気合を入れないと降りられない駅
代官山
なにしろそこいら歩いてる
犬までお洒落なんだもん
なあに?フェラーリのベビーカーて
うちの師匠の師匠である
とおるちゃんの店がある街でもあるし
なんだかとても変わったおやじの
カフェがある街でもある
カフェの名前は
猿楽珈琲という
地名をそのままつけるという
素直なネーミング
入り口のちいさな木製の看板には
出すまで時間がかかることと
ミルクと砂糖はないことが
そっけなく書かれてる
細い階段を降りると引き戸の入り口
中は薄暗くいくつもの間仕切りがあり
店の全貌はよくわからない
お水を運んできた
強面のおやじが
「ふつう、にがい、濃いのどれ?」
と聞く
メニューはほかに
チーズケーキ200円とか
注文を受けるとおやじは
ネルでゆっくり落としてくれる
運んできたおやじに
珈琲と引き換えに現金を支払う
おやじはそそくさ帰っていく
お菓子はどれも小さいけれど
ちゃんとおやじが作ってる
ふつうの材料を使い
へんな添加物などがないから
ちゃんと美味しく食べられる
薄暗く静かな店のなかは
落ち着けるっちゃ落ち着けるけど
とにかくあんまり歓迎されてる気分がしない
って
いうのが
以前の猿楽珈琲なのね
江戸の一等地を離れ
横浜は弘明寺に移転した
猿楽珈琲に行ってきた
バス通りに面した
引き戸の入り口
脇にあの木製の看板
がらがらがら
「いらっしゃーーい」
え?
え??
猿のおやじ
笑ってる?
細くて急な階段をのぼって
2階席へ
なんだか明るい客席
調度品は以前の店から持ってきてるけど
明るいところだとこの壁掛け時計
シックで素敵ね
前はおどろおどろしく時を刻んでいたのに
「ふつう、にがい、濃いのどれ?」
そのへんは変わらない
あ、チーズケーキは300円になってる
でも珈琲は安くなってる
キャッシュオンも変わらない
でもなんだか
なんだか
おやじすこぶるにこにこしてる
代官山
そんなに辛かったんだろうか
久しぶりにいただくネル
とろりとすっきりと甘くて美味しい珈琲
ついでに
久しぶりにおやじのブログを読む
大岡川の桜を眺めたり
お客さんと喋ったり
焙煎がうまくいかなくてへこんだり
相変わらず文体は超面白いし
イルガチェフェに襲いかかる獣のなにやら
とか、ちょっと何言ってるかわかんないけど
向上心に満ちたエントリーなのは
わかる
今度は話しかけてみようかなあ
ぐっと素敵になった猿楽珈琲
ちょっと嬉しい
やっぱりどうせなら
にこにこしていかないとね
わたしもね