雲のむこうはいつも青空

まったりもったり~自閉症息子のいる暮らし@ちびくまママ

納得できる進路(その1)

2008年10月01日 | 楽しい学校生活
息子が隣の部屋から飛んできて、
「おかあさん、見て見て!かっこいいバスだよ!」
と叫びました。

息子は自他共に認めるカーマニアでバスおたくです。
テレビに車やバスが映ると大喜び。

画面に映っていた車椅子用のリフトがついた特別支援学校の
送迎バスはこのあたりでは見られないもの。
息子は画面に貼りついてよだれがたれそうな顔で見ていました。

「ねえ、おかあさん、特別支援学校ってなんのこと?」
唐突に息子が尋ねました。
息子は3歳のときからずっと障碍児教育を受けてきましたが
帰国後の1年間通園施設に通ったほかは
すべて定型発達の子も通う普通学校へ通ってきました。

それぞれの進路を選ぶときには息子本人を連れて行って
その反応をじっくり見るようにはしていましたが
これまで息子に「特別支援学級」に所属する意味や
彼には他に「特別支援学校」という選択肢が常にあるのだということは
きっちり説明したことがありませんでした。

13歳になった今、彼は自分がなんとなくみんなとは違う存在で
「しゃべることと運動とうるさいところは苦手」であることは
自覚しているようですが、その「違い」に「障碍」や「自閉症」という
名前がついていることは知らないようです。
みんなとは違って自分には2つのクラスがあり2人の担任がいて
他の生徒とは違うカリキュラムで勉強していることも
「そういうものだ」と納得しているようですが
この機会に彼が特別支援学級に在籍している意味を
説明してみようと思い立ちました。

何年か前、特別支援学校(当時はまだ養護学校でしたが)の
中学部・高等部を見学させてもらったときに、
「入学までにこれだけは身につけておいて欲しい、という
 ことがありますか?」という質問に対して
高等部の先生がおっしゃった言葉を思い出したからです。
「他へはいけないからしかたなくここへ来るのではなくて、
 ここが自分にとって一番いいところだから来るのだ、と
 子ども自身が納得して、
 他の子たちを同じように、高校生になったという
 誇りをもって来られるようにしてください」

中学までは無理をしてでも通常学級に在籍していたり、
障碍児学級在籍でも、できるだけ通常学級の生徒に近づくことを
目的にしてきた子が、養護学校の高等部に入学が決まったときに、

「自分は普通高校へ行けないからここへ来なくてはならなかったのだ」
「自分はだめな人間だからここへ入れられたのだ」
という挫折感を抱いてしまうことがあり、

そうすると、その気持ちを立て直すためだけに
かなりの時間とエネルギーを費やしてしまうのだ、と。

つい最近も、特別支援学校に進学した先輩のお母さんから
中学まではできないことが山ほどあっても胸を張って通学していたのに
特別支援学校に入学した自分を認めたくなくて不登校になってしまった、
という子の話を聞いたばかりです。

本人に理解できるかどうかはわからないけれど、
障碍があるから特別支援学校、なのではなくて
彼に一番向いた環境を探して行きたいのだ、という
私の気持ちは伝えておきたいと思いました。


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