まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

棚田ちゃり

2016-05-16 19:22:00 | 日記


そうだ千葉行こう、と
お昼過ぎに車にちゃりを積み始めた。
渋滞の心配されたアクアラインも
するーっと通過。
何回通っても感心する
海中トンネルと海上ロード。
トンネルに窓があったら
最高なんだけど。

キョナンホタという
聞きなれず言いにくいインターで
降りて漁港を目指す。
まずは腹ごしらえの海鮮丼。
窓際で実演販売してる
たまごやきの美味しそうなこと。
どんなにシュミレートしても
ここで食べきれないし
持ち帰れない巨大な黄色い四角。
未練がましい食いしん坊。
しかたないのでびわゼリーで
妥協する。

ちゃりを組み立て、向かうは
15キロ先の鴨川市。
大山千枚田の美しい景観を目指す。
大好きな田園ライドに心踊るが
のちに若干の勘違いがあることに
気づく。

走りはじめてすぐ、道の駅を通過。
正直いって、道の駅って
超絶田舎にしかないんだと思ってた。
いやそうじゃなくて
千葉がそんなに超絶田舎だなんて
思ってなかった。
なにしろ広い県なのだから
都会も田舎もあるのは
当たり前だし
箱根を持ってる神奈川県民が
何を言っちゃってるんだ、と
いうお叱りも当然だと思う。

舗装されてない川の流れ、
いたるところにある神社の鳥居、
広い広い田んぼ、
キバナコスモスやカラーの群生。

そしてじわりじわりと登り坂。
最初のうちは、少し登っては下ってたはずなのに
だんだん登っても登っても登り坂。

あとで地図見てわかったのだが
棚田のあるエリアは
房総半島の真ん中
尾根になってる場所にある。
港からは登っていくに
決まってるのだった。

息あがり、脚止まり、
ようやくたどり着いた高台で
小休止しようとしたら
犬のブリーダーの小屋の前。
数えきれない量の
高価そうな子犬たちが
一斉に吠えたてる。
ヘンナヤツキタ!!
ヘンナヤツアッチイケ!!

その先はどんどん下がる。
帰りは登るんだと思うと
ちっとも嬉しくない。

大きな道路に出て、棚田の標識を発見。
ついこないだもここに来たムスメから
重大発表が。

「ここからはずーっと登ります。
なぜなら、棚田ですから。」

…それってあまりにも当然すぎて
気が遠くなる。

でもしかたない。
美しい景色のためだもの。
それに登らなきゃここまでの苦労が
報われぬ。

マイペースで行くので
お先にどうぞと言ったら
あっという間に見えなくなった。

じりじり漕いでさっさと諦めて
ちゃりを押しながらだらだら歩く。
日陰はうっそうと緑が繁り
空気がひんやりする。
加圧ポンプ室、人気もなく。
でもあとでサイト見てたら
日本唯一の天然水の棚田って
書いてあった。
けっこう登って来たところに
唐突にあるテニスコート。
いったい誰がいつ、こんなところで
テニスするのだろう。



急に開けた緩い下り坂の終わりに
待ち構えてる家族。
ここが棚田なのか。
確かに素敵な眺め。

「あ、ううん、大山千枚田はもうすこし先。」

なんだ、きれいねーとか言っちゃったじゃないか。

そしてそこから本当にすぐ先に




圧巻な風景が広がっていた。

耕地改革にちょっと乗り遅れてしまったために、現存している棚田は
そのままだと放置されかねないので
一区画単位で都会の人にも貸している。
ちゃんと真剣にやるんなら、米作りを教えてもらえ、収穫できたらじぶんで食べられる。



一帯の里山はフィールドワークもできるよう、保存団体がメンテしている。
今日もたくさんの人が観光に訪れ、
写真を撮っている。
千枚田が視界に入った瞬間は
みんなテンションがあがるが、
記念撮影したあとは
別にそこでなにかできるわけでもなく
さっさと車に乗って降りていく。
ちゃり組は今日のところは我々だけのよう。



三脚をセットしてるカメラマンがひとり。夕暮れ待ちかも知れない。




赤みを帯びてきた陽光が水面にやわらかく反射している。



近くの素朴な小屋仕立てのカフェで
チャイを飲んだ。
少し冷えた体があたたまる。

来るときに、帰りここ登るのやだなと
思った坂は
千枚田の直前のに比べたら
ゆるっとしたもんで
あとはほぼ下るのみの帰り道。
雲の合間、稜線のうえに
真っ赤なおひさま。
漁港に戻る前に食べた
びわソフト、いまいち。

港には温泉施設もあり
ぬるい炭酸泉につかって
手足のばすといい気持ち。
帰りのアクアラインもするりと通過。
京浜エリアの工場夜景がきらびやかで
ほんの少し前に見ていた田園風景との
落差にくらっとする。

九時少し過ぎに帰宅
前回もらった房総土産の
秋刀魚みりん干しを焼いて
炊きたて土鍋ごはんと
わしわし食べる。

無駄なくがっつり遊んだ
休日のはんぶん。