踊る真ん中さん。

暑い日が続いております。
正直お風呂を沸かすのもしんどいし、3人分の髪と体を洗う間に誰かがのぼせそうで、シャワーのみで済ませる日が続いています。
休日はお湯を溜めてゆっくり浸かるのもイイのだけど、タイムトライアルみたいな平日は、運動量が違うのでとにかく暑い…！

しかし、3人で入るには狭い洗い場なので、当然湯船の中も待機用に活用します。
シャワーを使ってイナイ間は湯船の中に向かってお湯を出し続け、僅かながらお湯を溜めるものの、その程度ならすぐに冷めていきますので軽く水遊びみたいな感じね。
サキヒナはこののぼせずに入っていられるのが好きなようで、浴槽の底から15cmほど溜まったぬるま湯で、キャーキャー言いながら遊んでいます。

まぁそれはイイのですけどね。

最後に出る時、浴槽の栓を抜くと、しばらくしてヒナタが「『まんなかさん』が踊ってる～！」と楽しそうに言うではアリマセンか。
真ん中さんって何だ？　と思って浴槽を覗くと、排水溝に流れ込む水の中心に、小さな渦がゆらゆらと揺れていました。
なるほど、渦のことか。
子どもって、面白い表現をするものだね。
サキタも私と同じように「まんなかさん」＝渦であることに気付くと、「ヒナタくんは面白いことを言うね～」と感心しつつも、「真ん中さんが消えちゃう～！」などと楽しそう。
片付けなどしながら微笑ましく思っていると、やはりサキタはヒナタとは違うことを考えるようで。

「ママ、何で真ん中さんはいつも同じ方に回ってるの？　逆に回ることもあったっけ？」

えと…。
渦は毎回同じように巻いて、北半球と南半球では逆向きに巻くのだったと思うけど、何でそうなるかまではえーとスミマセンママは文系なのでワカリマセン。
とりあえず南半球ってのは地球の下半分のことで、地球儀の赤道から下半分のことです。

もうね、説明がしどろもどろで申し訳ナイのだけど、質問の内容がやっぱ違うよね。
科学になるのかしら、月の満ち欠けとか季節の有無とか日食とか、そんな「大人だからなんとなく知ってはいるけど、6歳児にわかりやすく噛み砕いて説明できるほどは知らない」ようなことを、聞かれることが多くなりました。
真面目に勉強していたはず、なんだけどな…。

サキヒナは楽しそうでしたが、ママは密かに、自分が答えてやれない質問が増えてきたこととそれによってせっかく湧いて来た好奇心を萎ませてしまうのかもしれないことに、少々焦りを感じていたのでした。
このまま忘れてしまってもサキヒナは何も気にしないでしょうけれど、せっかく頻繁に図書館に通っているのだから、ついでに子ども向けの図鑑か何かでサキヒナの抱いた疑問の答えを一緒に探してやったりした方がイイのかもしれませんね。
スルーするのは簡単だし、そうなってしまうことも多いだろうけど。

踊るようにゆらゆらしていた「真ん中さん」は次第に大きくなり、やがて吸い込まれて消えました。
サキヒナの好奇心は、消えませんように。