暗算と安産

　今日のお客さんは61歳にしてピアノを習い始めたとか。彼はピアノの練習より若い女の先生に教えてもらったことを喜んでいた。
　私は「なんや、肝心のピアノのほうはどうやったん」と尋ねた。
　客Ａ「なにしろ、初めてやからな。訳わからんかった」と言い訳。
　私は「Ｂ子ちゃんは何か習ってたの？」と隣の席いた女性にふった。
　客Ｂ「私は小学校の時にピアノとソロバンを習っててん」
　私　「ソロバンは大体の人が習ってたなあ」
　客Ｂ「1級やったから暗算もラクに出来たよ」
　私　「じゃあ、子供産む時もラクやったやろね」
　客Ｂ「何で？」
　私　「あんざんが得意だけに安産！」
　客Ａ「お、マスターおもろいやんけ、それいけるで」
　61歳のＡさんには受けたが若いＢ子ちゃんにはシラけられた。　

　一句：あんざんの　おじさんギャクは　オヤジ向け

下ネタ：手術の時

　店でお客さんと病院の話題になり、私は脱腸の手術の時に看護婦にアソコの毛を剃られた話をした。
　お客「もうマスターの年になったら恥ずかしいことないやろ？」
　私　「いや、気ィつこうたで」
　お客「どない気を使ったん？」
　私　「セガレが立たんように、立たんようにと念じてた」(笑)
　ママ「アンタ、家(夜のベットの中)では全然立たんやんか」(爆笑)
　私　「なにしろ看護婦が若かったし、30年間も嫁さん以外にアソコを触らせたことが無かったからや」
　ママ「そんなこと無いやんか！隠れて遊んでたんと違うの！」
　私　「あ、あの時は触らせて無いで～。しゃぶらせてただけや」
　　(ゴメンチャイ、今日は少し酔いすぎたかな…)

　一句：酒の席　メーター上がって　ネタ下がる

耳鼻科

　今日は朝方までDVDの映画3本を見てから床に就いたが、花粉症の影響で目と鼻が痒くて30分で目が覚めた。
　もう少し寝ようと思ったが眠られず「病院に行こ！」と10分後に離床。耳鼻科が開くまで本や新聞を読んだりして間を繋いだ。
　9時半の開院時間に合わせて耳鼻科に行った。まだ5、6人待ちだろうと高をくくっていたが、すでに15人近くの患者が待っていた。
　「仕方ないな、まあ40分も待ったらエエやろ」と覚悟を決めて待合室の座席に着く。退屈なので備え付けのマガジンラックを漁る。
　しかし、ALBA、ESSE、オレンジクラブ、GolfToday、婦人公論、絵本など、ゴルフか婦人雑誌か子供向けの本ばかりだ。私はゴルフはしないので読む本は無し！
　テレビが無いので待合室を見渡したり目をつぶったりして間を繋いだ。それにしても中々順番が回ってこない。
　診察券を預けて外出していた人がちょこちょこ戻ってきて、結局私は31番目位で2時間近く待たされた。
　休み明けで患者が集中したに違いない。これからはなるべくなら月曜日は避けたい。

　一句：花粉症　耳鼻科は患者で　ハナ盛り

尾ヒレ

　ママがぎっくり腰で倒れて先月に5日間も店を休んだことが他の店で話題になったらしい。
　そこのお客さんが来店して「ママ、でんぐり返し50回してぎっくり腰になったんやてなあ」と言った。
　ママ「ええっ、何処でそんな話聞いたん？」と驚いた。
　お客は「○○屋や。あの店でみんな大笑いしてたで」と付け加えた。
　ママ「カッコ悪いなぁ。私は知り合いに森光子の“スクワット”を20回してぎっくり腰になった、と言うたけど“でんぐり返し”なんて言うてないで」と言った。
　その知り合いはママの『森光子』だけを覚えていて『森光子＝でんぐり返し』と勝手に解釈をして他の人に言ったに違いない。そして尾ヒレがついて20回が50回になった。
　私は「次第に大きな尾ヒレがついて、でんぐりが“どんぐり”になってコロコロと100回コロがって目が回って脳震とうを起こして倒れたとの噂になるのんと違うか」と輪をかけて言った。
　お客さんは「そこまでいったら大笑いどころか、シャレにもならんわ」と呆れていた。

　一句：伝聞は　尾ヒレがついて　大げさに

ジェロ「海雪」

　最近、黒人演歌歌手・ジェロが当店でも話題になり、彼のデビュー曲「海雪」を唄ってと時々リクエストされる。
　そこでインターネットの『YouTube』でダウンロードして聴いた。
　見た目は黒人の若者だが、甘い声に流暢な日本語、目を瞑ればまるで日本人、「ええ曲やな」と感じた。
　途中、サビの部分がアップ・テンポになり妻はここが変と言うが、私は「ここがこの曲の個性でええとこや」と反対意見。
　ムード歌謡が得意でスロー・テンポに慣れた私はサビの部分で一苦労。でも何回か練習してなんとかモノにした。
　今日、初めてリクエストに応えて唄った。舌をもつれさせる事なく、なんとかサビの部分もクリアした。
　リクエストしたお客さんは「マスターにピッタリの曲やわ」と褒めてくれた。
　別のお客さんは「マスターはヒゲを生やしてるから帽子をかぶって顔を黒く塗ったらジェロになるわ」と告げた。
　私は「ジェロもあるジェロ、公共広告機構！」と脈絡のある様な無い様なシャレを飛ばした。

　一句：外人で　失地挽回　演歌界
　人気が低迷していた演歌界がジェロの登場で盛り返した。

確定申告

　花粉症の私、雨で花粉の影響が無いと思ったのと、確定申告の締切日は混雑しているので今日、税務署に行って来た。
　私はスロー・スターターで毎回締切日ギリギリに行き、いつも時間待ちにシビれを切らしていた。
　今日は締め切り3日前なので空いていて直ぐに終わった。なんとなく得した気分でウキウキしてきた。　
　時間がたっぷり余ったので、税務署の近くにあるダイソー(百均)に立ち寄った。
　「え～、こんなんまで100円！」と驚くような安さについつられ、気がついたらカゴの中がいっぱいになった。(あ～あ、いらんモンまで買うてしもた。おまけに帰りは大雨に見舞われ荷物もGパンもジャンパーもずぶ濡れ、、、損した気分に…)
　店で使うモノを仕分けして勘定し、レシートをとっておこう。来年の確定申告の為に…。
　
　一句：不景気に　深刻顔で　申告す　

ママ、キレる！

　今日、二人で来たお客さんの一人が私に「おまえ！」と怒鳴った。他のお客さんに就いていたママが切れて私のところまで来て「あんた、マスターに向かって“おまえ”とはなんや、アカンで！」と怒った。
　この二人客、67歳の男性が60歳の男性に「お前は不潔や、汚い、臭い、服装のセンスが無い！そやから俺が変えたるねん」と繰り返し何度も言った。それを酒の肴にしているみたいだ。
　その上に「部屋も汚い」と言った時に、常連の60歳男性は「俺、綺麗なってから来るわ」と私に言ったので「○○ちゃんは綺麗やん、大丈夫やで」とフォローのつもりで答えた。
　そうすると60歳男性が「おまえ、ちゃんと聞いてんのか！」と私に怒鳴った。
　この男性、67歳男性とは当店には3回目だが、来る度に同じ小言を何度も言われていたが、強面(コワオモテ)の為に言い返せないでいた。その面当てにその都度、私達に当たったりカウンターを叩いて腹いせをしていた。
　今まではお客さんだからと黙っていたが、妻はついに堪忍袋の緒が切れた。
　私も同じように怒ったらその男性が立つ瀬がなくなって収まりがつかなくなるので、私はグッと我慢して成り行きを見守った。
　妻が「あんたがこのお客さんに言い返さなアカンやん」と60歳男性に注意をすると、彼は67歳男性に「原因はアンタやで、しつこく言うからや」と弱々しい声ながらも初めて言い返した。
　67歳男性が「俺も言い過ぎた、悪かった」と謝り事態は収拾した。

　一句：客商売　じっと我慢にも　限界が…

花粉症

　お客さんが目をショボショボ、鼻をグスグスしていた。
　私　「花粉症か？」
　お客「そうやねん。これから5月ぐらいまでつらいわ」
　私　「花粉症の季節やな。俺も10年以上花粉症に悩まされてるねん」
　ママ「花粉症て昔は無かったのにねえ」
　お客「体内に花粉が蓄積され、その人の限界量を超えたら発症するんやてなあ」
　私　「そうそう、誰でも徐々に蓄積され、いつ発症するかわかれへんね」
　ママ「私、心配やわ。目がカユなったら大変や、マスカラ取れるからこすられへんし」
　私　「ママは心配いらんわ。ほとんど外に出えへんから…」
　花粉症にならない方法は外出しないこと？

　一句：花粉症　哀しくないのに　涙ぐむ

騒音？

　バンドをしている男性客が、ボランティアでコンサートをするのでメンバーを紹介して欲しいと私に頼んだ。
　客A「マスター、今度、コンサートするんやけどリードギターが欲しいねん。誰かいてへんかな」
　私　「丁度ええわ、このB君はギター弾けるで。頼んでみたら」
　客A「君に頼みがあるんやけど…」
　客B「はい、なんですか」
　客A「今度、コンサートするんやけどリードギター弾いてくれへんかな」
　客B「僕は無理やわ」
　私　「なんで？ギターで小遣いを稼いでるて言うてたやん」
　客B「そう言うてたな。でもそれは家でギター弾けへんかったら、親父が月に3000円くれるからやねん」
　私　「なんや、そういうことかいな。B君のギターは騒音か」

　一句：いい曲も　まずい演奏　騒音に

サランラップ

　他店の一周年記念でサランラップを貰ってきた若いお客さんが一言漏らした。
　
　お客「俺、料理せーへんから、こんなんもろてもしゃーないわ。マスターにやるわ」
　私　「アンタがもろたんやから持って帰りーや」
　お客「そやけど使い道があれへんやん」
　私　「あの時にコンドームが無かったら、ラップでも巻いてしーや」
　お客「あ、そうか。ラップも他に使い道があるんやな」
　私　「本気にしてるんかいな、冗談や、じょーだん！」

　一句：冗談を　本気にされると　困ります