初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

ピアノソナタ第15番「田園」

2009年11月23日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第15番「田園」です。

ベートーヴェンで「田園」と言うと、交響曲の方が有名ですが、ピアノソナタでも作曲されているんですね。この「田園」

そして、ベートーヴェンのピアノソナタと言えば、壮絶で激しいものや失望感いっぱいの「3大ソナタ」が有名ですが、その番号が後半になると、やや大人しく、じっくり聴ける雰囲気の曲。というイメージがありましたが、

番号的には前半に位置する今回の「第15番」はそのイメージとは少し違うかもしれません。激しさや、失望感とは違い、そのタイトルからしても、ちょっとのびりした曲調のようです。

例によって、ウィキペディアによると、タイトルの命名は、作曲家ベートーヴェ本人のものではなく当時の出版社がつけたもののようですが、しかしながら、なだらかに始まり、明るい曲調のこの曲は、ベートーヴェンの違った印象を受ける作品だと思います。




 第1楽章:中低音のなだらかなフレーズがはじまると、とてものどかで、
 おだやかな表情を聴かせてくれます。
 そのフレーズにキラリと光る音が入りはじめると、
 低音からじわじわと盛り上がり、高音へ弾みをつけるように跳ね上がる
 フレーズがとても特徴的です。
 やがてそれもおさまり、また静かにおだやかなメロディが流れると
 少し落ち着きます。
 そしてまた、跳ね上がるあのフレーズがインパクトをつけていきます。
 次第に低音のフレーズが増え、沈むように終わっていくようになりますが、
 何度か、息を吹き返すような音を聴かせると、
 最初のフレーズが現れ、最後にもう一度跳ね上がってから、
 静かに着地を決めて、静かに終わります。

 第2楽章:てくてくと、夕暮れ時の野道を歩いていくような…、
 少しさみしい雰囲気のメロディが始まると、少し気分もふさぎます。
 伏し目がちに歩きながらも、時折視線を上にしたかと思うと、
 また、下を向いてトボトボと歩きだすような、そんなイメージでしょうか?
 しかし、立ち止まると、急に可愛らしいフレーズが顔を出し。
 その足取りも少し軽くなったように感じます。
 徐々に力強い音にもなりますが、
 気が付くとまた、足取りも重く、再びてくてくと歩きはじめます。
 明るい音色が嘘だったかのように、またトボトボと歩くようなフレーズが
 最初以上に切なく、重苦しい印象を受けます。
 
 第3楽章:今度はうって変って、最初から弾むフレーズが転がりだすと、
 軽快にその歩を進めていきます。
 節目、節目をバッチリ決めながら、転がりだすと止まらない、
 どこまでも進むように弾みます。
 そして最後はきっちりと終わります。
 
 第4楽章:中音がじわっと響き出すと、それが序章のように
 待ち切れず始まるメロディがあふれ出します。
 仕切りなおして、丁寧にまた始まると、一気に元気になります。
 落ち着きを取り戻そうと、ゆっくりとしたフレーズになりますが、
 やはり抑えきれず、力が入ると次第に盛り上がり大きくふくらんでいきます。
 そして最後はその抑えきれない笑顔を一気にふりまくように、
 華やかに盛り上がると、笑顔で曲を終わります。
 

「ベートーヴェンでもこんなピアノソナタを書くのか!?」と言うのが率直な印象です。
全体を通してみるとさすがに、「底抜けに明るい」とは言い難いですが、あのゴツゴツとした、というか、緊張感あふれるいつもの作風とは一味違った一曲になっていると思います。
ちなみに≪オススメCD≫ではグルダを紹介していますが、聴いたのは、ナクソス版でイエネー・ヤンド―のピアノです。
ひょっとすると、ピアニストによっても、違った印象で聴ける曲なのかな?なんて思ったりして、

とは言っても、そこはやはりベートーヴェンなので、全体的にはふわっとした、のどかな印象ですが、要所、要所ではガッツリ決めてきますから、そのバランスも聴きどころのひとつかもしれません。


≪オススメCD≫
グルダだとおもしろく弾いてそうな気がします。
ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番&第14番&第15番&第23番
グルダ(フリードリヒ)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
基本的には明るくサラッと聴けるんだけど…


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弦楽四重奏曲第8番 「ラズモフスキー第2番」

2009年06月28日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:弦楽四重奏曲第8番「ラズモフスキー第2番」です。


さて、この「ラズモフスキー」前にも他のを紹介しましたが、この曲を含めて全部で3曲あります。なので、「ラズモフスキー」というタイトルの後にも、更に「第2番」とかの番号がついてるんですね。(ちょっとややこしい)

そして、3曲まとめてラズモフスキー伯爵に献呈されたので、現在もこの名前で親しまれています。他の2曲(「第1番」「第3番」)と比べると演奏時間は短めなので小規模で、内省的と評される事が多いようです。

更に、この1曲だけが「短調」で作曲されているのもほかの2曲との大きな違いです。CDの解説によると、「これは1806年のラズモフスキー伯爵の妻と病気と死に直面したことに同情した結果によるものと見る…」とされているように、
ハッキリ言って明るい曲では無いし、暗い曲ですが、

逆に、それだけ真剣な表情や、複雑な心境を大胆かつ繊細に表現したした一曲と言えるかもしれません。




 第1楽章:歯切れ良いふたつの和音がザックリと刻むと、
 その余韻からにじみ出るようにフレーズが流れだします。
 最初はゆっくりと流れるフレーズですが、一気に盛り上がり、熱のこもった音が
 力強く響くと、ザクザクと刻まれるリズムに乗せて、勢いのあるフレーズが
 流れていきます。
 しかし、すぐに立ち止まり、また、したたるようなフレーズが流れていきます。
 ゴツゴツとしたリズムの中に、しなやかに流れるメロディが葛藤するように
 流れると、聴いている方も力が入ってしまいます。
 絶えずつきまとう不安を必死に振りほどこうとするように、
 喧々諤々としたフレーズが続いていきます。
 小さくか細く聴こえたかと思うと、力強い響きを聴かせたり、
 激しいやり取りが繰り返されながらも、最後は冷静さを装うようにして終わります。

 第2楽章:ゆっくりとした和音がしなやかに始まると、少し落ち着いたような
 というか、肩の力が一気に抜けたような、落胆とも取れるようなゆっくりとした
 フレーズが流れていきます。
 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロがそれぞれの音をハッキリと聴かせながら、
 ゆっくりとしたメロディが漂います。
 ヴァイオリンの高音のメロディがくっきりと浮かび上がるように美しく流れると
 聴き入ってしまいます。
 リズムは途中から険しくなり、ヴァイオリンの高らかな音色も時として悲鳴の様にも
 聴こえてしまいますが、
 リズムがしなやかに戻ると、またつややかなヴァイオリンの音色を
 しっとりと聴かせてくれます。
 そして、いつの間にかやさしい響きに変わったその音色とともに、
 静かに終わっていきます。 

 第3楽章:片足を引きずったような、ぎこちないリズムが続くと、
 時折、前を少し確認しながら、それでも力強く前へ前へと力を振り絞るように
 進んでいくようです。
 リズムが変わり、軽やかな足取りになると、今度はスルスルと前へ進んでいきます。
 軽妙なリズムに乗せて、弾むように軽やかなメロディが流れます。
 しかし、また最初のぎこちないリズムに戻ると、一旦、暗い雰囲気になりますが、
 軽やかなフレーズを挟みながらも、
 そのリズムを続け、最後まで到達する前にふっと終わります
 
 第4楽章:軽やかな和音をふわりとひとつ入れると、
 軽快なリズムとメロディで、サクサクと進んでいきます。
 辛かった足取りも嘘のようにケロリとしたフレーズが続きますが、
 チェロなどの低音伴奏がザクザクとしっかりそのリズムを刻むと、
 曲も引き締まります。
 途中では気弱になったようなヴァイオリンのソロが入りますが、
 それでもやっぱり、しばらくすると、
 ケロッとした軽妙なメロディがうそぶくように軽く響くと、
 今度は力を入れて、ラストに向けてじわじわと盛り上げていくと、
 最後は力強くザックリと決めて終わります。



最初はザックリとした始まりと、その鋭くも暗い表情が、なんとも「ジメっとした曲かな?」とも思いましたが、
そんな中にも、時折聴かせるキラリと光るような甲高いヴァイオリンの音色や、しなやかな聴かせるチェロの低音を聴くと、厳しさの中にも一瞬でも救われたような、そんな響きを聴かせる、独特な一曲だと思います。

正直、「短調の弦楽四重奏曲」というのは、どうもゴツゴツしてて、(特にベートーヴェンの場合)なんとなく聴きづらい印象がありましたが、
そんな中に、スラリと流れるなめらかな音色が聴こえると、逆にインパクトがあったりして、いろんな聴き方をしてみると意外な発見があるのかもしれないですね。

≪オススメCD≫
スメタナ四重奏団です。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番&第8番
スメタナ四重奏団
コロムビアミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:★★★★★
怒:☆☆☆☆★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆★★★★

≪おすすめシチュエーション≫
切なくも力強い弦楽四重奏です。


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ディアベリ変奏曲

2009年05月21日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ディアベリ変奏曲です。

この曲は、ベートーヴェンがピアノのために作曲した全33曲からなる変奏曲です。そしてこの【変奏曲】を毎度おなじみのgoo辞書で調べてみると・・・、
「主題のリズム・旋律・和音などを種々の方法で変化させて、全体を一つの楽曲にまとめたもの。バリエーション。 」

・・・って余計難しいよ!まぁ個人的な理解によると、「ひとつのフレーズ(主題)のリズムや和音をいろいろといじって、たくさんの曲をまとめていく。」みたいな…感じかな?(goo辞書とたいして変わらないか??)
まぁ、最後の「バリエーション」という言葉が一番分かりやすいかもしれないですね。

そして、今度は「ディアベリ」の方。こちらは当時の出版社でもあり、作曲家でもあった人の名前。(アントニオ・ディアベリ)
「ウィキペディア」によると、ディアベリは当時の売れっ子作曲家、50人を選び、ひとつの主題を元にそれぞれの作曲家にひとつずつ変奏曲を作曲してもらって、全50曲のスペシャル企画を計画していたらしい。(シューベルトやリストも候補に挙がっていたそうな。)
・・・ところが、諸所の理由で結局ベートーヴェンが一人で全33曲の変奏曲を書いたので、今日ではその曲が残っているそうな。
(個人的には、シューベルトやリストの変奏曲も聴いてみたい気もしますが、そうすると、残り40数人の名も無き作曲家も当然入ってくるので、ディアベリ変奏曲は、埋もれて現在のように日の目を見ることは無かったかも?!)


まぁ、今で言うと、どうなんでしょうね。紅白歌合戦に出場の歌手が、NHKの用意した曲を出場メンバーに配って、「元歌がある程度分かるようにいろいろ編曲してください!」とか言って紅白の本番で次々に歌う!みたいな感じなんでしょうか?!
すると、明るくポップな曲から、ノリノリでハイテンポの曲があったり、しっとりバラードっぽくなってみたり、こぶしを効かせた演歌調の歌が次々と披露されたりして・・・。(NHKもこういうの企画でやってみたら意外と視聴率も上がったりして???)

そんな感じでエライ話だけがふくらんでしまいましたが、肝心の「ディアベリ変奏曲」は・・・、
軽い感じで淡々と始まる曲は、曲が進むにつれて千万変化!熱く迫る勢いを見せたかと思うと、沈んだような表情になったり、明るくキラキラと輝くような音色を聴かせたり、しっとりとした静かな響きを奏でたり・・・、とにかく聴きどころ満点で、様々な表情が楽しめる全33曲なんですが、

例によって手持ちのCDが無く、昔FM放送を録音したMDによる音源なので、曲の変わり目が、微妙に分かりづらい。加えてトラックをつけようにも全33曲ですから、おそらく10曲目を超えたあたりから、「アレ?今ので10曲目だっけか?」そして、全曲トラックをつけ終わってみると、「ウソ!全35曲になってるよ」とか「エ~!29曲しか無い!」なんて事になってもアレなので、いつものように1曲ずつをレポートするのは断念しました。(というか無理デス!CD買えばいいんでしょうケド)

加えて、既にここまでにも、いつも以上に長々と書き連ねているので、ここから更に33曲は、読む方もツライでしょう!(という事にしておこう。)

そこで、思いついたのが、この曲を録音したFM番組「20世紀の名演奏」の司会を務める黒田恭一さんの曲終りのコメントを、拾って紹介してみようと思います。(結構お気に入りだったりするので。)


 え~凄い演奏でした。・・・え~この作品は、お聴きのように最初はディアベリのたいへん屈託のないテーマで始まるのですが、
このテーマを元にした33の変奏のうちに、音楽はテーマの屈託の無さが嘘のように、次第にベートーヴェン的に厚みを増して参りまして、ふと見上げると大きな建造物が目の前にそびえ立っている。といった印象を聴く人に抱かせる…只今聴いて頂きましたベートーヴェンのディアベリ変奏曲でした。
 
バックハウスの演奏がまた、そのようなディアベリ変奏曲の音楽的な特徴を鮮明に浮かび上がらせたものとなっておりました。

バッハのゴールドベルク変奏曲に限って申しますと、近年は以前に比べますと、リサイタルで聴いたり、レコーディングしたりするピアニストが、次第に増えてきているように思われますが、
このディアベリ変奏曲は、同じ鍵盤楽器のための変奏曲にも関わらず、必ずしもゴールドベルク変奏曲のようには、演奏される機会が増えてはいないように思われます。

無論、ゴールドベルク変奏曲と只今のディアベリ変奏曲では、同じ変奏曲であっても一緒くたに語れないところがありますが、相変わらず多くのピアニスト達によって「敬して遠ざけられる」というところに「ディアベリ変奏曲」という作品の難しさと奥の深さがある、と言えるかもしれません。



う~ん、何度聞いても、分かりやくす的を射た名解説!ですね。あの壮大な曲をコンパクトに表現した素晴らしいコメントでした。
録音は数年前~10年前(は言い過ぎかな?)と、かなり前の放送分なので、もはや、いつの頃の分だったかは覚えていませんが、演奏は上のとおり、ヴィルヘルム・バックハウスで聴きました。

演奏時間(約40分)の長さと、その内容からすると、初心者向けとは言いにくいですが、クラシックファンの方で、ひょっとしてまだ聴いたことが無い方には、かなりオススメの一曲です。

そして、上記にもあったように、よく比較されるのがバッハのゴールドベルク変奏曲
名前も似てますし、曲の作りも似ていますが、(いずれも変奏曲つながり)いずれにしても、言えるのは壮大なスケール感、と言ったところでしょうか?
それでいて、早く次の変奏が聴きたくなってしまうという、期待感。そして、その期待に応えてくれる音楽を聴かせてくれるのが、いずれも圧巻の一曲です。

【おまけ】
パソコンとかで曲名を検索するときは「ディアベリ」の他に「ディアベッリ」と表記されている場合もあるので、この間の話のようにちょっといろいろとカタカナの読みにも変奏(バリエーション)が必要かも?

≪オススメCD≫
バックハウスしか知りませんが結構よかったです。
ベートーヴェン:ディアベッリの主題による33の変奏曲
バックハウス(ヴィルヘルム)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆★★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
それとなく聴いていても引き込まれてしまう。


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ピアノソナタ第7番    (ベート―ヴェン作曲)

2009年04月26日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第7番です。

この曲はベートーヴェンのピアノソナタでも初期の作品になりますが、この後に作曲された、有名な第8番の「悲愴ソナタ」を前に、第2楽章では、その片鱗を少し匂わせるような雰囲気を持っていますが、
全体的には、やや軽めの印象を受けます。軽快に進めるリズムとテンポがそんな印象をもたらしているのかもしれませんが、
それでも、しっかりとした足取りが心地よくもあり、ズッシリと聴かせる部分もあったりと、やはりベートーヴェンの持ち味がいろいろと味わえる一曲です。



 第1楽章:トントントン!と心地よく階段を上って行くように軽快なリズムで
 始まると、小刻みなリズムになだらかなメロディが掛け合い、
 なめらかなフレーズが転がっていきます。
 高音が可愛らしく響いたかと思うと、低音がドシドシと入ったり、
 その都度細かく切り替えながら、軽やかに曲を進めていきます。
 後半は低音で勢いをつけてその上に高音が軽やかに弾むように、両者の
 コンビネーションがくりかえされていきます。
 そして、しっかりとした足取りでラストを飾ります。

 第2楽章:重たく疲れたような和音が響くと、ポツリ、ポツリと歩を進めるように
 ゆっくりとした、悲しげなメロディが響きます。
 低音のメロディに、時折入る高い音がグッと息を飲むような、ドキッとする
 雰囲気を奏でていきます。
 静かな曲調にひと際響く高音が、グサッと刺さるように悲しい音色を聴かせます。
 低音がリズムを取り始めてどうにかそれを流そうとしますが、
 低音のリズムは次第に力が入り、高音のメロディは締め付けられるように
 小さく身を潜めるようにも聴こえてきます。
 次第に高音のメロディも主張を強めていきますが、聴けば聴くほど、その
 悲しい旋律が深く刻み込まれていくようです。
 そして、最後は寂しくひっそりと静まり返り、高音のフレーズを少し聴かせると、
 ポツリと終わっていきます。

 第3楽章:ゆったりと、こころ落ち着くなごやかなメロディが軽やかに始まります。
 低音から少し跳ね上がると、中音から高音へ、少しずつ音を重ねていきます。
 そして、今度は低音から、中音、高音へと、そのフレーズを追いかけるように
 ゆっくりと曲を聴かせます。
 急にリズムが速くなると、少し明るい表情にも聴こえてきます。
 しかしすぐにピタッと元の早さに戻り、またゆっくりとフレーズを追いかけて
 静かに終わっていきます。
 
 第4楽章:アレ?何!?と聴き返すようなフレーズで始まり、ようやく確認が
 できたかと思うと、一気に転がりだすようなメロディが始まります。
 軽快なフレーズをとめどなく始めたかと思うと、
 しばらくして、またアレ?と振り返るようにテンポが一瞬止まります。
 そして、また軽やかに転がりだします。
 こんな感じで何度か立ち止まって確認するようなフレーズを挟みながらも、
 一度進みだすとある程度までは進んで、また確認。
 ちょっと進んでは立ち止まり、が少しコミカルに聴こえますが、
 飛び石をピョンピョンと跳ねるように進むメロディはとても軽快に響きます。
 最後は輝くようなフレーズを聴かせて、無事に最期まで転がりこんで、
 ぴったりと静かに終わります。


とても面白い曲ですね。最初は軽やかに始まったかと思うと、第2楽章では少し悲しくなり、このままいつものベートーヴェン節が始まるかと思いきや、第3楽章ではなだらかに、第4楽章は、なんだか手探りで前に進むような、ちょっと終わり方は拍子抜けする感もありますが・・・、
力が入るところはしっかり入っていますが、終わり方も含めて、ちょっとすかされたような雰囲気が、なんとも特徴的な一曲かもしれません。

≪オススメCD≫
アラウで聴いたんですが、見つけやすかったのがこのCD。
ベートーヴェン:ピアノソナタ第1番&第7番
リヒテル(スヴィヤトスラフ)
EMIミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆☆★★


≪おすすめシチュエーション≫
深い味わいをサラッと聴かせるといったところでしょうか?



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弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」

2009年04月02日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」です。

「ラズモフスキー」という名前がついたベートーヴェンの弦楽四重奏は全部で3曲あります。なので、「ラズモフスキー」というタイトルの後にも、更に「第1番」とかの番号がついてるんですね。(ちょっとややこしい)

そして、3曲まとめてラズモフスキー伯爵に献呈されたので、現在もこの名前で親しまれています。ちなみに、「ラズモフスキー第3番」は前にブログで書いたのでそちらもよろしく。

曲調は、弦楽四重奏という限られた楽器編成の中から、これでもか!と言わんばかりにさまざまな表情を見せてくれます。明るく楽しい表情から、つらく悲しい表情まで、たっぷりといろんなメロディを聴かせてくれる一曲です。

ちなみに、弦楽四重奏なので、編成はヴァイオリン2台、ヴィオラ、チェロがそれぞれ1台ずつで、計4台の小編成のアンサンブルです。



 第1楽章:小刻みなリズムに乗って、チェロのメロディが流れると、
 ヴァイオリンがそれに続きます。
 高音に続き、低音のハーモニーが流れると、チェロがざっくりと刻み、
 ヴァイオリンの華やかなメロディが流れます。
 その後も、弦楽器の華やかなメロディが続き、曲を彩っていきます。
 しばらくすると、最初のチェロのメロディが流れて、少し影のある
 雰囲気になりますが、ヴァイオリンや高音のフレーズが明るく
 しなやかに流れます。
 後半では少し激しいフレーズも続きますが、弦楽器のしなやかに
 流れるような美しいメロディでつなぎ、最後はサラッとしあげて
 終わります。

 第2楽章:ズンズンズンズン!というチェロのリズムに、ヴァイオリンが
 サラリとしたフレーズで入ると、ズンズン!が次第に盛り上がります。
 更に、ズンズンが入ると、今度はヴァイオリンが少し違うフレーズを奏でます。
 弦楽器が入り乱れ、激しく短いフレーズをかき鳴らしていくと、
 急にピタッと音がやみ、少しやわらかな表情を見せます。
 しかし、それもつかの間、また激しく刻む弦楽器が現れると、
 細かく刺すようなフレーズが機敏に動きます。
 しなやかなフレーズを挟みながら、機敏に動くリズムを利用して
 大きく動く展開に、リズムはそれぞれの楽器を渡るように奏でられると、
 最後は堂々と締めくくって終わります。

 第3楽章:中音域の長い音が静かに響くと、それに忍び寄るように、他の楽器
 が加わり、次第に厚みを増していきます。
 芯の通った音がひとつ、貫くように長く響くと、周りの音もそれを気遣うように
 悲しいフレーズを作り出していきます。
 チェロがしんみりと、低音を聴かせたかと思うと、ヴァイオリンが甲高く
 悲しい旋律を聴かせます。
 こんなに美しい響きなのに、雰囲気は悲しくひっそりとたたずむように
 聴こえます。
 やがて、その悲しみが核心に迫ったような音がひとつ、
 そこからはまた、しんみりとゆっくり聴かせます。
 チェロのメロディがじんわりと聴かせると、ヴァイオリンはやさしくその
 メロディを際立たせていきますが、そのやさしさが返って、身にしみるほど、
 切なくつらく響きます。
 後半では、リズムが※ピチカートに変わると、悲しいメロディが余計に響き、
 やがて、こころをしめつけられるような切ない音を聴かせます。
 悲しい胸の内を明かすように、しずしずと告げると、
 ヴァイオリンソロが現れ、ソロはまるで大空を自由に駆け巡る小鳥のように
 スイスイと自由に飛び回っていくように解き放たれると、
 そのまま、4楽章へ~
 
 第4楽章:チェロのフレーズをひとつ挟んで、明るくさわやかな
 ヴァイオリンのメロディを奏でていきます。それまでの事がまるで嘘だった
 かのように、明るく快活なメロディが、スイスイと泳ぐように駆け巡ると
 とても晴れやかな表情が、その有り余る力を存分に発揮するように、
 快活なフレーズを聴かせてくれます。
 チェロのリズムも弾み、ヴァイオリンが楽しげに聴かせると、
 踊りだしそうな勢いもそのままに、楽しく陽気に楽しませてくれます。
 最初のチェロのフレーズを何度か挟みながら、はやる気持ちを
 落ち着かせようとしますが、その度に盛り上がっていきます。
 中盤ではようやく落ち着いて、ゆっくりとした表情を見せますが、
 それでもやはり、弾む気持ちを抑えられず、どんどんと曲は続きます。
 最後は、ひとつ仕切りなおすと、
 ヴァイオリンからメロディをつなぎ、徐々に盛り上がると、
 しなやかなヴァイオリンソロをゆっくり聴かせて、ラストスパートを
 一気に決めてスカッと終わります。
 

演奏時間は40分弱と、結構長めのこの曲ですが、とにかくいろんな表情で聴かせてくれますから、聴いていると時間の経つのも早く感じるかも?!
結構有名なこの曲ですが、実は最近初めて聴いたこの曲。
最初は明るいメロディで始まって、「うん、明るくてイイ感じの曲だな」と思っていると、第2楽章では、ズンズン!のちょっと変わったフレーズに「ややびっくり」、そして、第3楽章の悲しいフレーズ、「やっぱりベートーヴェン、涙を誘う、つらい表情が得意だなぁ」なんて思ったりして、そうこうしているうちに、後半からヴァイオリンソロのイキイキとした表情。そのまま流れ込むように第4楽章。
聴きどころは、やっぱりこの3~4楽章の移り変わりでしょうか?!

ベートーヴェンというと、「交響曲」や「協奏曲」、「ピアノソナタ」他、いずれ劣らぬ名曲がその名を連ねていますが、
これらと比べても決して見劣りする事はない「隠れた名曲」ということが出来るかもしれません。(というか自分が知らなかっただけなんですけど・・・。)

それは、ともかく、クラシックの曲はベートーヴェンに限らず、○月○日、ニューアルバム発売!みたいな事がありませんから、(新曲という意味で)いろんな曲を聴いて、その中から人があまり知らない曲を、「自分で発見した!」と思うと(別にオマエが見つけた訳じゃないだろ!)、何故か意味もなく嬉しくなってしまいますよね。

≪オススメCD≫
スメタナ四重奏団でどうぞ。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番&第8番
スメタナ四重奏団
コロムビアミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
四つの弦楽器が色彩豊かな表情を聴かせてくれます。


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ピアノソナタ第9番 (ベートーヴェン作曲)

2009年02月28日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第9番です。

有名なピアノソナタ第8番「悲愴」と同じ時期に作曲されたこの曲ですが、“悲愴ソナタ”とは一転してケロッとした感じの曲です。

まぁ、次の番号だからって前作をひきずる必要もないですし、新たな展開!?としてもおかしくはないですが、
クラシックの場合ベートーヴェンに限らず、必ずしも「番号が近いから曲調が似てる」わけではないので、その辺は初心者にとって要注意なのかもしれません。

手持ちのCDの解説によると、スケッチ(構想)は4、5年前からあったとされていますから、その時にある程度出来上がっていたのかもしれません。

基本的には明るい曲で、サラッと聴ける曲ですが、敢えて“悲愴ソナタ”と似てるところを探すとすれば、2楽章が若干違うというところでしょうか?



 第1楽章:軽やかなフレーズがポロン♪と流れると、おだやかなメロディが軽快に
 流れていきます。
 自然な感じで次々に進むメロディも心地よく響き、明るく広がるピアノの響きは、
 単純なんだけど、飽きる事無く軽快に続きます。
 途中、低音の和音で何度か仕切りを入れながら、アレンジが加わる度に違った
 結末にたどりつきますが、それでも明るく転がるようなメロディが駆け抜けるように
 最後まで軽快に聴かせてくれます。

 第2楽章:少し暗めのフレーズが響くと、低音と高音が掛け合うように響きます。
 両者は冷静に議論をしているような緊張感も感じます。
 少し落ち着くと、今度は様子を伺うような響きをゆっくり聴かせていきます。
 そして最初のしっかりとしたフレーズに戻ります。最後は結末を言い終わらないうちに
 静かに終わっていきます。 

 第3楽章:小走りなフレーズが軽やかに始まると、そのまま盛り上がっていきます。
 かわいらしいフレーズを挟むと、またすぐに小走りに戻り、
 そのまま駆け昇っていくように、めくるめくピアノのフレーズが舞い上がります。
 どこまでも転がり続けるようなフレーズは軽快に、そしてテクニカルにその
 響きを聴かせると、
 最初のフレーズに戻って、そこから一気に駆け上ってクライマックスを迎え、
 きれいにラストを締めくくります。


演奏時間は全部で約15分足らずと比較的短い曲なので、その意味では聴きやすい曲だと思います。
ちなみに今回聴いた手持ちのCDはクラウディオ・アラウでしたが、下のオススメCDで紹介しているリヒテルの演奏をアマゾンの「視聴する」で聴いてみると結構イメージが違っていて、個人的にはリヒテルの方がベートーヴェンっぽい感じがしました。
アラウはゆっくりと、なめらかな感じなので、これは好みが分かれるところかもしれませんね。


≪オススメCD≫
リヒテルも全部聴いてみたい
ベートーヴェン:ピアノソナタ第9番&11番&12番&27番
リヒテル(スヴャトスラフ)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
短い間に聴きどころのある一曲です。


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ピアノソナタ第6番

2009年01月20日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第6番です。

この曲は番号からも分かるようにベートーヴェンの比較的初期の作品です。
なので、「ベートーヴェンのピアノソナタ」というとガッツリとしたイメージがあるかも知れませんが(自分だけかな?)基本的には明るく、軽やかな曲調になっています。

また、同時期の作曲家ハイドンやモーツァルトの影響もあったのかな?と思わせるような、細かく刻んでいくようなリズムもこの曲の特徴と言えるかもしれません。

1・3楽章は明るく軽やかなメロディですが、2楽章だけは、どことなく憂いを感じるような、後のベートーヴェンを感じさせるような、けだるくもどかしい印象を感じます。



 第1楽章:ズンタ!ポロポロン!と軽やかにはじまるピアノの音色はまるで
 モーツァルトを思わせるような始まりです。
 リズムも小刻みで明るいフレーズに、転がりだすようなメロディが、とても新鮮に耳に響きます。
 一通りのフレーズが終わると、その足取りが細やかになり、凝縮された音符を丁寧に
 聴かせるようなフレーズから、その中に浮き上がるように軽やかな高音もさらに曲調に
 彩りを加えるようです。
 そして、また最初のフレーズ、
 ズンタ!ポロポロン!と始まると、今度は控えめに仕切りなおしたように始まります。
 そのフレーズは徐々に大きくなっていきますが、細やかなリズムの中にも力強さが
 加わったようで、ガッツリと響いてきます。
 大きな響きには、時折、不安を思わせるフレーズも現れますが、平静さを保ちつつ
 曲を展開させていきます。そして最後に・・・、
 ズンタ!ポロポロン!とはじまると、今度は鮮やかにその最後を飾るようにひととおり
 をダイナミックに聴かせると、綺麗に曲をまとめて終わります。
 
 第2楽章:何かをさぐるような中音域のフレーズがさまよういます。
 メロディがそのフレーズを飲み込んでまとめようとしますが、
 今度はまた、そのフレーズが高音域ではじまります。
 どこかしら不安を抱えたまま、訳も分からずに歩きだしていくように、ウロウロと
 どこかへさまよっていくようです。
 しばらくすると、歩き疲れて立ち止まり、辺りを見回すようなゆっくりとした
 フレーズがはじまります。
 冷静になろうとする仲にも、所々で最初の不安のフレーズが刻み込まれていくように
 低音と高音が入ります。
 そして、再び歩き出すと、辺りはすっかり暗くなったように低音のフレーズが
 はじまり、そのまま走り出すように流れますが、やはり不安になったのか、音が
 少なめになると、寂しいメロディが流れてポツンと終わります。
 
 第3楽章:前へ前へと足取りも軽く、後ろなど一切振り返らずにどんどん進んでいく
 ようなフレーズがトントン拍子ではじまります。
 同じフレーズが我先にとばかりに、あふれ出すように次々と現れては消え、
 曲を徐々に盛り上げていきます。
 立ち止まる事をせずに、とにかく前へ、「汽車汽車シュポシュポ!」みたいに
 どんどんと前へ進んでいきます。
 スピードはさほど出ていないハズですが、目の前の景色は次から次へと
 移り変わり、テンポのよいリズムにも乗せられていく感じが、そのリズム感も
 手伝って心地よく響くと、明るくはじけるように、そのテンポを追いかけているうちに
 いつの間にか終点に到着し、あっという間に終わってしまいます。


明るく始まって、元気に終わるので、曲名を聴かずに音だけを聴かされると、「モーツァルトですか?」と聞いてしまいそうな曲ですが、第2楽章には明らかにそれとは違う音になっています。
加えて、第1楽章の中にもフレーズを繰り返すところに「やっぱりベートーヴェンだな」と思わせるところもあったりします。
ただ、後半のソナタとは違って、あっさりとしてフレッシュな印象が強く、サラッと聴ける曲です。
演奏時間も全曲通して聴いても15分前後と聴きやすいサイズだと思います。

≪オススメCD≫
聴いたのはクラウディオ・アラウですが、見つけられなかったので・・・
グルダもいいと思います。
ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調
グルダ(フリードリヒ)
ポリドール

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
あっさりと聴けるベートーヴェンのソナタです。


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ピアノソナタ第24番「テレーゼ」

2008年11月15日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第24番「テレーゼ」です。

ベートーヴェンのピアノソナタでタイトルもついてますけど、何故かそれほど有名じゃないこの曲。他の作品と比べると、全2楽章の小編成という事もその原因のひとつなのかもしれません。

更にベートーヴェンの有名なピアノソナタ「悲愴」「熱情」「月光」みたいないわゆる3大ソナタが暗く激しい印象を与えている事に対して、この「テレーゼ」ソナタは全体的に明るく軽やかなピアノが駆け巡るような作りになっていますから、それも一般的なベートーヴェンのイメージからすると多少はずれているのかもしれません。

ちなみにタイトルの「テレーゼ」はベートーヴェンがこの作品を献呈した伯爵令嬢の名前「テレーゼ・ブルンスヴィック」からのようです。(この時代の定番のパターン)


 第1楽章:しっとりとうなだれるようなピアノがポロリとこぼれるように始まります。
 しばらくゆっくりと流れていたピアノは、急にハッと我に帰ったような表情になると
 にこやかな笑みがこぼれ落ちるように、軽快なリズムとともに転がるように流れ始めます。
 そして時に力強く区切りを付けながら、快活なメロディは留まる事無く流れ続けます。
 流れるようなメロディは活発に、そして繊細に、ときには影を落とすような暗い表情を
 見せながらも流れ続けていきます。
 最後は少し盛り上がりを見せるとさっぱりと終わっていきます。

 第2楽章:元気よくメロディが始まったかと思うと、また勢いよく転がりだすフレーズは
 程よいリズムで心地よく響きます。
 何度も会談をせわしなく上り下りするように目まぐるしく走り、てっぺんまで上ると
 そこからぴょーんとジャンプするように飛び出していくようです。
 その後も何度も激しく上り下りを繰り返しながら、忙しくあちこちを走り回ります。
 そして、最後はあちこち行くもんだから少し疲れたように、少しスピードが遅くなり
 ますが、最後に息を整えてラストのフレーズをしっかり決めてサクッと終わります。



曲の出だしはやや暗めですが、勢いがつくとサクサク聴けますし。全2楽章でも演奏時間は10分足らずと結構短い曲なので、初心者でもサクサク聴ける曲だと思います。
明るく朗らかなベートーヴェンをたまに聴いてみるのも、ちょっとした気分転換になるのかもしれませんね。
そして、そうは言ってもやっぱりベートーヴェンですから、明るさの中にも力強さと、繊細さを兼ね備えている曲でもあると思いますから、ベートーヴェンファンも納得の一曲じゃないでしょうか。

≪オススメCD≫
元気いっぱいのグルダがオススメ
ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ第21番 「ワルトシュタイン」
グルダ(フリードリヒ)
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント

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※ネットだと数が少ないみたいなので、お店で探すといいのかも。

【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
短いけど結構ガッツリ聴けます。


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ピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」

2008年07月21日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」です。

タイトルの「ハンマークラヴィーア」と言うのは今で言うところのピアノの事です。
せっかくなので、ちょっと調べてみると、ウィキペディアでは、ヨーロッパでは、ピアノフォルテと呼ばれていたこの楽器がドイツ語ではハンマークラヴィーアと呼ばれていたためベートーヴェンは、この作品の少し前あたりから、ドイツ語表記を指示している。
とあります。

って事は、逆にベートーヴェンが仮にそこまで、「ハンマークラヴィーア」という名前に固執しなかったとしたら、ピアノソナタ「ピアノ」になってたって事ですか?!それもそれで、かなりインパクトの強い名前になってしまいますが・・・。

それはともかく、曲としては全4楽章のソナタで、CDの解説ほか様々なところから「壮大な曲」として、位置付けられているようです。演奏時間も40分前後とやや長めですが、その分たっぷり聴ける曲です。

そして、何と言ってもこの曲のイチオシは3楽章です。その演奏時間の約半分の時間を要する事もその理由のひとつですが、若干もの悲しい雰囲気がまた、なんともグッとくる一曲です。



 第1楽章:力強くハツラツとした響きがスカッと冴えわたると、ひとつ間をとって
 おだやかでなめらかな響きを入れ、そこから更に駆け上るように、一気に盛り上がると、
 華やかなフレーズを聴かせます。
 少し落ち着くと、キラキラと輝くような可愛らしいフレーズも加えながら、
 様々なフレーズへと展開していきます。
 そこからは、冒頭のフレーズを聴かせてまた、力強くその響きを聴かせていきます。
 どんどん広がるフレーズに変化をつけながら、色とりどりにその曲を聴かせます。
 やがて盛り上がったフレーズは、そのやり場を無くしたように何度も激しく
 ぶつかるように力の込もった響きを聴かせると、それは怒りの表情にも聴こえますが、
 キラキラとした細かなフレーズを間に入れるとその怒りも力にして、
 明るい表情へと変えていくようです。
 そして最後はそれまでの気持ちを整理するように、トン、トンというリズムをつけて
 しっかりとした足取りで歩を進めるように堂々と曲を締めくくります。

 第2楽章:軽やかにスキップでもしているような響きが耳に心地よく始まります。
 強弱をつけながら軽快な序奏(イントロ)を終えると、
 低音をじんわりと響かせながら、何かが近付いてくるような響きが聴こえます。
 やがて、小走りなテンポで一気にこちらに駆け寄ってくると、
 また、最初のスキップのような響きが始まり、軽快に聴かせると、最後は両足で
 ピョンピョンと跳ねるように、力強い響きを聴かせて終わります。

 第3楽章:それまでの雰囲気とはガラリと変わり、静かにポツポツと寂しい響きが
 じんわりと響き渡ります。
 中音域をただようように、広がる音色はにじんだ絵の具のように、ぼんやりと
 ただその音色だけを残していきます。
 その分だけ途中に入る高音のフレーズは刺さるように強く伝わってきます。
 やがて低音で整ったリズムが始まると、寂しげな高音のメロディが始まります。
 その切ないフレーズは、言い知れぬ想いが頭の中を駆け巡るようにゆっくりと
 しかし、ずっしりと響いてきます。
 少し落ち着いて穏やかな表情になりますが、メロディはしっかりとその想いを
 伝えるべく、ハッキリと響かせていきます。
 だんだんと静かになり、音も少なくなっていきますが、
 その気持ちを忘れないかのように、よみがえり、そして切々と語りかけてくる
 ように冷静に、しかし、力強く訴えかけてきます。
 感情的になりそうになるのを抑えるように、おだやかなフレーズを加えながら
 ときには優しくゆっくりと、ひとつひとつを説明するように、丁寧に聴かせて
 いきます。
 そして最後はゆっくりと解けていくように静かに終わります。
 
 第4楽章:中低音がなだらかに響くと、高音と低音がひとつずつ交互にゆっくりと
 響き、静かにその余韻が響き渡ります。
 そうかと思うと、フレーズは一気に高音に駆け上っていきます。
 そして、またひとつずつ聴かせると、今度はその余韻が連打になり、力強く響きます。
 待ってましたとばかりに、テンポは速くなり、フレーズがあふれ出していきます。
 軽やかに流れ出したかと思うと、力強く弾ませたりと、めいっぱいピアノの魅力を
 引き出すべく、次から次へとそのフレーズを重ねていきます。
 音の渦に巻き込まれていくように、めくるめくフレーズの嵐が舞いあがります。
 それがおさまると、ゆるやかなフレーズが始まり、しばらくなだらかな曲が
 続きますが、再び勢いを取り戻すと、勢いよく駆け巡っていきます。
 そして豪快にラストを飾ると、最後はガツンと終わります。


やっぱりちょっと長い曲ので、初心者には「ちょっと・・・」な曲かもしれませんが、ピアノ好きな人なら、じっくりと聴くにはもってこいの曲とも言えるかもしれません。そのたっぷりな演奏時間を使って様々なピアノの魅力を堪能できますし、ひとつひとつのフレーズもじっくりと味わい深く聴かせてくれます。

≪オススメCD≫
ブレンデルでどうぞ
ベートーヴェン:ピアノソナタ第29番
ブレンデル(アルフレッド)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
時間のある時にゆっくりと堪能しましょう!


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チェロソナタ第4番

2008年05月29日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:チェロソナタ第4番です。

「チェロソナタ」なので、チェロのソロにピアノが伴奏を付ける作品です。そしてこのテの曲(ソナタ)はたいてい全3楽章でまとめられていますが、この曲の場合は少々違っているようです。

下の≪オススメCD≫の解説によると、正式には「ピアノとチェロのための自由なソナタ」と題されているらしく、曲は全部で5つのパートに分けられており、このCDではそれを前後2楽章に分けて収録されています。
なので、CDによってはこの5つのパートの分け方によって全3楽章と通常どおりのパターンになっているものもあるようですが、基本的に曲としてはどちらも同じもの。(だと思います。)

と、言う訳で今回は≪オススメCD≫の分け方どおりで紹介してみます。


 第1楽章:Andante(第1部)
 のびやかに、ゆっくりと始まるチェロの響きに、ピアノもそうっと入ると
 とても落ち着いた雰囲気で始まります。
 なめらかで、しっとりとしたチェロのメロディに、彩り程度に添えられた
 ようなピアノがとても上品で味わい深くゆっくりと聴かせてくれます。
 
 Allegro vivace(第2部)
 チェロとピアノはいきなりザックリと刻むフレーズを始めると
 雰囲気もガラリと変わり引き締まった表情になります。
 緊張感と焦燥感をただよわせるイメージになっていきます。
 スピード感があり、みるみる進んでいくフレーズにチェロが、ピアノが
 時々釘を刺すかのようにグサリ、グサリ、と激しく刻んでいきます。
 最後まで力強いフレーズで迫り、曲を締めくくります。 

 第2楽章:Adagio(第3部)
 再び、ゆるやかなチェロが、じんわりと低音を聴かせると、
 ピアノがキラキラとこぼれていくように音をふり注いでいきます。
 分厚いチェロの響きは重厚感たっぷりに聴かせます。
 
 Tempo d'andante(第4部)
 チェロのフレーズが高音に変わると、「ふっ」と肩の力が抜けたように
 さっぱりとしたメロディを聴かせてくれます。 
 ゆったりとしたフレーズがすうっと体にしみるように入ってきます。
 
 Allegro vivave(第5部)
 そうかと思うと、ふとしたきっかけで曲に勢いがつくと、今度はチェロが
 ぐいぐいと引っ張っていくように、進んでいきます。
 そして、曲が一瞬止まったかな?と思うと、まるで様子を伺うような
 チェロが低音からそうっと始まると、また元気よく快活に走り出していきます。
 そうして何度か立ち止まりながらも、終盤に向けてピアノがクライマックス
 を盛り上げていくと、チェロはソロを聴かせて、さっぱりと終わります。  


しっとりと、なめらかにチェロの響きを味わえる一曲だと思います。
冒頭のやわらかなフレーズがとても印象的で、癒しを感じる一曲ではないでしょうか?
途中にやや厳しい表情を見せるところもありますが、基本的には明るく快活な部分も多く、全体的に落ち着いて聴ける曲になっていると思います。

≪オススメCD≫
チェロソナタ3曲入ってます。
ベートーヴェン:チェロソナタ第3番&第4番&第5番
ロストロポーヴィチ(ムスティスラフ)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
落ち着いてゆっくり聴ける曲です。


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