まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

たいせつなことは

2018-04-07 15:50:42 | 日記


お祝いのケーキを引き取りに
ゆるやかな坂道を上がっていると
重たい灰色の空からとうとう
ぽつりぽつりと雨が降ってきた

風は午後から勢いを増し
わざわざこの日に季節はずれの
嵐を呼ぶだなんて
さすがだな、あの男

くいしん坊友達が
長い春を終えて可愛らしい彼女と
一緒に暮らしはじめたので
友達が寄ってたかって
お祝いパーティしようと
声かけたらあれよあれよというまに
90人が集まった
人徳のなせる技か
シャイな花嫁に会える貴重な機会を
逃すまいというみんなの思いか

幹事の近くにいたおかげで
ケーキをatelier 結心(アトリエゆっこ)の
ゆっこちゃんに
花束を包の五十嵐さんに
受付担当をみなこさんに
オーダーすることに成功した
発動できる最高グレードのカード三枚
負ける気がしない

港近くの町のビルに
箱庭のようなスペースに佇む
猫の看板を目指して
続々とやってくる友人
開始予定を少し押して
生演奏のどらえもん変奏曲にあわせ
新郎新婦が入場し
来客の間を練り歩く

ふたりのなれそめ紹介や
お祝いのスピーチや歌
そしていよいよ
ケーキ入刀
ゆっこちゃんの渾身作
(過去の作例を見せてもらいながら、
これがいいといったら
「あ、わたしのじぶんのパーティのときに作ったやつだ」とニコニコ)と
わたしの手持ちの波刃包丁を
100均で買ってきた造花やリボンで
それっぽく飾りたてたものを
ひろこさんに手伝って運んでもらう

ナイフをケーキにあてがい
にこにことカメラにサービスする二人
そして前代未聞の
「どセンターまっぷたつ斬り」を
披露してくれた

そのあとわたしが切り分け
ひろこさんが二人の分を
お皿に入れて届けてくれて
さあ、あとは早いもの勝ち

バンド演奏のあと
お祝いあれこれプレゼント

五十嵐さんの作ってくれたのは
アイボリーとグリーンの
しっとり落ち着いたお洒落な花束

オーダー受けてくれたときに
「え?ブーケじゃなくていいの?ほんと?ほんと?」
と何度も念を押され

シャイな女の子なのでそういうのたぶん照れちゃうから、
ざ・花嫁っていうんじゃないやつで、
とお答えしたのだけど

ブーケはだめ、ブーケはだめ、
と思いながらやっぱり
せめてフィルムはずしたらブーケに
なるようにって作っちゃったよ、
と笑うのはお花屋さんの業なのか

そして新郎のご挨拶

サンテグジュペリのご本から

「たいせつなことは、目に見えない」
これは半分はほんとうだけど
半分はそうではない
なぜなら、僕は目に見えて手で触れられるしあわせを手に入れたから

なんだか素敵に惚けられたけど
後半拍手と野次でよく聞こえなかった

生演奏の(なんかわかんないけどコミカルなやつ)に送られて、会場をひとまわりしながら退場する二人

晴れがましいことはもしかしたら
あんまり得意じゃなかったかも
しれないけれど
じぶんたちにはいつでも90人の味方がいて
180本の手をいつでもさしのべてくれる
ってことを覚えていてくれたらいいな

なんなら足も貸すからさ

ともあれ

おめでとうさまでした
楽しく暮らしてね

そして
幹事のみなさま、本当に
おつかれさまでした
とても良いパーティでした