チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

防衛局の海底ボーリング調査、海上ブイ設置、提供水域の拡大に関して沖縄県交渉

2014年05月31日 | 沖縄日記・辺野古

        (5月30日、辺野古沖埋立問題に関して沖縄県に申入書を提出)

 5月30日(金)、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団(代表・東恩納琢磨)は、辺野古沖埋立に向けた海底ボーリング調査等に関して沖縄県への申入れを行った。(申入書を下記に付記する。)

 申入れには10数名が参加した。県からは、赤崎土木建築部海岸防災課長、池田基地対策課長、新里農林水産部水産課長らが出席。当初は30分ということだったが、1時間以上にもわたって熱い討議が続いた。

 昨年12月末の埋立承認後、県は、ほとんどを防衛局に丸投げし、県としての対応は終わったという態度を続けてきた。まもなく始まる海底ボーリング調査に対しても、10年前には防衛局から施工計画等の提出を求め、ジュゴン保護等の環境対策について細かく検証して留意事項唐を付してきた。しかし、今回は、「埋立承認を行ったので、防衛局からの申請は必要ない」と傍観者のような対応を続けている。

 しかし、今回の申入れで我々が強く要求した結果、「海底ボーリング調査、海上ブイ設置については、従来からの経緯もあるので、過去の留意事項等を十分に配慮するよう防衛局に申し入れる。」とだけは約束した。また、現在、防衛局は、従来は海岸から50mの範囲にすぎなかったシュワブ沖提供水域の第1水域(漁船、一般船とも全面立入禁止)を、今回の埋立の施工区域全てに拡大(海岸から2000mにもなる)して反対運動を規制する動きを見せている。今日の交渉でも「これは基地の拡大ともいえるものであり、日米合同委員会の決定前に県としての意見を表明せよ」と強く迫ったが、県は傍観する態度を変えなかった。この点については、今後のさらなる追求が必要となる。

 なお、海底ボーリング調査の業者との契約は今日(5月30日)に契約された。6月に入れば何時海底ボーリング調査が始まるか分からない緊迫した状況となってきた。

・「辺野古新基地建設でジュゴン監視団が県に要請」(QABニュース 2014.5.31)

 

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沖縄県知事 仲井真弘多様                                       2014年5月30日 

                                 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団  代表 東恩納 琢磨                                   

      防衛局による辺野古沖・海底ボーリング調査、海上ブイ設置に関する申入書

   沖縄防衛局は本年3月27日、「普天間飛行場代替施設建設事業に係る地質調査及び磁気探査」を業務内容とする「シュワブ(H25)地質調査(その2)」を入札公告した。5月下旬に業者との契約を終え、6月以降、辺野古沖で海底ボーリング調査、磁気探査が始まる。また、防衛省はこの海底ボーリング調査に対する住民の反対行動を阻止するため、米軍への提供水域の拡大や船舶の進入制限強化、さらには海上へのブイ設置等を行うと発表した。

 今回の海底ボーリング調査は、単管足場(水深3m未満)を9地点、スパッド台船(水深3m以深)を12地点に設置して海底を削孔するものである。海上ブイの構造はまだ明らかにされていないが、ブイの固定のためには海底にアンカー等を設置し、チェーンで連結するものと思われる。いずれも海底を使用するものであることから、沖縄県国土交通省所管公共用財産管理規則に基づき、海底を管理する沖縄県知事の許可が必要である。

 10年前の辺野古沖海底ボーリング調査では、那覇防衛施設局(当時)から公共用財産使用協議書が提出され、県は「ジュゴンへの配慮」等の「留意事項」を付けた上で合意したが、それでもスパッド台船の4本の柱脚やアンカー等により珊瑚や岩礁が破壊され大きな問題となった。

 先日も、大浦湾の埋立予定地内で30本ほどのジュゴンの食み跡が確認されたばかりである。今回は、この海域でブイの設置やスパッド台船によるボーリング調査が予定されており、ジュゴンへの影響が特に危惧される。

  県が埋立承認にあたってつけた「留意事項」(「環境保全対策---等について詳細検討し県と協議を行うこと。」等)を順守させる立場からも、県は、海底ボーリング調査、海上ブイ設置にあたって環境保全対策が適切に行われているかどうか検証しなければならない。

 この問題について、知事に下記のとおり申し入れる。

                   記

 1.沖縄防衛局が予定している海底ボーリング調査、海上ブイ設置について、県は防衛局から、調査個所、調査方法、ジュゴンやサンゴの保護策等の環境保全対策、またブイの構造、設置箇所等の報告を受けているか。 

2.10年前の辺野古沖海底ボーリング調査では、「沖縄県国土交通省所管公共用財産管理規則」に基づき、那覇防衛施設局から公共用財産使用協議書が県に提出された。県は専門家の意見を求めた上で「ジュゴンへの配慮」等を指摘し、5点の留意事項を付加して同意した経緯がある。

  先日、県海岸防災課の担当者は、我々の質問に対して、「埋立を承認したので公共用財産使用協議は必要ない。」と説明した。しかし、埋立承認申請書には海底ボーリング調査について全く記載されていないのであるから、この説明は通用しない。また、県の同管理規則には、このような場合の適用除外の定めもない。

 県は海底ボーリング調査について、防衛局に公共用財産使用協議書の提出を求め、調査個所や調査方法、環境保護対策等が十分かどうか審査すること。 

3.那覇防衛施設局は10年前の海底ボーリング調査では、たとえばジュゴン対策として、「同時に行う調査個所は最大でも8ケ所、それぞれの間隔はできるだけ近接しないよう配慮」、「ボーリング用足場等は、ジュゴンが移動経路として利用する可能性もあるリーフの切れ目には設置しない。」、「ジュゴンの採餌時間を考慮し、日の出1時間後から日没1時間前までの間で設定」、「標準貫入試験の打撃音の軽減策。一日の打撃回数の制限」、「弾性波探査の前には、航空機等により周辺にジュゴンがいないことを確認の上、実施」などを予定していた(「地質調査・海象調査の作業計画について」平成15年11月 那覇防衛施設局)。

 今回の海底ボーリング調査を同管理規則に基づく協議の対象外とするのなら、少なくとも「作業計画」の提出を求め、調査個所、調査方法や、海草藻場、珊瑚、ジュゴン、ウミガメ等の環境保護策がどのように行われているかについて審査すること。

4.沖縄県漁業調整規則第39条は、「漁業権の設定されている漁場内において岩礁を破砕し、又は土砂を採取しようとするものは、知事の許可を受けなければならない。」とされている。しかし、10年前の海底ボーリング調査では、防衛施設局の照会に対し、県は「許可不要」と回答した。その結果、スパッド台船の柱脚やアンカーにより珊瑚や岩礁が破壊されるという重大な事態が発生したのである。そのため、防衛局はスパッド台船の柱脚の台座を外す等の措置をとったが、住民団体は、防衛施設局や業者を告発するなど大きな問題となった。

 このような10年前の経過からも、今回の海底ボーリング調査については、まず、防衛局から調査内容の詳細を求めた上で、沖縄県漁業調整規則による許可について判断すべきである。

 5.本年5月、市民団体の調査で、辺野古崎の大浦湾側で約30本ものジュゴンの食み跡が発見され、埋立予定地(同時にボーリング調査予定地)がジュゴンの重要な餌場である可能性が高くなっている。

 防衛局の埋立承認願書は、「海草藻場でのジュゴンの食跡は辺野古地区では確認されませんでした。」というものであった。審査の途中で明らかにされた平成24年度のジュゴンに係る調査結果で、辺野古地区(大浦湾西部)でジュゴンの食跡が3回確認されたが、それでも防衛局は、「ジュゴンが辺野古地先の海草藻場を使用することは限定的」、「恒常的に使用しているとは認められない」と評価し、県もそれ以上問題とすることなく、埋立を承認した。

 今回の辺野古崎の大浦湾側での約30本ものジュゴンの食み跡の発見は、こうした防衛局の埋立承認願書の内容や県の照会に対する防衛局の回答を根本的に覆すものである。県として、ジュゴンの保護策を抜本的に見直すべきである。

 6.沖縄防衛局は、すでに埋立工事の実施設計を発注し、受託業者による作業が始まっている。

 県が埋立承認にあたって付けた「留意事項」では、「1.工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと。」、「2 実施設計に基づき環境保全対策、環境監視調査及び事後調査などについて詳細検討し県と協議を行うこと。」とされている。

 ここで明記されている「実施設計前の協議」、「実施設計に基づく環境保全対策の協議」の具体的な内容を明らかにされたい。  

 7.海上ブイ設置については、ブイの固定のために海底に工作物が設置されることとなる。防衛局に対して、ブイの設置箇所、設置方法、海底使用面積、使用期間等を明記した公共用財産使用協議書の提出を求め、その内容を審査すること。

 8.最近になって政府は、海底ボーリング調査への反対運動を規制するため、米軍への提供水域のうち立入が制限されている第1、第2水域の拡大や、普段は一般船の立入が制限されていない第3水域についても、1972年の日米間の合意文書(「5.15メモ」)の解釈を変更してカヌー等の立入を制限すると報道されている。

 米軍への提供水域の拡大や、船舶進入規制の強化は、県民にとって基地機能の強化と言えるものであって決して認められない。県は、この問題に関して、政府からどのような連絡を受けているか明らかにすること。また、政府に対して、シュワブ沖訓練水域の規制強化は認められないという態度を貫くよう求める。

(注)

漁業制限法に基づくシュワブ水域の制限強化

 今回の埋立の「施工区域」を全て「常時漁船の操業を禁止」する「第1種区域」とする案。防衛大臣が農林水産大臣に意見を聞き、農水大臣から県に照会。県は5.27に名護市や名護漁協等に照会している。7月上旬をメドに、閣議決定する予定とのこと。 

*「5.15メモ」によるシュワブ沖訓練水域の規制強化

 日米地位協定に基づき、1972年の沖縄復帰時に米軍の訓練、保安のための水域及び空域の提供・使用条件等を定めた日米間の合意文書(「5.15メモ」)が定められた。シュワブ沖では、第1~第5水域が定められている。今回、政府は、第1水域を拡大、漁船、一般船の立入を全面的に制限しようとしている。漁船については漁業制限法で農林水産大臣や地元漁業関係者の意見を聞くこととなっているが、米軍への訓練水域の拡大に関しては日米合同委員会で決定されてしまう。

                          

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 5月30日には、県民会議の主催で沖縄防衛局(嘉手納)への抗議の昼休み集会が開かれた。 

              

 

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