ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

KAIGO.介護 巻の三十七 日々是ファンタジーワールド

2010年08月14日 13時17分12秒 | 介護な日々
結構ハードな展開が続きますので、ちょっと息抜き・・・
・・・になるんかいな・・・。

陽気な認知症、この頃の(今もえろう変わりませんが)母の不思議なお話。












リアルタイム・・・昨日も窓の外を眺めながらいきなり言い出しました。
「ほんで、もう無罪放免か?」
「・・・無罪て何がや? 誰も悪さなんかしてへんやろ?」
「いやあ、あの牛は悪さしてるで。」
「・・・牛がどんな悪さしよるん?」
「牛はな、放牧するねん。」
・・・・ワケわからん上に話がどこまでも噛みあいません。
夢と現実がごちゃごちゃなんやろうけど、
まさにファンタジーワールドですわ。



ではまた、お話はよりハードな展開の父の闘病生活に戻ります・・・・。
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創作小説 SUNSET CHAPTER 5  PART.6

2010年08月14日 12時42分13秒 | 創作小品
 「ウチはその時連中に捕まって引っ張って行かれてんけど、アンタが崖から落ちたと思うたからめっちゃショックでなあ…力抜けてしもて、引きずられて、車のトコまで来たら、ちょうど警察も来とったんや。警察かて追いかけて来ててんな。ほんでこっちは慌てて逃げよとするわ、あっちは…あっちの方が当然人数も多いやろ? むちゃくちゃになって、ウチは突き飛ばされてこけて車かなんかにぶつかって頭打って気絶してもうたみたいやねん。気がついたらいつの間にか病院やし、いつの間にか晩なっとるし、思い出してあわててアンタのこと警察にゆうてんけど、その日また大雪なってな…捜索するには雪がやまんと無理やてなってな…。」
 聞いているとすごく深刻な話だった。もともとはちょっとしたことから始まったんだろうけど、気がつけば命に係わる――それも他人まで巻き込むようなことになっていたんだ…。
僕はマキさんの話はもちろん、たまたま居合わせて巻き込まれた井上さんのとんでもない体験に心底驚いてしまった。そのまま別れ別れになってしまっていたなんて、どれだけその後の相手のことを心配したのか、想像もつかなかった。
 マキさんは微笑みながら続ける。
「それでも一応その後捜索はしてくれてんよ。でも、今からみたら当たり前やけど、なんも発見されへんかった。小屋も見てくれたけど片付いてるし…中のもん使った形跡はあるけど、誰でも使える場所やから、ウチのゆうてる人間が使ったかどうかはわからへん言われて。更に谷の方へ落ちたとしたら、悪いけど雪解けを待って捜索するしかない言われてな…。日がたつにつれなんやわからんようになってしもた。その後春先にもっかい捜索してくれたけど、やっぱり何もない。きっと自力でうまいこと山を下りたんちゃうかて言われて…。ウチも最初はずっと気にしとったけど、そうなるときっとどっかで生きてるて思うようになってさ。そう信じる方が楽やしな。」
そこでマキさんはニッコリ笑って
「でも、結果的にそれで正解やったっちゅうわけや! ほんま、よかったわあ、助かってて!」
「ああ……。俺も今更だけどそう思う。」
井上さんはちょっと苦笑いしている。そして
「でも、よくテレビでちょっと見ただけで俺だってわかったな。」
と言った。マキさんは破顔一笑
「そら、一晩ず~っとアンタの顔見ててんもん! しっかり記憶に刻み込んでんでえ~!」
「ま…マジで?」
そのやりとりに、初めは井上さんに軽蔑のまなざしを送ったりもした涼香さんがニヤニヤして茶々をいれた。
「あらまあ~、店長結構モテるんですねエ…! もしかして女たらしぃ~? 何人泣かせてきたんですかあ~?」
「人聞きの悪いこというな。うるさいよ、お前は…。」
井上さんは困り顔…だけど、そういわれても仕方ない?
 だけど、二人ともずっと心の奥底にひっかかっていたことがいい具合に解決して、ほっとした様子だ。そりゃそうだろう。話を聞いてるだけの僕でも、よかったなあと思うもの。
 でも、これこそ『みゆ希さんのお陰』だよね。あの人が飛び込んで来てくれたから長年の屈託も解消したんだよね。でも、こんなことってホントにあるんだな…。
 マキさんは楽しそうに笑ってさらに続けた。
「ま、そら冗談として…。」
「冗談かよ!」
「ほな、一目ぼれしたてゆうとこか。」
「も、勝手に言っててちょうだい…。」
「あはは…! でも、ずうっと気にしとったからなあ…。せやから見た瞬間わかったんやろかなあ。まあ、ほんでや、アンタのほうはそうすると無事家族のとこへ行けたんやな?」
「ああ、まあね…。でも、しばらくそこでニュースとか気にしてたんだけど何も報道されなかったから、どうなったんだろうって思ってたんだが…。」
「あ~、それそれ。ウチが運んでたもんの客がな、報道見て証拠隠滅とかしよったらまずいやろゆうことで、すぐにはニュースとか流さんかったて、あとで聞いたわ。そうか、せやからカズもウチのこと心配してくれたんやなあ~! うれしいわ~!」
「ああ…、まあ、お互い様だろ? それは。俺も心配かけてたみたいだし…。」
「ううん…ウチのせいで何にも関係ないアンタを巻き込んでもうて、ホンマ申し訳なかったわ。改めてホンマにごめんな。すみません、申し訳ない。」
「いいよ、もう時効だろ。それに、あの時は俺の方こそ世話になったよ。見ず知らずのあんたに看病させちゃって、申し訳なかった。それはそうと…イヤ、今はヤクザな仕事もやめたみたいだな。」
「ああ、そら法に触れるようなことはやってへんけど、ゆうて見れば夜の商売なんてどっかこっかヤクザ商売やろな。でも、ウチは良心的な店やで。ママさんがめっちゃしっかりした苦労人のエエ人やねん。お陰でウチも今はしっかり働いてるで。いつか自分の店だすのん夢やねん。それでウチみたいに道をはずれそうな子がおったら助けたんねん。それがホンマの罪滅ぼしや。親とは隔絶したままやけど、いつかわかってくれたらええな、思てるよ。」
 僕はこの人はすごい人だと痛感した。以前は無茶もやったんだろうけど、それもありあまるパワーを持つが故のことだったんじゃないかと思う。そのパワーが空回りして良くないこともしてしまったけれど、いい方に向かうとすごく頼れそうだ。そして今はいい方に向かっているのだろう。
 僕は僕の短い経験の中で、随分狭い世界しか見てなかった気がした。というか、人間なんてこの程度と勝手に決め付けていたような気がする。大きな力を持つ人は案外普通に、身近にいるのかもしれない。いや、普通の人にこそ大きな力はきっとあるんだ。何も有名人や著名人の中にしか、大きな才能や能力を持つ人がいないわけではない。僕は無意識に、そういう人にしか大きなことは出来ないし、そういう人でないと優れた人物とは言えないと、思っていたようだ。普通の一般人は何もできない無能な人間だと、そして自分自身もその一人に過ぎないと、心のどこかで見限って見下していたかもしれない…。
 僕にもただ漫然と生きる以上のことが出来るかもしれない。それが何なのかは全然わからないけど、これから探してみるのも悪くない…。そんな気がふとした。


・・・TO BE CONCLUDED.
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