初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

ピアノ協奏曲第4番 (ラフマニノフ作曲)

2009年05月31日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番です。

ラフマニノフはこの曲を友人の勧めで、1914年ごろから作曲にとりかかりますが、その後アメリカに渡った彼は、ピアニストとしての仕事が忙しくなった事もあり、完成したのは1926年になってからでした。
しかし、何度か手直しを加えたようで最終的には1938年に最終稿をまとめたようです。

と、言っても素人には、どこがどういう風に変わったかは知るよしもありませんが、他のピアノ協奏曲と比べると比較的スッキリとした感じで、最後まで一気にズバッ!と聴ける勢いのある曲だと思います。




 第1楽章:管楽器と弦楽器がムクムクと湧き上がると、トランペットがビシッと決めて、
 ピアノが堂々と始まります。
 力強くピアノの響きが、低音弦楽器の刻むリズムに心地よく響くと、
 ピアノは徐々に細かくなり、フルートやイングリッシュホルンが入ると、
 少し、しっとりとした感じになっていきます。
 次第にゆっくりとしたテンポに変わると、ピアノはとても艶やかに響き、
 しっとりとしたムードをたっぷりと聴かせてくれます。
 そう思うと、また急にテンポが速くなり、なめらかにそのフレーズを
 聴かせていきます。
 めくるめく展開を終えると、また低音がじんわりと響きはじめ、
 力を溜めるようにじっくりと、じっくりと聴かせ、
 徐々に盛り上げていきます。
 トランペットが響くと劇的な音色を聴かせ、大きく盛り上がります。
 金管楽器も大いに鳴り響き、ピアノがその余韻のように聴かせると、
 今度はフルートがスルリと入り、
 ホルン、イングリッシュホルンなどを交えながら、静かに聴かせていきます。
 そして、最後の盛り上がりを見せると美しい弦楽器の響きを聴かせ、
 たなびくようなピアノのフレーズを奏でると、ラストはバシッと決めます。

 第2楽章:ポツリとつぶやくような高音のピアノが、ひっそりと響くと
 弦楽器は更にしなやかにその響きを聴かせます。
 更に甲高いピアノの響きが続き、ゆっくりとそのメロディを聴かせていきます。
 少し弦楽器が大きく響くと、ピアノも後に続き力強い響きを繰り返します。
 そして、また静かな響きに戻り、ゆっくりと噛みしめるようにそのフレーズを続けます。
 すると、急に低音のピアノがズシリと響き始め、不安の表情にも似たフレーズを聴かせます。
 低音の弦楽器がぞわぞわと動きますが、静かな雰囲気はそのままです。
 やがてフルートが響くと、少し明るい兆しが見え始めたのか?
 弦楽器もなめらかになり、少しずつグッとくる音色を聴かせます。
 そして、だんだん静まりながら余韻を残すように第3楽章へ
 
 第3楽章:スネアドラム(小太鼓)とトロンボーンが急にバ、バン!と一声、
 その勢いにはじかれたようなピアノがコロコロと転がり出すと、
 可愛らしいフレーズが響きます。
 途中何かにぶつかって高く弾みながらも、どこまでも転がっていくようです。
 オーケストラの豪快なフレーズを挟んで、
 更にピアノが勢いをつけると、タンバリンやトライアングルのリズムも軽やかに
 どこまでも転がっていきます。
 途中に入る、スネアドラムや、トランペットなどの楽器をまるでハードルを
 次々に超えるように、軽やかによけながら軽快にとばしていきます。
 トランペットが入ると、ようやくなだらかになったピアノの響きに、
 ヴァイオリン他の弦楽器が、しなやかに優しくその音色を聴かせると、
 しばしの休息とばかりに、美しい調べを聴かせてくれます。
 そして、いよいよクライマックスへ向けてフルート、トランペットが高らかに響くと、
 低音の弦楽器やチューバなどがゴツゴツと続きます。
 気づくとピアノだけが寂しく響いています。
 そして何やら静かに動き始めると、ピアノのフレーズにつられて、
 徐々に他の楽器が集まりはじめ、少しずつ盛り上げていきます。
 シンバルが少しずつ響き、スネアドラムがそれを煽り、トライアングルが
 まだか?と催促するようにピアノを促すと、
 トランペットの前奏を入れて、大いに盛り上がると、
 金管楽器もバリバリと始まり、とにかく様々な楽器が派手に鳴り響くと、
 最後はサッと終わります。
 

ラフマニノフの「ピアノ協奏曲」といえば、第2番第3番が有名ですが、なかなかどうしてこの第4番!(最近まで知らなかったんですが)
急展開によりどりみどり、ラフマニノフ好きにはたまらない一曲じゃないでしょうか?
とにかく展開が速いので、文章を書いていると、いつものように、かなり長くなってしまいましたが、演奏時間は約25分と、彼の他の曲に比べるとやや短め。

それぞれの楽章でも緩急がかなり効いているようにも思えますし、最近ではなかなかのお気に入り。よかったら是非聴いて欲しい曲ですが、
なにしろ結構な急展開の曲なので、初心者にいきなり勧めるのは若干のためらいもありますが、その辺を気にしなけれは是非一度どうぞ。

≪オススメCD≫
アシュケナージで聴いてみました。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆★★


≪おすすめシチュエーション≫
めくるめくピアノ協奏曲


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CMのクラシック(その41)

2009年05月29日 | CMのクラシック
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はCMのクラシック(その41)です。

さてテレビでは連日たくさんのコマーシャルが流れていますが、そんなTVCMの中にもクラシック音楽は結構使われています。
それをクラシック音楽と意識しなくても知らず知らずのうちに聴いてしまう愉快なメロディを、思わず口ずさんでいる事もあるんじゃないでしょうか?

今回もちょっとマイナーCMばかりか?!あるいは、地方(ローカル)CMだったりするのかな?
ジョンソン&ジョンソンから2つ。そして、映画からも2つほかを紹介してみます。それぞれ結構面白い内容のCMです。

ジョンソン&ジョンソン:洗たく槽カビキラー
曲目:組曲「動物の謝肉祭」から水族館:サン=サーンス】
「その汚れは、せっけんカスや菌が混ざった洗濯槽カビ。」というナレーションが流れると、回っている洗濯機が分解されて、あふれだす水と共に流れ出すカビ(泥みたい。)洗濯物を抱えて立ちすくむ女性が「洗濯物が台無し…」とつぶやくと、商品が登場。最後は母子が笑顔で綺麗な白いタオルで顔を拭く映像が流れるCM。


ジョンソン&ジョンソン:グレードセンサー&スプレー
【曲目:ワルツ第13番:ショパン】
トイレに商品を置くと、「ピンポーン!」と急な来客。そして、何故か玄関を開けるとすぐに「おトイレ貸してくれない?」とそのままトイレに直行!
「トイレに入る人をセンサーが気づいて、自動でスプレー消臭。その時トイレがフレッシュな空間に。」というナレーションが流れると、トイレに入った女性は両手を合わせて「わぁ~ステキ~!」と感嘆してトイレもキラキラ状態に。
なんだか少女マンガみたいなCMです。


映画「ベイビィベイビィベイビィ!」(5月23日全国ロードショー)
【曲目:交響曲第9番「合唱」から第4楽章:ベートーヴェン】
一応いろいろCMが流れてますが、例によって映画なので、CMの全貌をキャッチする事は出来ませんでしたが、公式ホームページを覗くと、働き盛りの30代未婚女性(主演:観月ありさ)が、妊娠!そして産婦人科を訪れるとそこには未知の世界が・・・!
様々な妊婦たちがくりひろげる、痛快ドタバタコメディ!みたいな感じかな?!
そして、何故かCMには「第九」が使用されてますが・・・、(ホームページでも)人類みな兄弟!みたいなコトなのかなぁ????


CGアニメ映画「モンスターVSエイリアン」(7月11日全国公開)
【曲目:組曲ペールギュントから「朝」グリーグ】
こちらはホームページらしきところに「予告編」がありました!
「その日はスーザン(白髪の美女(たぶん主人公)最善の日、」というナレーションが入ると、スーザンの結婚式と思われる教会に隕石が落下、スーザンは巨大化した勢いで教会が壊れる。
スーザンはモンスターだった?!或いはモンスターにされた??
そして一気に急展開!今度は宇宙からエイリアンが襲来!!
そして、軍部が援軍を要請したのがモンスター!?
「果たして・・・モンスターは地球を救えるのか!?」と締めくくる予告編でした。
こっちのCMは1回しかテレビで見たこと無かったんですが、ネットに映像があって助かりました。曲(ペールギュント)は冒頭の2・3秒ほどしか流れてないんですけどね。


ジャパネットたかた:テレビ編
【曲目:ピアノソナタ第8番「悲愴」から第2楽章:ベートーヴェン】
別れ際の彼氏と彼女、部屋では何故かクラシックギターを持った彼と、荷物を箱詰めする彼女、悲しいメロディが流れると、
彼氏「今までいろいろありがとう・・・」
彼女「そろそろ行くね。」
彼氏「猫、連れて行きなよ、あと、テレビも・・・」
彼女「ありがとう、でも悪いから・・・」
彼氏「いいから・・・」
そして彼女が「ミーちゃん、行くよ!」と猫に声を掛けると、猫が彼女の元へ走る。・・・そのとき!!偶然にも猫がテレビのリモコンを踏むとスイッチオン!
テレビには、たかた社長が登場!「いらなくなったどんな古いテレビでもジャパネットが下取り、リサイクル致します!」とCMが流れます。
それを見た彼氏の顔がひきつって、声にはならない声を「え~~~!」とあげているよう。そして彼女はにっこりとほほ笑む(というよりほくそ笑むように見える…)というCM。
ちょ、え~~。面白いけど、このCM見てるとまるで、「いらなくなったテレビ=彼女」みたいに思えてくるけど、(それはかんぐり過ぎ?)それにしても、彼氏もテレビ下取りくらいで、そんなに顔変えるなよ!みたいな。

※曲目のリンクはこのブログで書いた記事のページにつながります。


最近ちょっとテレビCMでクラシックを聴かなくなったので、(自分だけ?)メモってたのが何気に役立ってしまいましたが、加えて各社のホームページに公開されている映像もかなり重宝しています。(便利な世の中になったもんだ!?)
今回は、個人的にはあまりテレビで回数を多く見たCMでは無かったんですが、結構それぞれ面白かったので、気になる人は各社のホームページへGO!!
してみてください。


【前回のCMのクラシック】

―――――――――――――――――
【ブログパーツ情報】
映画「マーリー」の公開が、おそらくほぼ終わっていると思うのでブログパーツ
も終了します。

6月に入ったので今月は時計パーツのキャラクターを「ユウちゃん」に変えてみました。なんか雨合羽みたいだし。(6月1日追記)


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四手のためのピアノソナタ K381

2009年05月27日 | モーツァルト
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はモーツァルト:四手のためのピアノソナタニ長調K381です。

「四手のための…」というと、最初は「何だソレ!?」と、ちょっと首をかしげてしまった覚えがありましたが、簡単に言うと要は「2人で弾くための…」という意味なんですね。

また「この2人で弾く」という事を「連弾」と言ったりもしますが、1台のピアノに並んで2人で弾く場合を「四手の~」といい、2台のピアノを合せる場合は、そのまま「2台のピアノのための~」というみたいです。(あんまり詳しくは知らない)

そして、モーツァルトはこの「四手のためのピアノソナタ」を全部で5曲作曲しています。なので、今回はちょっと作品番号をつけてみました。(ちょっとややこしい)

今回の「K381」はモーツァルトが16歳の頃の作品で、姉ナンネルと弾くために作曲された曲のようです。
ぴったりと息の合った演奏が、兄弟2人で仲良く弾いている様子を想像させるような、そんな明るい曲です。




 第1楽章:駆け足で始まるピアノが心地よく走りだすと、
 そのまま転がるように、スッキリと軽やかなメロディが弾みます。
 ぴったりと息の合ったリズムに流れるようなフレーズが
 なめらかに聴こえると、瑞々しく弾けるようです。
 途中、低音をしっかりと効かせてアクセントをつけると
 また、最初の軽やかなメロディに戻り、スルスルと走り抜けていきます。
 勢いよく走りだしたピアノはゴールの地点もぴったりと決めていたように、
 最後はピタッとキレイに止まります。

 第2楽章:ゆったりとした雰囲気の、なだらかなメロディが流れると、
 しっとりと落ち着いた音色を聴かせてくれます。
 やや低音よりのメロディが実に心地よく響くと、ゆっくりと落ち着いて聴けます。
 その雰囲気を壊さないように、やわらかな高音が響くと、
 ほんわりと、暖かなフレーズにキラリと入る響き、
 聴いているうちにだんだん、まどろんでいくようなメロディがなんとも
 耳当たりのよい音色を奏でていきます。

 第3楽章:ダン!ダン!ダン!と目の覚めるような和音を力強く聴かせると、
 小刻みなフレーズが始まり、伴奏とメロディに分かれて曲が進みます。
 伴奏で勢いをつけると、甲高いメロディがそれに乗ってピョンピョンと
 弾むように聴かせていきます。
 高音の着地もしっかりと低音が受け止めるように、
 交互にそれぞれの役割を果たしながら、ピッタリとその音を合せていきます。
 最初のダン!ダン!ダン!のフレーズを合図にするように、
 何度か区切りをつけながら、最後までテンポよく聴かせてくれます。



タイトルを聞かされずに、曲だけを聴くと、「1人で弾いてるんじゃないの?」と思うくらい、スッキリと軽やかに聴ける一曲です。
また、逆に「四手のための作品」と聞いてから聴くと、見事に息の合った演奏が、ニクイくらいに微笑ましい仲良し感たっぷりの曲に聴こえてきます。


≪オススメCD≫
ニッコリと微笑んだ二人の表情が曲を物語るような1枚です。
モーツァルト:2台と四手のためのピアノ作品集
ラビノヴィチ(アレクサンドル) アルゲリッチ(マルタ)
ワーナーミュージック・ジャパン

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆★★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆☆


≪おすすめシチュエーション≫
だれかさんと2人で仲良く聴ける曲?


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ドナウ河のさざ波  (イヴァノヴィチ)

2009年05月24日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はイヴァノヴィチ:ドナウ河のさざ波です。

イヴァノヴィッチは、作曲家であると同時にルーマニアの軍楽隊の隊長も務めていたようで、そのためのファンファーレやマーチなども多く作曲した作曲家のようです。

ところが、残された楽譜は少なく、その中でも有名になったのがこの曲なんですが、
この曲は、1889年のパリ万博で演奏されると一気に脚光を集めて有名になっていったようです。

「ドナウ河」をモチーフにした曲といえば、思いだすのがJ.シュトラウス2世の「美しく青きドナウ」がとても有名ですが、シュトラウスのワルツのように必ずしも華やかとは言えませんが、しっとりとしたフレーズが、ふわっと響く一曲です。



 スネアドラム(小太鼓)のドラムロールにシンバルが響き、曲が始まります。
 クラリネットが妖艶なソロを聴かせると、弦楽器が入ります。
 少し微妙に暗い雰囲気ですが、民謡を歌うようなメロディが始まるり
 フルート、クラリネットがリズムを刻み始めると、華やかなフレーズが踊ります。
 ワルツが進むにつれて、次第に明るい表情になっていきます。
 賑やかな響きも少し経つと、またしなやかな音色になりますが、
 可愛らしいリズムが踊ると、トランペットやフルートなどが、軽やかに舞うようです。
 なめらかに、優雅に聴こえるその響きがとてもしなやかに響きます。
 最後も明るくまとめて綺麗に終わります。

 

作曲家が軍楽隊の隊長!と聞くと、なんとなく勇ましいというか派手なイメージですが、曲を聴くと、なんともしんなりとした、ともすればよ弱々しい印象の曲ですが、まぁ、他の曲はあまり残っていないですし、ファンファーレやマーチなんかは、対照的に活発な曲だったんでしょう!(たぶん。)


≪オススメCD≫
短めの曲がたくさん入ってます。
ペルシャの市場にて/オーケストラ名曲集
オムニバス(クラシック)
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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:☆★★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆★★★


≪おすすめシチュエーション≫
しっとり聴けるワルツです。


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ディアベリ変奏曲

2009年05月21日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ディアベリ変奏曲です。

この曲は、ベートーヴェンがピアノのために作曲した全33曲からなる変奏曲です。そしてこの【変奏曲】を毎度おなじみのgoo辞書で調べてみると・・・、
「主題のリズム・旋律・和音などを種々の方法で変化させて、全体を一つの楽曲にまとめたもの。バリエーション。 」

・・・って余計難しいよ!まぁ個人的な理解によると、「ひとつのフレーズ(主題)のリズムや和音をいろいろといじって、たくさんの曲をまとめていく。」みたいな…感じかな?(goo辞書とたいして変わらないか??)
まぁ、最後の「バリエーション」という言葉が一番分かりやすいかもしれないですね。

そして、今度は「ディアベリ」の方。こちらは当時の出版社でもあり、作曲家でもあった人の名前。(アントニオ・ディアベリ)
「ウィキペディア」によると、ディアベリは当時の売れっ子作曲家、50人を選び、ひとつの主題を元にそれぞれの作曲家にひとつずつ変奏曲を作曲してもらって、全50曲のスペシャル企画を計画していたらしい。(シューベルトやリストも候補に挙がっていたそうな。)
・・・ところが、諸所の理由で結局ベートーヴェンが一人で全33曲の変奏曲を書いたので、今日ではその曲が残っているそうな。
(個人的には、シューベルトやリストの変奏曲も聴いてみたい気もしますが、そうすると、残り40数人の名も無き作曲家も当然入ってくるので、ディアベリ変奏曲は、埋もれて現在のように日の目を見ることは無かったかも?!)


まぁ、今で言うと、どうなんでしょうね。紅白歌合戦に出場の歌手が、NHKの用意した曲を出場メンバーに配って、「元歌がある程度分かるようにいろいろ編曲してください!」とか言って紅白の本番で次々に歌う!みたいな感じなんでしょうか?!
すると、明るくポップな曲から、ノリノリでハイテンポの曲があったり、しっとりバラードっぽくなってみたり、こぶしを効かせた演歌調の歌が次々と披露されたりして・・・。(NHKもこういうの企画でやってみたら意外と視聴率も上がったりして???)

そんな感じでエライ話だけがふくらんでしまいましたが、肝心の「ディアベリ変奏曲」は・・・、
軽い感じで淡々と始まる曲は、曲が進むにつれて千万変化!熱く迫る勢いを見せたかと思うと、沈んだような表情になったり、明るくキラキラと輝くような音色を聴かせたり、しっとりとした静かな響きを奏でたり・・・、とにかく聴きどころ満点で、様々な表情が楽しめる全33曲なんですが、

例によって手持ちのCDが無く、昔FM放送を録音したMDによる音源なので、曲の変わり目が、微妙に分かりづらい。加えてトラックをつけようにも全33曲ですから、おそらく10曲目を超えたあたりから、「アレ?今ので10曲目だっけか?」そして、全曲トラックをつけ終わってみると、「ウソ!全35曲になってるよ」とか「エ~!29曲しか無い!」なんて事になってもアレなので、いつものように1曲ずつをレポートするのは断念しました。(というか無理デス!CD買えばいいんでしょうケド)

加えて、既にここまでにも、いつも以上に長々と書き連ねているので、ここから更に33曲は、読む方もツライでしょう!(という事にしておこう。)

そこで、思いついたのが、この曲を録音したFM番組「20世紀の名演奏」の司会を務める黒田恭一さんの曲終りのコメントを、拾って紹介してみようと思います。(結構お気に入りだったりするので。)


 え~凄い演奏でした。・・・え~この作品は、お聴きのように最初はディアベリのたいへん屈託のないテーマで始まるのですが、
このテーマを元にした33の変奏のうちに、音楽はテーマの屈託の無さが嘘のように、次第にベートーヴェン的に厚みを増して参りまして、ふと見上げると大きな建造物が目の前にそびえ立っている。といった印象を聴く人に抱かせる…只今聴いて頂きましたベートーヴェンのディアベリ変奏曲でした。
 
バックハウスの演奏がまた、そのようなディアベリ変奏曲の音楽的な特徴を鮮明に浮かび上がらせたものとなっておりました。

バッハのゴールドベルク変奏曲に限って申しますと、近年は以前に比べますと、リサイタルで聴いたり、レコーディングしたりするピアニストが、次第に増えてきているように思われますが、
このディアベリ変奏曲は、同じ鍵盤楽器のための変奏曲にも関わらず、必ずしもゴールドベルク変奏曲のようには、演奏される機会が増えてはいないように思われます。

無論、ゴールドベルク変奏曲と只今のディアベリ変奏曲では、同じ変奏曲であっても一緒くたに語れないところがありますが、相変わらず多くのピアニスト達によって「敬して遠ざけられる」というところに「ディアベリ変奏曲」という作品の難しさと奥の深さがある、と言えるかもしれません。



う~ん、何度聞いても、分かりやくす的を射た名解説!ですね。あの壮大な曲をコンパクトに表現した素晴らしいコメントでした。
録音は数年前~10年前(は言い過ぎかな?)と、かなり前の放送分なので、もはや、いつの頃の分だったかは覚えていませんが、演奏は上のとおり、ヴィルヘルム・バックハウスで聴きました。

演奏時間(約40分)の長さと、その内容からすると、初心者向けとは言いにくいですが、クラシックファンの方で、ひょっとしてまだ聴いたことが無い方には、かなりオススメの一曲です。

そして、上記にもあったように、よく比較されるのがバッハのゴールドベルク変奏曲
名前も似てますし、曲の作りも似ていますが、(いずれも変奏曲つながり)いずれにしても、言えるのは壮大なスケール感、と言ったところでしょうか?
それでいて、早く次の変奏が聴きたくなってしまうという、期待感。そして、その期待に応えてくれる音楽を聴かせてくれるのが、いずれも圧巻の一曲です。

【おまけ】
パソコンとかで曲名を検索するときは「ディアベリ」の他に「ディアベッリ」と表記されている場合もあるので、この間の話のようにちょっといろいろとカタカナの読みにも変奏(バリエーション)が必要かも?

≪オススメCD≫
バックハウスしか知りませんが結構よかったです。
ベートーヴェン:ディアベッリの主題による33の変奏曲
バックハウス(ヴィルヘルム)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆★★★★
哀:☆☆★★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
それとなく聴いていても引き込まれてしまう。


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口笛吹きと犬 (プライヤー作曲)

2009年05月19日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はプライヤー:口笛吹きと犬です。

この曲は、クラシックというよりはポップス感のかなり強い印象の曲ですが、一応オーケストラの楽器でもよく演奏される曲なのでちょっと紹介してみます。

プライヤーはトロンボーン奏者で、この曲がどういう経緯で作曲されたかは詳しくわかりませんが、彼の作品の中でもこの曲がズバ抜けて有名な一曲です。(というか彼の他の曲を知らない。)

口笛に見立てたピッコロのメロディが流れると、思わず合わせて口笛を吹いきながら聴きたくなってしまいますが、おそらく曲を聴けば誰でも「ああ!この曲ね!」と相槌を打つこと間違いないでしょう。



 ヴァイオリンの軽やかな序奏(イントロ)が終わると、
 カラッと心地よいピッコロのメロディが陽気に鳴り響きます。
 弦楽器のリズミカルな伴奏に、思わずスキップでもしたくなるようなこのフレーズ。
 少年が元気に犬の散歩でもしているのでしょうか?
 途中で、友達や町の人と挨拶を交わしたりするように、明るいフレーズが
 意気揚揚と続いていきます。
 弦楽器のフレーズが変わると、ちょっと大通りにでも出たんでしょうか?
 そして、また元来た道を戻るように最初のフレーズが・・・、
 最後は、近所の犬にでも出食わして吠えられたんでしょうか、
 急いで家に逃げ帰るようにして終わります。


一応、「CMのクラシック」でも何度か紹介してる割に、いつも(まだ記事は書いてません)とかいって先延ばしになっていたこの曲。
「初心者のクラシック」なので、もうちょっと早めに紹介したかったんですが、CDとか音源を持っていなかったので、今更になってしまいましたが、

ようやく音源を手に入れたので、いつものように聴きながら書いてます。
まあ、ひとくちに言えば陽気な曲です。演奏時間も2分弱と、クラシックの中でもかなり短い曲なので、もちろん文句無しに初心者にもオススメの一曲です。


≪オススメCD≫
この曲を含めて短めの曲がいろいろ入ってます。
ペルシャの市場にて/オーケストラ名曲集
オムニバス(クラシック)
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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:★★★★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆☆☆


≪おすすめシチュエーション≫
思わず口笛を吹きたくなる一曲です。


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交響曲第93番

2009年05月17日 | ハイドン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はハイドン:交響曲第93番です。

この曲は、ハイドンの有名な交響曲第94番「驚愕」と第92番「オックスフォード」というタイトルのついた曲にはさまれた、無名の曲(タイトルがない)ですが、なかなかどうして、快活でスッキリ聴ける一曲です。

第2楽章では弦楽四重奏(2台のヴァイオリンとヴィオラ、チェロそれぞれ1台)の演奏で始まるのも特徴で、そのフレーズをオーケストラに引き継いでいきます。




 第1楽章:ドドーン!とティンパニ(大太鼓)のドラムロールと共に大きく響かせると、
 その後はしなやかな弦楽器がサラリと入ります。
 しっとりとした響きからゆっくりと盛り上げていくと、
 弦楽器のほどよい響きが始まり、フルート、オーボエなどを交えながら
 賑やかに華々しく曲を盛り上げていきます。
 明るく輝くような旋律が心地よく響くと、心も弾みます。
 弦楽器が鮮やかに刻んだかと思うと、木管楽器が軽やかに歌い、
 楽しい旋律を聴かせていきます。
 
 第2楽章:ヴァイオリンが静かに響くと、弦楽四重奏がしなやかに流れ、
 そのメロディでファゴットが続きます。
 すると、急にフルオーケストラが大きく続き、少しびっくりしますが、
 その後は弦楽器がまたそのメロディをしっとりと聴かせます。
 後半では、オーボエが入ると、やや影の差すような印象を受けますが、
 弦楽器にファゴットが合わせると、ふたたびしなやかに聴かせ、
 少しずつ音が少なくなっていったかと思うと、
 また、大きくオーケストラが奏でて、最後はフルートで静かに終わります。

 第3楽章:スッキリとした弦楽器が鋭く刻むと、テンポよく曲がサクサクと進んでいきます。
 トランペットがバババ、バン!と入ると、少し勢いも収まりますが、
 すぐにまた、小気味よいテンポに戻ります。
 ハキハキとした軽快な感じでどんどん進んで、スッパリと終わります。
 
 第4楽章:スラリと始まる弦楽器もしなやかに、すがすがしい曲が始まります。
 ティンパニの響きを合図に少し盛り上がり、弦楽器も元気よく飛び出します。
 フルートが涼しげに最初のフレーズを奏でると、
 また一気に盛り上がっていきます。
 オーボエ、ファゴットが掛け合うと、更に弦楽器は盛り上がります。
 楽器を変え、表情を変えながらくりかえされるフレーズは何度聴いても
 スカッとさわやかに続き、
 最後は晴れやかに終わります。
 


スカッと聴ける一曲ですね。タイトルがついてない分だけ、CDもあまり多くはないようですが、それでもやはり、そこは「交響曲の父」と異名をもつハイドン。ある意味で期待通りの快活なフレーズに、こころも弾む一曲だと思います。
そして、第2楽章の冒頭に聴かせる弦楽四重奏。最初のほんのチョロッとだけですが、それがまたニクイ演出だったりして、このあたりもハイドンらしいと言うか、遊び心のある感じが、聴く人を飽きさせないようにとの、配慮なんでしょうか?
ちなみに聴いたのはアーノンクール指揮のアムステルダム・コンセルトヘボウですが、≪オススメCD≫ではお手頃価格のヨッフムのにしてみました。

≪オススメCD≫
ヨッフムもきっといい味出してると思います。
ハイドン:交響曲第88番&第91番&第93番
ヨッフム(オイゲン)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆★★★★
哀:★★★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
スカッと快活な交響曲


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踊る人形 (ポルディーニ作曲)

2009年05月16日 | ちょっとした曲
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はポルディーニ:踊る人形です。

この曲は、ピアニストでもある作曲家ポルティーニがピアノの練習用の曲として作曲した曲のようです。
そして、その後クライスラーによってヴァイオリンの曲にも編曲されているのが有名なようですが、手持ちのCDはオーケストラ版しかなかったので、今回はそれについて紹介してみたいと思います。

曲はとても可愛らしいワルツ風の曲で、タイトルの「踊る人形」から想像すると、帽子をかぶって、ふりふりの付いたドレスを着た“お人形さん”が、その持ち主の女の子と一緒にひょっこりと踊りだす・・・、といった感じでしょうか。
とてもメルヘンチックな感じがする一曲です。




 弦楽器が優しくワルツのリズムを奏でると、軽やかでかわいらしい
 メロディのフルートの音色が、オーボエとともにゆったりと流れます。
 そのメロディを弦楽器が引き継ぐと、更にオーケストラで少し盛り上げていきます。
 そしてまた、最初のフレーズへ。
 フルートとオーボエが軽やかに響きます。
 やがて、オーケストラとそのフレーズをやりとりしながら、
 ゆっくりと曲を進めていきます。
 トライアングルのリズムが入ると、チェロが大きくフレーズを歌います。
 そしてまた、フレーズはフルートに戻り、
 最後も可愛らしく、ちょこんと終わります。



曲は、オススメCDにもあるように、「オーケストラ名曲集」みたいなCDに録音されている事が多いようですし、また上に紹介したようにクライスラーも編曲しているようですから、「ヴァイオリン小品集」みたいなCDにも録音されているかもしれません。
ほんわかした感じが、ちょっと癒される感じの曲ですね。

≪オススメCD≫
この曲と一緒に短めの曲がたくさん入ってます。
ワルツィング・キャット~子供のためのオーケストラ・ポップス・コンサート
オムニバス(クラシック)
コロムビアミュージックエンタテインメント

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆★★★
怒:★★★★★
哀:☆★★★★
楽:☆☆☆☆★

≪おすすめシチュエーション≫
とってもかわいい曲です。


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作曲家の心の鏡“自筆譜”  番組「N響アワー」から

2009年05月14日 | テレビでクラシック
たまには、テレビでクラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日は、作曲家の心の鏡“自筆譜”(「N響アワー」から)です。

さて、以前にも番組「N響アワー」を紹介したところ、思いのほか好評だったようで、今でもちょくちょくその記事にアクセスを頂いている様子。

だったら、またやってみよう!という安直な発想でお送りしてみます。
(と言っても番組の内容をなぞってるだけなんですけど。)

【N響アワー】
放送局 :NHK教育テレビ
放送日時:毎週日曜PM9:00~(5週目はオーケストラの森)
司会  :西村朗 岩槻里子
演奏  :もちろんNHK交響楽団

(5月10日放送分より)
そして、今回番組が取り上げたテーマが「自筆譜」です。
番組が注目した作曲家はモーツァルト、ベートーヴェン、そしてブラームス。

はじめに登場したのがベートーヴェンの自筆譜。
曲は交響曲第9番「合唱」の第2楽章。見た感じはもう殴り書き状態で荒々しい様子。
そして、取り上げた部分には、楽譜を右から左に書いているうちにどうやら五線紙の印刷部分が無くなったところに手書きで線を引いて1小節を書き足した部分。西村さんによると、くりかえしくりかえし考えた上で、ここに書き足したんだろう!(次のページは既に曲が出来ていたので)との事。

更に次の部分は…、なんと1ページまるまる大きな×、バツ印が…。
その内容を見ると、ちょっとどこかを直そうとしたり部分的に消そうとしたり…、いろいろといじっているうちに・・・もういいや全部ボツ!とバツをつけたんでしょう。「まるでちゃぶ台をひっくり返すように」と笑いながら西村さん。

岩槻アナが「ベートーヴェンは努力に努力を重ねて曲を生み出した…」
それに次いで西村さん「推敲に次ぐ推敲、推敲の人ベートーヴェン。…水耕、農作業?」
思わず「そうではないですね」とツッコむ岩槻アナ。
「でも、農作業に似てる。耕すという作業は水耕ですよ、作曲においても!その結果名曲が生まれる。」
こういう努力や苦しみがあってこういう名曲が生まれるんですね。
ということでその曲を・・・
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ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」から第2楽章
上岡敏之 指揮     NHK交響楽団
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続いての自筆譜は、モーツァルト。
曲は交響曲第41番「ジュピター」の第1楽章。
ベートーヴェンのそれとくらべても見るからにキレイな譜面。手直しもほとんどない。
「そうなんですが…」と西村さん。この小節だけバツで削られている。
「普通なら削られた小節も含めて次に行くものですが、ここを削る事によって新鮮さがあるんですね。」と力説する西村さん。
そして、こういう事が目にできるのも自筆譜ならではですね、と語るふたり。
ということでその曲を・・・
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モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」から第1楽章
ピンカス・スタインバーグ 指揮  NHK交響楽団
               ~~~~~~~~~~~

そして、他にも様々な作曲家が自筆譜やスケッチを残しています。
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」の草稿(スケッチ)
こちらはかなりぐちゃぐちゃした感じでしたが、西村さんによると「草稿の段階ではどの作曲家も悩んでいろいろと書き込むんですね。それをオーケストラの楽譜に書き直します。」
そして、チャイコフスキーの草稿にはロシア語で「神よあなたに感謝します」と書かれています。とご案内。

次に
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」
こちらも余白には文字やなにかがいろいろと書かれていますが、遠目で見るとまるで印刷してある譜面のようにキレイな感じがしました。さすがにアップで近づいてみると「手書きだな」とは思いましたが。
岩槻アナが「几帳面な感じですね」と言うと、西村さんも「モーツァルトタイプですね」とうなずく。

そして、
バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番から「アルマンド」
こちらも西村さんは「こちらは奥さんの手によるものですね・・・さながら美術品のような・・・」との事ですが、ホントにキレイな譜面でした。アップで寄っても、昔、吹奏楽部時代に見たドレミ楽譜社の邦楽ヒット曲のパート譜に勝るとも劣らない感じでした。(こんな例えで分かるかなぁ~)

本題に戻って今度の自筆譜はブラームス。
曲は交響曲第4番
譜面は多少いろいろな書き込みはあるものの、比較的キレイな感じかな?
そして今度は内容を紹介すると、
第1楽章の最初のページには、「冒頭部分は以下の印の場所を見よ」と指示が書かれているそうな・・・。
そしてそのページに行くと、そこには(第1楽章を書き終えたページ)現在のブラームスの交響曲第4番の冒頭部分が、そして更に、いきなり始まるフレーズの前にはちょっとした前奏(イントロ)が書き加えられています。
そして西村さんによると「(冒頭の)あまりの簡潔さに、ブラームス自身が、本当にこれでいいのか・・・?いきなり(メインフレーズ)じゃ、ど~も性急すぎるかも知れない。・・・そこで書き加えたのがこの音・・・」
と言ってピアノを弾きます。
落ち着いた和音をふたつ。そしてメインフレーズにつながる音をもう一つ、それから有名な冒頭部分へ・・・。
弾き終ると、西村さんは「どうですか?・・・どう始めるか、どう終わるかに常に悩み苦しむ・・・、結局冒頭部分の和音は無くしますが、ブラームスには神がついてたんですね。」

では、ブラームスが苦労の末に完成させたこの曲お聴きいただきましょう。
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ブラームス:交響曲第4番から第1楽章・第4楽章
ネヴィル・マリナー 指揮  NHK交響楽団
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最後に・・・
自筆譜で散々悩んだ様子を見てから聴くと、ありがたみも増しますね。
最近だと、コンピュータソフトでいろいろできますから、完成品だけが残りますが、手書きだと味わいがありますよね。

そして最後に「だん吉・直美のおまけコーナー!」(じゃなくて…もういいって?!)
【西村朗の今宵もカプリッチョ】のコーナーです。
テーマ「五線紙」
作曲家「西村朗」が五線紙を前にすると、きもちがサラッとすると同時に本当に書けるのか?という気持ちになるそうでう。
そして、現在使われている標準的な五線紙は36段組みのものだそうで、見た感じだとA4サイズより一回り大きめかな?
そして大きなサイズの五線紙が・・・!全部で60段もあるそうな!!デカイ!ちょっとしたポスターくらいの大きなサイズ。日本で市販されている最大のものらしい。
更に、なんと西村さんの作曲した原稿が・・・!こちらも見開きで新聞紙くらいのサイズの大きな原稿でしたが、びっしり書き加えられた音符は結構キレイにまとまっていました。シャープペンシルで書かれるそうで、これ一枚書くのにまる一日かかるそうな。


この番組を見る前にもベートーヴェンの楽譜は荒々しく、モーツァルトの楽譜はまるで書き写したようにキレイという話とかは、別の番組なんかで見たことはありましたが、
そこはさすがのNHK!現役作曲家の解説付きで見ると、またおもしろかったです。

あと、何気に素通りしてましたが、バツ印(×)はグローバルスタンダードなんですね!!今までにもバツ印のついた譜面は確かに見たことありましたけど、やっぱり人間は何か気に入らないと、バツを無意識に書いてしまうのもなのかな?なんて思ったりして。

そして、見てて思ったのが、「もし仮に作曲家によって削られた部分が採用されていたら・・・」
番組では、現在演奏されている形をベストの状態と紹介していましたが、それでも、もし今とは異なる楽譜が演奏されていたとしても我々聴くだけクラシックファンとしては、疑うことなくそれをそのまま聴いているんだろうなぁなんて思ったりして、
そう思って、ブラームスの交響曲第4番で削られた和音をピアノで再現された曲を聴いてみると、個人的にはあれはあれで「アリなのかも?!」とか思ったりして。
でも、さすがに現役作曲家の西村さんが、「こっちのがいい!何故ブラームスはアレを削ったのか!」と言ってくれると、見てる分には面白いですが、まさかブラームスやモーツァルトを敵にまわしてまで、そんな事は言わないですし、なんせNHKですしねぇ。なんて思ったりして。

と、いう訳で、ちょっと興味もあったので紹介してみた今回の「N響アワー」から「自筆譜」でした。



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CMのクラシック(その40)

2009年05月11日 | CMのクラシック
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はCMのクラシック(その40)です。

さてテレビでは連日たくさんのコマーシャルが流れていますが、そんなTVCMの中にもクラシック音楽は結構使われています。
それをクラシック音楽と意識しなくても知らず知らずのうちに聴いてしまう愉快なメロディを、思わず口ずさんでいる事もあるんじゃないでしょうか?

てな感じでいろいろなクラシックCMを紹介してきたこのコーナー。今回でなんと40回!いろいろと企画を考えるCM担当の人もスゴイですが、やっぱりその効果音楽としても欠かせないのがクラシック音楽なんですね!(そりゃ言い過ぎか?)
時代は変わってもクラシック音楽は永遠に不滅です!!(なんちゃって)


久光製薬:エアサロンパスDX
【曲目:レクイエム~「怒りの日」:ヴェルデイ】(記事はありません)
漆黒の背景の中マウンド上でダルビッシュ(日ハム)が力強くボールを投げると、「戦いの中、悲鳴を上げる、その筋肉に」という字幕が出てエアサロンパスをシュー!っとヒジにあてるCM。

ライオン:ソフラン
【曲目:君がほしい:サティ】(記事はまだ書いてません)
「香りとデオドラントのソフランにブルーローズアロマの香」というナレーションが終わると、安田成美さんが真っ白なタオルを頬にあててにっこりとほほ笑むと、画面はブルーローズ一面のお花畑に・・・、最後は、「♪~香りとデオドラントのソフラン♪」というCM。このCMは前からやってたのかな?

小林製薬:ビスラットゴールド
【曲目:タイスの瞑想曲:マスネ】
代謝の落ちたせいか、おなか、二の腕、おしりにも脂肪が・・・、それなら漢方薬ビスラットゴールド。資質の代謝を上げて肥満症・便秘を解消します!
商品説明が終わると、商品を持った女性が「はじめてみようかな?!」とひとこと。CMっぽいCMですが、最近ほとんど見たことなくて、ブログ用にまとめてた商品名を検索してホームページに行くとCM見れました。

ヨシケイ(強い味方編)
【曲目:交響曲第4番「イタリア」:メンデルスゾーン】
「ただいま!」とキャリアウーマン風のお母さんが帰ってくると、「私には強い味方がついている!」と言って更に「食材よし!」「レシピよし!」「愛情よし!」と指差し点呼!
最後に「新鮮食材とレシピが毎日届く!」とナレーションで締めくくるCM。
ひょっとして地方CMかな?とも思ったりしましたが、ホームページを見ると、「全国のヨシケイ」という日本地図まで載っていたので、多分全国放送なのかな?

≪リニューアル≫
ソフトバンク
【曲目バレエ音楽「くるみ割り人形」~葦笛の踊り:チャイコフスキー】
いきなり「ねえハワイ行きたくない?」と問いかけるお母さん。「行った事あるの?」と聴く娘。「波乗りにな!」と答える父。
すると「あだ名だってあったんだから」と続けるお母さん。そして「渚のシンドバッド」とそれに応える父。「今でもみんないいタダ友だ」と続けると、
「あら、まだ付き合ってるの?」といぶかしげに尋ねるお母さんに、むせる父。
というCM。

≪ロングラン≫
プロミス
【曲目:口笛吹きと犬:プライヤー】(曲の記事はまだ書いてません)
“しょこたん”こと中川翔子さんが、探偵シャーロックホームズ風に扮して、手鏡をもって語ります。「マナーさんは思いました、お金を借りるときは返せる自分を想像してみようと…」しょこたんが男性を虫眼鏡でのぞき込むと、男性は「未来を見据えるってコトですね」と言うと「いかにも!」としょこたんが返すCM。
テレビで見てるときは特に誰かは分らずに見てましたけど、プロミスのホームページで確認すると、中川翔子さんだったんですね!「マナー探偵祥子さん」らしいです・・・。
この曲はクラシックと言えるか分かりませんが、一応クラシックの曲と同じCDに入ってたりするので・・・。
≪CMのクラシック(その17)より転載そしてリニューアル編でも紹介≫


※曲目のリンクはこのブログで書いた記事のページにつながります。


一応40回という事で、リニューアル編とロングラン編をプラスしてみましたが、ソフトバンクは「葦笛の踊り」が定着してきてますね。
そして、イメージ的にも結構長いことやってるなぁと感じるのがプロミスのCM。
加えて、ヨシケイのCMで使用されたメンデルスゾーンの「イタリア交響曲」
これはかなり画期的な選曲だと思いますし、個人的にはこの辺りの曲をどんどんCMにも使って欲しいと思いますが、曲の知名度的にはどうなんだろう?とか思ったりもして。
そして、今後もどんどんCMにクラシック音楽を使って欲しいですね。

【前回のCMのクラシック】


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