まもなく地盤改良工事等の設計概要変更申請が沖縄県に提出されるが、その前に、県が訴えていた埋立承認撤回を国が取り消したことに対する関与取消訴訟の最高裁判決が予想される。
その時点で、県は重大な判断を強いられる。
県は、昨年7月17日、辺野古新基地建設に係る沖縄防衛局長からの各種申請等の対応方針について、県の埋立承認撤回に対して国土交通大臣が行った審査請求の裁決について、県が裁判を提訴して係争中であることから、「当該訴訟に係る司法の最終判断を受けて対応することとし、それまでの間は、処分等を行わない」という方針を示した(辺野古新基地建設問題対策課長通知)。そして知事は、7月19日の記者会見で、防衛局から提出されていた、埋立予定海域に生息する3万8千群体のサンゴ類の特別採捕許可申請について、「司法の最終判断が出るまでは判断しない」と表明した。そのため、防衛局はサンゴ類の移植作業に入れない状態が続いている。
ところが、県が提訴していた関与取消訴訟は、昨年10月23日、福岡高裁那覇支部で却下されてしまった。最高裁でも残念ながら却下判決が予想される。
しかし福岡高裁の関与取消訴訟の判決は、県の埋立承認撤回の是非について判断したものではない。今回の福岡高裁判決がたとえ最高裁でも却下されたとしても、県の埋立承認撤回についての「司法の最終判断」が出たとは言えない。少なくとも、昨年8月に提訴した抗告訴訟の結果を待つ必要がある。
県は、関与取消訴訟の最高裁判決で方針を変更することなく、抗告訴訟が最終決着するまでは、サンゴ類の特別採捕許可申請の判断をしないという方針を貫くべきであろう。