初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

無言歌集Op19 (第1巻) (メンデルスゾーン作曲)

2010年02月10日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はメンデルスゾーン:無言歌集Op19 (第1巻)です。

「無言歌集」・・・言葉の無い歌とでもいうんでしょうか?
言葉の響きからするとロマンチックな感じですが、結論から言うとピアノ曲集です。

メンデルスゾーンはこの「無言歌集」というタイトルで全8曲(全8巻)の作品を残していて、1巻あたりは小品(短い作品)が6曲ワンセットで構成されています。

印象としては、とても聴きやすい作風だと思いますが、微妙なニュアンスも多々あるので、その意味では、そういうのがあまり好きでない人には、ちょっと難しい作品と言えるのかもしれません。

今回はその第1巻。ですが、6曲はそれぞれバラエティ豊かで、ゆったりとしたメロディから、快活なもの、切なく暗いものまで、様々な表現が楽しめる一曲です。



 1甘い思い出:
 まどろむような中音のフレーズの中に現われる甘いメロディ。
 どんな事を思い出しているんでしょう。
 ゆったりとしたフレーズの中には、なめらかで甘い思い出があふれているのでしょうか?
 少し、切なく感じるのはやはりそれが“思い出”だからなのでしょうか。
 あの頃の楽しかった甘酸っぱい思い出が次々によぎるように、流れていきます。

 2後悔:
 高いフレーズが少し息苦しくもあるような、そんな感じでしょうか、
 「あのとき、ああしておけば・・・」
 後悔というからにはそんな感じでしょう。
 後悔、というより未練にも聴こえてくるピアノのフレーズがどことなく
 後ろ髪を引かれるような、そんな切なく、やんわりと締めつけられるような
 あとをひくフレーズがしんみりと響き渡ります。

 3狩りの歌:
 どっしりとしたピアノのフレーズが高らかに響き、まるでファンファーレのように、
 勢いよく、その響きを聴かせていきます。
 快活でテンポもよく、次から次へそのフレーズを重ねてゆき、
 元気よく最後まで楽しく聴かせてくれます。
 
 4ないしょ話:
 「ちょっと耳を貸して」と言わんばかりの。
 やわらかなピアノの音色がしっとりと響き渡ります。
 話の内容は「ないしょ」にするほど、大したものではないのですが、
 耳元で、自分だけに聞こえる声は、どことなくあまく、
 その息遣いがあたたかく感じるようです。
 ないしょ、というよりは、恋人同士の秘密の話みたいな感じかもしれません。
 
 5眠れぬままに:
 重大な悩みがあるままベッドに入ったものの、頭の中では考えがめぐり、
 気になって気になって眠れない・・・、と言った感じでしょうか?
 こう考えれば少し、いい方向に行くかも?と思ったのも束の間、
 すぐに悪い考えが頭をよぎると、またそれが後を引いて眠れない。
 でも、最後はなんとか、いい方法を見つけて、やっと眠れる感じで終わっています。
 
 6ヴェニスのゴンドラの歌
 ゆらゆらと揺れるような静かな水面をすうっと走るゴンドラで、
 悲しげな歌が聴こえてくるのでしょうか?
 ゆくあても告げずに、ただただ漕ぎだしたその舟はどこへ向かうのか、
 不安と、寂しさを抱えたまま、舟は霧の中へ消えていくように去っていきます。


メンデルスゾーンの「無言歌集」はタイトルは知ってましたが、個々の曲はそんなに知らなかったので、今回調べてみて、全8巻×6曲って事は、全部で48曲って事ですか、ちょっとビックリ。
さすがに、1回でそんなに書けないし、尺稼ぎにはもったいないので、1巻ずつ小出しにする事にしました。ハハハ。

今回は紹介出来ませんでしたが、元々自分で知っている無言歌集の曲としては、有名な「春の歌」Op62-6とか、「紡ぎ歌」Op67―4とかで、元はそっち目当てだったんですが、それらはまた後々という事で。

自分の中では「無言歌集」はそんなイメージだったので、サクッと書けるかな?なんて思ってましたが、こんなに全集みたいになってるとは知らんかった。

まあでも、聴いてみると、意外と聴きやすかったりしたので、書くのもサクッと書いてみました。


≪オススメCD≫
無言歌集のいいとこどりみたいな感じです。
メンデルスゾーン:無言歌集
田部京子
コロムビアミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆★★★★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
言葉の無い歌をあなたなりに感じてみてください。


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組曲「モスクワチェリョムーシカ」 (ショスタコーヴィチ作曲)

2010年01月29日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はショスタコーヴィチ:組曲「モスクワチェリョムーシカ」です。

さて、前回、曲を紹介したのはいつの事になるやら・・・
というのはおいといて、今回のこの曲。

前から早く紹介しようと思っていたんですが、なんとなくタイミングとかいろいろあって遅くなってしまいました。
というのも、最初、この曲の名前を「モスクワチェルムーシカ」と聞きちがえてしまい、(FMラジオで聴いた曲だったんで)その曲名でネット検索しても、出るハズもなく、しばらく放ったらかしにしておいたのでした。

でも、最初はイケイケでテンポもよく、いい加減な感じのユニークなこの曲を紹介しなければもったいない…とは思いつつも、今日に至る。という有様でした。

ただ、それでも、一般的にはなかなか有名な曲とは言い難いのも現状なようで、結局捜せたのも、各曲のサブタイトルだけなので、詳しい内容は分かりませんが、どうやら歌劇かオペレッタの「組曲」版らしいという事だけです。

あとは、いつものようにノリと雰囲気だけで紹介しますのでよろしくどうぞ。



 モスクワを疾走:めくるめく弦楽器に打ち鳴らされるシンバル、バリバリと響く
 トロンボーン。
 いきなりドンチャン騒ぎではじまるこの曲。
 その後はスルリと響くヴァイオリンのさわやかなフレーズ。トライアングルが
 チリーンと響くと、なんとも爽快感のたまらない曲です。
 ※ピチカートのリズムからヴァイオリンソロがはじまり、またイケイケのドンチャン騒ぎを繰り返していきます。
 メロディにはオーボエやファゴットが乗ってきて、
 トランペットのリズムも華やかに、
 金管楽器がうなりをあげていきます。
 どこまでも猪突猛進!
 木管楽器がサラリと吹きぬけたかと思うと金管楽器がバリバリとうなり
 あっという間にモスクワを駆け抜けていくのでした。

 ワルツ:ようやく駆け抜けた街を抜けて落ち着くと
 しっとりとしたヴァイオリンのメロディが物哀しく響きます。
 うつろなメロディはテナーサックスでしょうか?
 哀愁漂うメロディがトランぺットと共につづいていきますが、
 クラリネットを挟み、トランペットのメロディに変わり、
 ホルンがやわらかに響くと、徐々にやんわりとした雰囲気に変わり
 次第に盛り上がっていきます。
 弦楽器がしっとりと大きく響くと、落ちぶれた身を嘆くように
 大きくその響きを聴かせていきます。
 ホルンのアンサンブルが終わると、更に大きく盛り上がり、
 タンバリンのリズムも大きく響き、クライマックスを迎え、
 最後はやはりサックスがしんみりと聴かせてポツリと終わります。

 ダンス:軽やかなトランペットのメロディが始まると、
 さっきまでの悲しさも嘘のように、さわやかに響きます。
 ピッコロ、フルートのフレーズもキリリと引き締まりアクセントを付けます。
 まるでスキップでもしているような、軽快なトランペットのメロディも心地よく
 軽快に曲は進みます。
 タンバリンのリズムが入ると、トロンボーンのフレーズも伸びやかに、
 大きく響き、トランペットが走ると、
 最後は急に走り出すように盛り上がり、また疾走するように駆け抜けていきます。
 クラリネットのアンサンブルをサラリと挟みながら大きく盛り上がり
 じわじわと更に盛り上がっていくと、金管楽器も加わり、
 最後はズバッと終わります。
 
 バレエ:ホルンの響きが遠くから聴こえてくると、静かに始まります。
 その響きに応えるようにヴァイオリンが響くと、
 ワルツのリズムが始まり、かわいらしいクラリネットの音色がはじまり
 別の世界に誘われるように踊りだします。
 軽やかなステップは弦楽器のメロディに変わると、そこはもう舞踏会?
 途中に入るヴァイオリンはすこし寂しげですが、そこがまた、たまらない。
 そして、少しずつ盛り上がっていきます。
 スネアドラムが響き、金管楽器が大きく走り出すと、トランペットと
 ピッコロが騒がしく響き、最後は大団円のように大きく広がり
 華やかな最後を飾ります。



結構大好きなこの曲。上にも書きましたがホントはもっと早く紹介したかったんですケド、そんなこんなで、ちゃんとした曲名すらおぼつかない状況だったので、こんな感じになってしまいました。

ショスタコーヴィチというと、交響曲では、どことなく「イカツイ」イメージもありますが、こちらはどちらかというと、イケイケ、バリバリのノリのいい曲。
その意味では初心者にもオススメです。

なにも考えずズバッと響いて気分爽快!とにかく派手。組曲なので全曲だと約25分程度ですが、その世界に聴きこまれると、とにかくあっという間に終わってしまうこの曲なのでした。


≪オススメCD≫
たぶんこれで合ってると思います。
ショスタコーヴィチ : ダンス・アルバム
フィラデルフィア管弦楽団
ポリドール

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆☆
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
クラシックとかあんまり考えずに聴ける曲です。


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弦楽のための交響曲第12番 (メンデルスゾーン作曲)

2009年08月19日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はメンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第12番です。

メンデルスゾーンは管弦楽のために作曲したいわゆる普通の「交響曲」が5曲ありますが、今回はそれとは違った「弦楽器のためだけ」の文字通り弦楽器だけで演奏される交響曲も作曲しています。

作曲された年代を見ると、いわゆる「普通の交響曲」よりも先に作曲されていますから、彼の若いころの作品ということになりますが、
今回の、この「第12番」に関しては「短調」という事もあってか、なかなかどうして味わいのある凝ったつくりになっているんじゃないでしょうか。




 第1楽章:悲しみの漂う弦楽器の響きが流れると、低音も重々しくずっしりと
 のしかかるように流れます。
 重々しさがうすらぎ、少しおさまったかと思うと、また引き締まった弦楽器が
 グッと締め付けるように響きます。
 その後は、テンポが少し速くなりサクサクと進みますが、不安を感じるような
 焦燥感のようなメロディが続きます。
 しかし、軽快なテンポは少し弾み、光が差したようにも聴こえますが、
 やはり、焦燥感のようなものは拭いきれず、淡々とぞのリズムを聴かせていきます。
 折り重なるリズムに重くのしかかるような低音のメロディ、重ねて、重ねて
 そのメロディを聴かせて盛り上げて最後を締めくくります。

 第2楽章:なだらかに始まる中低音のフレーズがゆっくりと流れます。
 やすらぎの音色にも聴こえますが、どことなく力の抜けたぐったりとした
 表情にもとれます。
 高音のメロディがすうっと入ると、しなやかにやさしく聴こえますが、
 それでも、どことなく力無げな、遠くを見つめるような、ゆるやかなフレーズは
 何を物語っているのか。
 しなやかに続くメロディが心地よくもあり、なんとなく悲しげに響きます。
 ふわふわと漂うようなその音色が透き通るようにじんわりと染みます。
 しばらく聴いていると、だいぶ落ち着いてきてほっこりとした気分で曲を終わります。

 第3楽章:先ほどとは一転キビキビとした弦楽器の動きが、小刻みに奏でられると、
 緊張感が伝わってきます。
 始まったメロディも、なんとなく厳しい表情で進んでいきます。
 途中ではしなやなかフレーズを挟んでいきますが、リズムはやはり小刻みに
 進み、緊張感はそのままに曲が進みます。
 一旦、落ち着いてリズムを整えると、またキビキビとした最初のフレーズに
 戻り、淡々とそのフレーズを刻み、目の前のそのフレーズを刻んでいきます。
 フレーズが険しくなり盛り上がっていくと、
 急に静かになり、辺りの様子をさぐるように、静かな動きを始めますが、
 決定的なフレーズを奏でると、
 また、初めのフレーズに戻り、何事も無かったかのようにそのフレーズを
 繰り返し、徐々に盛り上がっていきます。
 そして今度はだんだんと音が少なく、静かになっていったかと思うと、
 最後の盛り上がりを聴かせてザックリと終わります。


曲としては、弦楽器だけの演奏なので特に難しいつくりになっている訳ではないのでしょうが、ときには力強く、ときにはしっとりと聴かせたり、あるいは似たメロディをいくつも重ねたりと、様々な動きを聴かせてくれます。
印象としては、やはり暗いイメージですが、何度も聴くと、その時々で多少違った印象を見つけることが出来る一曲なのかもしれません。

≪オススメCD≫
CDはなかなか探しにくいかも?
メンデルスゾーン:弦楽のための
ハノーバー・バンド
BMGビクター

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【コレってどんな曲】
喜:★★★★★
怒:☆☆☆☆★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆★★★


≪おすすめシチュエーション≫
メンデルスゾーン初期の作品をお楽しみください。


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ピアノ協奏曲第4番 (ラフマニノフ作曲)

2009年05月31日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番です。

ラフマニノフはこの曲を友人の勧めで、1914年ごろから作曲にとりかかりますが、その後アメリカに渡った彼は、ピアニストとしての仕事が忙しくなった事もあり、完成したのは1926年になってからでした。
しかし、何度か手直しを加えたようで最終的には1938年に最終稿をまとめたようです。

と、言っても素人には、どこがどういう風に変わったかは知るよしもありませんが、他のピアノ協奏曲と比べると比較的スッキリとした感じで、最後まで一気にズバッ!と聴ける勢いのある曲だと思います。




 第1楽章:管楽器と弦楽器がムクムクと湧き上がると、トランペットがビシッと決めて、
 ピアノが堂々と始まります。
 力強くピアノの響きが、低音弦楽器の刻むリズムに心地よく響くと、
 ピアノは徐々に細かくなり、フルートやイングリッシュホルンが入ると、
 少し、しっとりとした感じになっていきます。
 次第にゆっくりとしたテンポに変わると、ピアノはとても艶やかに響き、
 しっとりとしたムードをたっぷりと聴かせてくれます。
 そう思うと、また急にテンポが速くなり、なめらかにそのフレーズを
 聴かせていきます。
 めくるめく展開を終えると、また低音がじんわりと響きはじめ、
 力を溜めるようにじっくりと、じっくりと聴かせ、
 徐々に盛り上げていきます。
 トランペットが響くと劇的な音色を聴かせ、大きく盛り上がります。
 金管楽器も大いに鳴り響き、ピアノがその余韻のように聴かせると、
 今度はフルートがスルリと入り、
 ホルン、イングリッシュホルンなどを交えながら、静かに聴かせていきます。
 そして、最後の盛り上がりを見せると美しい弦楽器の響きを聴かせ、
 たなびくようなピアノのフレーズを奏でると、ラストはバシッと決めます。

 第2楽章:ポツリとつぶやくような高音のピアノが、ひっそりと響くと
 弦楽器は更にしなやかにその響きを聴かせます。
 更に甲高いピアノの響きが続き、ゆっくりとそのメロディを聴かせていきます。
 少し弦楽器が大きく響くと、ピアノも後に続き力強い響きを繰り返します。
 そして、また静かな響きに戻り、ゆっくりと噛みしめるようにそのフレーズを続けます。
 すると、急に低音のピアノがズシリと響き始め、不安の表情にも似たフレーズを聴かせます。
 低音の弦楽器がぞわぞわと動きますが、静かな雰囲気はそのままです。
 やがてフルートが響くと、少し明るい兆しが見え始めたのか?
 弦楽器もなめらかになり、少しずつグッとくる音色を聴かせます。
 そして、だんだん静まりながら余韻を残すように第3楽章へ
 
 第3楽章:スネアドラム(小太鼓)とトロンボーンが急にバ、バン!と一声、
 その勢いにはじかれたようなピアノがコロコロと転がり出すと、
 可愛らしいフレーズが響きます。
 途中何かにぶつかって高く弾みながらも、どこまでも転がっていくようです。
 オーケストラの豪快なフレーズを挟んで、
 更にピアノが勢いをつけると、タンバリンやトライアングルのリズムも軽やかに
 どこまでも転がっていきます。
 途中に入る、スネアドラムや、トランペットなどの楽器をまるでハードルを
 次々に超えるように、軽やかによけながら軽快にとばしていきます。
 トランペットが入ると、ようやくなだらかになったピアノの響きに、
 ヴァイオリン他の弦楽器が、しなやかに優しくその音色を聴かせると、
 しばしの休息とばかりに、美しい調べを聴かせてくれます。
 そして、いよいよクライマックスへ向けてフルート、トランペットが高らかに響くと、
 低音の弦楽器やチューバなどがゴツゴツと続きます。
 気づくとピアノだけが寂しく響いています。
 そして何やら静かに動き始めると、ピアノのフレーズにつられて、
 徐々に他の楽器が集まりはじめ、少しずつ盛り上げていきます。
 シンバルが少しずつ響き、スネアドラムがそれを煽り、トライアングルが
 まだか?と催促するようにピアノを促すと、
 トランペットの前奏を入れて、大いに盛り上がると、
 金管楽器もバリバリと始まり、とにかく様々な楽器が派手に鳴り響くと、
 最後はサッと終わります。
 

ラフマニノフの「ピアノ協奏曲」といえば、第2番第3番が有名ですが、なかなかどうしてこの第4番!(最近まで知らなかったんですが)
急展開によりどりみどり、ラフマニノフ好きにはたまらない一曲じゃないでしょうか?
とにかく展開が速いので、文章を書いていると、いつものように、かなり長くなってしまいましたが、演奏時間は約25分と、彼の他の曲に比べるとやや短め。

それぞれの楽章でも緩急がかなり効いているようにも思えますし、最近ではなかなかのお気に入り。よかったら是非聴いて欲しい曲ですが、
なにしろ結構な急展開の曲なので、初心者にいきなり勧めるのは若干のためらいもありますが、その辺を気にしなけれは是非一度どうぞ。

≪オススメCD≫
アシュケナージで聴いてみました。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番

ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★


≪おすすめシチュエーション≫
めくるめくピアノ協奏曲


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ヴァイオリン協奏曲第1番    (ブルッフ作曲)

2009年04月22日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番です。

ブルッフというと、一般にはあまり馴染みのない作曲家ですが、このヴァイオリン協奏曲が1867年に完成すると、ヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムに献呈されます。

そしてこのヨアヒムはドヴォルザークやシューマンからもヴァイオリン協奏曲の献呈を受けるほど、当時でも名演奏者だったようです。

そう言うと少しイメージが湧いてくるでしょうか?曲調は第1楽章が激しく険しい表情から、第2楽章ではしっとりと聴かせ、第3楽章で明るく華やかに盛り上がる、という典型的なつくりですが、それでも、それぞれに渾身の想いが込められたようなこの曲は聴き応えも十分に味わえる一曲だと思います。




 第1楽章:ティンパニの小さなドラムロールが響き、クラリネットが
 ゆっくりとした音色を聴かせると、
 低音から始まるヴァイオリンソロがゆっくりと高音へとフレーズをたどります。
 ヴァイオリンがそのソロを静かに歌い上げると、オーケストラはそれを
 待ち構えていたかのように大きく始まります。
 ティンパニのリズムに険しく刻まれるヴァイオリンの音色は鋭く
 睨みつけるかのような表情に思えます。
 しかし、突如として肩の力が抜けたようにふわりと美しいフレーズに変わると、
 芯の通った輝くような音色をまっすぐ聴かせていきます。
 そして、また険しい表情に戻り、オーケストラと共に苦難の渦中へと
 巻き込まれるようにダイナミックな演奏が展開されていきます。
 それが終わると、最初のクラリネットからヴァイオリンソロへ、
 オーケストラが大きく盛り上がり、やや明るい兆しが見えてくると、静かになり
 そのまま第2楽章へ
 
 第2楽章:しっとりとしたヴァイオリンソロが流れると、チェロの静かな伴奏もあってか、
 漂うように滑らかに響くヴァイオリンが、なめらかにそのメロディを奏でます。
 少し悲しげな表情で長いフレーズを聴かせると、伸びやかなその音色には
 自然に力が込められていくように、力強く美しく響いていきます。
 何かを必死でこらえるように、グッと拳を握り締めながらも、決して弱音を
 見せまいと、何度もグッと息を飲むような迫真の思いを込めるように
 そのメロディを聴かせます。
 ひとりさびしく響く、そんなヴァイオリンの音色に気を使ったのか、
 チェロが優しく声を掛けますが、
 なんでもないとばかりに、何度もそれを振りほどくヴァイオリン、
 しかし、それに気付いた他の弦楽器もどうしたのか?とヴァイオリンの
 周りに集まってくると、トランペットとティンパニが大きく響くと同時に
 それまで抑えていたものが一気にあふれるように、まぶたから頬を伝う一筋の
 光が・・・、
 再びヴァイオリンソロが響くと、とてもスッキリとした表情で
 何か涙を拭いた跡が少し見え隠れするような、そんな表情でしょうか?
 後悔はない、そんな思いを込めるように力強く響かせると
 そのまま静かに終わっていきます。

 第3楽章:じわじわと弦楽器が静かに盛り上げていくと、
 明るく弾けるようなヴァイオリンが笑顔を振りまくように飛び跳ねます。
 オーケストラも大きく入ると、それを祝福するように華やかに響きます。
 スラリと華麗に舞うヴァイオリン、クルクルと流麗なターンを描くように
 その喜びを表現すると、
 今度は低音からにじみ出る笑顔を抑えるように、丁寧にうやうやしく
 お辞儀をしたかと思うと、
 やはりその喜びを隠せずに明るくふるまっていきます。
 弦楽器が盛り上げていくと、更に盛り上がるヴァイオリン。
 華やかに刻み、なめらかにフレーズを聴かせながらバシッ!とポーズを決めて
 終わります。
 

一般的にはそれほど有名な曲とは言えないかもしれませんが、演奏機会も多く、クラシックファンなら必見(聴)の一曲です。
まだ、聴いたことのない人には是非オススメです。ヴァイオリンの様々な表情が存分に発揮されるこの曲は、そのテクニックもさることながら、力強い響きがどの場面でもグッと感じさせる一曲です。

≪オススメCD≫
パールマンでどうぞ
ベートーヴェン&ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲
パールマン(イツァーク)
EMIミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★ →第3楽章
怒:☆☆☆☆★ →第1楽章
哀:☆☆☆☆★ →第2楽章
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
渾身のヴァイオリン協奏曲です。


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組曲「ドリー」  (フォーレ作曲)

2009年04月08日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はフォーレ:組曲「ドリー」です。

この曲はフォーレの妻が親しくなった友人の娘「エレーヌ」のために作曲した曲を6曲集めて、組曲としてエレーヌに献呈された曲です。

そしてタイトルの「ドリー」というのはエレーヌの愛称のようですが・・・、素人目にカタカナで見ると「(ー)のばし棒」しか合ってない!とか思ったりして・・・。

それはともかく、「献呈」というとおおげさかもしれませんが、実際にはエレーヌちゃんの誕生日にいくつかの曲が「プレゼント」されていたようです。

曲は、のんびりとした曲調のものが多く、「ピアノ連弾」(ふたりで演奏する)曲です。派手な動きや豪快なフレーズはありませんが、しっとりと聴ける曲ばかりです。



 子守歌:
 ほんのりと、なだらかな調べにゆるやかなメロディが響くと、
 まぶたをこすりたくなってしまうような、やさしい曲です。
 最後までゆっくりとしたリズムでオルゴールが流れるように、可愛らしい曲を
 聴かせてくれます。
 
 ミアウ:
 軽快なリズムに、高く跳ね上がるメロディがとてもチャーミングな一曲です。
 仔猫が毛糸の玉とじゃれあって、家の中をゴロゴロとあちこち飛び回るように
 動き回ります。最後はしっかりと毛糸を捕まえてバッチリ終わります。
 

 ドリーの庭:
 ゆるやかに流れるピアノは、少し悲しげなメロディにも聴こえます。
 中低音をさまようように、じんわりと聴かせる曲ですが、
 優しいような、少し切ないような、ただよっているような曲調がなんとも
 不思議な魅力を持った曲です。
 
 仔猫のワルツ:
 塀の上をちょこちょこと器用につたい、ひょいと次の屋根に飛び移っていく
 ような、身軽で軽快な動きでスラスラと移動する仔猫の足取りは、
 さながらワルツのステップと言ったところでしょうか、みるみる内に次へと
 進み、あっという間に曲は終わります。
 
 優しさ:
 中低音のリズムが、しずしずと響くと、ゆるやかなフレーズに、だんだんと
 力が入っていくように感じます。
 やがてふたつのメロディがゆっくりと後を追っていくと、先に行ったフレーズが
 後から来るフレーズを途中で待っているようかのように、ゆっくりと少しずつ
 進んでいきます。
 
 スペイン風の踊り:
 にぎやかに甲高い音が響くと、はちきれんばかりのフレーズが、転がりだす
 ように、広がっていきます。
 ダイナミックなメロディも、どこか可愛らしく決まると、弾むように軽やかに
 華麗なピアノのフレーズが生き生きとその明るい表情をふりまいて
 綺麗にラストをまとめていきます。


可愛らしい曲や、ほのぼのとした曲ばかりで、演奏時間も全6曲で約15分少々と短めの曲ですから、サラッと流して聴いても、ストレスなくふんわりと聴ける曲です。
「連弾」の曲なんですが、そう言われなければ、一人で弾いてるのかと思ってしまうほど、サッパリとした作りになっていると思います。


≪オススメCD≫
聴いたのはラベック姉妹の演奏ですが、このCDに入ってます。
フォーレ:ドリー
コラール(ジャン=フィリップ)
EMIミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:★★★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★


≪おすすめシチュエーション≫
なにげないひとときにサラッと聴ける一曲です。


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ディヴェルティメント (イベール作曲)

2009年04月03日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はイベール:ディヴェルティメントです。

「ディヴェルティメント」というと、この間紹介したモーツァルトの曲を一番に思い出してしまいますが、他にもこのタイトルで書いてる作曲家がいたんですね。(あたりまえか。)

一応、前にも書いた「goo辞書」によると、「一八世紀後半に愛好された器楽合奏曲。比較的短い楽章からなり、楽器編成も小さい。嬉遊曲 (きゆうきょく)」
ということみたいです。

が、モーツアルトの曲とはエライ違い。明るい、楽しい、という意味では同じですが、底抜けに明るいというか、もう大変。とにかく賑やかで派手な曲です。

曲の構成はそれぞれにサブタイトルがついていて、組曲みたいな感じになっていますが、どの曲もコミカルでユーモアたっぷりに聴かせてくれます。




 導入部:おもちゃ箱をひっくり返したような賑やかな曲調で始まると、
 トランペットは鳴り響き、シンバルや、バスドラムは打ち鳴らされるはで
 とにかくてんやわんやの大騒ぎ、トランペットを中心に
 いろんな楽器がいろんなところから顔を出したりひっこめたりしている
 うちにあっ!という間に終わってしまいます。

 行列:うっすらとモヤがかかったような中からイングリッシュホルンが
 ふんわりとフレーズを覗かせたかと思うと、急にミュート(弱音器)トランペット
 がカタカタと鳴り始め、一気に明るくなります。
 弦楽器も慌ただしく響き、メロディを奏でたかと思うと、また管楽器の
 フレーズが、
 そして、ようやくスネアドラムとバスドラムが行進曲らしいリズムを
 刻みだしたかと思うと、トランペットが朗々と歌いだしたり、
 そうかと思うと、千鳥足のようにフラリとゆれたり、コミカルな演奏を
 聴かせてくれます。
 最後は、一気に駆け抜けるように突っ走って、サラッと終わります。

 夜想曲:重々しい空気を奏でるようにコントラバスなどがじんわりと
 はじめると、なんだか怪しげな雰囲気のある曲です。
 中低音の弦楽器がかぶせると、更に不気味な空気が立ち込めるように
 静けさの中にもただならぬ気配を感じます。
 そして、どこからともなく、ピアノのがカタカタと鳴ったかと思うと、
 そのまま静かに終わってしまいます。
 
 ワルツ:低音の弦楽器がグイグイっと引っ張るように始まると、
 トランペットのリズムでワルツが始まります。
 可愛らしいクラリネットのメロディが響き、弦楽器が綺麗にリードすると、
 足早にワルツが進んでいきます。
 クラリネットとミュートトランペットでつなぎ、トランペットが更に
 盛り上がると、
 トロンボーンのふんわりとしたフレーズにワルツも盛り上がり、
 一気に加速をつけて終わります。
 
 パレード:ピアノの規則正しいリズムにのってファゴット、トランペットが
 軽くフレーズを刻みながら曲を続けます。
 途中、急に雰囲気が変わってフルートが軽やかなメロディを鳴らすと、
 トランペットが華やかに鳴り響き、まさにパレード気分になります。
 ピッコロはまるで指笛のように響いていきます。
 するとまた、急に規則正しいリズムに戻ってスネアドラムが響き、
 だんだんとボリュームを抑えて静かに終わります。
 
 終曲:ピアノが不規則に、ひとつずつ和音を聴かせたかと思うと、
 突然トランペットが運動会のように鳴り響き、そこからはまるで競争するかの
 ように弦楽器が鳴り響き、派手に盛り上がります。
 すると、陽気なトランペットが響き、ホイッスルはピー!と鳴るは
 ウッドブロックも打ち鳴らされ、とにかくもう、みんなガンバレ!
 みたいな大騒ぎになります。
 すると、プワ~ンプワ~ン♪と気の抜けたようなミュートトランペットが
 響くと、また一斉に大騒ぎが始まり最後までにぎやかに盛り上げていきます。


上みたいに文字で書くと少し長くなってしまいましたが、とにかく展開が速いので、あっという間に次々に進んでいきます。
演奏時間は、どの曲もそれぞれ2~3分程度の短い曲ばかりで、全曲を聴いても約15分前後と言ったところでしょうか?
まぁ、とにかくにぎやかで面白おかしい曲ばかりです。

ちなみにCDの解説によると、「<ディヴェルティメント>はラビッシュの喜劇「イタリアの麦藁帽子」の映画化のために書かれた劇中音楽に基づいて・・・その中から主要な6曲を選んで室内管弦楽のための組曲に編曲しました・・・。」との事です。

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哀:★★★★★
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パッと明るくにぎやかに!大騒ぎしたような一曲です。


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第二組曲 (ホルスト作曲)

2009年03月17日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はホルスト:第二組曲です。

昨年、ホルストの第一組曲を紹介したところ、まずまずの人気でアクセスも少し増えてたんで、そのうち「第二組曲も紹介しよう!」と思ってましたが、なんだかんだで、そうこうしてるうちに今日になってしまいました。

という訳で、この第二組曲。第一組曲と同様、吹奏楽部門としては人気の作品です。
随所に民謡のフレーズが使われていますから、ほっこりとした気分にしてくれますし、一方で打楽器も特徴的に使われていたりするので、いろいろと楽しめる一曲です。

ちなみに、吹奏楽の曲なので、木管楽器、金管楽器、打楽器による演奏ですから、弦楽器は編成に入ってません。



 行進曲:
 ボコボコボン!というチューバにつづいて、クラリネットがひとつ入ると
 スネアドラム(小太鼓)の軽快なリズムにのせてトランペットが軽やかなメロディを
 奏でていきます。
 しばらくすると、ユーフォニアムがメロディを朗々と歌います。
 続いてトランペットがそのメロディを華やかに歌っていくと、またひと仕切り
 今度はサックスが民謡風のメロディを奏でます。
 そして、初めのテーマを演奏しスッキリと終わります。 

 無言歌:
 木管楽器が静かに響くと、オーボエのフレーズが悲しく響きます。
 クラリネットやフルートも静かにそのフレーズに合わせていきます。
 それぞれの楽器がそれぞれに気を遣うようにゆっくりと静かなメロディは
 ゆっくりと終わっていきます。

 鍛冶屋の歌:
 歯切れのよいトランペットとスネアドラムが心地よく響くと、
 チューバのリズムにのせて、ホルンが叫びます。
 しばらくすると、カン!カン!と金属音のような打楽器が響き、
 メロディにのせてリズムのようにカンカンカン!と響きます。
 
 ダーガソンによる幻想曲:
 木管楽器がゆっくりと始まり、のどかなメロディを奏でていきます。
 やがて、トライアングルがチリン!と響くと曲は徐々に盛り上がり、
 タンバリンのリズムとトランペットが入ると賑やかになっていきます。
 それから少し落ち着いて木管楽器でつないでゆくと、
 トランペットが再び現れてまた、華やかに盛り上がります。
 メロディが徐々にゆるやかになり静かになると、トライアングルがチリンと響き、
 ピッコロがひとつ奏でると、最後はシンバルがバシン!と決めて終わります。
 
 

久々に聴きましたこの曲。最初の「行進曲」のメロディはなんとも懐かしい響きに感じます。ユーフォニアムのメロディも特徴的ですが、「鍛冶屋の歌」のカンカンと響く音もコミカルで印象的です。
おもちゃ箱みたいな面白い音がたくさん入った一曲です。


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やっぱりCDは持ってませんがこんのはいかが?
ホルスト:吹奏楽のための組曲第1番&第2番
フェネル(フレデリック)
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喜:☆☆☆★★
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哀:☆☆★★★
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愉快に楽しく聴けます。


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弦楽セレナーデ (ドヴォルザーク作曲)

2009年03月13日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はドヴォルザーク:弦楽セレナーデです。

「弦楽セレナーデ」と言うと、チャイコフスキーの同名の曲の方が有名で、今回のドヴォルザークの方が知名度としては一般的には劣るようですが、

今回紹介するドヴォルザークの弦楽セレナーデは、確かにチャイコフスキーのものと比べると、それほど盛り上がったり、劇的な展開があったり・・・、という訳ではありませんが、しなやかな弦楽器の特徴を活かしたじっくりと聴ける一曲だと思います。

ほんのりと聴かせるところがあったかと思えば、ざっくりと刻んだり、と自然に曲が流れるうちに、様々な表情をのぞかせてくれる一曲です。
全体的には、やや悲しい面持ちのある曲調ですが、その中でもいろいろな変化を楽しめます。

そして、「“弦楽”セレナーデ」なので演奏はもちろん弦楽器だけです。だから、その意味では、慣れないと(初心者には)若干たいくつしてしまう曲かもしれませんが、逆に言えば、深い味わいを持った「大人の一曲」ということもできるかもしれません。



 第1楽章:ゆるやかにささやくような弦楽器が、やさしくリズムを刻みながら
 始まると、ほのかに香るようなメロディがゆっくりと浮き上がります。
 やさしく響くそのメロディは低音弦楽器に押されるようにしてゆっくりと
 盛り上がっていきます。
 少し落ち着いて、リズムが変わると、ヴィオラやチェロなどの中音域を中心に
 しなやかに聴かせます。
 そして、またゆっくりと最初のメロディを聴かせて、しなやかに終わります。

 第2楽章:少し悲しいワルツのメロディが流れると、少し切ない気分になります。
 途中、そんな空気を断ち切るような、弦楽器がサラリとひとつ入ると、
 少し明るくなりますが、それでも気が付くとまた、いつのまにかもとの悲しい
 ワルツのメロディがよみがえります。
 そして、今度は弦楽器が大きく弦楽器が仕切りなおすと
 少し疲れたような響きが始まります。しかし、その響きはだんだんと
 力を蓄えながら強くやさしい響きに変わっていきます。
 やがて低音の弦楽器が更に力強くその音を聴かせると、何かふっきれたようにも
 感じますが、しばらくすると、またワルツのメロディが始まり、
 最後はひとつ大きなフレーズを残して終わります。

 第3楽章:あっけらかんとした、明るいメロディが始まると、軽やかな響きは
 徐々に勢いをつけながら、大きく盛り上がっていきます。
 それから、少し静かになると、ゆっくりとしなやかにその響きを聴かせ
 チェロのゆったりとしたリズムにのせて、ヴァイオリンの美しいフレーズを聴かせます。
 そして、今度は明るいメロディがチェロなどの低音弦楽器で始まると、
 その響きに勢いを借りて大きく盛り上がっていきます。
 最後はちょっと静かに聴かせるとスッキリと終わります。
 
 第4楽章:ヴァイオリンの音色がすうっとしみるように始まると、
 チェロが寄り添うようにやさしくその音色をエスコートしていきます。
 そして、チェロのメロディがしなやかに流れると、ヴァイオリンが
 その後を追うように、美しい響きを聴かせます。
 急にプイっと顔をそむけるような音がすると、一瞬お互いに様子をうかがうような
 雰囲気になりますが、すぐに仲直りして、ゆったりと静かにそのフレーズを
 たどっていきます。
 そして、お互いが静かに見つめあうように、ゆっくりとした時間が流れると、
 そのままいつのまにか眠りにつくようにして終わります。
 
 第5楽章:緊迫感のあるヴァイオリンが甲高く響くと、軽快なリズムにのって
 俊敏なフレーズが続きます。
 しばらくすると、ちょこまかとしたフレーズになり、ラストに向けて少しずつ
 曲を盛り上げていきます。
 はじめのフレーズを何度も繰り返しながら、険しい道のりを?き分けていく
 ように何度も繰り返しながら、ゆっくりと聴かせたり、激しくなったり・・・、
 すると、第1楽章の最初のメロディがふっとよみがえります。
 ゆったりとなだらかなメロディを聴かせて、そのまま静かに終わるのか?
 と思いきや!最後は大きく盛り上がって賑やかに最後を飾ります。


終わり方がなんともニクイですね、この曲。静かに始まって最初のメロディで静かに終わる・・・のかと思わせておいて、「実はまだありますよ」みたいなこの終わらせ方。
おちゃめと言うかイジワルと言うか、でもそこがまた面白くて良かったりして。
そんな弦楽器の魅力がたくさん詰まったこの曲なんですが、

冒頭にも紹介した通り≪「弦楽セレナーデ」つながり≫として、CDではチャイコフスキーと同じアルバムで販売されることもしばしば、
ご多分に漏れず、自分も最初はチャイコフスキー目当てで買ったCDに、「たまたまドヴォルザークの曲が入ってた」くらいにしか思ってませんでしたが、(なんてヤツだ)いざ改めて聴いてみると、なかなかどうして、気を張らずに落ち着いて聴ける名曲でした。


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やっぱりチャイコフスキーとセットが多いみたいです。
チャイコフスキー:弦楽セレナード
デイヴィス(サー・コリン)
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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆★★


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弦楽器の多彩な表情を味わえます


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歌劇「ル・シッド」からスペイン風舞曲(マスネ作曲)

2009年03月07日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はマスネ:7つのスペイン風舞曲です。

この曲はフランスの劇作家ピエール・コルネイユの書いた同盟の戯曲をもとに作曲された全4幕のオペラですが、

CDの解説を読むと「このオペラの第2幕には当時の慣習に従って大規模な踊りの場面が入れられました。それが7つのスペイン風の舞曲からなる≪グラン・ディベルティスマン≫です。」との事。

・・・知らんかった。7曲で組曲とか、そんなんじゃなかったんですね。

と、いう事はあらすじは・・・、
舞台は11世紀のスペイン。騎士ロドリーグは父親の命令によって、敵であり恋人シメーヌの父と決闘して殺してしまうのでした。
シメーヌは父の仇としてロドリーグを訴えますが、ムーア人との戦争が始まると、ロドリーグは敵からも「シッド」(征服者)と恐れられるほどの大活躍。
ようやく命からがらの思いで凱旋したロドリーグでした。
国王は、シメーヌに祖国を守った英雄に対する、仇討の裁きをゆだねます。
ロドリーグは短剣を持ち、自害して詫びを入れようとしますが、シメーヌがそれを止めて両者は和解してめでたしめでたし。

という事なんですが、今回はその歌劇の中から第2幕に使われている、舞曲だけを紹介してみようと思います。



 第1曲:カスティリアの踊り
 ジャン!ダカダカダン!と、いきなり大きな音が響くと、フルートの軽妙なフレーズが
 始まります。
 カスタネットが軽やかに響くと軽快なリズムとダイナミックなオーケストラが
 フルートのメロディと交互に曲を盛り上げます。
 トロンボーンなどの金管楽器が途中でバシバシとアクセントを加えながら
 曲を進めます。
 最後はトランペットとカスタネットなどが激しく打ち鳴らされて豪快に終わります。

 第2曲:アンダルシアの踊り
 チェロなどの中低音のフレーズがのっそりとはじまり、怪しげな雰囲気を
 かもし出していきます。
 のっそりと、ゆっくりと、独特の雰囲気を出しながら、ゆっくりと続き、
 こっそりと終わります。
 
 第3曲:アラゴンの踊り(アラゴネーズ)
 バスドラムとタンバリンのリズムに乗せて、愉快なメロディが淡々と続いていきます。
 しばらくすると、急に盛り上がったか?と思うとすぐに元のメロディに戻って
 また、淡々と続きます。
 最後はトロンボーンなどの金管楽器を加えて豪快に盛り上がります。
 
 第4曲:朝の歌
 ピッコロのかわいらしい響きが始まると、※ピチカートやクラリネットなどの
 木管楽器がちょこまかと走り回るように流れ、にこやかなメロディを聴かせると
 最後はチャンチャン!と終わります。 
 
 第5曲:カタロニアの踊り
 ホルンの鋭い響きに弦楽器が危機感を募らせると、
 チェロの重いフレーズが始まります。フルートの響きを挟んで弦楽器が続くと
 鋭い弦楽器の響きは緊張感を増していきます。
 再びチェロのフレーズが入り、一進一退を繰り返すように進むと、
 最後は駆け出して行くようにして終わります。
 
 第6曲:マドリードの踊り
 イングリッシュホルンの物憂げなメロディがはじまると、フルートがそれに
 合わせていきます。
 少し疲れたようなその響きはハープがポロリと奏でるフレーズもあって
 フルートとともに、ゆっくりと続きます。
 しかし、弦楽器が急にぐるぐると渦巻くように加速していくと、
 バンバンバンバン!と明るくなり、カスタネットが響き、ピッコロが聴こえると
 シンバルやらトランペットやらと、とにかくお祭り騒ぎのように盛り上がり、
 大騒ぎのうちに終わります。
 
 第7曲:ナバラの踊り
 ザクザクと刻む弦楽器に、鋭く響くシンバルがシャキッとした曲調で始まると、
 小刻みなリズムを鋭く続けながら、賑やかな曲が続きます。
 トロンボーンにトライアングルの響きを聴かせながら、前に前にと盛り上げて
 いきます。
 終盤では、カスタネットが聴こえてくると、何度かリズムを変えながら
 とにかく盛り上げてシンバルを打ち鳴らし、トランペット、トロンボーンを加えて
 賑やかにラストを飾ります。


とにかく派手な曲ですね。賑やかで楽しくて愉快爽快!全曲にわたってカスタネットの響きが聴こえると、盛り上がって楽しくなってきます。
やっぱりカスタネット→スペインというイメージは鉄板ですね。
スペイン風の独特のリズムはいずれも各地の民族舞踊という事もあって、聴いているだけでも、心も体も弾むように、知らないうちに思わず肩を揺らしながら聴いていたりして。


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喜:☆☆☆☆☆
怒:☆☆☆★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
とにかく愉快痛快、小躍りしながら聴いてください。


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