初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

「クローズアップ現代」から吉田秀和

2012年07月24日 | テレビでクラシック
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日は、「クローズアップ現代」から吉田秀和です。

今日、久々にクローズアップ現代(NHK)を見ていたんですが、冒頭のくだりが、「小澤征爾さんが、頭の上がらない人物がいる」本人いわく「私の人生に大きく影響をあたえた人・・・」という内容。
コレは見ないといけないでしょう・・・。
と言うわけで今日はこのお話。

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冒頭から惹きつけるこのナレーションに続き、更に、ブーニンのピアノを「甘やかされた子供の演奏」ホロビッツの演奏は「骨董品のひび割れ・・・」等々、辛辣な批評。(スゴイ事言う・・・。)

そして、今日のタイトルが「そこに自分の考えはあるか」でした。

しかし、この男、単純にけなすだけではなく、カラヤンの演奏する田園交響曲を「アウトバーンを軽快に走ると、木漏れ日がキラキラとあふれる・・・」と評してみたり、アルゲリッチのピアノは、…金属や、石のような硬さから、絹のようななめらかな音まで、…なんでも表現できてしまう。」など、褒めるトコはきっちりと評価している。

今日の、この人「吉田秀和」氏は大正2年の生まれで今年(平成24年)の5月に98歳で亡くなる。

戦前は、西洋音楽関係の翻訳を担当する官僚、だか公務員だか、ところが、年齢から考えても太平洋戦争を経験。戦中は「情報局」なる部署へ異動。当然音楽は勿論、当時は戦争へまっしぐら。それ以外の言動は一切御法度!の勢い。滅多な事は言えなくなってしまう。
その影響も多分に受けたようで、戦後の音楽評は歯に絹着せぬ自由な論評を展開したとの事。

彼を一躍有名にしたのがあのピアニスト、グレングールドへの批評。このブログでも紹介しましたが、彼の演奏するバッハのゴールドベルク変奏曲は、独特で、演奏中に自分でも歌っちゃうし、スピードは速いしで、どうやら、当時のスタイルとしては、かなりの異端児扱い。
一般の評価は最悪で、どれも酷評ばかり、そんななか吉田秀和はこのグールドの演奏を絶賛するのでした。
それがきっかけかどうかはアレですが、その後グールドは多くの評価を得て、現在では巨匠、ピアニストの名を確立しています。

そして今宵のメインとなるホロビッツの件。
80年代に初来日した巨匠ホロビッツ。既に世界でも認められたザ・ピアニスト。この世紀の名ピアニストの来日に日本人は酔いしれ、演奏会は大成功を収めるのでした。
しかし、ここで一人、この演奏会に異を唱えるのが吉田秀和だったのです。
「ホロビッツは確かにかつては、名ピアニストだった、しかし今回の演奏会では骨董品だ、しかもヒビが入っているし、欠落すらある。」との、かなりの酷評。
そこで、当時の演奏の映像が流れると、確かにミスタッチはある。しかも、どうやら一度や二度ではないようだ・・・。

吉田氏が言いたかったのは「ホロビッツの演奏をちゃんと聴いたのか?名前だけで判断してないか?」ということじゃないのかな?

スタジオに戻ると、吉田氏はクラシックに興味が無い人にも解りやすい論評を、的確に文字に起こしているとの事。
ホロビッツはこの酷評を受けて、3年後に吉田にもう一度聴かせたいとの想いから、再度来日したとか・・・。
更に、NHKらしいなぁと思ったのが、今回の原発の話。
冒頭にもあったように、氏は今年の5月までご存命のため、昨年の震災・原発事故を体験しているのだ。その際に東電、政府が使用した言葉「想定外」・・・。
この言葉に敏感に反応していたようです。

そして、今日のタイトル「そこに自分の考えはあるのか」が来ると、色々と考えてしまう今日この頃でした。


さてさて、久々の投稿が、こんな感じになっちゃいましたが、
まずは、ザックリとこんな感じの内容でしたが、一部??いや結構な部分で記憶が曖昧な感じなので、詳細は記憶違いや解釈違いがあるかとは思いますが、そこは平にご容赦下さいませ。

正直、吉田秀和(敬称略)この人知りませんでした。???
と、思ってたんですが、今しがたウィキペディアで名前を検索すると、NHK‐FMで「名曲のたのしみ」という番組を担当していたとの事。
放送時間を見ると、自分が聴いていた「20世紀の名演奏」の前の時間帯、ということは、「アノ人だ!」
当時の印象を思い出すと、ぶっきらぼうな感じで淡々と、というよりバッサリと気持ちいいいくらいに、ぶった斬っていたあのじいちゃん!
ホントに書きながら、思い出してしまった・・・、(スンマセン)
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話がとんで、ゴメンナサイ。
吉田氏の話には身につまされる事が大きいです。
と言うのも、かくいうこのブログもそんな風になってやしないか?
大勢の意見、本の記事やラジオ、ネット情報等々、これらに流されてやいないだろうか?一番にそこが気になりました。
・・・・・・・・・―
ホロビッツの話にしても、当時の演奏会を聴いたら、吉田氏のような批評ができたのか?
おそらくこの番組を見る前なら、「本番は一発勝負だから、ミスタッチはどんな名人でゼロではないはず!演奏は、ミスを探すものではなく、演奏家がどうやって、曲に息を吹き込むかだ!」とか言ってそうな気がします。(ホロビッツが来日したときは、かなり歳だったし。)

ただ、番組の当時の演奏を見ると、確かにしょっちゅう音外したり、隣の鍵盤も一緒に弾いたりしてたから・・・。「ホロビッツ」という名前を伏せて、演奏だけ聴くと、「知ってる曲だから判るけど、酷いなコレ」とか言ってしまいそうな自分が怖かったりして・・・。

ただ、ひとつ言いたいのは、このブログでは、より多くの人にクラシック音楽を理解して欲しい、と言う想いから、イイものを紹介して、より、身近に感じて欲しい!!と思う一方で、
じゃあ、悪いものを紹介しないのは罪じゃないのか?というジレンマに陥ってしまう今日この頃でした。

とにもかくにも、自分にとっては刺激的な内容の今日のクローズアップ現代でした。

≪こんな本も出してるらしい≫
私の好きな曲―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)
クリエーター情報なし
筑摩書房




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