとした
 雰囲気になります。
 そしてトロンボーンが間をつなぎ、最後までキッチリと曲をまとめていきます。


ちなみにこの曲は1936に開催されたベルリンオリンピックの入場行進曲として演奏されると世界中にその知名度を広めることになったようです。
それにしても、いかにも・・・みたいなこのマーチですが、改めて聴きなおしてみるといろんな楽器が活躍してますね。


≪オススメCD≫
いろんなマーチを聴きいてみよう!
星条旗よ永遠なれ/マーチ名曲集
フェネル(フレデリック),イーストマン・ウインド・アンサンブル,スーザ,ミーチャム,シューベルト,ベートーヴェン,シベリウス,ワーグナー,アルフォード,タイケ
ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る


【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆☆★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
キッチリカッチリ規則正しく聴けます。


音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

チェロ協奏曲第1番 (サン=サーンス)

2007年11月29日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はサン=サーンス:チェロ協奏曲第1番です。

一般的にはそれほど有名とは言えないこの曲ですが、クラシックファンの間では結構人気のこの曲。

ただでさえ数の少ないチェロ協奏曲ですが、その中でも有名なこの曲は・・・、とにかくカッコイイ曲です。ちょっとシブイ感じのするチェロですが、この曲に関しては違います。斬新というか、インパクトがあるというか、チェロの普段のイメージとはちょっと違った感じが味わえるかも?


 第1楽章:ザックリと刻む弦楽器の間から厳しい表情のチェロが勇ましく登場します。
 つむじ風のようにぐるぐるとめぐるチェロの合間にフルートやクラリネットが入ると
 吹きすさぶ寒風を思わせます。
 高音のフレーズをサラリとこなしたかと思うと、すさまじく刻んでみたり、
 厳しい表情を見せたかと思うと、中盤ではクラリネットと戯れるかのように鮮やかな
 掛け合いを聴かせてみたり・・・チェロの中から多彩な表情を聴かせてくれます。
 やがてチェロのソロがゆるやかになっていきます。 

 第2楽章:弦楽器のひっそりとしたリズムが、ささやくように始まります。
 リズムの中からぼんやりとチェロがにじみ出すように始まると、
 なめらかで、ゆったりとしたフレーズを奏でていきます。
 途中でオーボエなどの木管楽器が、あくびでもするようにふんわりと入ると
 チェロは低音から少し、ブルブルッと震えるように鳴りますが、
 その後は落ち着いて、またなめらかなメロディを伸び伸びと歌います。
 最後はチェロが低音でじんわりとひとつ言い聞かせるようにくくります。

 第3楽章:オーボエがカラッと、なめらかに始まると、それに促されるようにして
 弦楽器が鋭いフレーズを始めます。
 チェロがひとつ高音から一気に低音まで駆け下りるようなフレーズを奏でると
 弦楽器も盛り上がりトランペットのキレのある音が響きますが、
 曲は急に沈み、チェロは悩ましげなフレーズをゆっくりと語り始めます。
 ゆっくりなチェロのフレーズはまたすぐに盛り上がり、オーケストラも
 それに合わせて盛り上がっていきます。
 チェロはすさまじい勢いで怒涛のソロを展開すると、辺りを明るく照らすように
 弦楽器がふわっと広がっていきます。
 テンポもゆるやかになると、チェロはまた渋く低音を聴かせじわじわと温かい
 雰囲気を作っていきます。
 低音はやがて高音に変わりフレーズをヴァイオリンに引き渡し最上階まで
 上り詰めると、
 またしても勢いのある曲調に戻り、怒涛のソロを聴かせていきます。
 クライマックスをオーケストラで盛り上げると、喜び勇んで駆け回るように
 はしゃぎながらサクッと終わります。


初めてこの曲を聴いたときは、もちろんいい曲ですし、スゴイとも思いましたが、改めて聴いてみても、やっぱりカッコイイ曲ですよね。
演奏時間は20分程度と、協奏曲としては比較的短めなので、様々なチェロのフレーズを楽しんでいると、あっと言う間に終わってしまうかも?
ちなみにサン=サーンスのチェロ協奏曲は「第2番」もあるようですが、こちらはそれほど有名ではないので、「サン=サーンスのチェロ協奏曲」というと、たいていは第1番の事を示しているようです。

≪オススメCD≫
ミッシャマイスキーでどうぞ。
サン=サーンス / チェロ協奏曲第1番イ短調作品33
マイスキー(ミッシャ),オルフェウス室内管弦楽団,オヴォラ(ダリア),サン=サーンス
ポリドール

このアイテムの詳細を見る



【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆☆☆★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
カッコイイチェロを聴けます。


音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

カミ―ユ・サン=サーンス(最終話)

2007年11月27日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日はシャルル・カミ―ユ・サン=サーンス(第10話)です。

≪作曲家ゆかりの曲≫
サン=サーンス: 交響曲第3番/動物の謝肉祭、他
オムニバス(クラシック),バンブリー(グレース),リテーズ(ガストン),ロジェ(パスカル),パリ管弦楽団,アルゲリッチ(マルタ),パールマン(イツァーク),フランス国立管弦楽団,シカゴ交響楽団,ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る
【Charles Camille Saint-Saens】

サンサーンスが文字通り世界中を旅行している頃、パリではワーグナーの音楽がもてはやされます。今日はその続きからです。

(第10話)【批判】
パリではワーグナーの音楽がもてはやされる中、1904年、世界中を歩き回ったサンサーンスがパリに戻ってくると、かつてパリを訪れた青年ワーグナーの才能をいち早く評価していたサンサーンスでしたが、そんなワーグナーブームを評して「自分はワーグナーの作品は高く評価するが、自分の作風とは違う。」と、ポロッと言ったひと言が、売れっ子作曲家へのやっかみと、とたれたのか?少なくとも「保守的」と取られてしまい、その後ワグネリアン(熱心なワーグナーファン)からは批判の対象として恰好の餌食となってしまうのでした。

更に、この頃に近代音楽の旗手として名声を上げていたドビュッシーやストラヴィンスキーの作品に理解を示さなかったサンサーンスは、ドビュッシーから「サンサーンスはもう十分音楽を書いたのだから、探検家としての人生を送るべきだ・・・」と、旅行好きのサンサーンスを皮肉たっぷりに揶揄してみたり。

エリック・サティは「サンサーンスはドイツ人じゃない・・・、ただ頭が硬いだけだ・・・、(だからフランス近代音楽を理解できない)」と、なじられたり、往年のサンサーンスは若い作曲家たちからも批判の対象になってしまうのでした。

しかし、最新の音楽には理解を示さず「保守派」と言われたサンサーンスも、1908年、映画「ギース公の暗殺」の音楽を手掛け、世界初の映画音楽を作曲する事になります。16世紀の宗教戦争をモチーフにした映画のようですが、音楽の新しい展開を模索したサンサーンスは尚、意欲的に音楽活動を模索していたようです。

映画音楽を作曲したときサンサーンスは既に70歳を超えていたのでした。さすがに老いたサンサーンスは公の場からは引退を表明していたようですが・・・、

1914年、第一次世界大戦が勃発すると、彼の中から愛国心がメキメキと表れ、音楽を通じて国威高揚をすべく、フランス音楽をして様々な活動を展開するのでした。

一連のワーグナーブームに沸いていたフランスの中で、ワーグナーボイコット運動を起こしますが、敵国ドイツの反感を買ったのは勿論、フランス国内でも返って批判を浴びてしまう事になります。

更に、熱の入ったサンサーンスはドイツ・オーストリア音楽の演奏を禁止する運動にまで加わり、更なる批判を浴びてしまいます。

1918年休戦協定により第一次大戦が終わると、サンサーンスもようやく落ち着いた音楽活動をする事ができたようですが、さすがに熱心な運動からの心労からか?あるいは世界旅行からの長年の旅疲れが、ここにきて表れたのか?サンサーンスは病床に臥せてしまうのでした。

1921年、サンサーンスは療養のため、お気に入りだったアルジェリアに向かいます。しかし、病状は回復する事無く、サンサーンスは彼の地で帰らぬ人となってしまうのでした。

アルジェリアの都市アルジェで葬儀が行われた後、死体はすぐにフランスに戻され、パリではかつてオルガニストを務めたマドレーヌ聖堂で、国葬として葬儀が行われる事になるのでした。享年86歳は大往生と言えるでしょう。


その作品が、なかなか世間には認められない事の多いように見えたサンサーンスですが、それでも最後まで熱心に音楽活動を続けるサンサーンスは、フランス音楽の発展を誰よりも願っていたのかもしれません。
それにしても、世界旅行は圧巻でしたね。ドビュッシーじゃなくても旅行記の1冊や2冊ぐらい、すぐに書けそうな気がしますが、旅行中の体験は音楽にも繁栄されている事でしょう。

【その他の作曲家の生涯はこちら】

音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

カミ―ユ・サン=サーンス(第9話)

2007年11月26日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日はシャルル・カミ―ユ・サン=サーンス(第9話)です。

≪作曲家ゆかりの曲≫
サン=サーンス:交響曲第3番
バレンボイム(ダニエル),シカゴ交響楽団,パリ管弦楽団,リテーズ(ガストン),モグリア(アラン),ヨルダノフ(ルーベン),サン=サーンス
ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る
【Charles Camille Saint-Saens】

「動物の謝肉祭」や、「交響曲第3番」が完成し、成功するとようやく作曲家としての名声も獲得するようになったサンサーンスですが、今日はその続きからです。

(第9話)【世界旅行】
1888年、サンサーンス53歳の年に最愛の母親を亡くします。思えば幼い頃から、母一人子一人の生活を続けていたサンサーンス。時には作品に対す手厳しい評価まで言い放っていたと伝えられる母クレマンス・サンサーンスの死は、相当なショックがあったと思われます。

こうして母親が亡くなると、サンサーンスはパリの自宅と財産を故郷の町に寄付すると、またしてもパリから突如姿を消してしまうのでした。

突然のサンサーンス失踪が、パリでは噂を呼び、「サンサーンス死亡説」までが流れるほどだったようです。

その頃、当のサンサーンスは、フランスはパリを遠く離れ、スペインを南下してモロッコの先にあるカナリア諸島のラス・パルマ(スペイン領)に滞在していたのでした。
しかも“シャルル・サノワ”という偽名まで使っていたようですから、相当念の入った失踪計画だったようです。

以前、妻の前から姿を消した時もそうでしたが、最愛の存在を失ってしまうと周りから姿を消すようにして失踪していましたから、こういうときには誰とも話をしたくなくなってしまうのかもしれません。家財を処分してくるところを見ても、これらの行動はサンサーンスなりの自分自身のこころの切り替えか、あるいはケジメの付け方なのかもしれません。

その後も、旅好きだったサンサーンスはどこかに定住することなくヨーロッパ各国をはじめ、西はカナリア諸島からアルジェリア、エジプト、東へはギリシャからセイロン、そしてシンガポールまで、更にはユーラシア大陸を離れ、アメリカ大陸ではアメリカ横断、更に更に南米にまで足を延ばしていたとかいなかったとか、ほぼ世界一周を旅行しつくすのでした。

サンサーンスが、世界を駆け巡っている間にパリではワーグナーブームが巻き起こるのでした。過去にパリを訪れて演奏会を画策していた頃には見向きもされていなかったワーグナーでしたが、リストの支援もあってバイロイト音楽祭が開かれるようになると、パリの劇場ではワーグナー作品が上演されるていたのでした。


交通機関の未発達の時代に世界旅行とはスゴイデスねぇ!(というかうらやましい…)パリではワーグナーブームが起こっているようですが…、このつづきはまた明日。

【その他の作曲家の生涯はこちら】

音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

ドラマ「SP」

2007年11月25日 | テレビでクラシック
たまには、テレビでクラシックを見てはいかがですか?

今日はドラマ「SP」(エスピー)です。

いきなりですが、今日はドラマのお話です。
「SP」と言ってもクラシックファンの方が想像されるようなレコードの事じゃないですよ!(一応)
岡田准一さん主演のドラマ「SP」(警視庁警備部警護課第四係)はフジテレビ系列で毎週土曜夜11:10~放送されているようなんですが・・・、

放送前から番組宣伝で、いろいろやってたのは知ってましたが、「また新番組が始まるんだなぁ・・・」くらいにしか思ってませんでした。
そんなくらいにしか思ってなかったので、特に第1話から見てた訳では無いんですが、

先週、チャンネルをポチポチ変えていたら、たまたまこのドラマにチャンネルが合うと、なんとショスタコーヴィチが流れてたんですねぇ!
で、最初は、またCMか何かだと思ってたんですが・・・、ドラマ「SP」だったんですよコレが。

で、何の曲かというと、ショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」だったんですね!なので、「おお!こんな使われ方をするとは!」とか思いながら見てましたが、劇的な場面で次回につづくになってしまったので、そのつづきを見ると・・・、
またしても、今回ショスタコーヴィチが流れているじゃぁないですか!そして今回は第5番「革命」。こうなると、もうこれは記事書け!ってコトですよね!!(なんて…違うか)

という訳で、今回はドラマとショスタコーヴィチの使われ方を少し・・・。

【第3話】
番組のホームページを見ると、最初に見たのはどうやら見たのは第3話らしく、元総理(露木茂さん)が入院した病院がテログループ(日本人)に占拠され、犯人が病院から総理の自宅に電話して、夫人(島かおりさん)に元総理を人質にした事と、要求を言い渡すシーンでした。
まさか!?の電話に怯えながら犯人が淡々と要求を話すときに「レニングラード」の第1楽章の盛り上がっていく部分が流れます。強烈なトランペットが下降音で下り、まさかの電話に高鳴る鼓動と緊張感を思わせるスネヤドラムの響き!
張りつめた緊張感と共に、電話と持つ手が震え、血の気が引いたような夫人は、もう顔面蒼白で唯々犯人の要求を聴くだけ・・・、

【第4話】
テログループに占拠された病院に、入院中の元総理の警護として居合わせた井上薫(岡田准一さん)はひとりずつ犯人を取り押さえ、残る主犯格の金田(北村有起哉さん)を既に捕らえた犯人のケータイメールで連絡し、おびき寄せます。
主犯格の金田が、呼び出された部屋へ向かうべく病院のエレベータのドアが開くと…「革命」の第4楽章冒頭部分のティパニが「デンドンデンドン・・・」と鳴り始め、いよいよ対決とばかりに勇ましく鳴り響きます!
結局、金田は井上の機転の効いた作戦によって取り押さえられる事になり、事件は解決となるのでした・・・。


ドラマや映画でもクラシック音楽が使われる事はよくありますが、なかなかどうして、「これでもか!」と言わんばかりのニクイ使い方をしているように思えました。
クラシック及びショスタコーヴィチを既にご存じの方なら一発で“ピン”とくるフレーズなんですが、知らない方はドラマ用に作られた曲と思ってる人も以外に多いかも!?

ただ、ショスタコーヴィチのいずれの曲もかなりインパクトのあるフレーズですから、これを機に「あの強烈なBGMは何なんだ!」と興味を持った方は是非一度聴いてみては…?!なんて、あんまり興味無いかな・・・。

さて、一応2週連続でショスタコーヴィチのだったので、ちょっと紹介してみましたが、来週はどうなる事やら・・・、引き続きショスタコーヴィチなのか?或いはストラビンスキーか?レスピーギあたりが来るのか、ちょっと楽しみですが、これっきりって感じもしないでもないような・・・。とりあえず期待しないで来週もチェックするつもりです。

≪早くもサントラ発売≫
果たしてショスタコーヴィチは入っているのか??
SP(エスピー)オリジナルサウンドトラック
菅野祐悟
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ

このアイテムの詳細を見る



音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

カミ―ユ・サン=サーンス(第8話)

2007年11月24日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日はシャルル・カミ―ユ・サン=サーンス(第8話)です。

≪作曲家ゆかりの曲≫
ブリテン:青少年のための管弦楽入門/プロコフィエフ:交響的物語「ピーターと狼」/サンサーンス:組曲「動物の謝肉祭」
コネリー(ショーン),オムニバス(クラシック),カッチェン(ジュリアス),ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団,グラフマン(ゲリー),ロンドン交響楽団,ヘンダーソン(スキッチ),ドラティ(アンタル),ブリテン,プロコフィエフ
ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る
【Charles Camille Saint-Saens】

息子を失い、妻の前からも姿を消して家族を失ってしまったサンサーンスはどこへいくのでしょうか、今日はその続きからです。

(第8話)【動物の謝肉祭】
妻マリの前から突然姿を消したサンサーンスでしたが、その後は母親クレマンスと共に過ごす中で作曲を続けていきます。パリ万博でようやく認められたサンサーンスは、その後もパリで作品が認められるようになり、曲が演奏される機会も次第に増えていたようです。

1880年には、ヴァイオリン協奏曲第3番を完成すると、これを「第1番」のときと同様にサラサーテに献呈し、サラサーテがヴァイオリニストとして初演を行ったという事ですから、おそらくこれも成功を収めていた事でしょう。

1886年、組曲「動物の謝肉祭」が完成すると、3月にはオーストリアでこれを初演する事になりますが、初演の演奏会は非公開で行われていたようです。というのも、14曲の曲からなるこの作品はフランスの作曲家の作品(自作を含む)をパロディ化したところが多く、「4:亀」ではオッフェンバック、「5:象」ではベルリオーズやメンデルスゾーン、「12:化石」では、ロッシーニと自作の「死と舞踏」がパロディ化されて作曲されていたため、公に演奏する事をしなかったようです。

演奏会自体はパロディの効果もあってか、大成功だったようですが、サンサーンスはこの曲の出版を生前には許可していなかったようです。
今なら、「著作権があるから」なんて話になってしまうんでしょうが、当時は著作権字体がまだ確立されていたわけではなく、音楽に関して言えば「○○(作曲家)の主題による××」なんて作品も多くありましたから、敬意を表したものであれば、特に問題視される事も無かったとは思いますが、パロディだったのでサンサーンスも意識していたのかもしれません。

加えて、同年「ベルヌ条約」(著作権に関する条約)が結ばれていた事も、少なからず影響を与えていたのかもしれません。

更に同年、交響曲第3番「オルガン付き」を作曲します。初演はイギリスのフィルハーモニー協会からの依頼の作品という事もあって、ロンドンで行われ、指揮は自らが行います。この曲はタイトルの通り交響曲としては珍しくオルガンが使われていますが、若いころから本職としていたオルガニストとしての才能を十分に発揮した、彼の作品を代表する大作のひとつとも言われるだけあって、初演も見事に大成功を収めるのでした。

ちなみにこの交響曲の初演の直後にリストの訃報が届いたため、リストに献呈される事にななるのでした。


フランスでも、ようやく認められるようになったサンサーンス。それにしても「動物の謝肉祭」で“作曲家をパロディ化”はちょっとした余裕の現れでしょうか・・・、という訳でちょっと余裕のないこのブログのつづきは…(どうしよう、間入れるか、そのままいくか?)検討中!デス

【その他の作曲家の生涯はこちら】

音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

カミ―ユ・サン=サーンス(第7話)

2007年11月23日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日はシャルル・カミ―ユ・サン=サーンス(第7話)です。

≪作曲家の肖像≫
コンドン・コレクション1~作曲家編 クロード・ドビュッシー/カミーユ・サン=サーンス
サン=サーンス(カミーユ) ドビュッシー(クロード),ドビュッシー,サン=サーンス,ドビュッシー(クロード),サン=サーンス(カミーユ)
ビクターエンタテインメント

このアイテムの詳細を見る
【Charles Camille Saint-Saens】

二人の息子を失ったサンサーンス。失意をこらえて作曲にとりくみますが、なかなか認められませんが・・・、今日はその続きからです。

(第7話)【失踪】
フランス国内ではなかなか、その作品を認められなかったサンサーンスでしたが、ワイマールでの歌劇「サムソンとデリラ」が認められると、国外ではその真価が認められはじめます。

国外でのサンサーンス人気に反応したのか?1878年に開催されたパリ万博ではカンタータ「プロメテウスの結婚」が成功を収めるのでした。これをきっかけにパリでもようやく作曲家としてサンサーンスの名声が高まっていく事になるのでした。

しかし、サンサーンスには、またしても事件が起こるのでした。と言うより今回は自分から事件を起こしてしまうのですが・・・、

1881年、サンサーンスは妻マリとともに温泉地ラ・ブルブールに出かけます。ある朝、マリが目を覚ますと夫サンサーンスの姿が見当たりません。
マリは滞在中のホテルやその周辺を訪ねてサンサーンスを探しますが結局、夫を見つけ出す事ができなかったのです。

突然、目の前から夫の消えたマリの元に数日後一通の手紙が届きます。それは夫サンサーンスからのもので、そこには、別れの言葉が記されていたのでした。

夫から一方的に突きつけられた離婚に、妻マリも途方に暮れていたことでしょう・・・。結局それ以降、正式な離婚手続きはとられていなかったようですが、事実上の離婚になってしまうのでした。

それにしても何故、いきなりこんなことになってしまったのでしょうか?2人の子供を失ってから夫婦仲がうまくいかなくなったとか、嫁姑の仲がうまくいかなかったとか、いろんな説があるようですが、ハッキリとした原因は分かっていないようです。

その後、サンサーンスは母親の元に身を寄せていたのでした。そもそも、サンサーンスは幼い頃に父親を亡くし、その後女手ひとつの母子家庭で育ったサンサーンスにとって母親の存在は欠かせないものだったようです。

そんな事もあってか、一説によると結婚生活が始まった当初から、母親には新婚生活にいちいち口を挟まれ、それが原因で夫婦生活もあまりうまくいっていなかったのではないか?とも言われていたようです。


別れの言葉を告げることなく手紙だけを送って妻との関係を終わらせてしまったサンサーンス。母親の影響はそこにもあったんでしょうか?このつづきはまた明日。

【その他の作曲家の生涯はこちら】

音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

カミ―ユ・サン=サーンス(第6話)

2007年11月22日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日はシャルル・カミ―ユ・サン=サーンス(第6話)です。

≪作曲家の肖像≫
世紀の名ピアニストたち(3)
サン=サーンス(カミーユ),サン=サーンス,イルゲンフリツ(マクナイアー),トレフセン(オーグスタ),ニリンスカ(カティンカ),ダルベール(ウジェーヌ),シュニツァー(ジェルメーヌ)
コロムビアミュージックエンタテインメント

このアイテムの詳細を見る
【Charles Camille Saint-Saens】

作曲をしてもなかなか認められないサンサーンス。今日はその続きからです。

(第6話)【結婚・・・そして】
1875年2月、40歳を迎える年にサンサーンスは突然結婚します。
お相手は教え子の妹マリ・ロール・エミリでした、このときマリは19歳。(おお!年の差婚ですね。)

それまでに、女性関係の浮いた話のひとつも上がらなかったサンサーンスの結婚は、パリ市民たちも、たいそう驚いていたようです。

二人は結婚式を挙げると、その年の12月には長男アンドレが誕生します。1877年には次男ジャン・フランソワが誕生し、ようやく落ち着いた結構生活を送っていたように思われたサンサーンスですが、私生活では成果を見せたサンサーンスでしたが、音楽活動はそれほど奮いません。

こうして、パリをはじめフランス国内では、その作品が評価されないサンサーンスでしたが、それもあってか、サンサーンスはフランス国外にも足を運ぶようになり、1887年には、リストの希望もあってワイマールで歌劇「サムソンとデリラ」が初演されると、フランスでは、それほど高い評価を得る事が出来なかったこの歌劇が大成功を収めるのでした。

フランス、パリを飛び出してようやく成功を掴みかけたように見えたサンサーンスでしたが1878年、悲劇はいつも突然訪れるのでした。

まだ幼い長男アンドレがアパートの窓から身を乗り出して転落し、亡くなってしまうのでした。更に不幸は続きその数ヵ月後、まだ1歳にもならない次男ジャンが肺炎をこじらせて、まるで兄の後を追うようにして亡くなってしまうのでした。

せっかく手に入れた幸せを一度に失ってしまったサンサーンス。二人の子供を同じ時期に失った悲しみは言うに堪えないものがあったハズですが、おそらく周囲にはあまりその事を語らず、普段と変わらない生活を送っていたのでしょう。(悲しみから目をそらそうとしていたのかもしれません。)

しかし、周囲の人間からはその事が逆効果を与える形になり、「息子を亡くしたのに、これまで通りの生活ができるなんて、なんて冷淡で無表情なヤツだ!」と噂があったとか、無かったとか、ともあれ、それが更に「そんなヤツが血の通った音楽を書けるハズがない!」と噂が飛び、その作品の評価にまで至ってしまうのでした。


いきなり結婚話が持ち上がったサンサーンス。ようやくワイマールで歌劇が評価されますが、2人の息子を失ってしまい踏んだり蹴ったりの様子。このつづきはまた明日。(のつもりです。)


【その他の作曲家の生涯はこちら】

音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

カミ―ユ・サン=サーンス(第5話)

2007年11月20日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

有名な作曲家にはその真偽はともかくとして、たくさんの興味深いエピソードがあります。
そんな興味深いエピソードを中心に作曲家の生涯をたどっていきます。

今日はシャルル・カミ―ユ・サン=サーンス(第5話)です。

≪作曲家ゆかりの曲≫
死の舞踏~マルティノン/フランス音楽名演集
マルティノン(ジャン),イベール,サン=サーンス,ビゼー,マスネ,パリ音楽院管弦楽団,イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る
【Charles Camille Saint-Saens】

戦禍を潜り抜けたかのように見えたサンサーンスでしたが、パリコミューンによってロンドンに難を避けます。そして今日はその続きから。

(第5話)【国民音楽協会】
1871年3月にパリ・コミューンによってフランスが混乱状態になった事を受けて、ロンドンに逃れたサンサーンスでしたが、5月頃に国内情勢が落ち着いたのを見計らってすぐにパリへと舞い戻ります。

2月に立ち上げた「フランス国民音楽協会」の活動を始めるべく、準備を整えていきます。
11月にはようやく最初の演奏会に漕ぎつけると自作をはじめ、フランクの作品を演奏していくのでした。

しかし、“音楽協会”と言っても作曲家が何人か集まっただけの集団だったため、特に裕福なスポンサーやパトロンがいた訳でもなかったようなので、経済的には非常に難儀していたようです。

そのため、せっかく作曲した大編成の管弦楽作品も、オーケストラを抱える余裕が無かったため、ピアノ連弾で演奏するなどして、こじんまりとした活動に留まらざるを得ないのでした。

こうして、初期の頃はおぼつかない足取りで始まった「国民音楽協会」でしたが、後にはドビュッシーやデュカス、ラヴェル等々、名だたる作曲家の作品が初演される事になるのでした。

そんな中、歌劇「サムソンとデリラ」が作曲されますが、当時は聖書の物語を引用する事は不謹慎とみなされたため、パリでは演奏さえも拒否される事もあったようです。

更に、1874年には交響詩「死の舞踏」を作曲し翌年にこれを初演しますが、当時としても奇抜な曲調は聴衆に受け入れられることはありませんでした。
また、「死の舞踏」は、サンサーンス以前にリストが既に別の曲を作曲していたこともあって、これと比較されてけなされる事も多かったようです。


パリに戻ったサンサーンスは「国民音楽協会」の活動を本格化させようとしますが、当初サンサーンスの作品はパリ市民に受け入れられる事は無かったようです。
このつづきはまた明日。

【その他の作曲家の生涯はこちら】

音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく

交響詩「死の舞踏」 (サン=サーンス作曲)

2007年11月18日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はサンサーンス:交響詩「死の舞踏」です。

なんとも物騒なタイトルのこの曲ですが、“死の舞踏”というのは中世ヨーロッパに伝わっていた伝説や寓話の中から生まれた言葉で、この曲だけではなく、様々な芸術の題材に使われているタイトルのようです。

この頃、ヨーロッパではペストが猛威を奮っていたため、そのことも大きく影響を与えたとも言われています。

そして、サンサーンスの「死の舞踏」は詩人アンリ・カザリスの同名の詩を元に作曲されます。元々は歌曲として作曲されていたようですが、その後、管弦楽用に編曲され、現在では管弦楽版がスタンダードとしてよく演奏されています。

曲は、ヴァイオリンソロを中心に、ちょっとコワイ雰囲気が満点の曲ですが、迫力を楽しむと思えば、スリル満点で聴ける曲だと思います。


 12時の鐘になぞらえたハープが静かに鳴り、弦楽器がひっそりと響くと
 けたたましいヴァイオリンが力強く鳴り響きます。
 フルートが怪しげなフレーズを奏でると、低音のヴァイオリンが
 なめらかに妖艶なメロディを奏でていきます。
 トライアングルが色めき立つと、ヴァイオリンの音色はキビキビとした
 音に変わり、木琴が鋭く叩きつけられると、ティンパニ(大太鼓)が鋭く締めます。
 やがて、フルートのフレーズは、ひたひたと迫るように盛り上がり、
 金管楽器がとどめを刺すようにバシッと決めます。
 ヴァイオリンのふわっとしたフレーズをホルンが追うと、
 しばしのおだやかなムードが広がっていきます。
 しかし、それも束の間、トロンボーンが響くと、また緊迫した雰囲気に戻ります。
 そして、少し落ち着きますが、怪しい雰囲気に警戒するように
 辺りを見回すように不安なフレーズが続きますが、
 やがて弦楽器がざわめき立つと、トロンボーンが鋭く響きシンバルが打ち鳴らされ
 派手に盛り上がり、怒号のようなティンパニが大迫力で迫ってきます。
 そこに、ホルンの音がひとつ響き、時を告げるようなオーボエが響くと・・・
 曲は急に納まり、崖が崩れ落ちるようなティンパニが響くと、
 寂しげなヴァイオリンが低音のフレーズを歌い、最後となります。


ちなみに冒頭のハープが12時の鐘で、その後のヴァイオリンは死神を表し、途中の木琴は骸骨の奇妙な踊り、最後のオーボエは朝を告げる雄鶏だそうです。
なかなかリアルに想像できる曲調は、ちょっと身の毛がよだつかも?

≪オススメCD≫
サンサーンスがいろいろ入ってる2枚組です。
サン=サーンス: 交響曲第3番/動物の謝肉祭、他
バンブリー(グレース),バレンボイム(ダニエル),リテーズ(ガストン),ロジェ(パスカル),パリ管弦楽団,アルゲリッチ(マルタ),パールマン(イツァーク),フランス国立管弦楽団,シカゴ交響楽団,ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

このアイテムの詳細を見る


【コレってどんな曲】
喜:☆★★★★
怒:☆☆☆☆★
哀:☆☆★★★
楽:☆★★★★

≪おすすめシチュエーション≫
コワイモノ見たさで?!聴いてみるといいかも??


音楽ブログランキング
 
「くつろぐ」ブログランキング⇔こちらもよろしく