姨捨山(オバステヤマ)

　女性客N子ちゃんとY子ちゃんが一か月ぶりに来た。最近、引っ越しをしたN子ちゃんの14階建ての団地で飛び降り自殺が1週間に2回あったとか。
　友達のY子ちゃんは以前に同じ団地に住んでいて10年間に8回も飛び降り自殺があったとか。それも団地以外の人が自殺をしに来るらしい。

　私 「その団地、前から自殺がようあるけど、昔、団地が建つ前に何かあったんと違うか?」
　N子「何かて何？」
　私 「姨捨山とかがあって、その祟り(タタリ)があるんと違うか」
　N子「あそこは平地やで、山は無いで」
　私 「いや、もっと昔や」
　N子「恐竜時代か？」
　私 「なんでやねん、そんな時代やったら人間がいてないがな。お婆さんはいてない！」
　N子「原始時代か？」
　私 「それも古いがな！おばんの話だけにおーばー(オ-バー)んやなあ」
　Y子「姨捨山て何？」
　私 「昔、貧しい農村では、口減しの為に老婆を山に捨てに行ったんや」
　Y子「へえ、そんな事があったん」
　私 「今は時代が変わったから、俺が捨てられるんかなあ思て、心配やわ」　
　Y子「そやけど、この辺にお爺を捨てる山なんて無いで」
　私 「あるで。どうせ捨てるんやったら山は山でも、信太山に捨ててほしいわ」
※信太山は泉州では有名な遊郭街
　
　一句：捨てるなら　男の楽園　信太山