初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

アンダンテと5つの変奏曲

2009年12月25日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:アンダンテと5つの変奏曲(四手のための)です。

「四手のための」というのは、前にもお話したと思いますが、ピアノを2人で演奏するための、という意味ですね。
そして「変奏曲」というのは、ひとつのテーマ(メロディ)を(今回は)5パターンにアレンジしていく、という感じでしょうか。
(詳しくは専門書、及び専門のサイトをご確認ください)

でも、言われないと2人でピアノを演奏してるとかは、ちょっとわからないかも?
この曲は演奏時間も約7分と短い曲ですし、曲調も明るいですから、タイトルこそ小難しいものになっていますが、あんまり構えて聴く必要はないですし、聴く分には初心者向けの曲といえます。


 小さくポロンと始まるピアノは可愛らしくもあり、少しさびしげな表情にも
 聴こえてきます。
 ポツポツと響くピアノが小さなメロディと小さな伴奏で続きます。
 少し明るくゆるやかな表情に変わると、ちょっとおちゃめな演出も見せたり
 してきます。
 伴奏が少し大きくなり、こちらも表情が豊かになると、
 絶妙なバランスで、両者がそれぞれ引き立てあっていきます。
 そして、急に軽やかに転がりだすようにピアノが走り出すと、
 途中で大きく跳ねたり跳んだりとしながらも、着実に前に進んでいきます。
 
 すると、今度は、急に暗い表情に変わり、テンポも落ち着き、
 下を向いて落胆するように沈んだ表情になります。
 
 しかし、さっきまで下を向いていた表情が嘘のように明るく
 激しい表情に戻り、楽しさをふりまくようにしてどんどんと軽やかに
 曲を進めていきます。
 そして、ありったけの話を披露すると、最後は落ち着いて、
 小さくまとまってゆっくりと終わっていきます。


モーツァルトらしいメロディが軽やかに続く聴きやすい一曲ですね。
聴いてる分には軽やかで心地よい響きをサラッと聴かせてくれますが、おそらく弾くと結構難しそうな速いパッセージもありますし、しかもこれを2人で弾いてる訳ですから、さすがプロのピアニスト!と言ったところでしょうか(今更ですが・・・)

≪オススメCD≫
アルゲリッチのピアノです
モーツァルト:2台と四手のためのピアノ作品集
ラビノヴィチ(アレクサンドル) アルゲリッチ(マルタ)
ワーナーミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:★★★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆☆☆


≪おすすめシチュエーション≫
サラリと聴けるピアノ曲です


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コントルダンス「雷雨」

2009年07月11日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:コントルダンスK.534「雷雨」です。

今年は、なかなか梅雨が明けずに、ジメっとした天気が続いているようですが、そんな感じで今日はこの曲。

「コントルダンス」というのはCDの解説によると、モーツァルトの時代に流行った舞曲の種類のひとつだそうです。主に宮廷や貴族の主催する舞踏会なんかで演奏するために作曲されたもののようです。

「雷雨」というと雨音も激しく、派手なイメージがありますが、この曲は、確かに激しいことは激しいですが、ザーっと来てすぐに止んでしまう「夕立」みたいな感じでしょうか?いや、今風だと「ゲリラ豪雨」みたいな感じ??

とにかくすぐに始まってすぐに終わってしまいます。



 弦楽器がじわじわと盛り上がると、
 稲光のようにキラッと歯切れ良い弦楽器が入ります。
 その後も弦楽器がザクザクと刻み、もう土砂降りみたいな雨音が
 ザー!と響いたかと思うと、急に雨脚が静まり、しとしととなり、
 すぐに上がってしまったようにピタリと終わります。


最近テレビで見た「お天気番組」によると、「西はザーザー東はシトシト」という例えがあるらしく、西日本は比較的激しい雨、それに対して東日本は静かな雨脚らしいですが、確かに関東近辺はそれほど激しい雨が降る印象はありませんが、それでもたまに、雨音が部屋の中まで聞こえる程の激しい雨が降ると、「これが噂のゲリラ豪雨か!?」なんて思ったりしますが、どうなんでしょう?



≪オススメCD≫
コントルダンス他、ちょっとした舞曲がたくさん。
リトル・ライト・モーツァルト:音楽の冗談
オルフェウス室内管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆☆★★
哀:★★★★★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
サッとひと雨の一曲です。


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四手のためのピアノソナタ K381

2009年05月27日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:四手のためのピアノソナタニ長調K381です。

「四手のための…」というと、最初は「何だソレ!?」と、ちょっと首をかしげてしまった覚えがありましたが、簡単に言うと要は「2人で弾くための…」という意味なんですね。

また「この2人で弾く」という事を「連弾」と言ったりもしますが、1台のピアノに並んで2人で弾く場合を「四手の~」といい、2台のピアノを合せる場合は、そのまま「2台のピアノのための~」というみたいです。(あんまり詳しくは知らない)

そして、モーツァルトはこの「四手のためのピアノソナタ」を全部で5曲作曲しています。なので、今回はちょっと作品番号をつけてみました。(ちょっとややこしい)

今回の「K381」はモーツァルトが16歳の頃の作品で、姉ナンネルと弾くために作曲された曲のようです。
ぴったりと息の合った演奏が、兄弟2人で仲良く弾いている様子を想像させるような、そんな明るい曲です。




 第1楽章:駆け足で始まるピアノが心地よく走りだすと、
 そのまま転がるように、スッキリと軽やかなメロディが弾みます。
 ぴったりと息の合ったリズムに流れるようなフレーズが
 なめらかに聴こえると、瑞々しく弾けるようです。
 途中、低音をしっかりと効かせてアクセントをつけると
 また、最初の軽やかなメロディに戻り、スルスルと走り抜けていきます。
 勢いよく走りだしたピアノはゴールの地点もぴったりと決めていたように、
 最後はピタッとキレイに止まります。

 第2楽章:ゆったりとした雰囲気の、なだらかなメロディが流れると、
 しっとりと落ち着いた音色を聴かせてくれます。
 やや低音よりのメロディが実に心地よく響くと、ゆっくりと落ち着いて聴けます。
 その雰囲気を壊さないように、やわらかな高音が響くと、
 ほんわりと、暖かなフレーズにキラリと入る響き、
 聴いているうちにだんだん、まどろんでいくようなメロディがなんとも
 耳当たりのよい音色を奏でていきます。

 第3楽章:ダン!ダン!ダン!と目の覚めるような和音を力強く聴かせると、
 小刻みなフレーズが始まり、伴奏とメロディに分かれて曲が進みます。
 伴奏で勢いをつけると、甲高いメロディがそれに乗ってピョンピョンと
 弾むように聴かせていきます。
 高音の着地もしっかりと低音が受け止めるように、
 交互にそれぞれの役割を果たしながら、ピッタリとその音を合せていきます。
 最初のダン!ダン!ダン!のフレーズを合図にするように、
 何度か区切りをつけながら、最後までテンポよく聴かせてくれます。



タイトルを聞かされずに、曲だけを聴くと、「1人で弾いてるんじゃないの?」と思うくらい、スッキリと軽やかに聴ける一曲です。
また、逆に「四手のための作品」と聞いてから聴くと、見事に息の合った演奏が、ニクイくらいに微笑ましい仲良し感たっぷりの曲に聴こえてきます。


≪オススメCD≫
ニッコリと微笑んだ二人の表情が曲を物語るような1枚です。
モーツァルト:2台と四手のためのピアノ作品集
ラビノヴィチ(アレクサンドル) アルゲリッチ(マルタ)
ワーナーミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆★★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆


≪おすすめシチュエーション≫
だれかさんと2人で仲良く聴ける曲?


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弦楽四重奏曲第20番「ホフマイスター」

2009年05月03日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:弦楽四重奏曲第20番「ホフマイスター」です。

この曲は1786年に作曲された曲で、タイトルの「ホフマイスター」というのは人名で、この人のために作曲された、とされています。

そして、多分他にもいろいろエピソードがあると思うんですが、特にCDも持っていないので、解説もなく、ネット検索しても、それっぽい話がすぐにみつけられなかったので・・・。

久々に”弦楽四重奏曲”というのは、ヴァイオリン2台、ヴィオラ1台、チェロ1台の合計4台の弦楽器で演奏する曲の事ですね。

そして、この曲もモーツァルトらしい明るい曲調が魅力的な一曲です。楽器ひとつひとつの音をはっきりと聴かせてくれます。



 第1楽章:スラッとなめらかに入る序奏(イントロ)もあっさりとまとめ、
 ヴァイオリン、チェロと続くフレーズも流れるように入ります。
 しなやかに流れるヴァイオリンにヴィオラ。
 そして再び冒頭のフレーズがスッキリと流れます。
 小刻みなリズムを入れながらも全体としてはしなやかに、ゆったりと
 聴かせるそれぞれの弦の響きがハッキリと伝わります。
 ヴァイオリンが一瞬キリリと響くと、少し曲調が変わり、キビキビとした動き
 になりますが、
 次第に元のフレーズに変わり、ゆったりと聴かせると、
 小さくまとめて、静かに終わります。

 第2楽章:なめらかなヴァイオリンがスルリと始まると、ゆったりとした
 メロディがしなやかに広がっていきます。
 リズムが少し速くなると、響きも鋭く、やや緊張感を持ったフレーズが
 続きますが、それもすぐにもとに戻り、なめらかな響きを聴かせて終わります。
 
 第3楽章:弦楽器の優しい和音を、そうっと聴かせると、その中からヴァイオリンの
 音色がすっと浮きたつように現れていきます。
 美しいヴァイオリンの音色を、他の弦楽器が包み込むように合わせると、
 気を遣うようにやさしくそのメロディを聴かせていきます。
 伸びやかなヴァイオリンの響きをじっくり聴かせると、ヴィオラ、チェロも
 それに合わせてしっとりとした音色を響かせます。
 ゆったりとしたアンサンブルを十分に聴かせてくれると、最後もそうっと
 終わっていきます。
 
 第4楽章:ヴァイオリンがチラ、チラッと見え隠れするように始まると、
 小さくそのフレーズを始め、次第に周りを巻き込んでいきます。
 序奏(イントロ)が終わると、
 小刻みなリズムが始まり、ヴァイオリンがその間を縫うようにスルスルと
 メロディを奏でていきます。
 小刻みなリズムを巧に利用しながらさらりと、そのフレーズをのせて
 楽しそうに歌っていきます。
 最後までほどよい速さで軽快にそのメロディを聴かせると、
 サクッと曲を終わります。
 


ヴァイオリンを中心に伸びやかに聴かせるフレーズが、とても艶やかに響く曲です。5月の陽気に晴れやかに響きますから、連休中のドライブなんかのときにドライブで聴いても、スッキリさわやかな一曲かもしれません。


≪オススメCD≫
アルバンベルク四重奏団でどうぞ。
モーツァルト : 弦楽四重奏曲第15番、第16番、第20番
アルバン・ベルク四重奏団
ダブリューイーエー・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:★★★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
スッキリなめらかな弦楽四重奏です。


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ヴァイオリンソナタ第24番

2009年04月07日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:ヴァイオリンソナタ第24番です。

1778年に完成された。とされているこの曲は、当時世話になっていたというゼラリウス家の令嬢ピエロンに献呈されているようです。

「ヴァイオリンソナタ」なので、ピアノ伴奏によるヴァイオリンソロのシンプルな曲です。

モーツァルトらしい、明るくさわやかな曲調が春にはぴったりの曲かもしれません。



 第1楽章:弾むピアノに、しっかりと合わせるヴァイオリン。
 転がるピアノの上を、上手に乗り継いでいくように華麗に響くヴァイオリン。
 明るくスッキリとしたフレーズが楽しく広がっていきます。
 後半では、ピアノのリズムが低音になると、ヴァイオリンがしなやかにも
 少し影を落とす表情を見せますが、
 すぐに明るい表情を取り戻し、ピアノと共ににこやかに明るいメロディを聴かせ、
 スッキリと終わります。

 第2楽章:ゆっくりとしたピアノのリズムに、しっとりと低音で支えるヴァイオリン。
 のんびりとしていますが、ちょっとため息でもついたような表情が、
 肩の力を抜いてゆっくりとそのフレーズを聴かせてくれます。
 少し立ち止まっては、何か考えてみたり、という風な感じが続き、
 メロディがヴァイオリンに変わると、なめらかで魅力たっぷりの、ゆるやかな
 フレーズが続くに連れて、なんだか切ない気分にも感じてしまいます。
 そして、ゆっくりと静かに余韻を残しつつ終わります。

 第3楽章:かわいらしいピアノのメロディにヴァイオリンが入ると、明るくなり、
 両者が交代でリズミカルにフレーズを交わしていきます。
 小走りでスキップでもするように、軽快に聴かせるふたつの楽器が、
 さわやかに響くと、特に派手にはなりませんが、華やかにサッパリと楽しく
 その曲を聴かせ、スッキリと最期を締めくくります。


スッキリとシンプルに流れるヴァイオリンにピアノ。さわやかに聴けるこの曲は、春のイメージにぴったりかもしれません。
決してテンポが遅い訳じゃないんですが、ゆったりとした雰囲気を持っているのは、モーツァルトの曲のなせる業なのか?演奏者の技量のなせる技か?
とにかく、落ち着いた感じでのんびりと聴ける一曲です。


≪オススメCD≫
画像はありませんが、聴いたのはこれです。
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第32番/同第25番/同第28番/同24番
セル(ジョージ)
ソニーレコード

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:★★★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
春に、さわやかに聴ける曲です。


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ディヴェルティメント K138

2009年03月05日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:ディヴェルティメントK138です。

このブログでは、おそらくかなり初期のころに一度紹介した「ディヴェルティメント」ですが、結局それっきりになってしまってましたのでかなり久々にこの曲です。

“ディベルティメント”という言葉自体をあまり聞きませんが、「goo辞書」で調べると、「一八世紀後半に愛好された器楽合奏曲。比較的短い楽章からなり、楽器編成も小さい。嬉遊曲 (きゆうきょく)」
ということみたいです。

まぁとにかく「楽しい曲」って事ですよね。さらに小編成とあるように、ほぼ弦楽器のみで演奏される事が多く、弦楽四重奏でも演奏されるみたいです。

「18世紀」という事ですし、現在のようにコンサートホールで大規模に・・・というよりは、貴族の豪邸でちょっと軽く聴く程度に・・・くらいの感覚だったのかもしれません。

曲は、その名の通り、明るく軽やかで、もう、これぞモーツァルト!って感じでしょうか?



 第1楽章:タン!タン!タン!と始まる軽やかに弦楽器のフレーズがはじまると、
 その後もなめらかなフレーズが続き、瑞々しい弦楽器の響きが冴えます。
 流れるようなフレーズに、輝くような彩りを加えながら、
 軽快なリズムに乗ってスラスラと曲は進みます。
 途中では、少し走りすぎて苦しそうなフレーズも出てきますが、
 タン!タン!タン!のフレーズが現れると、何事も無かったかのように
 スルスルと心地よく最後を飾ります。

 第2楽章:ゆったりとしたヴァイオリンのフレーズがよこたわるように
 なめらかに走ります。
 フレーズを描く曲線から時折輝きさえも感じるような美しいその響きに
 うっとりと聴き入ってしまいます。
 また、低音の伴奏にしっとりと静かに聴かせるヴァイオリンもほどよくつやがあります。
 やがて、メロディはしなだれるように、うつろな響きを聴かせますが
 とても色っぽくその演奏を奏でていきます。
 最後はヴァイオリンがゆっくりとしなやかに聴かせます。

 第3楽章:勢いのあるフレーズが元気に走りだすと、ウズウズと我慢しきれずに
 飛び出すように次々とフレーズをつないでいきます。
 軽快なメロディに少し休憩を入れて様子を伺うと、
 ピチカートの可愛らしいフレーズが、ピョンピョンと飛び跳ねます。
 最後はやっぱり元気なフレーズでサクッと終わります。


3月に入りましたが、まだまだ寒いこの季節。こんな曲を聴けば、すぐに花も開きそうな、そんな明るく、さわやかなイメージの曲です。
演奏時間も全3楽章でも約10分と短い曲なので、聴きやすいですから初心者にも間違いなくオススメの一曲です。
ちなみに、曲名のうしろについてる「K138」というのはモーツァルトの作品番号の事です。(K=ケッヘル)「ディヴェルティメント」という名前の曲はたくさんあります。

≪オススメCD≫
ディベルティメントがいろいろ。
モーツァルト : アイネ・クライネ・ナハトムジーク&3つのディヴェルティメント
アムステルダム・バロック管弦楽団
ワーナーミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆☆
怒:★★★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
早く春よ来い。


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行進曲第1番

2009年01月31日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:行進曲第1番ニ長調K335(320a)です。

行進曲(マーチ)というと、スネアドラムのリズムが響き、バスドラムがズシン!と鳴って、シンバルがドシャーン!と決める。
みたいなイメージがありますが、ことこのモーツァルトのマーチには一切ドラム類が出てきません。まあ、時代背景もあるんでしょうが、そういう意味では行進曲のイメージを一新したような曲と言うことができるのかもしれません。

でも、行進曲なので、イメージでいうと王宮なんかで赤じゅうたんが敷きつめられた広間に、謁見とか、授与式みたいな式典のときに、受賞者が入場してくるときに流れてきそうな音楽。
と言ったところでしょうか?

曲はオーボエのメロディを中心に、落ち着いた明るいフレーズが響き、トランペットなんかも、ごくごく控え目に飾り程度についている雰囲気ですが、逆にそれが高級感の漂う感じになっていたりもします。



 キリリと引き締まった弦楽器の序奏(イントロ)が始まると、低音のリズムに
 ヴァイオリンのさわやかなフレーズが走り、トランペットが軽くふんわりと彩りを加えます。
 オーボエの軽やかなフレーズが入るとやわらかな雰囲気になります。
 最初のフレーズに戻り、仕切り直すとオーボエ、トランペットが更にフレーズを
 重ねていきます。
 少し落ち着くと、弦楽器はひそひそとなっていき、低音から少し怪しげな表情になりますが、
 トランペットが響くとすぐに元に戻り、元の曲調になります。
 改めて元のフレーズを一通り繰り返すと、オーボエのメロディを中心にトランペットを
 軽やかに聴かせると最後はあっさりと締めくくります。



CDの解説を読むと、「ポストホルン・セレナードの開始曲として書かれた作品・・・」ともありますから、オープニングテーマとしてのマーチの意味合いが強いのかもしれません。
また、CDには「行進曲第1番」と表示されていましたが、
細かく言うと「行進曲第1番二長調K335(320a)」という風になっています。(一応念のため)
更に、ネットでザックリ検索してみるとモーツァルト作曲の「行進曲」とタイトルがつく曲はかなりあるようで、ちょっと紛らわしいので頭には全部付けてみました。

≪オススメCD≫
このCDに入ってますが、Amazonでは売切れみたいです。

モーツァルト:音楽の冗談
オルフェウス室内管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆★★★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆★★


≪おすすめシチュエーション≫
いつもと違った感じの行進曲です。


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弦楽五重奏曲第4番

2008年11月28日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:弦楽五重奏曲第4番です。

“弦楽五重奏”と言うと一般的にはあんまり耳慣れない編成ですが、ヴァイオリン2台、ヴィオラ1台、チェロ1台のいわゆる“弦楽四重奏”にヴィオラをもう1台加えた編成が一般的な“弦楽五重奏”と言われています。

そして今回の弦楽五重奏も編成としてはスタンダードなものになっています。この第4番は、作品番号からしても「弦楽五重奏第3番」とほぼ同じ時期に作曲されていますが、「第3番」がとても明るくハツラツとしているのに対して、やや暗く悲しい響きのある作品です。しかし、後半(第4楽章)に入るとモーツァルトの持前の明るさが際立つ作品になっていますから、最後までじっくりと味わえる一曲だと思います。


 第1楽章:物哀しいヴァイオリンの響きが寒々しく響くと、小刻みなリズムは震える
 ようにも感じてしまいます。
 淡々と響くリズムに、つれないメロディが何故か悲しく響いてきます。時折その後を
 追うチェロのフレーズもどこか寂しく響きます。
 ヴァイオリンの響きが徐々に高くなるにつれて、どうにも息苦しく迫るものを感じます。
 そして、その後に低音からじんわりと響くチェロも一層その雰囲気を深くしていきます。
 たまに明るく響くフレーズも全体の雰囲気のせいか、どうもその切なさだけを浮き彫り
 にさせるだけのように虚しく感じてしまいます。
 後を引くように未練を感じるような、どうにも切ない曲調が続き、最後も拭いきれない
 不安を抱えながらそれを、なんとかして振り切るような

 第2楽章:もどかしいフレーズのヴァイオリンの響きに、その他の弦楽器がザックリと
 刻んでいきます。
 断ち切れぬ想いを何度も振り返るようなヴァイオリンのメロディはが、とても切なく
 か細い音色に聴こえてきます。
 しかし、中盤ではようやくその想いを振りきったように、少し穏やかな表情に変わる
 ヴァイオリンは、とても温かくやわらかな響きを聴かせてくれます。
 ヴィオラ・チェロも穏やかなハーモニーでそれを包み、ゆっくりと落ち着いた響きで
 ゆったりと聴かせてくれますが、
 やはり最初のフレーズに戻り、悩ましげな表情が現れると、とても複雑な心境を
 感じさせられてしまいます。

 第3楽章:悩んだ末に疲れ果てたように、ひっそりと、じわじわ聴かせる弦楽器。
 体の力が抜けて、ぐったりと倒れ込んでしまうようなフレーズに、
 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロがそれぞれ、ゆるやかに響いていきます。
 うっすらと灯る明かりの中で静かに目をつむって、瞑想でもするように静かな
 メロディが流れます。
 しかし、目をつむっても悲しい想いは消えず、どうしても切ない気持だけが浮かび
 あがってくるようです。
 そして、その消せない想いがよぎるまま、ふっと、やわらかなメロディが流れると
 何故か目頭に熱いものがこみ上げてくるように、それまこらえていたものが頬を
 伝って流れだしていくように、静かに響いていきます。
 そしてそのまま、ゆっくりとそれまでの出来事を思い出すように続いていきます。
 悲しい思い出を、どうにか笑って話せるように考えを巡らせているかのようです。
 どうにか明るい考えにしようと必死に努力しているようなフレーズが続き
 希望を見つけるようにやさしいメロディを響かせ、最後はどうにかゆっくりと
 落ち着いて穏やかに終わります。 
 
 第4楽章:ポツンと低く呟くようなチェロの※ピチカートは、深々と静かに降り積もる
 雪のようにも感じます。全体的に低い伴奏の中に、ひとつだけ高く響くヴァイオリンの
 メロディが悲壮感たっぷりに空を見上げるように響くと、そのえも言われぬ悲しみが
 伝わってくるようです。
 そして、しばらくすると、急に曲調が変わりヴァイオリンは跳ねるように明るい
 メロディに変わります。
 それまでの暗く思い悩んでいた事がまるで嘘だったかのように明るいメロディが
 はしゃぐように舞いあがっているようです。
 伴奏もいつの間にか明るい雰囲気に変わり、白銀の世界には明るい太陽が照りつけて
 その積もった雪をキラキラと輝かせるように明るく楽しいリズムにまるでスキップ
 でもしているかのように、ゆかいにはしゃぎます。
 伸びやかなリズムに変わると、とても晴れやかなフレーズが楽しく響いてゆきます。
 それまでの暗く沈んでいた時間を取り戻そうとするかのように明るく、華やかな
 音色が広がっていきます。


モーツァルトにしては珍しく短調の作品で、始まりも悲しく叫ぶような悲痛な曲に感じてしまいますが、聴きどころは第3楽章で突然、緊張感が切れたかのように温かくじんわりと響きを聴かせるところが、なんとも味のある一曲になっていると思います。
第4楽章ではまた暗さが戻ったのかと思いきや、明るくはちきれんばかりの曲調がなんとも変化に富んだ作品ですが、その前後の変わり目や前半と後半の対照的な内容が、これまたグッとくる曲の内容なのかもしれません。

≪この曲のCD≫
モ-ツァルト/弦楽五重奏曲全集 III
ウィーン弦楽五重奏団
カメラータ・トウキョウ

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一応アマゾンではコレしか探せませんでしたが、実際に持っている録音は
グリラー弦楽四重奏団とVlaウィリアム・プリムローズの演奏で聴きました。


【コレってどんな曲】
喜:☆★★★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
じんわりと聴ける一曲です。


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ピアノ協奏曲第22番

2008年07月27日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:ピアノ協奏曲第22番です。

モーツァルトのピアノ協奏曲は、番号で言うとこの第20番代あたりからは比較的有名な作品とされていますが、それでも、この第22番は一般的にはそれほど有名と言える作品ではないのかもしれません。

ただ、やはり20番代は名作と言われるだけあって、聴き応えも十分に味わえる一方、比較的サラッと聴けてしまうから不思議なものです。
1・3楽章は例によって明るくさわやかな作りになっていますが、2楽章が、なんとも絶妙と言うか・・・、ただ単純に暗いとか悲しいとか言うだけではなくて、誰でも日常で感じた事のあるような“心のすき間”みたいなものを感じる一曲です。

続く3楽章も2楽章をうまくフォローしているように聴こえてしまうのが、なんとも心憎い演出のように感じます。
また、そのあたりの微妙な心境の変化みたいなのも、演奏家によって若干違ってくるのかも知れませんが、そんなところも含めて、味わい深い一曲と言えるのかもしれませn。


 第1楽章:ずっしりと華やかなオーケストラからはじまると、その後を
 弦楽器とフルートが、しなやかに流れていきます。
 鮮やかなオーケストラの前奏(イントロ)が終わると、涼しげなピアノの
 フレーズがきめ細やかに、流れます。
 途中に低音弦楽器を交えてインパクトをつけると、ピアノの響きがより
 一層輝くように引き立って聴こえてきます。
 その後も華麗なピアノソロを、丁寧にそっと支えるようにオーケストラ
 が演出しながらつづきます。
 中盤では弦楽器が、少し立ち止まるように刻むと、ピアノのフレーズも
 若干険しい表情を見せますが、ピアノソロは、あくまでもエレガントに
 華やかに響きます。
 その後も何度か、ずっしりとした最初のフレーズを挟みながら、流れる
 ようなピアノが続いていきます。
 そして、最後はピアノソロをたっぷりと聴かせると、弦楽器で奇麗に
 まとめて締めくくります。
 
 第2楽章:弦楽器のひっそりとした演奏がはじまると、どことなく冷んやりと
 したフレーズが、寂しげに聴こえてきます。
 悲しげな弦楽器が盛り上がると、ピアノが静かに始まり、甲高い響きが
 とても切なく突き刺さります。
 途中ホロっと崩れるような響きが聴こえると、じわっと何かが伝わって
 くるようです。
 しかし、その後はフルートやクラリネットが、温かくそれを包みこむように
 優しく響くと、どこか救われたようにも感じます。
 ところが、再びピアノが始まると、やはり切なくやりきれない思いを
 打ち明けるように、悲しいフレーズが続きます。
 すると、今度はそれを受け止めるようにフルート、ファゴットが優しく
 響きます。
 やがて弦楽器が口を挟むように刻むと、険しい表情になっていきます。
 そして、何か重たい荷物を引きずるようなフレーズになり、
 最後までそれを引きずるようにして終わっていきます。

 第3楽章:ふっきれたかのようにして弾むピアノから始まると、重たい低音の
 弦楽器も、それに連られるように弾んでいきます。
 一通りが終わると、あっけらかんとしたピアノソロが、始まりますが
 徐々に勢いをつけると、1楽章の勢いを少しずつ取り戻していくように、
 どんどんと流れていき、徐々に明るい表情に変わります。
 クラリネット、フルートなどが少しずつ加わると、更に盛り上がり、
 遂には弦楽器までも、奇麗に冴えわたっていきます。
 途中では、いちど落ち着いてクラリネットが柔らかい音を聴かせると、
 ピアノもそれを飾るようにとても奇麗なフレーズで、しなやかに
 きらめくような明るい、音色を響かせていきます。弦楽器は、まるで
 そよそよと、そよぐ風のように涼しげに、さわやかな心地にさせてくれます。
 すると、クライマックスに向けてオーケストラと共にピアノが鮮やかに
 聴かせると、ピアノソロを挟んで、華やかに最後を賑わせて
 奇麗にまとめていきます。


ちなみに今回、聴いたのはFM放送をエアチェックしてたMDからで、
演奏は、ファビオ・ルイージ指揮のウィーン交響楽団 ピアノ:上原彩子 
でしたが、アマゾンではCDが無かった(ライブ録音っぽかったので売ってないのかな?)ので、下の≪オススメCD≫は代表的と思われるバレンボイムにしてみました。
作品にサブタイトルがついていないので、一般的にはあまり有名と言える曲ではないのかもしれませんが、いろいろ探しながら、自分の名曲を発見するのもクラシックの楽しみのひとつですよね。


≪オススメCD≫
バレンボイムも聴いてみたい
モーツァルト : ピアノ協奏曲第22番変ホ長調
イギリス室内管弦楽団
EMIミュージック・ジャパン

このアイテムの詳細を見る


【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆★★★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
涼しげで、さわやかに聴ける一曲です。


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ピアノ協奏曲第25番

2008年06月07日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:ピアノ協奏曲第25番です。

モーツァルトのピアノ協奏曲の「20番代」は人気のある作品が多いですが、その中でも有名なものは「第20番」「第21番」「第26番(戴冠式)」なので、今回紹介する『第25番』はそれに次ぐ存在で、CDでもそれらの曲とのカップリングとして、使われる事が多いようです。

更に言えば、特にサブタイトルもついていないので、モーツァルトの他の曲と比べても、一般的にはそれほど、知名度のある曲とは言えないようです。
ただ、モーツァルトの曲の場合は知名度うんぬんだけでは、その魅力が伝えきれないところがあると思います。

そして、ピアノ協奏曲は基本的にピアノソロにオーケストラが伴奏をつける曲ですが、
もちろんこの曲もオーケストラが豪快にキメるところもありますが、比較的ピアノ部分は独立していると思います。管楽器がほどよくサポートする感じがなんとも心にくい演出に聴こえますし、オーケストラ部分とのメリハリがきっちりとついている作品です。


 第1楽章:快活なオーケストラサウンドがドドーン!と響くと
 木管楽器で間をつなぎながら、華やかなフレーズが勢いよくあふれ出すように
 明るいメロディが広がっていきます。
 低音で一旦引き締めると、流麗なフレーズでその後をスイスイと続けます。
 賑やかなオーケストラサウンドが、終わったかと思うと、少し静かな曲調の中に
 ひょっこりと顔を出すようにピアノが、ひっそりと始まります。
 チョコマカと動き周るピアノとは対照的に、豪快なオーケストラがそれを
 大きく引き立てていきます。
 流麗に淡々と流れるピアノのフレーズを、そっと支えるようなフルートや
 オーボエは、決して前面には出ずに、あくまでもピアノのサポートに徹します。
 その分間奏のオーケストラはダイナミックに大きく響いていきます。
 中盤では、ピアノの表情に少し影が見えてきますが、
 ダイナミックなオーケストラが入ると、すぐにその勢いを取り戻し、
 細やかに流れるようなフレーズを奏でていきます。
 そして、最後にはカデンツァ(アドリブソロ)を聴かせると、
 ラストはトランペット、ティンパにを交えて豪快に、でもあくまでも
 華麗に聴かせてしめくくります。

 第2楽章:弦楽器にフルートを加えた、やわらかい響きで始まるり、
 それにホルンが加わると、温かみが増していきます。
 ゆっくりと弦楽器が刻み、おだやかな気持ちになると、
 ピアノは一歩ずつゆっくりと階段を降りてくるように、静かに響きます。
 まるで、そのピアノの余韻のように弦楽器が、そしてホルン、オーボエが
 やわらかく響くと、甘い香りが一面に広がっていくように、
 華やかでふわふわと、揺られているようなふんわりとした雰囲気になります。
 ゆっくりと流れるピアノの音色に、おだやかに流れるヴァイオリン。
 ふんわりとしたホルン。なめらかでツヤのあるオーボエ。
 どれひとつとっても、まどろみの世界へ誘ってくれるようなゆっくりとした
 時間が最後までつづいていきます。

 第3楽章:キリっと引き締まったヴァイオリンのフレーズがさわやかに始まると、
 それは徐々に大きくなり、ハッキリとした前奏(イントロ)をしっかりと
 聴かせます。
 前奏が終わると、軽やかに弾むピアノが軽快に始まり、そのまま一気に駆け廻る
 ように、次へ次へと進んでいきます。
 一通りを聴かせると、今度は3楽章冒頭のフレーズを今度はピアノだけで聴かせ、
 同じフレーズにアレンジをつけながら、オーケストラにそれを引き継ぐと、
 今度は低音の弦楽器が同じく繰り返します。
 そこから、曲調が少し変わり、影の差すような雰囲気になり、少し悩んだように
 も聴こえてきますが、
 再び最初のフレーズが聴こえてくると、また楽しそうにリズムは弾み、
 流れるようにさわやかなピアノが聴こえてきます。
 そして最後まで、その明るい曲調を保ちながら、スカッとさわやかにラスト
 を決めます。
 

他の曲と比べても、ピアノ部分が特に際立って聴こえる作品だと思います。
全体的に明るい曲調は、とても聴きやすい曲です。1楽章は瑞々しく、2楽章はうっとりと、3楽章はさわやかに聴ける曲です。
演奏時間は30分弱と、やや長めですが、その分モーツァルトの魅力をたっぷり楽しめる曲と言えるのかもしれません。

≪オススメCD≫
第26番の戴冠式と一緒に入ってます。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番/同第26番「戴冠式」
バレンボイム(ダニエル)
EMIミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆★★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
ここちよく響くピアノとさわやかな管弦楽です。


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