チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

糸満市・熊野鉱山開発問題についての公害等調整委員会の審理が終結 --- 今後、求められる沖縄県の毅然とした対応

2022年07月30日 | 沖縄・南部土砂問題//遺骨問題 

 昨日(7月29日・金)、糸満市・熊野鉱山開発問題に関する総務省の公害等調整委員会の第4回審理が開かれた。

 いつものように、東京のグループを中心に総務省前でのアピール行動、委員会の傍聴、そして夕刻からは参議院議員会館で院内集会等の行動が続いた。沖縄からも、ガマフヤー支援者の会のTさんが参加した。

            (公害等調整委員会後の院内集会(Mさん提供))

 

 公害等調整委員会では、委員長が、県と業者の双方に追加の主張・立証がないとして審理終結を宣言したようだ。

 6月24日、県は公害等調整委員会が示した合意案の受諾を発表した(詳細は7月14日のブログ参照)。当時、県は、「業者が現在の開発届を取下げ、合意案に沿った新たな開発届を提出し、県はそれに対して措置命令は出さない」と説明していた。自然公園法では、開発届提出から30日が経過すれば事業に着手できる。県も「早ければ8月末には掘採が始まる」と認めていた。

 しかし28日に県に確認したところ、未だ、業者は現在の開発届を取下げていない。合意案に基づく新たな開発届の内容について、県と業者の間での調整がついていないという。

 

 25日のブログでも説明したように、今回の合意案には多くの問題があり、私たちは今からでも合意案受諾を取消すよう求めている。

 そもそも自然公園法に基づく県の措置命令を失効させることは認められない。措置命令に違反した場合のペナルティがあったが、今回の合意案には拘束力がなく、実効性が全く担保されないのだ。

 

 さらに関連する問題がある。

1.新たに提出される開発届の事業年度は3年以内か?

 熊野鉱山では鉱山掘採に伴う石材・土砂搬出ルートがないため、開発業者は現在、北側の農道に続く4筆の農地の一時転用を知事に申請している。

 この付近の農地は、農振法に基づく農用地区域に指定されており、一時転用許可は「3年以内」に限られる。

 熊野鉱山の開発届では、当初、事業期間は約5年であった。農地一時転用申請について糸満市は、「3年以上の一時転用は認められない」ということで、業者の申請を受け付けなかった。そのため業者は、農地転用の申請書を、事業期間を3年に短縮した計画に差し替えざるを得なくなった。

 この一時転用申請は、現在、沖縄県で審査が行われており、最終的に知事判断となる。

 「3年以内」というのは、掘採だけではなく、埋戻し・植栽等の原状復旧や農地への復旧期間も全て含めた期間である。私たちは農地転用申請を審査する沖縄県農政課と何度も意見交換をしているが、農政課は、「3年という一時転用許可を延長することはできない」、「3年後、別の場所で新たに一時転用を申請することはできない」と明言している。

 したがって、今後、合意案に基づいて新たに提出される自然公園法の開発届も、事業年度「3年以内」でしか受理できないのは当然である。再提出された開発届の事業年度が3年を超えておれば、知事は農地一時転用申請との矛盾を理由に受理してはならない。

 

2.魂魄の塔前の県所有・管理地を鉱山の重機・ダンプトラック等を通行させてはならない

 開発業者は現在、重機や作業車両を、魂魄の塔前の沖縄県が所有・管理する広場から「有川中将以下将兵自決の壕」に続く里道を通している。今後、掘採が始まれば、さらにダンプトラックや作業車両が頻繁に通行するだろう。

 この魂魄の塔前の広場は、米須霊域の参拝者のためであり、鉱山のダンプトラックの作業車両の通行は認められない。県も昨年、私たちの要請により、県は現地に参拝者以外の広場利用を禁止する看板を出した。

 今回、業者が提出しなおす開発届には、この広場を作業車両は通行しないということを明記させなければならない。

 以上、まだまだ多くの問題があり、県の毅然とした対応が求められる。

(近くの鉱山のダンプトラックの待機場となった魂魄の塔前の県管理広場(2021.2.27))

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