たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?
今日はブラームス:ピアノ協奏曲第2番です。
普通の“ピアノ協奏曲”はオーケストラをバックにピアノソロがテクニックと情感を込めて、ピアノを主役にした曲の作りにしていくものですが、この曲に関しては、ときとして「ピアノ独奏付きの交響曲」と呼ばれるように、ピアノをオーケストラの楽器のひとつとして作られた曲のようです。
そのため通常なら3楽章編成の協奏曲も、この曲は全4楽章で構成されています。
更に、ソロもピアノに限らず、第3楽章ではチェロのソロもじっくり含まれていますから、その辺もこの曲の聴きどころのひとつのと言えるかもしれません。
と言う訳でクラシックの曲としては、少し異端の形式になっているようですが、もちろん「ピアノ協奏曲」ですから、ピアノは各所に登場しますし、そうと聴かなければ普通にピアノ協奏曲として楽しめる一曲です。(あたりまえだけど)
第1楽章:ホルンの伸びやかなフレーズにピアノが優しくポロンと響きます。
フルートのフレーズが入ると、
ピアノの響きは鋭く、力強く盛り上がりながらも徐々に勢いを付けて、
オーケストラの壮大なフレーズを呼び起こしていきます。
ヴァイオリンのしなやかなフレーズを挟んで、ホルンを従えた大きなうねりを
聴かせると、ピアノもそれに負けじと堂々と力強く聴かせます。
ピアノは力強さを見せながらも、ときには流麗に輝くように、
そうかと思えばダイナミックな展開を見せたりと、様々な展開でその音を
楽しませてくれます。
しかし一方では、要所要所では曲を引き締めるようにキリッとしたピアノの
フレーズを挟み緊張感を保ちつづけます。
そして、最後は木管楽器に彩られながら、弦楽器の雄大なフレーズにつつまれて
ピアノが堂々と決めていきます。
第2楽章:中低音を踏みしめるように、しっかりとしたピアノの力強いフレーズ
が突然始まると、それを支えるようにオーケストラも後に続きます。
うっすらとしたヴァイオリンがささやくように後を追うと、ピアノも細かい動きに
変わっていきます。
ピアノは最初のフレーズで力強く同じメロディを聴かせますが、ひととおり終わると、
音色はすぐに小さくなり、力無げに弱っていくように聴こえてきます。
しかし、力を振り絞るように盛り上げていくと、ホルンなどの金管楽器を加えながら
更におおきく盛り上げていきます。
やがてそれが最高潮に達すると、しっかりとしたヴァイオリンの音色が凛と響き
壮大な世界を見渡すように聴かせてくれます。
ピアノが少しをつなぐと、再びヴァイオリンが引き締まる音色を聴かせて、
渾身の力をひねり出すようにピアノと絡みながらオーケストラがおおきくうねり
何度もくりかえすように訴えかけます。
ようやく勢いが治まると、ホルンが寂しく響き後につづくピアノが最初はゆっくりと
語りますが一気に盛り上がり、最後をグッと締めくくります。
第3楽章:力の抜けた程よいチェロのメロディがやさしく始まります。
そうっと寄り添うようなヴァイオリンは、とてもやわらかく、温かく感じます。
オーボエの音色が溶けるように響き渡ると、とても平和で落ち着いた空間を
与えてくれます。
いつのまにか始まったピアノの音も自然に聴こえ、ゆったりとした心地よい音を
じわっとしみるように聴かせてくれます。
しかし、ピアノは急に力強く響くと、それまでの感覚から急に起こされたように
身震いをしてしまうような錯覚を覚えてしまいます。
しばらくは動揺して、それが夢だったのかのように現実と夢の間を行き来する
ようにさまよいます。音が少なくなると曲は寂しげに聴こえてきますが、
ゆるやかなクラリネットの響きにピアノがゆったりと響くと、
ゆっくりと夢の中へと導かれるようにしてまどろみの中に落ちていくようにも感じます。
そして、始まるチェロのメロディはまさに夢を見ているかのように、
やわらかく、しなやかな響きを聴かせてくれます。
ピアノのリズムもオルゴールのように透きとおった輝く響きがとても
幻想的な世界を最後まで堪能させてくれます。
第4楽章:少し冷んやりとしたヴァイオリンに小気味よいピアノのフレーズが入ると
そのままピアノに勢いを借りて曲に調子が付くと一気に盛り上がり、華やかな
オーケストラが舞い上がります。
フルートのアンニュイなフレーズを聴かせながら、少し曲が落ち着くと、
ピアノが転げるようにして弾み出します。
再びフルートでひと区切り入れると、弦楽器もそれに従っていきます。
弦楽器が鋭く後を切り返すとピアノも少し改まった感を持ちますが、
ピアノを中心に小気味よいリズムからはげしいリズムで弦楽器を従えていきます。
弦楽器のふわっとしたメロディからピアノの細やかなフレーズを何度か聴かせると、
鮮やかな響きでオーケストラとピアノがクライマックスを一気に盛り上げて、
スカッとさわやかにラストを飾ります。
久々にかなり長くなってしまいましたが、演奏時間も約50分とかなり長い曲です。
個人的にはブラームスという先入観があるせいか、全体的にやや暗めな印象を受けますが、それ以上に随所に含まれる各楽器の素晴らしいメロディやフレーズが、それを補って余りあるものを与えてくれる一曲だと思います。
【蛇足】
個人的には、クラシックを聴くようになってから、「交響曲」がその作曲家の代表作で、その作曲家の象徴的な作品という事を知るようになると、「だったら、なんでピアノはオーケストラのレギュラーメンバーに居ないんだろう?」なんて、ふとした疑問を持った事もありましたが、この曲はその疑問に見事に応えてくれた作品にも思えます。
ピアノを持っている友人や知人は結構身近にいるのに、ヴァイオリンやチェロを持っている友人は未だに数えるほどしか居ないのに…、「ピアノ協奏曲」はあるにしても、「交響曲」にピアノを効果的にチョロっと入れてもバチはあたらないと思うのは自分だけでしょうか?(ハープとかがあるからいいのかな?)
≪オススメCD≫
ギレリスのピアノでどうぞ
【コレってどんな曲】
喜:☆★★★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆★★★
≪おすすめシチュエーション≫
ピアノ協奏曲と交響曲の要素が一曲で楽しめる曲です。
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今日はブラームス:ピアノ協奏曲第2番です。
普通の“ピアノ協奏曲”はオーケストラをバックにピアノソロがテクニックと情感を込めて、ピアノを主役にした曲の作りにしていくものですが、この曲に関しては、ときとして「ピアノ独奏付きの交響曲」と呼ばれるように、ピアノをオーケストラの楽器のひとつとして作られた曲のようです。
そのため通常なら3楽章編成の協奏曲も、この曲は全4楽章で構成されています。
更に、ソロもピアノに限らず、第3楽章ではチェロのソロもじっくり含まれていますから、その辺もこの曲の聴きどころのひとつのと言えるかもしれません。
と言う訳でクラシックの曲としては、少し異端の形式になっているようですが、もちろん「ピアノ協奏曲」ですから、ピアノは各所に登場しますし、そうと聴かなければ普通にピアノ協奏曲として楽しめる一曲です。(あたりまえだけど)
第1楽章:ホルンの伸びやかなフレーズにピアノが優しくポロンと響きます。
フルートのフレーズが入ると、
ピアノの響きは鋭く、力強く盛り上がりながらも徐々に勢いを付けて、
オーケストラの壮大なフレーズを呼び起こしていきます。
ヴァイオリンのしなやかなフレーズを挟んで、ホルンを従えた大きなうねりを
聴かせると、ピアノもそれに負けじと堂々と力強く聴かせます。
ピアノは力強さを見せながらも、ときには流麗に輝くように、
そうかと思えばダイナミックな展開を見せたりと、様々な展開でその音を
楽しませてくれます。
しかし一方では、要所要所では曲を引き締めるようにキリッとしたピアノの
フレーズを挟み緊張感を保ちつづけます。
そして、最後は木管楽器に彩られながら、弦楽器の雄大なフレーズにつつまれて
ピアノが堂々と決めていきます。
第2楽章:中低音を踏みしめるように、しっかりとしたピアノの力強いフレーズ
が突然始まると、それを支えるようにオーケストラも後に続きます。
うっすらとしたヴァイオリンがささやくように後を追うと、ピアノも細かい動きに
変わっていきます。
ピアノは最初のフレーズで力強く同じメロディを聴かせますが、ひととおり終わると、
音色はすぐに小さくなり、力無げに弱っていくように聴こえてきます。
しかし、力を振り絞るように盛り上げていくと、ホルンなどの金管楽器を加えながら
更におおきく盛り上げていきます。
やがてそれが最高潮に達すると、しっかりとしたヴァイオリンの音色が凛と響き
壮大な世界を見渡すように聴かせてくれます。
ピアノが少しをつなぐと、再びヴァイオリンが引き締まる音色を聴かせて、
渾身の力をひねり出すようにピアノと絡みながらオーケストラがおおきくうねり
何度もくりかえすように訴えかけます。
ようやく勢いが治まると、ホルンが寂しく響き後につづくピアノが最初はゆっくりと
語りますが一気に盛り上がり、最後をグッと締めくくります。
第3楽章:力の抜けた程よいチェロのメロディがやさしく始まります。
そうっと寄り添うようなヴァイオリンは、とてもやわらかく、温かく感じます。
オーボエの音色が溶けるように響き渡ると、とても平和で落ち着いた空間を
与えてくれます。
いつのまにか始まったピアノの音も自然に聴こえ、ゆったりとした心地よい音を
じわっとしみるように聴かせてくれます。
しかし、ピアノは急に力強く響くと、それまでの感覚から急に起こされたように
身震いをしてしまうような錯覚を覚えてしまいます。
しばらくは動揺して、それが夢だったのかのように現実と夢の間を行き来する
ようにさまよいます。音が少なくなると曲は寂しげに聴こえてきますが、
ゆるやかなクラリネットの響きにピアノがゆったりと響くと、
ゆっくりと夢の中へと導かれるようにしてまどろみの中に落ちていくようにも感じます。
そして、始まるチェロのメロディはまさに夢を見ているかのように、
やわらかく、しなやかな響きを聴かせてくれます。
ピアノのリズムもオルゴールのように透きとおった輝く響きがとても
幻想的な世界を最後まで堪能させてくれます。
第4楽章:少し冷んやりとしたヴァイオリンに小気味よいピアノのフレーズが入ると
そのままピアノに勢いを借りて曲に調子が付くと一気に盛り上がり、華やかな
オーケストラが舞い上がります。
フルートのアンニュイなフレーズを聴かせながら、少し曲が落ち着くと、
ピアノが転げるようにして弾み出します。
再びフルートでひと区切り入れると、弦楽器もそれに従っていきます。
弦楽器が鋭く後を切り返すとピアノも少し改まった感を持ちますが、
ピアノを中心に小気味よいリズムからはげしいリズムで弦楽器を従えていきます。
弦楽器のふわっとしたメロディからピアノの細やかなフレーズを何度か聴かせると、
鮮やかな響きでオーケストラとピアノがクライマックスを一気に盛り上げて、
スカッとさわやかにラストを飾ります。
久々にかなり長くなってしまいましたが、演奏時間も約50分とかなり長い曲です。
個人的にはブラームスという先入観があるせいか、全体的にやや暗めな印象を受けますが、それ以上に随所に含まれる各楽器の素晴らしいメロディやフレーズが、それを補って余りあるものを与えてくれる一曲だと思います。
【蛇足】
個人的には、クラシックを聴くようになってから、「交響曲」がその作曲家の代表作で、その作曲家の象徴的な作品という事を知るようになると、「だったら、なんでピアノはオーケストラのレギュラーメンバーに居ないんだろう?」なんて、ふとした疑問を持った事もありましたが、この曲はその疑問に見事に応えてくれた作品にも思えます。
ピアノを持っている友人や知人は結構身近にいるのに、ヴァイオリンやチェロを持っている友人は未だに数えるほどしか居ないのに…、「ピアノ協奏曲」はあるにしても、「交響曲」にピアノを効果的にチョロっと入れてもバチはあたらないと思うのは自分だけでしょうか?(ハープとかがあるからいいのかな?)
≪オススメCD≫
ギレリスのピアノでどうぞ
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番ギレリス(エミール),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,ヨッフム(オイゲン),ブラームスユニバーサル ミュージック クラシックこのアイテムの詳細を見る |
【コレってどんな曲】
喜:☆★★★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆★★★
≪おすすめシチュエーション≫
ピアノ協奏曲と交響曲の要素が一曲で楽しめる曲です。
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