チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

辺野古周辺住民による抗告訴訟の口頭弁論を傍聴

2019年07月23日 | 沖縄日記・辺野古

 7月23日(火)、国が行政不服審査法を濫用して、沖縄県の埋立承認撤回を取り消してしまったことに対して、辺野古周辺住民ら15名が提訴した抗告訴訟の口頭弁論を傍聴した。

 この訴訟では、毎回、原告が一人ずつ意見陳述をしているが、今日は、大浦湾で生まれ育った原告団長の東恩納琢磨さんが陳述を行った。(その陳述書の全文を末尾に掲載したので、是非、お読みください。)

 訴訟の最大の争点は、原告適格が認められるかどうかだが、被告(国)は最近になって、原告適格の問題以外にも、国が行政不服審査請求を行えるかどうかについて、詳細な準備書面を提出してきた。弁論後の弁護士さんの報告では、この裁判は、国が行政不服審査請求を使えるかどうかについて、初めて裁判所の判断が出されるだろうという。その意味で、今後、国が同じような手法を取ることができるかを左右する重要な訴訟となっている。

 今後の進行に注目したい。

 ただ、まもなく県も同様の裁判を提訴する。住民の抗告訴訟の方が先に判決が出されることから、県はこの住民の抗告訴訟に対して、もっと協力するよう要請したい。

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   陳述要旨                  東恩納琢磨


  私は1961年9月3日生まれで、名護市字瀬嵩で生まれ育ちました。

 私が、辺野古基地建設問題に関わるようになったのは、1997年に名護市で行われたヘリポート基地建設の是非を問う住民投票が切っ掛けでした。当時、私は、名護市内の土建会社で働いていました。私の住んでいる瀬嵩集落のすぐ目の前のキャンプシュワブ沖に海兵隊の新基地を建設するという計画でした。

 それに対して、大切なことはみんなで決めようと基地建設の是非を問う住民投票を行う条例を制定する動きがありました。当時土建会社は建設賛成の立場だったのですが、私は自分の子どもの頃から親しんできた海が破壊されるのは納得がいかず、住民投票の制定を求める「受任者」として署名活動をしました。

 署名は有権者の過半数を超えて、市民投票条例が可決され12月に市民投票が行われ、基地建設反対が過半数となり、名護市民の民意が示されました。

 私はこの結果(民意)に勇気づけられ、基地に頼らない地域づくりを実現するためにエコツーリズム業を行うことを決心し2000年に「じゅごんの里」を立ち上げました。

 じゅごんの里は大浦湾・辺野古の海を案内し、豊かな自然を楽しんでもらい、自然保護についても理解してもらう事業です。豊かな自然を求め年々多くの方が訪れるようになっていました。

 この豊かな自然を利活用し地域ブランドを高めることにより雇用を増やして行く事も期待されています。

 ところが、臨時制限区域が突然設けられ、大浦湾・辺野古の海は、フロートで仕切られてしましました。そのことで、無人島ツアーやジュゴンの食み跡観察ツアーができなくなりました。

 今後も工事の影響で景観が損なわれることによりエコツーリズム事業が影響を受けるのではと心配しています。現在の大浦湾・辺野古の海は警戒船や工事船が行きかい、その結果餌場を失ったジュゴンも現れなくなりました。沖縄防衛局は環境監視等委員会の助言を得て環境に配慮して工事をしているとしていますが、このままではジュゴンは確実に大浦湾・辺野古に戻ることはできなくなります。

  2019年2月24日には、辺野古米軍新基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票が行われ、埋め立てに「反対」の得票が、投票総数の7割を超えました。国は、沖縄県民の民意を真摯に受け止め、辺野古の新基地建設計画を直ちに見直すべきです。

 私は、補償を求めて、裁判を行っているのではありません。国の手続きの進め方が余りにも恣意的ではないかと思い訴えているのです。

 ここにいる沖縄防衛局の職員は国家公務員ではないのですか、ここにいる沖縄防衛局の弁護を担っているのは国家公務員ではないですか。国家権力の下で国防との名の下で埋め立て工事を行っているのではないですか。なぜ個人の救済を求める行政不服審査法を私人として使うのですか。行政不服審査法使って防衛局を訴える事の出来る漁業組合に対しては、国として補償金を支払い、一方で私人に成りすまして手続きを行うことはダブルスタンダードではないですか。それは工事をただただ進めたいだけで、県民の理解を得る気持ちなど毛頭ない証です。

 このことは沖縄県を蔑視することであり、人権侵害ではないでしょうか。

  裁判所におかれましては、私たちの訴えを門前払いするのではなく、大浦湾・辺野古周辺住民の現在すでに起きているまた未来に起こると考えられる被害を認め、私人と成りすましている国の主張の矛盾を裁判によって明らかにできるよう、適切な判断を行って頂きたいと思います。

                                                                  

以上

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