まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

あたかてんてー

2018-01-11 07:20:10 | 日記
今年も美しい毛筆の年賀状が
ムスメ宛に届いた。

浅香先生はムスメが保育園に
通っているときに
お世話になった先生だ。

背が低く華奢で可愛らしい顔の先生で
舌のまわらないムスメは
「あたかてんてー」と
呼んでなついていた。

おままごとによくつきあって
くれたようで
「あたかてんてーはー、なんのごはんがしゅきですかー」
「先生はシチューがすきですー」
なんてやりとりをしたことが
日報によく書いてあった。

いつぞやは休日に電車の中でばったり会って
先生は明らかに「デート」だったのに
彼氏のそばを離れてわざわざ
ムスメとおしゃべりしに来てくれた。
卒園の時は華やかなピンクの着物に紺の袴姿で、
大きな目から涙をいっぱい流してくれてた。

そのあと横浜に転居してからもずっとムスメは
先生と年賀状のやりとりを続けた。
ムスメが小中高大と進学する間、
先生は結婚して苗字が変わり、
保育園をやめて、お父様の仕事を手伝うようになり、
お引っ越しされた。
先生のはがきの文面はいつも慈愛に満ちていて、
わたしは読むたびに、素敵な先生に出会えたムスメの
幸運をかみしめるのだが
四月から社会人になるムスメへの言葉を読んで
思わず泣いた。

「自分の足で立って、歩いて、転んだらまた立ち上がる。
小さい頃とおんなじですよ。(笑)」

だいたいいつもポーカーフェイスのムスメだけど、
あたかてんてーにはきっと、
少し不安な気持ちでいることが伝わったんだろう。
文字通り、おぼつかない足取りから
しっかりした歩みへの成長を見守ってくれた先生の
だいじょうぶ、一度はやってることだから、
今度もうまくいくよ、と言うこの上ない励まし。

お世話になった3年間だけじゃなく
卒園してからの17年も
多分これから先も
いつもムスメの心の中に座ってて
応援してくれる人がいることは
なんてありがたく幸せなことなんだろう。
子育てって孤軍奮闘だと思ってたけど
そんなことはなかったんだなあと今更気づく。

自分の足で立って歩けるようになったら
今度は誰かの歩みを応援できる人に
なってくれ、ムスメ。