サキタをやっとの思いで寝かしつけて、洗濯物を干し終わり、寝室からリビングに戻ってきたところ、携帯のランプが点滅していた。
開いてみると、ハルトくんからの着信と、メール。
先輩と、急遽飲みに行くことになったという。
着信時刻を見る限り、もう店に入って飲み始めた頃だろうか。
……好きにしやがって。（-_-＃
この先輩というのは、独身だ。
ご実家にお住まいのようだけど、どうもご自宅での夕食は毎日は避けているらしく、飲んで帰ることが多いという。
夕食の支度を担当しているご家族の事情だか何だか知らないが、それぞれの家庭の事情だから私にはどうでもイイことだが、独身者と既婚子持ちが同じ頻度で飲みに行けるかどうかくらい、ちょっと考えて貰えないだろうか。
最近特に、ハルトくんからこの先輩の名を聞くことが増えた。
ハルトくんは全ての誘いに乗っているわけではナイらしいが、それでも多いと思うくらいだ、いったいどれだけの頻度で誘いを掛けてきているのか。
ハルトくんにしたって、付き合いが悪いと思われたくはナイだろうし、やはり職場の人間関係を円滑にするにもちょいちょい顔を出した方がイイと思われるし、理屈ではわかるのだけどさ。
ハルトくんは明日出勤の上、夜飲み会に行くとか言ってなかったっけ？
私は明日、サキタを連れて長丁場予定の妊婦検診に行き、結局平日並みいやそれ以上にがっつりとサキタの面倒を見つつ、夜の寝かし付けまで1人でやるんだよね？
お腹にテパを抱えて、サキタを追いかけ回すのだよね？
シングルマザーってこんなか？
歓迎会も送別会も懇親会もちょっとした付き合いも、全ての誘いを断り続ける私の気持ちはもやもやとする一方だよ。
サキタのお迎えは絶対だし、それを覚悟の上での職場復帰だ、最初から納得の上だけども。
それでもどうしてハルトくんと私は、こうも自由度が違うのか。
別に飲めるわけでナシ、そこまで飲みに行きたいわけでもナイけどさ。
セクハラとかパワハラとか面倒臭いしさ。
「土曜日ならサキタを見ているから、夜でも友達とゴハンを食べに行って貰って構わないよ」
ハルトくんはそう言うけれど、小さい子供のいる私に、土曜日の夜にわざわざ誘いを掛けてくれる友達なんていない。
声を掛けてくれたにしても、「小さい子供がいるもんね、夜は無理だよね」とか、「昼ならランチできるかな？ それかサキタくんもいるし、お茶をしに遊びに行かせて貰ってもイイかな？」くらいの配慮をしてくれるよ。
あるいは、双方子供連れでのランチな！
身軽にゴハンを食べに行くなんてお誘いは、真っ当な女子は掛けて来ないよ！
私の方から「土曜日の夜は旦那に子供を見ていて貰えるから、そこでゴハンの予定があったら誘って貰えないかな？」と図々しくも話を持ちかけ、「喜んでー♪」と土曜日の夜にゴハンの予定を入れてくれた会社の子達に感謝。
来月の予定なのだけど、実はもうめちゃめちゃ楽しみだったりする。
もやもやとしながら自分の食事は適当に済ませ、後はもう好きに過ごさせて貰うことにした。
気分転換と称して好き放題にでもしなけりゃ、このもやもやはおさまらん。
明日までに解消しておかないと、サキタの面倒見ながらキレちゃいそうだしね…。orz