現在、辺野古側での土砂投入が続いている。2017年度に契約された「シュワブ(H29)埋立工事(1~3工区)」に続いて、本年3月13日、「シュワブ(R元)埋立追加工事(1~3工区)」が発注された。
これらの工事の当初設計、変更設計の入札・変更契約調書や、特記仕様書、積算価格内訳書等を整理して末尾の2つの表を作成した(一部は5月28日のブログ参照)。
概ね、次のようなことが判明した。
①当初、3工区の契約総額は259億円だったが、変更契約、追加契約でその総額は513億円とほぼ2倍となった。まだ、基準高+4.0mまでの埋立なので、今後さらに+8.1mまで土砂を入れる必要があり、辺野古側の埋立工事の総額はさらに跳ね上がる。
②「シュワブ(H29)埋立工事」、「シュワブ(R元)埋立追加工事」とも、契約後1月以内に大幅な変更契約が行われている。
③「シュワブ(R元)埋立追加工事」も、一般競争入札だったが、それぞれの工区とも、「シュワブ(H29)埋立工事」の受注業者が1社だけ応札し、契約された。
④「シュワブ(H29)埋立工事」では、増額分を追加の変更契約として処理したにもかかわらず、「シュワブ(R元)埋立追加工事」の分は何故、独立した新規契約として発注したのか? 増額変更で処理すれば、落札率、経費の関係から費用は削減される。
⑤「シュワブ(H29)埋立追加工事」の工期は2年間となっている。辺野古側では今後さらに+8.1mまで土砂を入れる必要があるので、辺野古側の埋立が完了するまでには、今後、さらに数年間を要することとなる。
さらに工事内容については次のようなことが分かる。
①埋立材(岩ズリ)の単価は、「シュワブ(H29)埋立工事」では 5,370円/㎥だったが、あまりに高額だという批判が集中したからか、「シュワブ(H29)埋立追加工事」では、4,360円/㎥に修正した。「シュワブ(H29)埋立工事」についても、「シュワブ(H29)埋立追加工事」にあわせて岩ズリの単価を修正しているものと思われる。しかし、防衛局が以前に発注したシュワブの工事では、岩ズリは1,870円/㎥であったから、4,360円/㎥でも高額すぎる。
②工事費の大半を占める岩ズリの単価が下がったにもかかわらず、工事費は大幅に増額されているのは何故か?
③「シュワブ(H29)埋立工事」では、第2回変更(2019.1.21)から、捨石・割栗石・クラッシャーラン資材搬入工が追加された。特に3工区では、それらを海上運搬するとして48.2億円も計上されている。しかし、今まで辺野古側の埋立工事でこうした石材が海上搬送されたことは確認されていない。
④岩ズリの量について、「シュワブ(H29)埋立追加工事」では、「扱い数量」が記載されるようになった。土量の変化率だと思われるが、「シュワブ(H29)埋立工事」と「シュワブ(H29)埋立追加工事」で、異なった扱いをするのは理解できない。
⑤「シュワブ(H29)埋立工事」では、1工区の工事でフロートや汚濁防止膜の設置・管理費用として27.8億円も計上されている(これは直接工事費なので実際には経費分を含めるとさらに跳ね上がる)。「シュワブ(H29)埋立追加工事」でも1工区の工事にフロート・汚濁防止膜の費用が計上されているので(「シュワブ(H29)埋立追加工事」の積算価格内訳書は未だ開示されていないのでその金額は不明)、総額では膨大な金額となる。辺野古側では、簡単にフロート・汚濁防止膜が設置されているだけなので、このような膨大な金額となることは信じがたい。
⑥現在、岩ズリは本部塩川港と琉球セメント安和桟橋から海上搬送されている。しかし今回の「シュワブ(H29)埋立追加工事」では、岩ズリの海上搬送は本部港からとされているのは何故か?
⑦「シュワブ(H29)埋立工事」では、当初、外周護岸内側に幅15mにわたって海砂を敷き、汚濁防止のためのフィルター層とするはずだったが、契約後1ケ月も経たないうちに中止された。那覇空港第2滑走路埋立事業でも、このような海砂によるフィルター層が設置されており、汚濁防止の観点から疑問が残る。