初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

チェロソナタ第4番

2008年05月29日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:チェロソナタ第4番です。

「チェロソナタ」なので、チェロのソロにピアノが伴奏を付ける作品です。そしてこのテの曲(ソナタ)はたいてい全3楽章でまとめられていますが、この曲の場合は少々違っているようです。

下の≪オススメCD≫の解説によると、正式には「ピアノとチェロのための自由なソナタ」と題されているらしく、曲は全部で5つのパートに分けられており、このCDではそれを前後2楽章に分けて収録されています。
なので、CDによってはこの5つのパートの分け方によって全3楽章と通常どおりのパターンになっているものもあるようですが、基本的に曲としてはどちらも同じもの。(だと思います。)

と、言う訳で今回は≪オススメCD≫の分け方どおりで紹介してみます。


 第1楽章:Andante(第1部)
 のびやかに、ゆっくりと始まるチェロの響きに、ピアノもそうっと入ると
 とても落ち着いた雰囲気で始まります。
 なめらかで、しっとりとしたチェロのメロディに、彩り程度に添えられた
 ようなピアノがとても上品で味わい深くゆっくりと聴かせてくれます。
 
 Allegro vivace(第2部)
 チェロとピアノはいきなりザックリと刻むフレーズを始めると
 雰囲気もガラリと変わり引き締まった表情になります。
 緊張感と焦燥感をただよわせるイメージになっていきます。
 スピード感があり、みるみる進んでいくフレーズにチェロが、ピアノが
 時々釘を刺すかのようにグサリ、グサリ、と激しく刻んでいきます。
 最後まで力強いフレーズで迫り、曲を締めくくります。 

 第2楽章:Adagio(第3部)
 再び、ゆるやかなチェロが、じんわりと低音を聴かせると、
 ピアノがキラキラとこぼれていくように音をふり注いでいきます。
 分厚いチェロの響きは重厚感たっぷりに聴かせます。
 
 Tempo d'andante(第4部)
 チェロのフレーズが高音に変わると、「ふっ」と肩の力が抜けたように
 さっぱりとしたメロディを聴かせてくれます。 
 ゆったりとしたフレーズがすうっと体にしみるように入ってきます。
 
 Allegro vivave(第5部)
 そうかと思うと、ふとしたきっかけで曲に勢いがつくと、今度はチェロが
 ぐいぐいと引っ張っていくように、進んでいきます。
 そして、曲が一瞬止まったかな?と思うと、まるで様子を伺うような
 チェロが低音からそうっと始まると、また元気よく快活に走り出していきます。
 そうして何度か立ち止まりながらも、終盤に向けてピアノがクライマックス
 を盛り上げていくと、チェロはソロを聴かせて、さっぱりと終わります。  


しっとりと、なめらかにチェロの響きを味わえる一曲だと思います。
冒頭のやわらかなフレーズがとても印象的で、癒しを感じる一曲ではないでしょうか?
途中にやや厳しい表情を見せるところもありますが、基本的には明るく快活な部分も多く、全体的に落ち着いて聴ける曲になっていると思います。

≪オススメCD≫
チェロソナタ3曲入ってます。
ベートーヴェン:チェロソナタ第3番&第4番&第5番
ロストロポーヴィチ(ムスティスラフ)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
落ち着いてゆっくり聴ける曲です。


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うわごと (ヨーゼフ・シュトラウス作曲)

2008年05月23日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はヨーゼフ・シュトラウス:「うわごと」です。

兄のヨハン・シュトラウス2世と共に、指揮者、作曲家としても活動してた弟ヨーゼフ。兄に負けず劣らず、たくさんの作品を作曲しています。
この曲は、そんなヨーゼフが作曲した作品の中でも、最も有名な作品のひとつと言う事ができる曲だと思います。

兄の作品と同様に、ニューイヤーコンサートでも、しばしば取り上げられている作品です。そして、この作品のタイトル「うわごと」は、とりあえず何でも曲(タイトル)になってしまうシュトラウス兄弟の作品らしく、その由来もCDの解説によると「夢にうなされ、うわごとを発する状況に着想を得た」らしく、曲の序盤はそのイメージにぴったりの作品になっていると思います。



 ガサガサと弦楽器が音を立てると、ピッコロが悲鳴のように突き抜ける音を
 発します。
 しばらくの間、寝苦しそうにもがいていると、まるで悪夢にうなされている
 ような音楽が続きますが、
 しばらくして、それも落ち着くとフルートのやわらかい調べから、
 曲調も一転明るいものへと変わっていきます。
 弦楽器はどよめき、トランペットが高鳴ると、弦楽器で調子を整えて
 チェロやヴィオラなどの中音域から、なめらかなメロディが生まれ
 やがてそれは、トランペットやトロンボーンの華やかな楽器へと受け継がれ
 活き活きとしたサウンドを聴かせてくれます。
 途中からは、少しリズムを変えると、陽気で軽やかな曲調になります。
 更にフルートがひょっこりと顔を出したように響くと、
 ハープの響きも麗しく、トライアングルがちょっとした彩りを加えます。
 弦楽器で一度仕切ると、また様々なメロディを加えながらクライマックスへ
 向けて徐々に盛り上げていきます。
 途中、また弦楽器にシンバルが加わると、少し険しい表情になりますが、
 基本的には明るい曲調のまま、ラストは大きく盛り上がり、
 トランペット、にシンバル、スネアドラムを加えると堂々と曲を締めくくります。
 

序盤ではタイトルどおりに、まるで歯ぎしりでもしているように、かなりうなされているように聴こえてきますが、
序盤が終わると、あとは明るく華やかなメロディが続きますから、いつもどおりのシュトラウス兄弟のサウンドが楽しめます。
演奏時間は10分足らずと、クラシックとしては長いほうではありませんが、様々なメロディやフレーズが、楽しく使われていますから、最後までいろいろと楽しめる一曲です。

≪オススメCD≫
ジャケットは兄のシュトラウスですがこの中に入ってます
美しく青きドナウ~ウィーン・フィル・シュトラウス・コンサート
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆☆★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
うわごとは最初だけ・・・あとは楽しい世界が・・・


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携帯着信クラシック名曲ベスト50 (おもしろCD)

2008年05月18日 | どれにしよう?
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日は、おもしろCD:「携帯着信クラシック名曲ベスト50」です。

毎回記事を更新するときに≪オススメCDを≫探すんですけど…、ホントにいろんなCDがあるんですよね。

そこで思いついたのが、このコーナー。実際には持っていないCD(聴いてもいない)の面白い企画やジャケットに収録曲のラインナップを紹介をしながら、「こんなCDが出てるんだ!?とりあえず誰かに言いたい!」という思いから、個人的な独断と偏見だけに基づいていろいろと語ってみよう!というなんとも気まぐれなコーナー。(単なるイチャモンとも言う。)

そして今回のCDは
≪携帯着信クラシック名曲ベスト50≫
携帯着信クラシック名曲ベスト50
オムニバス,ケルテス(イングリット)
ビクターエンタテインメント

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と、いう訳で今回は「携帯着信クラシック」なんですが、最近の携帯電話の着信音にはいろんなものがありますが・・・、皆さんはどんな着信音にしてますか?
クラシックのみならず「着うた」とか「効果音」みたいなのもあるようですし、携帯電話の機能に至ってはeメールにはとどまらず、デジカメ機能、GPS機能、ダウンロードした音楽まで聴けたり、インターネット(ブログも)見れるし、ゲームまでできちゃう。更にワンセグ機能によるテレビまで見れてしまう・・・。もはや電話の域を大きく上回る多彩な機能を備えたスーパーメカと言っても差支えない程の機能を持ち合わせており、10~20年前なら映画「スパイ大作戦」に出てきそうなスゴイ機能を持った端末を普通の人が普通に持っている時代になってしまいましたが・・・。

それはともかく、そんな身近な携帯電話の着信音にもクラシック音楽は使われています。そして、そんなクラシック着信音のベスト50を集めたCDまで出ているそうな!
そして「着信音」としてはどんな曲に人気があるかというと・・・、

【ラインナップ】
1ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「四季」から第1番「春」
有名な曲ですよね。この曲なら、最初に携帯電話を購入した時にその端末に内蔵されている「着信音選択」に最初から登録されていそうな曲かも?!

2ヴェルディ:怒りの日(合唱)(まだ記事を書いてません)
アマゾンの「商品の説明」欄には「この曲が入っているのは驚き・・・」という文章がありましたが、会社の上司とか、番号を登録しなけれなければいけないんだけど、あまり出たくない電話番号とかを登録して使ってるんじゃないのかな?なんて思ったりするんですがどうなんでしょう?

6エルガー:愛の挨拶
ゆったりしたこの曲なら、恋人からの着信とか、新婚の夫婦なんかが使ってそうな着信音かも?

7オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」より「序曲」
この曲も有名なので、「着信音選択」に最初から登録されていそうな曲ですが、もしトランペットのファンファーレで始まるならば、昔なつかしの黒電話が「ジリリーン!」と鳴ったような勢いのある音なので、電話向きなのかも。

24ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
アマゾンには何楽章かは書いてませんでしたが、「遠き山に~♪」の第2楽章と、CMにも使われていた迫力の第4楽章。いずれも有名な曲なので、両方が別々に単独でカウントされていたとしても、ベスト50ならおそらく両方とも余裕でランクインすると思うんですが、どうなんでしょう?

29ビゼー:歌劇「カルメン」より第1幕への前奏曲
この曲も有名な曲ですね。歯切れのよいスタンダードナンバーだと思います。
あれ?待てよ上のドヴォルザークは何楽章か書いてないのに、カルメンは前奏曲と、30に「ハバネラ」が入ってる!・・・という事は!ドヴォルザークはいったいどっちなんだぁー!

33ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
普通に考えるとクラシック音楽の代名詞とも言えるこの曲が、ベスト50に入ってくるのも当然と言えば当然なのかもしれませんが・・・、
少し落ち着いて冷静に考えると・・・どういうシチュエーションのときにこの着信を使うのかな?やっぱりヴェルディの「怒りの日」みたいな使い方?でも有名すぎて逆に恥ずかしかったりするような気も・・・。まあまあ、いろんな使い方があるんでしょう!きっと。

39マーラー:交響曲第5番
確かにこの曲はクラシックでも有名だけど・・・、どちらかというとこの曲も好きな曲だけど・・・、
でも、1時間以上もあるこの曲の、一体どこのフレーズを着信に・・・!?1時間も着信聴いてたら電池切れるし!!その前に呼び出してる方が電話切るし!!
なんちゃって、多分1楽章の冒頭部分なんでしょうね。(着信に使ってる人がいたら怒らないでね。)

48ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
この曲も有名ですし、スタンダードですよね。着信なら、おそらくファンファーレ部分からでしょう。基本的にトランペットファンファーレは着信向きなのかも?!

49ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」よりワルキューレの騎行
クラシック好きなこのブログをご覧の皆さんなら、「ワーグナー=ワルキューレ」はすぐに思い付くキーワードですが、少し前に自分でも携帯着信でいろんな曲を検索していると、映画「地獄の黙示録」のテーマとして登録されている事も結構あるようです。やっぱり一般的な「キーワード」としてはそっちの方が有名なのかも。

※リンク先はこのブログのそれぞれの曲の記事につながってます。
上記の番号はアマゾンの商品詳細によるトラック番号です。

上のラインナップにはとりあえず、10曲ほどをとりあげてみましたがこの他にもCDには全50曲(トラック)が収録されているようです。上に紹介した曲の他にも有名どころの曲が目白押しの1枚になってます。さすがにこれらの曲を全曲収録するととても1枚のCDには収まりきらないので、1曲ずつは数分程度で収められているようです。

全50トラックの並び順はダウンロード数の人気順なのかな?と思いきや、順番に見ていくと、作曲家の名前の「あいうえお順」に1から並んでいるようです。どうせなら人気順にして欲しかった!と思いますが、ブックレットにはそんな情報も載っているのかも??

CDの発売は2003年12月なので、音も電話の着信音だから、ひょっとして電子音なのかな?と思いきや、アマゾンの詳細情報を見ると、それぞれ楽団や指揮者などの名前がありますから、普通にオーケストラサウンドで収録されているようです。


【演奏家は…】
レーベルはビクターエンターテイメントで、楽団もロイヤルフィルやロンドン交響楽団、ウィーン歌劇場管弦楽団等々、基本的には有名どころが多いようですが、指揮者はエリック・カンゼル以外ちょっとあんまり聴いたことのない人なので、オススメ具合としては自信が持てませんが、クラシックの「いいとこどり」でチョロっと聴く分にはいいのかも?


そんなこんなで、言いたい放題でいろいろと書いてみましたが、おそらく有名な曲ならどの曲でも、ダウンロードして着信にできるんでしょう。たぶん。
ちなみに自分の携帯着信音は、残念ながらベスト50には入ってませんでしたが、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」から「第3曲若き王子と王女」です。
ただ、携帯電話自体をここ2・3年変えてないので、音は電子音です。最新の機種とか新しい携帯サイトだと、多分本物の楽器の音が着信に設定できるんでしょう。多分。

最後に、携帯着信音について書いてみましたが、携帯電話をご利用の際には公共の場所では電源を切るかマナーモードにして、周囲の迷惑にならないよう十分に気を付けましょう。
マナーもいっしょに携帯しましょう。なんちゃって。


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CMのクラシック(その23)

2008年05月14日 | CMのクラシック
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はCMのクラシック(その23)です。

さてテレビでは連日たくさんのコマーシャルが流れていますが、そんなTVCMの中にもクラシック音楽は結構使われています。それをクラシック音楽と意識しなくても知らず知らずのうちに聴いてしまう愉快なメロディを思わず口ずさんでいる事もあるんじゃないでしょうか?

という訳で、CMの紹介なんですが・・・、イカン!最近クラシックのCMが多くてチェックしきれてない?!まだ見た事あるCMがあったと思うんですけど、とりあえず・・・。

ハーゲンダッツ:ドルチェミルフィーユ(Princess編)
【曲目:アヴェマリア:グノー】(まだ記事かいてません)
豪華な部屋に王子様が訪ねると、椅子に寝そべっていたお姫様がゆっくりと体を起こすと、王子様からアイスを受け取ります。例のように“D”マークのついたスプーンをアイスクリームにサクッと入れ、そのままスプーンを口に入れると、天にも昇るようにふわふわと椅子から浮き上がります。
いつもながら豪華なイメージのCMです。

カネボウ:ホワイトニングコンクルージョン
【曲目:火祭の踊り:ファリャ】(まだ記事書いてません)
沢山の鏡み囲まれて、赤いノースリーブと白いヒールを履いて颯爽と歩く女性。「美白したいシミゾーンに効果が届きにくいなんて…」「より早く、より多くシミゾーンまで。」とナレーションが入ります。
CMでは曲がヴァイオリンソロっぽくアレンジされています。

花王:グレイスソフィーナ(大人の可愛いスキンケア編)
【曲目:ホフマンの舟歌:オッフェンバック】
黒木瞳さんが、大きな鏡の前に立つと顔がアップになり「よし!」と一言、「大人の肌、悩みはひとつじゃない・・・。」とナレーションが入り、商品とイメージ映像が流れます。
黒木さんがふたたび「ハリ、あかるさ、透明感欲しいもの全部。」と語り、最後は「大人の可愛いを見せてあげよう!」とのナレーションで締めくくります。
花王のホームページによると・・・、「ホフマンの舟歌」の原曲を、ピアニスト島健氏がアレンジし、イタリア語の歌詞を付けました。グレイス世代に向けた「希望に満ちた喜びの朝」を、詞に託しています。との事。
ちなみに歌は島田歌穂さんで、ホームページにいくと、72秒の曲が聴けます。

JR東海:春日大社編
【曲目:だったん人の踊り:ボロディン】
「燃え立つ赤、したたる緑。奈良春日大社。山も森も風も水も人も・・・、いま、ふたたび奈良へ。」とナレーションが入り奇麗な映像が流れます。
映像のせいもあるのか、曲もなんとなく和風なアレンジに聴こえてきます。
このCMは頂いたコメントでも紹介してもらいましたね。
JRのホームぺージを覗くと、「春日大社編」と「西大寺編」のCMが見れましたが、両方ともこの曲でしたが、アレンジが違ってました。

サントリー:天然水
【曲目:チャールダッシュ:モンティ】(記事はありません)
白樺に囲まれた雪の大地に少女がひとり、キリッと引き締まった表情でヴァイオリンを弾きます。曲が流れると、雪解け水が流れ雪の中にウサギがひょっこりと顔を出します。
最後に、「人間の手では作れない。」と大滝秀治さんのナレーションが入ります。
ちなみに、この曲はクラシックじゃないのかもしれませんが、一応CMでもヴァイオリンを持っていて、聴いた事のある曲だったので紹介してみました。
そして、サントリーのホームページをチェックしてみると、ヴァイオリンを弾いているのは中村アヤサさんらしい。


※曲目のリンクはこのブログで書いた記事のページにつながります。


CMが多いというより、更新が追いついてないと言った方がいいのかも?!まあコツコツ紹介していきますんでよろしくという事で・・・。


【前回のCMのクラシック】


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組曲「クープランの墓」 (ラヴェル作曲)

2008年05月12日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はラヴェル:組曲「クープランの墓」です。

この曲は、ラヴェルがフランスの大作曲家クープランに捧げる曲として作曲していましたが、途中、第一次世界大戦が勃発すると、ラヴェルの友人が戦火に亡くなり、同時期に母親も亡くしてしまいます。
そこでラヴェルはクープランのみならず、亡くなった友人たちをはじめフランスのために…、との思いを込めて曲を完成させていくのでした。

もともとは、ピアノのための曲として作曲し、戦争で亡くなった友人の未亡人マルグリット・ロン(ピアニスト)に献呈されましたが、その後ラヴェル自身によって管弦楽用に編曲されています。

そして何を隠そう、まだピアノ曲版では一度も聴いた事が無いので、今回の紹介は管弦楽版になります。
ちなみに、ピアノ版では全6曲ですが、管弦楽版では全4曲となっているようです。


 前奏曲:イングリッシュホルンとオーボエのフレーズが軽やかに響き渡ると、
 低音のやわらかいクラリネットに乗せて弦楽器が勢いをつけると、
 弦楽器はハッ!と目の覚めるような鮮やかなフレーズをくりひろげていきます。
 再びオーボエの軽やかなフレーズが聴こえてくると、
 また鮮やかにそのフレーズをくりかえしていきます。
 フルートやクラリネット、がふわふわと続きハープが入ると幻想的な
 雰囲気が漂ってきます。
 更にトランペットや木管楽器を加えながら、少しずつ勢いをつけると
 弦楽器が大きく盛り上がり、更に鮮やかなフレーズが花を咲かせるように
 奇麗に広がると、最後はハープがさりげなく流れていきます。
 
 フォルラーヌ:弦楽器のフレーズが、ささやくように流れると、
 イングリッシュホルン、フルート、クラリネットがそれを追いかけていきます。
 三者が代わる代わるフレーズを重ねていくと、弦楽器がそれをまとめる
 ようにピシャリと入ります。
 木管楽器にはオーボエも加わり、なにやらお互いに世間話でもしているように
 あれや、これやと代わる代わる言葉尻を追いかけるように、続けていきます。
 とめどなく続く世間話は、とりとめのない事を次から次へと調子よく話して
 いるようです。
 
 メヌエット:オーボエのゆるやかで、ほがらかなメロディが流れると、
 ゆっくりと落ち着いた雰囲気になります。
 じわじわと合わせる弦楽器は、とてもさわやかに響きます。
 メロディにフルートが入ると、そよ風が一瞬通り抜けたように感じます。
 すると、少しトーンが落ちて静かな雰囲気になりますが、弦楽器ざわめくと
 メロディはやがてオーボエ中心に戻っていきます。
 木管楽器を加えながら弦楽器が徐々に美しく盛り上がっていきますが、
 とてもさらさらとした感覚を残して、最後はフルート、ピッコロが
 アクセントを加えると、静かに終わっていきます。
 
 リゴードン:トランペットと共に弦楽器がザックリとひとつ決めると、
 小気味よくフレーズを続けていきます。
 弦楽器のサクサクとした軽妙なフレーズに、ファゴット、ホルン、トランペット
 が陽気なリズムを付けていくと、
 メロディはフルート、クラリネットへと次々に、軽妙に引き継がれていきます。
 ひととおりめぐると、弦楽器がピシャリと一度区切りをつけます。
 ゆるやかなオーボエのメロディがはじまると、ゆるやかな雰囲気のまま、
 メロディはイングリッシュホルン、フルートなど木管楽器のソロへつないで
 いきます。
 すると、急に最初のトランペットのザックリとしたフレーズに戻り、
 

タイトルが「クープランの墓」で「墓」がついているので、最初はなんとなく敬遠気味に感じていましたが、作曲経緯やタイトルの由来を調べてみると、「へえ~、そうだったのか」なんて思って聴けました。
もっと言えば、タイトルはそんなに気にしなくてもとりあえず曲を先に聴いてみると以外にサラッと聴けると思います。その上で後から作曲の経緯とか由来を聞いても「へぇ~」と言えるかも??
何気ないフレーズが、いつの間にか輝くような鮮やかな音色に変わるこの曲は、なんともスッキリ、さっぱり聴ける一曲です。


≪オススメCD≫
ブーレーズでどうぞ
ラヴェル:ボレロ/クープランの
ブーレーズ(ピエール)
ソニーレコード

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆★★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
スッキリ、さっぱり聴ける一曲です。


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歌曲「春の小川で」

2008年05月10日 | シューベルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はシューベルト:歌曲「春の小川で」です。

この曲はシューベルトの友人で詩人のフランツ・ショーバーの詩にメロディをつけた歌曲です。
シューベルトはこの曲の他にもショーバーの詩のためにいくつか、曲を作曲しているようです。

そして、この曲は春にやさしく流れる小川の事を、やさしく歌った歌ですがそれとは裏腹に自分の沈んだ気持ちを対照的に歌っています。


 なだらかに流れるピアノ伴奏に乗せて、やさしく透きとおるような歌声が響きます。
 楽しそうに流れる小川が、さわやかな風と共に緑なす草木を潤すようにと、
 やさしく歌っていきます。
 しかし、少しトーンが変わり、そんなおだやかな自然の様子とは別に、
 小川に歩み寄る自分の気持は沈んでいると歌うと、
 どこか影のある雰囲気が物憂げな表情に変わり、
 「この地上に咲く花たちは、私のこころにはなじまない・・・。」
 と歌うと、寂しい曲調になっていきます。
 
 すると、急に曲調が変わり、ピアノがひとつ響くと
 「ここにはいつも同じ風が吹くが、私には希望が湧いてこない!」
 と嘆くように強く歌うと、
 今度は崩れるように、「(私の)思い出に咲く一輪の花を見出す事以外
 には(できない)」と悲しく歌います。
 
 そして、また始めの歌詞に戻り、無邪気に流れる小川の様子をくりかえし歌い、
 最後に「この地上に咲く花たちは、私のこころにはなじまない・・・。」
 と締めくくります。
 

※歌詞の内容は、≪オススメCD≫の歌詞カードを参考にしています。

最初はやさしく、なだらかな小川を軽やかに歌う美しいメロディの曲ですが、途中、歌詞と共に曲調も一変して、嘆かわしい自分の心の内をさらけ出すように歌い上げるのを聴くと、
2回目に冒頭と全く同じ歌詞を歌っているにもかかわらず、その歌声はとても切なく胸を締め付けられるように、痛いほど伝わってきます。
なんとも悲しい歌ですが、そのおだやかなメロディが2回目には、なんともグッとくる一曲です。


≪オススメCD≫
シューベルトの歌曲がたくさん入ってます。
シューベルト:歌曲集
アーメリング(エリー)
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆★★★★

≪おすすめシチュエーション≫
やさしい日常の風景が何故か悲しく感じる一曲です。


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歌劇「イーゴリ公」~だったん人の踊り (ボロディン作曲)

2008年05月06日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はボロディン:「歌劇イーゴリ公」~だったん人の踊りです。

タイトルにもあるように、もともとこの曲は歌劇「イーゴリ公」の第2幕の音楽から「だったん人の踊り」を抜粋したもののようですが、現在ではこの部分が特に有名なので、ここだけが演奏される事が多いようです。
かく言う自分も歌劇は全曲はもとい、ハイライトすら聴いたことありません。

そして、有名なのはCMでやっていたりするからかもしれません。何のCMかは忘れましたが、化粧品あたりのCMで確かやっていたようなイメージがありますが、他にもいくつか使用されていると思います。また近々CMで使用される事があれば、「CMのクラシック」のコーナーで紹介しようと思います。

もともと歌劇の中の曲という事もあって、合唱パートもありますが、演奏によってはこの合唱パートが省略されてオーケストラのみの演奏になっている事も少なからずあるようです。

ちなみに「だったん人」というのは「ウィキペディア」によると、正式しは「ポロヴェツ人」というらしく、東欧の民族のようです。しかも漢字まであり「韃靼人」(だったんじん)と書くらしい。


 序奏:ポーン、ポーンとゆっくり流れるハープのリズムに、ゆっくりとした
 フルート、オーボエのメロディがしなやかに入ります。
 そのメロディをクラリネット、イングリッシュホルンがやわらかくつなぐと、
 まるで、何事も無かったかのようにさらりと終わります。

 娘たちの踊り:女声の美しい声でメロディが流れると、その幻想的なフレーズから
 「東欧」というよりは「北欧」に降りしきる雪景色を連想してしまいます。
 とても奇麗で艶やかなメロディがしっとりと流れると、それはおとぎ話の国にでも
 居るような、とても幻想的な世界に感じます。

 男たちの踊り:バスドラムがテンポよく刻まれると、クラリネットの軽妙なメロディ
 が素早く走り去るように流れてきます。
 つむじ風のようにクラリネットが舞うと、その後にピッコロ、フルートが続きます。
 そして、トロンボーンが豪快に響かせると、そのまま駆け抜けるように一気に進みます。
 
 全員の踊り:地響きのようなティンパニ(大太鼓)が打ち鳴らされると、
 合唱隊が更に盛り上げて、シンバルが大きく響き、トランペットが
 高らかに鳴り響きます。
 その後は合唱隊がなだらかに歌い上げると、少し落ち着きますが、再びティンパニの
 地響きが始まると、大きく盛り上がっていきます。
 
 少年たちの踊りと男たちの踊り:小走りなリズムにクラリネットが緊張感のある
 フレーズを鳴らすと、男声の迫力ある豪快な歌声が響き渡ります。
 男声がなだらかになり、すこしずつ落ち着いてくると・・・
 
 娘たちの踊りと少年たちの踊り:前半の女声による美しい歌声が始まり、
 それは、やがて男声と混ざりあい、ゆるやかにおだやかな声に変わっていきます。
 しかしリズムはやがて小走りになり・・・
 
 少年たちの踊りと男たちの踊り:徐々に勢いをつけていきます。更に男声の歌声が
 大きく盛り上がっていきます。
 
 全員の踊り:歌声は更に盛り上がり、合唱隊が大きく歌い上げると、トランペット
 がそれに輪を掛けるように盛り上がり、派手にクライマックスを迎えると。
 そのまま勢いに任せて曲を終わります。


持っている音源が合唱付きのものだったので、そちらで紹介してみましたが、「合唱隊」が居る方が、個人的には迫力もあって好きです。
また、迫力に任せた力押しだけではなくて「娘たちの踊り」の部分では美しいメロディを聴かせてくれますが、ここがなんとも幻想的で魅力的な部分じゃないでしょうか?
CMなんかでは、確かこの部分がよく使われていたと思います。

ちなみに曲中の「○○の踊り」とされているサブタイトルはそれぞれウイィペディアの各項目から引用しました。
が、曲では、それほど曲に切れ目が入ることなく続けて演奏されているようです。

≪オススメCD≫
このCDに入ってます
1812年 ロシア管弦楽名曲集
モスクワ放送交響楽団,モスクワ放送合唱団
ビクターエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆☆★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
迫力と美しいメロディが一度に味わえる曲です。


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