チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

沖縄平和市民連絡会が「辺野古・変更申請書」に関して県交渉(6月1日)--- 「軟弱地盤問題が一番の論点。地質の再調査の必要性についても厳正に審査する」、「埋立土砂は県外からも」

2020年06月02日 | 沖縄日記・辺野古

 6月1日(月)、沖縄平和市民連絡会が、防衛局が提出した辺野古の変更申請書について県交渉を行った。

 この間、コロナ禍のために県とは、県庁1Fロビーで3名までが15分以内で、ビニール越しに話し合うことしかできなかった。やっと会議室での申入れができるようになったが、それでも、やはり人数を制限されている。

 県からは金城知事公室基地対策統括官、島袋土建部土木整備統括官、辺野古新基地問題対策課長、海岸防災課長らが出席。平和市民連絡会は共同代表、事務局長ら8名が出席した。

 末尾に、我々が事前に提出していた要請事項と、それに対して県が冒頭に読上げた回答文を添付する。もちろん、それぞれについて意見交換も行われたが、マスコミには非公開としていたので、その部分は省略したい。

 

 いくつかの重要点だけを説明したい。

①変更申請の設計概要変更部分は公水法上は告示・縦覧は義務づけられていないが、今回は「埋立地の用途変更」(辺野古漁港周辺の埋立中止)が含まれているので、一つの書類として全て縦覧の対象とする。

②縦覧する図書は、縦覧が始まれば沖縄県海岸防災課のホームページでも公開する。 

③埋立土砂の搬入地には、複数の県外の県も含まれており、やはり「全量県内調達」ではない。 

④沖縄県内では、従来の北部地区だけではなく、南部地区からも土砂が搬出される。

⑤県は、関与取消訴訟の最高裁判決を受けて、抗告訴訟の結論が出るまでの辺野古新基地建設事業の許認可申請の扱いについて説明した。しかし、埋立承認の再撤回問題に対する県の対応とも矛盾しており、やはり納得できない。この問題については、さらに話し合うこととする。

⑥本部塩川港・琉球セメント安和桟橋からの埋立土砂搬出は今後も加速することが予想される。しかし県は、「本部塩川港の使用許可」「安和桟橋の目的外使用」を規制することはできないと言い続けている。これは、最後に金城統括監が言った、「あらゆる手法を使って工事を止める」という知事の基本姿勢とも矛盾する。こうした具体的な問題についても、今後、話し合いを続ける。 

⑦県は、「事業開始後の変更について、アセスの再実施を求めることはできない」というが、この点についても更に話し合う。

⑧県は、「変更申請では軟弱地盤の問題が一番の論点」、「地質調査の再調査の必要性についても厳正に審査する」というが、一方では、「ボーリング調査をやり直しなさいとはちょっと言えない」と消極的な見解を示した。

 

 以下、当日の議事録(一部)を掲載する。

********************************

【資料】

沖縄平和市民連絡会 変更申請書に関する県交渉(6月1日)の記録


<出席者>
 ●沖縄県
金城基地対策統括官、島袋土建部土木整備統括官、田代辺野古新基地問題対策課長、新垣海岸防災課長
 〇沖縄平和市民連絡会  8名


5月27日の要請事項
1.今回、防衛局から提出された変更申請について、今後の事務処理の流れを具体的に説明されたい。

<県冒頭回答>
●4月21日に変更申請書が提出されました。県は形式審査を実施し、5月25日に56項目の補正要求を行いました。回答が来ましたら、内容を確認し、告示と3週間の縦覧を行います。縦覧期間の満了の日までに利害関係を有する者は知事に意見書を提出することができます。
 縦覧後、地元市町や関係機関からの意見聴取を行うとともに、内容審査を行います。内容審査にあたっては専門家からの意見を聞くことも重要だと考えています。
 最終的には利害関係者や地元市町の意見も考慮し、公有水面埋立法第4条1項、2項への適合状況について判断します。

 

2.県は5月15日、沖縄防衛局に対して、変更承認申請書の処理期間に関する文書を出した。それによれば今回の変更申請の処理期間は「163日~223日」が目安だとしている。その内容について具体的に説明されたい。
3.この県が出した処理期間の目安に対して、防衛局はどのように対応しているのか? 何の意見も表明していないのか?


<県冒頭回答>
●防衛局に対して、審査期間44日に、当初の埋立承認申請の処理期間とし積算されている告示縦覧の45日、関係機関の意見聴取の60日~120日、告示手続き14日を加えた163日~223日を目安と伝えております。
 処理期間については防衛局からは特に意見はありません。

 

4.県は5月25日、沖縄防衛局に対して形式審査の結果として、「不明瞭な記述」、「記述の不足」等が確認されたとして、56件の補正を求めた。その項目はプレスリリースでそのまま公表されたが、変更申請書そのものが公表されていないため、その内容はほとんど分からない。
 2014年9月3日に最初の変更申請が出された際には、県は同日のうちに「計画変更の概要」をプレスリリースで説明したが、今回は変更申請の概要についても全く公表していない。情報公開のあり方が前回よりも遅れているのではないか?


<県冒頭回答>
●防衛局は設計概要の変更の内容については、技術検討会の資料や、4月21日に変更申請を提出した後も、申請の概要についてホームページで公表しています。県は、標準処理期間の目安や補正要求についても、ただちに公表しており、今後も可能な限り公表していきます。

 

5.補正の期限は6月26日としているが、変更申請書の告示・縦覧は何時か?
  縦覧の対象文書は変更申請の関係図書の全てか(4月28日の要請事項4-1)?
   縦覧場所は、埋立承認申請の際と同じか? 
  変更申請書の全文は、県のホームページでも公開するのか?


<県冒頭回答>
●補正の回答が何時、提出されるかは不明ですが、公有水面埋立法では遅滞なく告示・縦覧することとなっているため、迅速に手続きを開始します。
 埋立地の用途変更、および設計概要変更申請を一つの書類として縦覧する予定です。
 縦覧場所は埋立承認申請の際と同じ場所を想定していますが、地元市と調整後に決定します。
 縦覧する図書は、県のホームページでも公表します。

 

4月28日の要請事項            
1.現在、県は埋立承認撤回を国土交通大臣が取り消したことに対して抗告訴訟を争っている。この裁判が決着するまでは、沖縄防衛局から出された辺野古新基地建設事業に関する許認可や協議について処分を行うべきではない。今回の設計概要変更申請に対しても、上記の裁判が決着するまで処分は保留すべきではないか?


<県冒頭回答>
●県は、国土交通大臣の裁決の取消を求めて昨年8月に抗告訴訟を提起しており、裁判所の判断がなされるまでの間は、埋立工事にかかる作業や手続きを進めるべきではないと考えております。
 しかしながら公水法に基づき、事業者から設計概要変更にかかる申請書の提出が行われている以上、行政としては法令にのっとり対応することが必要と考えております。

 

2.県は昨年5月23日、私たちが「県民投票の民意を受けて、埋立承認を再撤回すること」と申し入れた際、「県は承認撤回は有効だという立場で争っており、最高裁で決着するまでは再度の撤回はできない」と回答した。
 今回、設計概要変更申請の審査に入るというのであれば、埋立承認撤回は取り消されたという立場に立っていることとなるから、まず、埋立承認の再撤回を求める県民の声に真摯に対応するべきではないか?


<県冒頭回答>
●県としましては、3月の関与取消訴訟の最高裁判決を受けて、国土交通大臣の裁決により県が行った埋立承認取消処分が取り消されたということを前提として対応することとしております。
 一方、県は国土交通大臣の裁決は違法であると考えておりますので、引き続き抗告訴訟において裁決の取消に向けて全力をあげます。

 

3.この間、辺野古側への土砂投入量が加速している。現在、コロナ禍のために工事は一時、中断しているが、防衛局は一刻も早い工事再開を狙っている。設計概要変更申請の扱いとは別に、こうした工事の進行をどう阻止するかが大きな課題となっている。そのためには、県が持っているあらゆる権限を見直し、辺野古新基地建設を阻止するための方策を検討することが必要である。
  たとえばこの間、問題となっている、本部塩川港・琉球セメント安和桟橋からの土砂搬送の規制(本部塩川港の港湾用地使用許可や安和桟橋の目的外使用問題等)、県土保全条例の改正、海砂採取の規制、土砂条例の強化等について具体的に対応すべきではないか?

<県冒頭回答>
●本部塩川港の港湾施設の使用許可については、港湾関係法令上、港湾施設を損傷する恐れがある場合など、公物管理の観点から支障を期す恐れが高い場合を除いては許可することが適当とされ、他法令の手続きとの整合性や特定の船籍、特定の仕向地であることを理由に不許可にすることは、何人に対しても不平等な取扱いをしてはならないという港湾法に抵触することとなります。また、公水法の撤回・取消については、港湾法と公水法はそれぞれ別個の法令であることから港湾施設の使用許可にあたっては他事考慮にならないよう対応する必要があります。港湾関係法令に基づいて処理してまいります。
●安和桟橋の使用許可については、H28.11.10付で許可しています。新桟橋については、申請書に添付されている計画概要によれば、その他資材の出荷として骨材等の出荷と記載されており、一部の資材だけに限定されるものではないことや、公共用財産使用許可の対象である桟橋が設置されていることから、県としては目的外使用にはあたらないと考えております。
●本県の建設用骨材としての海砂の重要性は高く、資源の持続的な活用を図る観点からも漁業や環境との調和が重要と考えております。このため、行政、関係機関、および学識経験者がそれぞれ連携して取組を進める枠組みづくりが必要となっています。
 砂利採取行政の在り方など、海砂利採取の現状の把握に努める必要があり、砂利採取組合や漁業協同組合等との意見交換の場を設け、引き続き検討を進めていきたいと考えています。

 

4-2.今回の設計概要変更申請は、大浦湾で軟弱地盤が見つかったことから、大規模な地盤改良工事が必要となったためである。そのためには、当然、当初の環境影響評価をやり直すことが求められる。
 この点については、先日の辺野古周辺住民の抗告訴訟の那覇地裁判決でも、「(設計概要の変更に際して)改めて環境影響評価が実施されるべきこと」と指摘されている。また、知事も辺野古新基地建設事業の防衛局の事後報告書に対して、「変更後の工事計画について---必要に応じて環境影響評価を実施すること」という措置要求を出してきた(2019年8月6日)。
 このまま設計概要変更申請の審査に入るのではなく、防衛局に対して、環境影響評価のやり直しを指示すること。


<県冒頭回答>28:39
●環境部からですが、環境影響評価法及び環境影響評価条例では、事業実施前に変更された場合はそれぞれ、環境影響評価の再実施について規定していますが、工事実施後の変更については手続きを再実施する規定はないと聞いております。
 一方、公水法では、変更承認申請に際しては、環境影響評価について調査、予測、評価を行い、その結果を示した環境保全図書を添付しなければならないと規定されています。4月21日に防衛局は環境保全図書が添付された変更申請を提出したところから、形式審査を行い、5月25日に56件の補正要求を行ったところです。今後、補正後の書類が届き次第、補正された内容を確認するとともに、環境部に意見照会を行って厳正に審査してまいります。

 

4-3.大浦湾では海面下90mまでの軟弱地盤が見つかったにもかかわらず、防衛局は海面下70mまでの地盤改良しか行わない。その理由として、「海面下70m以深は、『非常に硬い』粘土層である」と主張している。しかし、最も問題となるB27地点では、地盤の強度を調べる土質試験は実施していないとして、離れた3地点の試験結果から類推しているにすぎない。
 この間、地質学・土木工学の専門家グループが、B27地点でも実際には地盤の強度を調べる土質試験が実施されており、しかもその結果は防衛局が類推した強度の3分の1程度しかないことを指摘した。他にも、防衛局が実施した地質調査には疑問点が多い。専門家グループは、このままではケーソン護岸が崩壊する恐れがあるとして、B27地点周辺での地質調査のやり直しを求めている。
  このまま設計概要変更申請の審査に入るのではなく、防衛局に対して、地質調査のやり直しを指示すること。


<県冒頭回答>
●深度70mより深い地点の強度試験については、国は実施していないとしていたにもかかわらず、強度を示すデータが存在していたことについては承知しております。
 県は、5月25日の補正指示で、護岸における各地盤の安定性についても追加記載すること等の56件の補正要求を行いました。今後、補正後の書類が届き次第、内容を確認するとともに、地質の再調査の必要性についても厳正に審査することとしております。

 

4-4.この2月、大浦湾の中央部の工事施工区域で3日間、19回にわたりジュゴンの鳴音が確認された。昨年9月にも鳴音が確認されているが、これらはいずれも、工事のない日であった。工事さえ停止すれば、ジュゴンは大浦湾に戻ってくるのである。
 知事は、本年4月17日、工事を停止し、ジュゴンの来遊状況や生息環境等を改めて確認することを求める行政指導を行った。今回の設計概要変更申請についても、事業がジュゴンに与える影響が危惧されることから、まず工事を停止し、ジュゴンの徹底的な調査を行うよう指示すること。


<県冒頭回答>
●4月10日の環境監視等委員会で、工事が行われていなかった2月11日、13日、24日に、大浦湾内の事業施工区域内で、ジュゴンの鳴音が複数回にわたり確認されたことが報告されています。
 そのため県は、防衛局に対して鳴音が確認されたジュゴンを保護する観点から、事業を停止し、ジュゴンの来遊状況や生息環境等を改めて確認するよう文書で求めたところです。
 今回提出された変更申請書では、鳴音が確認された近傍においても大規模な地盤改良工事がなされることとなっており、ジュゴン等の生態系についても厳正に審査を行うこととしております。
 なお、ジュゴンの鳴音については、3月にも確認されていることから、引き続き行政指導を行うこととしております。

 

<金城統括監まとめ>
●知事公室としては、知事公約である辺野古に新基地は造らせない、あらゆる手法でということを明言していますので、県庁全体でそれをやっていくことは変わりません。
 あらゆる手法を使いながら、工事を止めるということを検討していきたい。そのへんの方向性自体は皆さんと変ることはありませんので、今後も支援の方をよろしくお願いしたい。
 また、いろいろ提案があれば、県の方にもご提案いただいて、可能なものについては取り組んでいきたいと考えていますので、今後もよろしくお願いします。

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