10月27日（火）、国土交通大臣が、防衛局長が申し立てていた知事の埋立承認取消処分の執行停止を決定した。その決定書が沖縄防衛局に到達した時点（明日、28日の見込み）で執行停止の効力が発生する。防衛局は現場での工事を再開するだろう。いよいよ辺野古は大変な状況を迎える。
各方面から、国が行政不服審査請求を行うのは法の趣旨に反して違法だと指摘されていたにもかかわらず、国土交通大臣は執行停止申立を認めてしまった。ある弁護士さんは、「これでは暴治国家だ！」と怒りを顕にされたが、なりふり構わない政府の対応には怒りを禁じえない。
政府は執行停止の決定を行なっただけではない。今日の閣議では、「地方自治法に基づき沖縄県知事に対して、本件取消し処分を取り消すよう『勧告』することとし、明日にも『勧告文書』を沖縄県知事に郵送する」ことを決めたという。知事がその「勧告」に従わなければ、国は高裁に代執行訴訟を提訴することになる。
どうも訳が分からない。国土交通大臣の「是正勧告」は、知事の埋立承認取消しが違法と判断した上での措置となる。防衛局長は10月13日、行政不服審査法に基づく不服申立を国土交通大臣に行なったが、その裁決は未だ出ていない。知事の埋立承認取消が違法かどうかの判断を未だしていないのに、「違法だから是正勧告」をするというのはもう支離滅裂だ。
また、今日出された執行停止の決定書はわずか４頁の簡単なものだ。「承認取消しによって事業の継続が不可能となるため、普天間飛行場周辺に居住する住民等が被る事故等に対する危険性及び騒音等の被害の継続や、米国との信頼関係や日米同盟に悪影響を及ぼす可能性があるという外交・防衛上の不利益が生じ、これらの重大な損害を避ける緊急の必要性があるとする申立人（防衛局長）の主張は相当であると認められる」というだけの内容だ（決定書 P3）。
翁長知事が国土交通大臣に提出した執行停止申立に対する意見書は本文950頁、証拠書類3000～4000頁という膨大なものだったが、国土交通大臣は、わずか４頁の決定書で知事の意見をほとんど無視してしまったのである。たとえば、「普天間飛行場の危険除去というのなら、埋立承認の際の約束だった『５年以内の運用停止』はどうなったのか？」、また、「長く基地被害の対応を怠ってきた政府の責任は？」というような知事の指摘には一切答えていない。
翁長知事は、国・地方係争委員会への申し出を行うとしているが、法廷闘争だけではどうしようもない。今後は、知事権限を毅然と行使し、防衛局の事業を一つひとつ止めていればならない。知事の真価が問われるのはこれからである。
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