初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

喜歌劇「ウィーンの朝、昼、晩」序曲 (スッペ作曲)

2009年12月12日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はスッペ:喜歌劇「ウィーンの朝、昼、晩」序曲です。

さて、先日もコメントで頂いていたこの曲ですが、せっかくなので紹介してみようと思います。
ほぼ初見、というか初耳状態ですが、そこはそれ、スッペの序曲ですから、初心者感覚でも明るく楽しく聴ける曲だと思います。

そして、いつもなら「喜歌劇」なので、あらすじは・・・、といきたいところですが、ネットでサラッとさがしても、見つからなかったです。
尚、CDの解説によると、「ウィーンの生活を描いた寸劇のための序曲で、夜のウィーンのさんざめきを描写している。」との事。

ラストはにぎやかに終わる序曲ですが、前半のチェロのフレーズがしなやかに響くところなんかも聴きどころの一曲です。


 ジャーン!と始まると、※ピチカートで区切りをつけながら、なめらかなトランペット、トロンボーンがしなやかに響き、
 弦楽器が鋭く刻みます。やがて金管楽器が広がっていくと・・・、
 チェロの哀愁漂うしなやかな響きが流れてきます。
 艶っぽくもあり、物哀しい響きがなんともじんわりとしみわたるメロディを
 奏でていきます。
 すると、弦楽器が徐々に大きく広がっていくと、チェロの響きにも、
 優しい表情が見えてくるように、温かいフレーズに変わっていきます。
 そしてまた、ジャーン!と響くと、今度は弦楽器が、せわしなく焦燥感のある
 フレーズで迫ります。
 しかし、トランペットが軽やかに響くと、曲調はにぎやかになり、
 トロンボーンが響きスネアドラム(小太鼓)が響くと、リズムを取りながら、 明るい表情に変わります。
 やがて、スネアドラムとトランペットが掛け合い少しずつ盛り上げていくと、
 なめらかな弦楽器がスイスイと広がり、徐々に大きく盛り上がっていきます。
 シンバルが響くと、ラストスパートのように華やかになっていきます。
 更にトランぺットがリズムを付けると一層盛り上がっていき、
 最後はトランペット、トロンボーンがファンファーレを鳴らすと、
 盛大なエンディングを華やかに飾ります。
 

このテの序曲で言うと、ロッシーニの「ウィリアム・テル」とか、同じスッペの「詩人と農夫」なんかでも序盤でチェロのソロをしっとりと聴かせる部分がありますから、ひょっとしたら、このあたりの時代の流行りの序曲の作りだったのかもしれないですね。
いずれにせよ、せつなく響くチェロの響きとは対照的にラストはドカン!と盛り上がるこの迫力!
「序曲はやっぱりこうでなきゃ!」と思うのは自分だけでしょうか?

「スッペ」と言っても一般的にはなかなか馴染みの薄い作曲家かもしれませんが、この曲も比較的、序曲のみで演奏される機会のある有名な一曲のようです。
緩急がしっかりとついていて、「序曲」なので演奏時間も10分もかからないので、初心者にも間違いなくオススメの一曲ですね。

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歌劇「ルイザ・ミラー」序曲  (ヴェルディ作曲)

2009年09月25日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はヴェルデイ:歌劇「ルイザ・ミラー」序曲です。

ヴェルディの歌劇を代表するひとつと言えるこの作品。
原作はドイツの詩人シラー(ベートーヴェンの「合唱交響曲」の歌詞を書いた人)の「たくらみと恋」をモチーフにしたとの事。
ちなみにタイトルはヒロインとなるチロルの村娘の名前です。

そして歌劇のあらすじは・・・、
17世紀のチロルを舞台にした物語。村娘ルイザは、領主の息子であることを伏せたロドルフォと付き合っていました。
ある日、以前からルイザの事を狙っていた領主の家来ヴルムから婚約を迫られますが、首を縦に振らないルイザにロドルフォが領主の息子である事を告げます。
更にヴルムは領主ワルター(ロドルフォの父)に息子が村娘に恋をしていると告げ口し、2人の仲を引き裂こうと画策します。

領主ワルターも息子ロドルフォのためにと、フェデリカを妻に迎えようとしていたため、彼女も巻き込んでの大芝居を打ちます。ルイザの父親を人質に取り、泣く泣く嘘の(領主の財産目当てだった旨の)手紙を書かせ、ロドルフォにこれを読ませます。

偽りの手紙に憤慨したロドルフォは、ルイザに毒を盛りこれを飲ませます。死を悟ったルイザはロドルフォに真実を話すと、後悔の念に駆られるロドルフォですが、もう後の祭り。
ロドルフォも自ら毒を盛った水を飲みルイザの後を追おうとしますが、そこ家来ヴルムと父ワルターが現れると、最後の力でヴルムを刺し、父ワルターに「あなたの罪だ」と言い残して倒れこむのでした・・・。
という悲劇の物語。




 中低音の弦楽器が薄暗い影を落とすようにすうっと始まると、
 更にガサガサと、何かがうごめくような弦楽器のフレーズが続きます。
 そして、急に盛り上がると劇的な展開へ、
 思わぬ出会いに、慌てふためき、驚いて何かを取り繕うように
 あたふたと続きます。
 しかし、クラリネットのなめらかな響きが始まると、
 何やらうっとりと聴き入ってしまうような艶やかなメロディが広がっていきます。
 やがて、弦楽器がまたザクザクと刻み始めると、緊張感が増していき、
 盛り上がっていきます。
 そして、その盛り上がりを制するように、フルートや弦楽器が細かな
 フレーズでつなぎます。
 更に、劇的なフレーズが続くと、
 また、やわらかなクラリネットの音色が・・・・
 しっとりと流れていきます。
 そして、いよいよラストへ向けて、フルートが明るいメロディを静かに
 奏でると、それをステップに弦楽器が入ると、また少しずつ盛り上がっていきます。
 最後はシンバルやトロンボーンが、力強く打ち鳴らされると、
 華麗なフィナーレと共に曲を終えます。
 

例によって序曲しか聴いたことはありませんが、あらためて物語のあらすじを調べてからこの序曲を聴いてみると、確かに劇的な展開のこの音楽がなんとも、ズバッと刺さるようです。
もちろん歌劇全曲のCDもありますが、まずは序曲からというのも、アリだと思いますし、この曲自体も序曲のみで演奏される事も結構あるようです。


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ヴェルディ:オペラ序曲・前奏曲集
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ドラマチックな悲劇ですよね。


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「タンタルスの苦悩」 (スッペ作曲)

2009年05月07日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はスッペ:「タンタルスの苦悩」序曲です。

この曲は1868年に初演が行われた作品のようです。
そして、一応「オペレッタ」(喜歌劇)なので、いつものようにあらすじは・・・、といきたいところだったんですが、ちょっとそれらしいのが探せなかったので、CDの解説から少し。

「ギリシャ神話を題材とする風刺のきいたオペレッタ。ゼウスの息子タンタルスが地獄に追放されて罪をあがなう物語」とのこと。

タイトルに「苦悩」とついているから、ちょっと暗い曲なのかな?と思いきや、軽やかなリズムに軽快なフレーズが明るく華やかな一曲です。
強いて言うなら、序番であらわれるクラリネットソロが多少悩ましげなフレーズかな?と思うところもありますが、伸びやかなソロは「苦悩」というより、「まったり感」があふれるのどかな雰囲気。

とにかく明るい曲調なので、これなら初心者にもオススメの一曲です。




 トランペットと供に軽快に流れる弦楽器の響き、陽気なリズムから始まります。
 序奏(イントロ)のリズムが終わると、
 クラリネットのなめらかなメロディが、ゆったりと艶っぽく奏でられると、
 ついうっとりと聴き入ってしまいます。
 たっぷりと聴かせるクラリネットに続くフルートの音色も涼しげに、
 ほどよく響くソロが魅力的です。
 ささやくようなリズムの弦楽器に、答えるようなクラリネット、フルート。
 リズムが変わり、少し速めのワルツ風のテンポに変わると、
 トライアングルのリズムも心地よく響き、徐々に勢いがついていきます。
 スネアドラムが響くと、元気いっぱいのテンポでトランペットも明るく響きます。
 冒頭のトランペットのフレーズが現れると、陽気なリズムに気分も弾み、
 明るくクライマックスを迎えて、トランペットも華やかに賑やかにラストを飾ります。
 

ラストの盛り上がりも華やかに明るく、スッキリと楽しめる一曲です。ストーリーの詳細が分からないのでどんな「苦悩」があるのかは知りませんが、序曲だけなら十分に明るく楽しめる一曲です。

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ちょっとした「苦悩」もなんのその!?


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歌劇「イタリアのトルコ人」序曲  (ロッシーニ作曲)

2009年04月18日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はロッシーニ:歌劇「イタリアのトルコ人」序曲です。

1814年に作曲されたこの曲は、以前ロッシーニが作曲した「アルジェのイタリア女」とそのタイトルが、どことなく似てる…?、という事もあり、第1幕が終わると観客は早々に席を立ったとか、立たなかったとか。

ちなみに物語のあらすじは…、舞台はナポリの港街。ジプシー娘のザイーダは恋人だったトルコのセリム王子と別れた事を嘆いている。
そこへジェローニオが、妻フィオリッラの浮気を相談にくると、ザイーダはからかい半分で彼を追い返す。
ある日フィオッリラが散歩していると、港に船が到着し、セリム王子が現れる。2人はお互いに一目惚れをして、フィオリッラはセリムを自宅に招くが、当然いい気がしない夫ジェローニオ。しかし気弱な夫は王子にも気を使ってしまう。

セリム王子が、フィオッリラを口説くと、さすがに夫も憤慨するが、フィオリッラが夫をなだめて、その場をどうにかやりぬける。
セリム王子はフィオリッラとトルコへ逃避行を図るべく港で彼女を待っていると、そこに現れたのが元恋人のザイーダ。2人は再開を喜び合うが、今度はそこへ当然フィオリッラが登場。女性2人はセリム王子をめぐって火花を飛び散らす。

セリム王子は、フィオリッラをどうしても連れ帰りたく、夫ジェローニオを訪ね、トルコの習慣で妻を買い取ると提案し、さもなくば連れ去る(誘拐する)とまで詰め寄ります。

仮面舞踏会に乗じてフィオリッラを連れ去ろうと画策するセリム王子。一方ジェローニオもザイーダと手を組み、フィオリッラとセリムと同じ格好をして仮面舞踏会に参加してそれを阻もうと計画。
結局、セリム王子は間違えてザイーダの手を取って愛を誓うのでした。
諦めきれなかったフィオッリラはセリム王子を追って港に向かいますが、港で待っていた夫ジェローニオに会うと、浮気を後悔して夫の元に戻り、めでたしめでたし、となります。

実際には、もっと登場人物がいてややこしい展開になるんですが、長いので、これでもかなり省略してあります。



 ファゴットがテクテク歩きだすように始まると、弦楽器とティパニ(大太鼓)が
 盛り上がって一区切りを入れます。
 やがて、ホルンのソロが始まると、のどかでゆったりとしたその響きに、
 弦楽器がリズムをつけていきます。
 リズムがだんだん大きくなり盛り上がっていき、また小さくおさまると、
 今度は弦楽器の軽やかに弾むようなリズムが楽しく響きます。
 陽気なリズムに弾むティンパニ!流れるメロディを聴くとウキウキしてきます。
 クラリネットからオーボエが駆け上り、弦楽器が高鳴ると、
 トランペットも軽やかに舞うようなこの響き。
 弦楽器は勢いをつけて盛り上がっていきます。そして今度は
 オーボエからフルートが駆け上り、弦楽器が高鳴ると、
 トランペットも華やかに舞いあがる響きを聴かせます。
 弦楽器がクライマックスに向けて盛り上がり、華麗に聴かせると、
 堂々と曲を終わります。 


明るく楽しく愉快に聴ける曲です。物語はちょっとややこしい展開ですが、曲の雰囲気を考えると、結構面白いお話かも?

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元気一杯に楽しく聴ける曲です。


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「ウィーンの歓呼」序曲 (スッペ作曲)

2009年02月17日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はスッペ:「ウィーンの歓呼」序曲です。

「序曲」というと、たいていの場合は歌劇の冒頭に演奏される曲として作曲されていますが、単純に、短い曲として歌劇を持たないそれだけの曲として作曲されることもあるようです。

今回紹介する「ウィーンの歓呼」序曲も、そんな歌劇を持たない序曲のひとつのようです。CDの解説によると、「どのような意図で作られたかや作曲年数は定かでない」らしいのですが、トランペットの華やかなファンファーレやダイナミックなオーケストレーションは元気を与えてくれる一曲です。



 パーン!とトランペットのファンファーレが華やかに響き渡ります。
 そのトランペットを盛り上げるように弦楽器やスネアドラム(小太鼓)が支えていきます。
 しばらくトランペットが続いていくと、
 弦楽器がそのフレーズでつなぎ、再びトランペットのファンファーレが響きます。
 そして、弦楽器が軽快に走りだすと、シンバルがそれを盛り上げていきます。
 さらに、シンバルが「バシッ」と一区切りをつけると、
 弦楽器はスイスイと軽快に走りだします。フルート、オーボエが楽しそうにその
 フレーズを聴かせていくと、
 我もとばかりにトランペットが華やかにその音色を聴かせます。
 途中、あまり元気すぎて、息切れしたかのように少し大人しくなり、
 弦楽器がゆるやかに聴かせる部分もありますが、なにやらワルツのようなその
 フレーズが心地よく響きます。
 そして、ひと息入れたかと思うと、また賑やかになり、トランペットを中心に
 盛り上がります。
 また、休憩のワルツをはさみながらも、その回を重ねるごとに盛り上がっていく
 ようです。
 後半では、そのワルツも大きく豪快に盛り上がり、その勢いを借りて一気に
 最後まで盛り上がり、シンバルが響くと、トランペットが終わりを告げると
 低音のトロンボーンがガッツり締めくくります。



スカッと華やかに聴かせてくれる気分爽快な一曲です。途中にワルツ風のフレーズも入ってますし、賑やかで明るいこの曲を聴いていると、なんとなく気持ちも晴れやかに明るくなってきます。
終盤にかけては、もうまるで運動会でもしてるんじゃないのかと思うくらい賑やかで派手に盛り上がりますから、最後までワクワクしながら聴けます。

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気分爽快でスカッと聴けます!


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歌劇「ブルスキーノ氏」序曲  (ロッシーニ作曲)

2009年02月10日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はロッシーニ:歌劇「ブルスキーノ氏」序曲です。

ロッシーニもたくさんの歌劇を作曲していますから、当然その序曲の数もそれに比例して多くが残されています。

歌劇のあらすじは、
カウデンツィオが後見をする娘ソフィアはフロルヴィルレと密かに交際しています。
しかし、フロルヴィルレの父が生きていた頃は父とカウデンツィオの仲が悪かったため、フロルヴィルレはソフィアに結婚を申し込む事が出来ませんでした。
それどころか、後見人のカウデンツィオはソフィアの結婚相手を誰も面識のないブルスキーノ2世に決めてしまいます。
これに怒ったフロルヴィルレは一計を案じ、自分がブルスキーノ2世になりすまして、ソフィアの結婚相手になろうとします。

計画は首尾よく進みますが、まず最初に気付くのは当然ブルスキーノ父でした。(こんなの息子じゃねぇ!)しかし、巧妙な策にだまされたカウデンツィオに、諭されると、首をかしげながらも、偽ブルスキーノ2世(フロルヴィルレ)との結婚話は進みます。
事の成り行きを徐々に理解したブルスキーノ父はフロルヴィルレの熱意に押され、カウデンツィオには事実を伏せたままソフィアとの結婚話に協力する事になります。
ところが、最後の最後でブルスキーノ2世(本人)が登場すると!カウデンツィオはだまされた事に気付き、当然ふたりの結婚に反対します。すると今度はブルスキーノ父が彼を諭し、ふたりはめでたく結婚を認められるのでした。

今回は序曲だけの紹介ですが、(いつもながら歌劇は全曲聴いた事が無いので)明るく元気の出る曲調はロッシーニの特徴と言えるかもしれません。
そしてこの序曲の特徴は、曲中に第2ヴァイオリン奏者が弓を譜面台にコツコツと叩く音が聴こえる事です。最初は何の音かと思ってましたが、慣れると「そういう曲」として普通に聴けます。



 低音の弦楽器がザクザクと刻むと、今度は高音の弦楽器がヒソヒソ話をするように
 ささやきます。
 ヴァイオリンのさわやかなメロディが続くと、また低音の弦楽器が入り、
 その後にはコツコツコツコツコツコツ!と譜面台を叩く音がして、
 弦楽器とそのコツコツ!が確認するように何度か続くと、
 元気いっぱいの弦楽器のメロディがあふれ出すように広がります。
 ひと通り盛り上がるとまたコツコツ!が確認するようび響きます。
 すると、フルートのメロディが軽やかに響いていきます。
 そこから弦楽器のリズムがじわじわと盛り上げていきます。
 フルートと弦楽器が掛け合い盛り上がりがおさまっていくと、
 またコツコツ!が現れます。
 そこから仕切りなおしてまた弦楽器の華麗なメロディがはじまっていきます。
 そして、クライマックスへ向けて勢いをつけながら
 盛り上がっていくと最後にやっぱりコツコツ!を入れて綺麗にまとめます。


楽しい曲ですね。コツコツを聴いていると、次にいつこれが出てくるか探しながら聴くようになったりして、明るくて陽気なリズムがとても楽しい一曲です。

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喜:☆☆☆☆☆
怒:☆★★★★
哀:★★★★★
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明るく陽気な一曲です。


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「幸福への旅路」序曲 (スッペ作曲)

2009年01月24日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はスッペ:「幸福への旅路」序曲です。

スッペの作品と言えば、「軽騎兵」序曲や「詩人と農夫」序曲なんかが有名ですが、他にも曲を序曲を作っています。(そりゃそーなんですけど。)

今回は「幸福への旅路」というタイトルだけで、曲を選んでみましたが、
タイトルの割には、曲のはじまりが、やたらと暗く重々しいので、「何だコリャ!?」と思ってしまいましたが、聴いている内にだんだん盛り上がって華々しいラストを迎えますから、曲の変わり目なんかが聴きどころかもしれないですね。

それで、一応CDには喜歌劇「幸福への旅路」序曲となっていたので、いつものように、あらすじを紹介しようと思って、ちょっと探してみたんですが・・・、見つからなかった・・・のであしからず。

ちなみにCDの解説によると「カール・エルマー作のマジック劇のための序曲で、・・・」と、あったので、実際には物語的なお話は無いのかもしれません。



低音のゴーッ!という地響きのような音が始まると、フルートが寂しく怪しげなフレーズを
聴かせます。
かなり不安がよぎる展開の中、フルートを軸に寒々しい響きがしばらく続きます。
更にゴーッ!と始まると、ピッコロが更に不安をあおるように聴かせると、
トロンボーンの重々しいファンファーレがどっしりと鳴り響きます。
クラリネット、フルートが間をつなぐと、
急にに盛り上がり、バスドラムが一発入ると、それを合図に弦楽器が賑やかに始まり、
それまでの重々しい空気を裂くように、明るくはじけるようなフレーズが始まります。
曲が盛り上がると、少し落ち着きますが、弦楽器はなめらかにその弓を進め、
スルスルと軽やかなメロディを聴かせていきます。
更にトランペットやタンバリンを加えると、賑やかに盛り上がっていきます。
低音弦楽器が、入ると少し落ち着きますが、
今度は、タンバリンのリズムに乗せてオーボエがエキゾチックなメロディを聴かせて
いきます。
クラリネットが入ると、少しやわらかいメロディになります。
終盤に向けてフルートが細かいフレーズを刻むと弦楽器もそれに合わせて
徐々に盛り上がります。そして、ラストはスネアドラムのドラムロールに
トロンボーンが低音からざっくりと聴かせていきながら、
ゆっくりと大きく響くと壮大なラストを飾って賑やかに終わります。



どちらかというと、曲のタイトルを結構気にする方なので、「幸福への旅路」というのが、ちょっと気になって、聴いてみたんですが、曲のはじまりが結構暗くて“どよ~ん”としていたので、これが「幸福への・・・」か?!と思いながら聴いていましたけど、中盤からは賑やかに明るくなっていきますから、最後には納得!の一曲ですが、
「幸福への“旅路”」ですから、最初から幸福感がある訳じゃないんですね。というのが感想です。

ただ、クラシック音楽のタイトルの付き方には、後付けのものとか、全く関係ないところから、ポン!といきなり名付けられたり・・・、なんて事もありがちなので、「実はこんなエピソードが!!」というのを探してみるのも、楽しみ方のひとつと言えるかも?!

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
「幸福への旅路」のはじまりは・・・


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歌劇「アッティラ」前奏曲 (ヴェルディ作曲)

2009年01月15日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はヴェルディ:歌劇「アッティラ」前奏曲です。


数多くの歌劇を残したヴェルディ。その歌劇にはもちろん様々な序曲(前奏曲)があります。今日紹介するのは「アッティラ」ですが、これは5世紀にイタリア地方にあったフン族の王様の名前です。

曲調は全体的に暗く、“悲劇の序章”みたいなイメージがありますが、他の序曲と比べても演奏時間は短く、3分少々。
ただ、ひとつずつのフレーズが大きくとってあるので、ググッと引きつけられますし、ドラマチックな予感もただよう序曲なので、聴いているとあっと言う間に終わってしまう感があります。

そして、歌劇のあらすじは・・・
フン族の王アッティラはローマ軍からアクイレイアという町を略奪します。勝利の宴を開くアッティラ王の元に、ローマ軍に参加し女兵士団の一員として戦ったオダベッラ(アクレイア領主の娘)が戦利品として献上されます。
アッティラ王は敵ながら勇敢に戦ったオダベッラに感激し、願いをひとつ叶えると言いうと、オダベッラは剣を所望して、それを授けられます。
一方、攻撃を受けたアクイレイアの難民を率いてアドリア海の小島に逃れたオダベッラの恋人フォレストは、ここから再起を図ります。

勢いを付けたアッティラ王は、ローマに進軍しようとしますが、ローマからの休戦に応じ、ローマの将軍エツィオを招き宴を開きます。
しかし、この宴でアッティラ王の毒殺を計画していたエツィオの企みをフォレストから聞いたオダベッラは、復讐を自分の手で果たせなくなると感じ、その企みを王に話します。
命を救われたアッティラ王はオダベッラを妃に迎える事にしますが、面白くないのが恋人のフォレスト。彼はエツィオ将軍と共に二人の結婚式を狙おうと画策します。

恋人フォレストの誤解を晴らそうと、結婚式から逃げ出したオダベッラは、フォレストに駆け寄り許しを請います。そこへ逃げた花嫁オダベッラを追ってアッティラ王が登場。
エツィオ、オダベッラの裏切りを非難しますが、オダベッラは持っていた剣でアッティラ王の胸を一突き。「おまえもか・・・、オダベッラ・・・」の一言を残して幕となります。


ファゴット、チェロ、コントラバス等の低音楽器が静かにじわじわと始まると、
物哀しいフルートがすき間風のように入ります。
しばらくすると、ヴァイオリンのフレーズが始まりますが、それでも暗い雰囲気は変わらず、更に悲壮感をあおるようなメロディが続いていきます。
ヴァイオリンがリズムを刻むようになると、トロンボーンが低音をじんわりと聴かせるようになり、重い曲調はその雰囲気を高めていきます。
重圧を背負いながらも、そこに流れるヴァイオリンのメロディが美しく聴こえてくるのはこれからはじまる歌劇のいきさつを暗示するのでしょうか?
そして最後には、その結末を待たずして力尽き、倒れたまま片手を虚空に伸ばすように、はかなく終わっていくようです。


最初は、歌劇の物語を知らずに聴いてましたから、「ちょっと悲しい曲だけど、短いのにちょっと、グッとくるなぁ」くらいにしか思ってませんでしたが、今回紹介するにあたって、歌劇の内容をチラッと調べてみると、なかなかどうして、すれ違いに裏切り、策略等々、結構劇的でドラマチックな展開が面白かったりして。
とか何とか言いながら結局歌劇そのものは見ていないので、アレですが、物語としてみてもじっくり見ると結構見どころは満載な感じがします。
で、物語の内容を知ってからその後に曲を聴くと、これまた一味違って聴こえてくるかも。

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【コレってどんな曲】
喜:★★★★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆☆★
楽:☆★★★★

≪おすすめシチュエーション≫
ちょっと悲しい物語が聴こえてきます。


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歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲 (ヴェルディ作曲)

2008年10月21日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はヴェルデイ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲です。

歌劇でおなじみのヴェルディのこの作品。現在では序曲のみが演奏されることが多いこの曲ですが、短い中にも緩急がついた、ヴェルディらしい劇的なオーケストレーションが楽しめる一曲です。

1855年に行われていた第1回パリ万国博覧会で初演されたようです。
歌劇の題材としては、もともと13世紀のシチリア島はフランス領としてフランスの支配を受けていた頃、教会では夕べの祈りを捧げる時間に教会を監視するフランス人兵士が、礼拝に来た女性に触れるのでした。その事に怒りを覚えた女性の夫が勢いで兵士を刺し殺してしまったのでした。
もともとフランス人支配に反感を持っていたシチリア島では、これの事件が引き金となって全島に広がっていくのでした。「シチリアの晩鐘事件」



 弦楽器とティパニ(大太鼓)が静かな地響きのように始まります。
 しばらくして、落ち着くと木管楽器のやわらかいフレーズがゆっくりと流れますが、
 弦楽器がザクザクとその流れを断ち切るかのようにどんどん盛り上がります。
 そして、ようやくそれも静かに収まったかと思うと、
 ティパニのドラムロールが急に盛り上がり、シンバルの勢いと共に荒れ狂うような
 オーケストラが始まります。かなり激しく盛り上がりますが、
 それが終わると、今度はチェロの伸びやかでゆったりとしたフレーズが
 ゆらゆらと揺れ動くように広がっていきます。
 その後はフルート等の木管楽器が軽妙なリズムに変わり、リズムにシンバルの勢いが
 つくと、再びすさまじい勢いの音楽が吹き荒れていきます。
 そして、再び勢いが収まると、美しい弦楽器から、あのゆったりしたチェロの響きが
 蘇ります。今度はフルートの彩りも加わり、輝くように心地よく響きます。
 いよいよラストに向けて弦楽器がザクザクと刻むと、シンバルもそのリズムに勢いを
 付けて、更にトランペット、トロンボーンの金管楽器が高らかに響き渡ると、
 一気に盛り上がり華やかに最後を飾ります。


ダイナミックなオーケストラとゆっくりやわらかな音色が緩急を効かせて、ヴェルディならではの一曲になっていると思います。
序曲なので演奏時間も約8分と短めですし、聴いているだけなのに、かなりドラマチックなイメージをかもし出している気がします。
ましてや上みたいなエピソードを聞いちゃったりすると余計に感情移入してしまいそうな一曲と言えるでしょう。

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆★★

≪おすすめシチュエーション≫
短い時間で、オーケストラを聴いた気になれます!


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歌劇「アルジェのイタリア女」序曲 (ロッシーニ作曲)

2008年07月25日 | 序曲と前奏曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲です。

ロッシーニも現在に多くの歌劇を残した作曲家のひとりですが、彼の場合はいつも明るく元気なイメージの曲が想像されます。
そしてこの曲も、とても明るく元気いっぱいの曲です。

そしてこの歌劇のタイトルにある“アルジェ”というのは地中海を挟んだイタリアの対岸にあるアルジェリアの首都の名前です。(フランスの対岸とも言う)

歌劇のあらすじは・・・、最近、夫婦仲の悪くなってきたアルジェリアの太守ムスタファーは、イタリア人女性を新しく妻に迎えようと画策する。アルジェリアで奴隷になっていたイタリア人の男リンドーロの元に、恋人イザベッラ(イタリア女)が海賊の戦利品として太守ムスタファーに届けられると、太守はたちまちイザベッラに心を奪われてしまい、どうにか妻に迎えようとします。
しかし、リンドーロとイザベッラはどうにか、この太守の元から脱出すると、太守ムスタファーも妻に詫びてもとの鞘におさまるというお話のようです。


 ※ピチカートがゆっくり始まると、弦楽器をひとつ挟んで、軽やかでのんびりとした
オーボエのメロディが優雅に響き渡ります。
やがて弦楽器が低音からじわじわと盛り上げていくと、
弾む木管楽器にグサッと突き刺さる弦楽器とティンパニ(大太鼓)が心地よく響くき、
スピード感あふれる弦楽器にトランペットが華やかに彩りを添えると、
華やかな曲調がこころも弾むメロディを奏で出していきます。
そして、少し落ち着くと軽やかなオーボエのメロディにフルートが軽やかに合わせて
明るく晴れやかな曲調を聴かせてくれます。
再び盛り上がっていくと、今度はオーボエとフルートがメロディを入れ替えて同じ
フレーズを聴かせてくれますが、こちらも楽しく聴かせてくれます。
そしてクライマックスに向けて盛り上がっていき、豪快に最後をまとめて、
ティパニのドラムロールでしっかりと曲を締めくくります。


明るく快活な曲調から、初演当初からも大人気となったこの作品ですから、もちろん序曲も楽しく愉快な曲調がとても元気になれる一曲です。
のびやかなオーボエのメロディは、それとは対照的ですが、そこもまた聴きどころのひとつと言えるでしょう。
とにかく、ロッシーニの序曲ですから。元気あふれる楽しい一曲です。

≪オススメCD≫
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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆☆
怒:☆★★★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
元気いっぱい楽しく愉快な一曲です。

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