ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

桜宮ウォーカー④~海堂尊マニアックワールドのススメ・改・おまけ

2018年05月21日 11時26分01秒 | 桜宮市を歩いてみたら
忘れておりました。
「桜宮サーガ」時系列とは別に
執筆順ニアリーイコール刊行順を再掲しておきます。

刊行順に読んでみるのもまたよきかな、と。

それぞれ別の出版社から週刊連載で発表されることが多く、
発表した際は別々だったものをまとめ直して単行本化、あるいは文庫化されたり
文庫化に当たって一部改稿や書下ろしが入ることもあったりで
完全に正確に並べるのが難しいという側面もありました。
前々回の桜宮ウォーカー②の記事とはだいぶ違っているところがありますが
こちらが正確に近いと思います。
いずれにせよ、まあ、「ご参考までに」という程度に解釈していただければ。


1.チーム・バチスタの栄光
2.ナイチンゲールの沈黙
3.螺鈿迷宮
4.ジェネラル・ルージュの凱旋
5.ブラックペアン1988
6.夢見る黄金地球儀
7.医学のたまご
8.ジーン・ワルツ
9.ひかりの剣
10.東京都二十三区内殺人事件
11.イノセント・ゲリラの祝祭
12.モルフェウスの領域・第1章
13.青空迷宮
14.残照―2007
15.伝説―1991
16.疾風―2006
17.極北クレイマー
18.四兆七千億分の一の憂鬱
19.マドンナ・ヴェルテ
20.ブレイズ・メス1990
21.アリアドネの弾丸
22.モルフェウスの領域・第2章以降(単行本化にあたって一つの物語にまとめられました)
23.ナニワ・モンスター
24.極北ラプソディー
25.エナメルの証言(たぶんこの辺)
26.ケルベロスの肖像
27.スリジエ・センター1991
28.輝天炎上
29.ランクA病院の愉悦(「ガンコロリン」の改題)
30.カレイドスコープの箱庭
31.アクアマリンの神殿
32.スカラムーシュ・ムーン

③の記事より2編多いのはモルフェウスを分割したためと
「ランクA病院」を追加したためです。

「ランクA病院」の単行本に同時収録されている短編はちょっと別物というか、
ワタシ的解釈では桜宮サーガの一連とは切り離していいような感じですので③の記事には入れなかったのですが
敢えて入れるならば収録4編中の2編
「緑剥樹の下で」は「チーム・バチスタの栄光」の前あたり。あの、あのT先生と思しき人が登場。
「被災地の空へ」は「夢見る黄金地球儀」の前あたり。あの、あの速水先生が大活躍。
他の2編は桜宮とは直接関係ない・・・かな、と思いますれば。近未来、SFショートショートみたいな作品です。
これはこれで面白いのでよければご一読を。

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おのぼりさんが行く・・・4度目の新国立劇場な日

2018年05月20日 22時07分18秒 | 徒然雑記&連絡帳
2016年12月以来、一泊二日でまたまた観劇に行きました。
またまたまたまた、4度目の新国立劇場へ

イギリス王室の悲劇の王子様お付きの侍女の生まれ変わりとちゃうか?と言われる
イギリスかぶれでロンドン留学までしちゃったよな次女・こんこんと共に
シェイクスピアの舞台劇「ヘンリー五世」を観に・・・・


思へば。
2009年の「ヘンリー六世」から始まって

2012年の「リチャード三世」




2016年の「ヘンリー四世」

そして今回
2018年は「ヘンリー五世」・・・・



すっかりファンの様相を呈してきましたね。

今回の舞台模型


一幕ものだったのでかなり短く感じられましたが
今回は喜劇的なノリも多くて笑いを取る場面も多く面白かった。
通路横の席だったので客席を駆け下りる演出の際は役者さんが真横を通り
その通り抜けて行かれる風も感じた観劇でした。

一連のシリーズは小田島雅志翻訳の原作を底本として
・・・もとは英語なのに日本語の駄洒落が凄く多く、原文はどうなってんねんやろな、と思ったりしますが
演出は全て一貫して鵜山 仁監督。
そして主演も一貫して浦井健治さん。


もー、さすがに、さすがに覚えましたよ、浦井さん!!
ミュージカルの出演数の方が多いみたいですが
このストレートドラマというんですね、いわゆる普通の演劇は。
こちらも中々にいろいろご出演召されている。
通称ウラケン。

しかし何といっても驚いたのが・・・
終了後帰路につこうとするとなぜか出入り口に向かう通路の端に列が・・・・
「うん? 出待ち? こんな表の通路で? しかも劇場のロビーで?」
「ふつう、出待ちって楽屋の入り口を張るもんちゃうん??」
とか二人で言いつつ、「この列の正体を見極めんと帰るに帰れん」と結論付け
・・・並んでいる人の中に入り込みました。

聞きゃあいいのにね!!
・・・イヤイヤ、なんか「そんなことも知らないで並んでるの?」と思われるのが怖いので
ついついそのまま「出てくるの? ここ通るの? 普通に? マジか!」
「ええ~? マジか」「マジか」を繰り返し、待つこと約30分足らず・・・

「えええ????? マジか・・・・」

本当に来られましたよ、ウラケンこと浦井健治さんが・・・・マジで!!
並んで待つ人、ひとりひとりと握手を交わして、時々小さなプレゼントみたいなのや
ファンレターらしきものを受け取られつつ・・・何と言うファンサービス!!

隣の方をチラ見したらスマホの待ち受けに浦井さんのアップ・・・

熱烈なファンの皆さんに混じって、わけわからんうちに何となく浦井さんを覚えただけの、
ファンと名乗るはおこがましい我々だったがせっかく待ったし握手してくださるのなら
少々申し訳なく思いつつもしっかり握手していただきました! マジか・・・

こんこんは「ヘンリー六世の時から観てます!」とちゃっかり言い、
浦井さんに「ええーーー?! ホントに?!」と言わせしめていましたw
まあ、おばちゃんがそう言っても「ありがとう」くらいしかおっしゃらんだろうが
こんこんみたいな若い子がそう言えば「そんな小さい(?)頃から観に来てくれてたんだ!」と
思ってくだされたのでしょう。実際、高校生の時から来てるもんな~。

役柄もあるでしょうが、舞台上の厳しさ激しさとは真逆の、穏やかで静かな感じの方でした。


うん。確かに・・・!! 素敵な役者さんです。

またやるかなあ、シェイクスピア劇。またやるかなあ、浦井さん主演!←ファンか。
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桜宮ウォーカー③~海堂尊マニアックワールドのススメ・改

2018年05月13日 14時54分21秒 | 桜宮市を歩いてみたら
最初に追記・・・ていうかお詫び。以下の内容には一部間違いがございます。
後日改訂版をアップしますのでご了承のほどを・・・申し訳ないですm(_ _;)m
今はとりあえずこのままで・・・

*****************************************************************


③・・・というか、②の一部改稿・追記でございます。

あの人がこんなところに! 的視点の記事です。
超長い上、かなりのネタバレを含みますのでご注意ください!!!
(とはいえ事件の内容、トリックや犯人はもちろん明かしておりません。)

で、若干の前置きを。

今、TVドラマで二宮和也さん主演で「ブラックペアン」が絶賛放映中ですね。
あれ、本当は主人公は世良先生なのですが・・・内容もかなり原作から外れていますが
まあ、そこは海堂尊先生ご本人が大絶賛されていることだし、ドラマ化ってそういうもんなので
原作ファンもツッコミ入れる立場にないと言うことで・・・
敢えて言えば、高階先生をヘタレにしすぎたのは若干不満・・・だってこの後々病院長になる人なのよ・・・。
バチスタシリーズとは別物と見なしているからいいんですけどね。
とかなんとか言いながら見てるんだけど。ワキだけど猫田さんがいいですね~、まさに原作のイメージ通り。

さて。
長年文庫本化が待たれていた「ブラックペアン」三部作のラスト「スリジエセンター1991」が
このドラマ放映にたぶん合わせたんでしょう、やっと文庫になりまして
その前に「スカラムーシュ・ムーン」も文庫で刊行され、これでいわゆる「桜宮サーガ」一連作品群が
「医学のたまご」を除いてすべて文庫になりました。
(「医学」」は出版社が倒産したとかで文庫化の予定は今のところないそうです。)
ファンとしては一気に読み返す機会の再来ですがな。


それで、かなり前に書いたこの②を改稿してアップすることにしました。もちろん全部読んだ上で書いてます~。

刊行順に読むももちろんアリですが時系列もかなりのオススメなので
とはいえ、同時進行してたり、間に別の物語があったりと完全な順番には並べられないのでその点はご容赦を。
あくまで目安として、読破・再読破を目指す方の参考になればと思います。


1.「ブラックペアン1988」
世良雅志医師の外科医1年生物語。と同時に現院長・高階権太外科医も講師として赴任してくる。
帝華大の阿修羅こと高階講師、当時の佐伯総合外科統括にしてこの後院長に就任する佐伯清剛医師、
そして手術室の悪魔・天才外科医渡海(とかい)征司郎医師との三つ巴真っ向勝負。
田口公平・速水晃一・島津吾朗の三人も学生の実習生として登場します。
田口先生が神経内科医になることを決断した魔の手術実習とはこの時のことだったのだよ。
先に書かれた「バチスタ」で登場した垣谷先生がこのシリーズでは結構な頻度で登場します。
後に田口先生と不定愁訴外来を担当することになる藤原看護師もこの時は現役の看護”婦”として登場。
そしてラスト、渡海医師は東城大を去りますが・・・覚えておいて、この人を・・・。
2.「ひかりの剣」
主人公は東城大医学部で剣道部主将、未来の天才救急医・速水晃一。
と、帝華大学医学部で剣道部主将の清川吾郎。こちらは将来産婦人科医になります。
「ブラックペアン」とほぼ同時進行のお話で、高階講師も講師赴任とともに帝華大剣道部顧問から東城大顧問へ。
「ブラックペアン」でのエピソードもシンクロして紹介されています。
3.「ブレイズ・メス1990」・・・「ブラックペアン」の続編。
世良先生を振り回すのは、こんどはモンテカルロからやってきた天才心臓外科医・天城雪彦。
ちょっとだけですがモンテカルロの王族・建設デザイナーでもあるマリツィノも登場
・・・彼の名はずっと後思わぬところで出てきます。
マリツィノのフルネームに「シロサキ」が含まれていることに注目! 誰かの親族ですよ、この方。
図式としては天城医師は高階講師と鋭く対決してしまいますが・・・。
ゲスト的な扱いで「バチスタ」の桐生外科医も少し顔を出します。なんかウレシイ。
「バチスタ」で名前だけ出てくる海外の教授のお名前も散見。知らなくてもいいけどチェックすると楽しいかも。
4.「スリジエセンター1991」・・・前作の後編とでも言うべき続編。
若き日の世良医師の成長物語クライマックス編。いよいよ天城医師と高階講師のガチンコ対決へ・・・。
そして世良医師の一大決心とは東城大病院との決別でした。彼はこの後の作品にも登場します。
また、速水晃一が前代未聞の医師デビューを果たし、そして「伝説」となる次の物語も被って語られます。
後でじっくり出てくる厚労省局長、坂田氏もチラッと登場。
時系列としては後々の作品群の主人公・彦根新吾も医学生として登場します。
5.「伝説―1991」
速水晃一が外科医1年生として東城大病院に着任してほどない頃の短編。
彼が後にジェネラルとあだ名をつけられたのはこのエピソードが元です。
時期的には世良医師が去る少し前。
世良医師と恋仲?だった花房美和看護婦(師ではない)は
ICUの眠り猫こと猫田主任看護婦に速水先生とくっつけられそうに・・・。
猫田看護婦ももう一人の主人公と言えるでしょう。なかなかにオトコマエなヒトです(笑)。
歌手・水落冴子が事故に巻き込まれて死に瀕し、速水に助けられる。これも因縁の始まりか?
6.「チーム・バチスタの栄光」
「伝説」からだいぶ時間がたっています。病院長は佐伯院長が「スリジエ」終盤で勇退し、半年間江尻院長、
そしてこの時は高階院長になってもうかなりたった後。
主人公・田口公平医師は神経内科教室から出た不定愁訴外来の責任者・・だけど万年平講師、
速水医師は救急救命センター長、そして島津医師は日本を代表する放射線科医として准教授に。
バチスタ手術の権威・桐生医師は基本的にはこの回だけのゲストキャラです。
チームメンバーもみなゲストなんですが、第一助手の垣谷医師だけはずっとあとでちょい登場します。
もう一人の主人公・厚労省の白鳥圭介技官は帝華大医学部卒なので当然高階院長の後輩。
7.「ナイチンゲールの沈黙」いわゆるバチスタシリーズ第2弾。
主役は病棟の歌姫・浜田小夜看護師。そして小児科病棟の患者・牧村瑞人と佐々木アツシ。
それから歌手の水落冴子も患者として再登場。
当時冴子を助けたもう一人の恩人である人気バンド・バタフライシャドウ、リーダーのザックは
この時冴子のマネジャーとして城崎という本名で登場しています。
城崎ねえ・・・「シロサキ」ですよ、この人もある一族に深く関係していたのですねえ。
速水と島津は彼女を当時のあの人と知ってか知らずかそのおかげで謎解きに大活躍・・・たぶん。
浜田看護師の親友として登場する同僚の如月翔子看護師は、決して主人公にはならないけど
この後の作品群でも登場回数は結構多く、サブキャラの中ではかなり重要な登場人物と言えます。
8.「ジェネラル・ルージュの凱旋」バチスタシリーズ第3弾。
とは言え、時系列的に「ナイチンゲール」とほぼ同時進行。ていうか、もともと一本だった作品を二分割したのだそうな。
これぞ速水先生の伝説再来、そして真骨頂。
ラスト、大事故で次々搬送されてくる大勢の患者を救いまくるときのカッコよさ!
でも、そのあと彼はある事情で北海道の極北救命救急センターに異動します。
花房美和看護師もついていきますとも、もちろんでしょ。
そしてひとこと・・・田口先生、ナイス大逆転!!(読めばわかります。)
9.「疾風―2006」
「凱旋」のクライマックスシーン・大事故時の救急現場を別の視点から展開。
主人公は普段何かと口うるさく経費節減を唱える三船事務長。
事故の被害者たちの群れに愛妻がいることを知って動揺しますが速水の一喝で立ち直り・・・。
10.「螺鈿迷宮」
桜宮市の医療現場の闇を担う通称でんでん虫・碧翠院桜宮病院が舞台の物語。
この桜宮は市の名前ではなく院長桜宮厳男に由来します。
院長の双子の娘・小百合とすみれが暗躍するこの桜宮市の闇舞台
主人公の医学生・天馬大吉はお気楽にバイトに来ただけなのに九死に一生を得るエライ目に。
彼をピンチから救い出したのは調査に入っていた白鳥技官と姫宮女史。
また、彼をサポートするGFでジャーナリストの卵・時風新報の別宮葉子記者は
他作品中でも記事の執筆者として名前がちょくちょく登場します。
ところでこれ、「チーム・バチスタ4」と冠してドラマ化されましたけど
根本的にバチスタシリーズちゃうんやけどね。。。テレビと原作はやはり別物か。
・・・そもそもバチスタシリーズってタイトル自体がおかしいんやけど・・・まあええか。
11.「イノセント・ゲリラの祝祭」バチスタシリーズ第4弾。
霞が関の敵キャラとしてミスター厚労省・八神直道氏登場。キレ者なんだけどいかにもお役人。
「バチスタ」で高階院長に白鳥技官を紹介したという、彼の大学時代の友人・坂田寛平局長も本格的に登場です。
坂田氏は”こちら”寄りのまっとうな人物・・だと思いたい。
余談ですが生粋の関西人たる彼のネーミングはひょっとして
吉本のアホの坂田こと坂田利夫氏とカンペイちゃんこと間寛平さんからでは。
ていうか、それで間違いないでしょ(笑)。おちゃめな海堂先生ですから。
房総救命救急センター長・スカラムーシュ彦根新吾&助手的立場の桧山シオン先生登場・・・
彦根は東城大三羽烏(?)田口・速水・島津の学生時代の後輩で麻雀仲間。
白鳥技官とも別口で友人であり、この物語後半の大立役者。この人もとんでもない奴、ですね。
12.「青空迷宮」
桜宮市で東城大病院以外によく登場するのは時風新報という新聞社とサクラテレビ。
そのテレビ番組収録で起きた殺人事件、謎を解くのは本庁から出向中の加納達也警視正と部下の玉村警部補。
加納警視正は白鳥技官の同級生でもあります。
桜宮テレビ看板番組キャスターのモロさんこと諸口氏はみのもんたさんがモデルだろうなー。
13.「極北クレイマー」
舞台は破たん寸前の北海道極北市・極北市民病院で、主人公は赴任したての若手・今中良夫外科医。
姫宮女史がちょっとだけ登場した後、「病院再建請負人」と自称他称の新病院長がやってきます。
が、なんとそれは世良雅志医師ではないか! あらあら・・・
それと謎のジャーナリスト・西園寺さやか登場。彼女の存在が不吉な影を落とします。
同時に登場する極北監察院南雲忠義院長、その娘の杏子は「螺鈿」で桜宮碧翠院にいた杏子と同一人物。
てことは、さやかの正体は・・・
14.「東京都二十三区内殺人事件」
田口先生がたまたま見つけてしまった死体を通して見える医療行政の歪み。これはリアル社会と見事にリンクするお話。
主な登場キャラは加納警視正、玉村警部補、そして白鳥技官くらい、
短編なので登場人物は少ないですが、考えさせられる一遍です。
ちなみに本作品は「イノセントゲリラ」文庫本化の折、同作品内に吸収されています。
15.「残照―2007」(旧題「君去りし後」)
速水医師が東城大を去って1年後、後任を実質任されたダジャレ男・佐藤部長代理の奮闘記。
見事に速水の後をついでその精神を守ってはいますが・・・
「舐めかけのチュッパチャプスを投げつけられた気がした」くだり「凱旋」を読んでたら思わずにんまりしてしまうフレーズです。
ちなみにNHKドラマ「極北ラプソディー」での速水医師はチュッパチャプスの棒をゴミバコに投げ捨ててました。
原作ファンにはわかる、絶妙のファンサービス! 嬉しいねえ。
16.「ジーンワルツ」
海堂ワールド初登場の曾根崎理恵産婦人科医が主人公。初の女性主人公です。
そして彼女の勤めるマリア・クリニック院長三枝茉莉亜医師は極北シリーズで出てきた
極北市民病院の良心・産婦人科部長三枝久広医師の実のお母様です。
「ひかりの剣」の清川吾郎が権威ある産科医師として久々の再登場。相変わらずの傲慢さ(?)
東城医大に進んだ弟はマジメないい奴なんだけどねえ・・・
17.「マドンナ・ヴェルテ」
「ジーン」の別視点からのお話です。主人公は初老の主婦の山咲みどり。
彼女は誰あろう・・・・・・内緒! これは「ジーン」を読んで知るべし。
だから独立して読めるんだけど「ジーン」を先に読むのが絶対オススメ。
18.「ナニワ・モンスター」
これは誰が主人公なんでしょうか。視点が大きく3か所に移動するのでややこしい。
やはりあえて言えば、どう見ても前大阪府知事の橋下徹氏モデルの、村雨浪速府知事ですかね。
村雨さん、実は既出です。「スリジエ」にちらりと顔を見せています。
まあ、書かれたの同じ頃だからね。伏線仕掛けるつもりで「スリジエ」に入れられたのでしょう。
スカラムーシュ・彦根新吾房総救命救急センター長と、
東城大シリーズの敵役と言える斑鳩方正桜宮警察署広報室長との対立が明確に。
19.「四兆七千億分の一の憂鬱」
加納達也警視正の大活躍がここでも。頭はいいし行動は素早いし、でも相当の無茶言い。
そして何故かいつまでたっても田口先生の不定愁訴外来を不倫外来と呼ぶ。さすが白鳥技官のダチ。
20.「極北ラプソディー」
世良新院長はかつての師である天才・天城雪彦氏の理想・理念を引き継ぎ、
何といわれようとも誰から恨まれようとも再建を完遂する。
数々の恨みを買いながら、各地を転々としつつ病院再建を生業としてきた世良先生、
モンテカルロで号泣していた頃とは比べ物にならないよ、まあ逞しくなっちゃって・・・。
極北といえば、忘れちゃいけない! 救命救急センターには東城大病院から移籍の速水晃一医師がいる!
東城大病院時代実現できなかったドクターヘリを手に入れて、空をも制して彼はゆく。
得意の「救急患者は全部受け入れる、事前確認不要!」のセリフも頼もしく。
終盤の大活躍たるや、ジェネラルの伝説を更に凌駕する離れ業が炸裂!
速水についてきていた花房看護師は世良医師と再会し・・・あとは原作見てね。
ああっ、今中先生・・・・・・・存在感ない? いや、あるよ? あるある、大丈夫。やっぱ主人公だから。
海堂先生作品の欠点を強いてあげるとすればこれです、主人公の存在感が一時途方もなく薄くなる。
まあ、主人公が読者目線の立ち位置という手法もありますから、これはこれでアリかもですが。
21.「アリアドネの弾丸」バチスタシリーズの第5弾。
ここでもスカラムーシュ彦根先生が大活躍。
裏社会にも通じている謎の便利屋4Sエージェンシーが登場しますが、
そのリーダーはロックバンド・元バタフライシャドウのリーダーでかの水落冴子のマネジャーだった城崎氏。
そして助手は「ナイチンゲール」の小児科の患児だった牧村瑞人君じゃないですか。
事件解決に一役買って、この後も要所要所で登場してくれます。
22.「ケルベロスの肖像」バチスタシリーズ第6弾。
東城大医学部に対する、桜宮病院の一族因縁の復讐譚。
「極北」登場の南雲院長、「バチスタ」被害者の息子・小倉勇一氏、そして天馬君、
斑鳩広報室長、彦根先生とアシスタントの桧山先生、さらに西園寺さやかも現れて、
オールスターの面々が集まる中で東城大医学部最大のピンチが・・・。
さやかの正体は誰なのか、この作品だけでは決定できません。
ボロボロになった東城大病院を救うキーマンはなんと田口先生です!
やっぱ、田口先生は全作品通してどういうわけか?もっとも重要な人なんですよ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・たぶん・・・・・。
途中「スリジエ」の天城雪彦とマリツィノが名前だけ登場します。
「ブラックペアン」から始まるかの三連作の帰着点はここなのよ。正に因縁の帰結。
高階院長が今更ながら彼らに思うものとは・・・。
それと、注目は文庫本化に当たっての書下ろしの、曰く”ボーナストラック”「それから」
二人の対話のシーンを、二人それぞれの一人称で描いたほんの短いエピソード。
どちらも自身の名も相手の名も語りませんが「ケルベロス」を読んだ後に続くからすぐ誰と誰かわかります。
最後の最後に、ちょっとだけ登場・・・しそうになる、 速水先生が泡食って慌てふためいてしまう彼女とは・・・
名前はやはりどちらにも出てきませんが、ずうっと作品群を読んできたものにはすぐわかる。まさに、ボーナストラック。
23.「輝天炎上」
桜宮サーガの主だった面々が出そろう、豪華にしてもっとも不吉な物語。「ケルベロス」の別視点の物語です。
時系列に並べるには無理があって・・・というのも始まりは「螺鈿迷宮」の続きからなので。
ラストが「ケルベロス」と同じ場所なのです。天馬大吉サイドから見た「ケルベロス」と言うべきか。
両方読めば互いのブランクが埋まるからくりになっています。お見事!
裏も表も何でも屋・4Sエージェンシーのリーダー・城崎亮のオドロキの正体もハッキリわかる。
それからマリツィノのミドルネーム「シロサキ」とは誰の普系か・・・もうお分かりですね。
でも、さやかの正体は・・・やっぱり判然としません。彼女はまたどこかで出てくるのでしょうか。
24.「エナメルの証言」
これは他のメイン作品の裏話です。あの時の焼死体の歯形一致による特定には
こんな裏の仕掛けが有ったのだという・・・。栗田医師のその後は作者含めだあれも知らない・・・。
25.「カレイドスコープの箱庭」バチスタシリーズのオマケ的続編。
もちろん主人公は田口先生で、しかもあの、メールでしか出て来なかった曾根崎伸一郎教授本人と論戦をかわす!
なんということでしょう・・・万年平講師の田口センセイがマサチューセッツ大学トップエリートの
ステルス・シンイチロウを相手に論戦を交わしそして・・・・いやあ、人生何が起こるか分かんないッスね。
長きに亘った東城大の、あらゆるものに向けられた戦いは一応これで終幕を迎えます。
田口先生、ついでに白鳥サン、ホントにご苦労様でした・・・ま、田口先生はこの後も出てくるけどね。
26.スカラムーシュ・ムーン
これも時系列で並べるのは難しく、起点は「ナニワ・モンスター」とほぼ同時期でしょう。
主人公は東城大とは関係のない、養鶏場の一人娘で加賀大学の院生名波(ななみ)まどか。・・・新機軸ですね。
でも、もう一人の主人公が・・・言わずと知れたスカラムーシュ・彦根新吾。
出たア・・・・・・・。この人が出てくると話は滅茶苦茶に・・・イヤ、面白くなる。
これまで人を喰った態度で勝ちまくっていた彼にも怒涛の試練が押し寄せる。
帰結は「ケルベロス」「輝点炎上」の後、「カレイドスコープ」とほぼ同時期になりますが。
橋下徹氏がモデルであるに違いない村雨浪速府知事がさながら橋下氏同様の大活躍を見せますが
現実の橋下氏と決定的に違う選択をしたせいで話は思いがけない方向へ向かってしまいます。
一見負けたように見える彦根が実はしっぺ返しを用意している結末は見事です。
彼の言う海の向こうの傑物とは誰か・・・。シリーズ全作品読破した人にはわかる仕組みはちょっと狡いかもw
だって、それ、結局全部読めってことですもんね。
27.「夢見る黄金地球儀」
人物以外で地味に連綿と登場するもののひとつ「黄金地球儀」
これが主役になる日がこようとは・・・・。・・・主役?
東城大病院は名前くらいしか出てきませんが、舞台は桜宮のとある町工場と桜宮水族館深海館。
主人公は学者崩れのエンジニア・平沼鉄工所の平沼平助。
それから彼の友人で得体の知れない風来坊・久光譲治。
そしていつかの4Sエージェンシー、でも所長は城崎ではなくなんと牧村瑞人、
そして相棒は元担当看護師で今は歌手の浜田小夜じゃないですか。
オドロキ・・・でもないか、ずっと読んできた読者としては期待通り。
28.「モルフェウスの領域」
主人公日比野涼子が少女時代に滞在したアフリカの小国で出会ったという医師は・・・。
名前はとうとう明かされませんが、ずっと読んできたものにはわかります。
まあ、暗示はされてますからね、間違いないでしょう、「ブラックペアン」のあの人です!!
懐かしくも嬉しい再登場・・・涼子の回想の中だけではありますが。
「ナイチンゲール」登場の佐々木アツシ君がもう一人の主人公です。
アツシの担当看護師だった如月翔子看護師も重要な役でこの後のシリーズにも登場。
あ、ついでに??主治医になっちゃってる???田口先生もですね。
やっぱ田口先生は全作品通して最も重要な人物なのですよ!!
「ジーン」の曾根崎理恵先生の旦那、ゲーム理論の世界的権威・曾根崎伸一郎氏も再登場
・・・・て、出てこないけど。メールでしか。この人は基本的にメールと手紙でしか出てきません。
後で書かれた「カレイドスコープ」で初めて本人が姿をちょこっとだけ現すのみ。
それと、本筋には関係ないけど、涼子が「ジーン」の山咲みどりとすれ違います。細かいねえ。
実はこれは完全にSFと言った方がいい作品なんですが、なぜここでSFが出てきたかは
時系列的には後・書かれたのは前の「医学のたまご」を読めばわかります。
要するに時間軸の整合性が狂ってしまったため苦肉の策で書かれた作品なのだよ。
海堂先生ご自身いわく「自分はつじつまあわせの天才」。そうですね、マジで。
29.「アクアマリンの神殿」
「モルフェウス」の続編。佐々木アツシ君再来、しかも主人公だよ! 学園ものだよ!
もはやSFと言っていい「モルフェウス」で日比野涼子が対峙した曾根崎伸一郎氏もメールで再登場。
ほんま、メールでしか出て来んね・・・。存在感はあるんだけどね。
そしてここで田口先生が不本意にも教授になってしまった経緯が明らかになります。カッコ笑い。
30.「医学のたまご」
主人公はホントは落ちこぼれ寸前なのにひょんなことからスーパー中学生と思い込まれ
飛び級で東城大医学部解剖学教室に入室する羽目になった男子中学生・曾根崎薫。
彼の父親はゲーム理論の大家・曾根崎伸一郎。
母はもちろん曾根崎理恵医師ですが、さる事情があって「ジーン」主人公のシッター・山咲みどりと二人暮らし。
伸一郎氏はマサチューセッツ大学の教授で相変わらずメールと手紙でしか登場しません。
重要な役割を担っていて大いに薫を助けるんですが。
本作はかなり前に書かれているので刊行順に読んで来た者にとっては
「カレイドスコープ」でのご本尊登場まで待たされまくった感あります。
同級生の通称ヘラ沼くんは「地球儀」の平沼平助の息子です。
また、三田村君は「スリジエ」に出てきた桜宮医師会理事三田村氏の孫かな??
いろんなところでいろんな人とつながってますね~。
それから、こっちは本当にスーパーな高校生・佐々木アツシ君もおいしい役どころ。
大学の学長になっている高階院長、そして・・・・懐かしい「バチスタ」の垣谷先生が教授だよ。
”田口教授” あの、あの・・・・論文を書かないがために万年平講師で、出世なんかくそくらえの田口先生が教授・・・
この点についても、書かれたのはこちらがかなり先なので初見ではびっくりしたけど
その謎は後に書かれた「アクアマリン」で明らかになるのは前述の通り。


さて、まだまだ時間的に埋まっていない時期もあり、伏線らしきもののみ見られるところもあるので
一旦集結したこの桜宮サーガの作品が書かれることはあるのかな・・・と思いもしますが
海堂先生は当分の間「キューバ革命」にのめり込んでらっしゃいそうです。

でも、期待しています。
田口先生初め多くの登場人物たちの新しい物語よ、いつか、また・・・。



というわけで、長々とスンマセン、チョロ松!・・・違った、お粗末!!
やれやれ・・・②の改稿のつもりだったのに5時間もかかっちゃったよ・・・
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東海林修さんと井上堯之さん

2018年05月12日 19時50分09秒 | ジュリー・・・思い出雑記あれやこれや
もう少し前の話になりますが
朝刊を開いて東海林修さんの訃報を知りました。
享年85歳でいらしたでしょうか。そんなお年だったとは存じませんでしたが
「へえ・・・」と思ったのも束の間、更に下の段に淡々と
井上堯之さんの訃報も掲載されていて今度は「えっ・・・」となりました。

亡くなられた日は違いましたが、同じ日の朝刊にお二人の訃報が載っていようとは。
お二方ともジュリーとは一時期ではありますが深くかかわられた御仁。
まずは謹んでご冥福をお祈りいたします。

東海林さんはジュリーが、タイガース時代後半から
解散後ソロデビューした初期の頃のアレンジを一手に担っていた方でございます。
特に印象深いのはソロアルバムとしては2枚目だけれど
実質ソロ活動初のアルバムと言っていい「JULIE Ⅱ」のアレンジでしょうか。

全楽曲を編曲されておられました。1971年12月21日リリース・・・
わあ・・・・・・47年も前なの?? まじですか?
あれはねえ・・・・本当に素晴らしかったですねえ。
(今、拝聴しながらこれ、書いてます→大昔記事にしましたので良ければコチラを。ジュリーの記事ちゃうけど。)
殊に高評価の後シングルカットされた「許されない愛」

多くの人がこれがジュリーのソロデビュー曲だと勘違いしたほどの名曲です。
もちろん「危険なふたり」もですよ!!
ああ、どちらも作曲は加瀬邦彦さんでしたねえ・・・


当時はまだアレンジャーの社会的評価は今では考えられない程低く、
シングル盤などではその編曲者の名前をクレジットしないこともあったほど。ヒデエな。
お子ちゃまちゃちゃは編曲とはどういうものか
誰に聞いたか何かで読んだのか記憶がないのですが
ともかくどういうことをする人かと言うことは知ってて
この扱いの酷さにおこちゃまながら憤慨していたものです。
その社会的評価の低さは1970年代後半まで続いた気がします。

そんな中でこのアルバムのアレンジを素晴らしいと思えたちゃちゃはマセガキだったのですねえ。

さて、そのおこちゃまちゃちゃは「東海林」が読めず「トウカイリンて凄い名前やな~」と思っていました。
ナツメロ番組でかの東海林太郎さんの懐かしの映像をやっているのを見て
初めて「あれってショウジって読むんや!! へえええええええ!」と知った。
逆に言えば東海林太郎さんより先に東海林修さんを知っていたということです。なんやねん、コイツ。

ちなみに現在の「笑点」のテーマ曲アレンジも東海林さんだったと言うことは訃報で初めて知りました・・・
他にも名だたる名曲の作・編曲やシンセ奏者としても数々の名演奏も手掛けてらっしゃいました。
詳報はWikiででもご確認ください。

ともかくも、ちゃちゃとしても感慨深いというと少々語弊がありますが
いろんな作品をありがとうございました、ゆっくりお休みくださいと申し上げます。


さて、もう井上堯之さんについてはいわずもがな、
東海林さんとほぼ同時期にジュリーを陰に日向に支えてくださった御大でいらっしゃいます。
だいぶ前に胃の全摘手術を受けられたとは聞いておりましたが
最期は敗血症で亡くなられたとのこと、随分しんどかったのではとお察しします。
享年77歳、亡くなるには不足と言うご年齢ではないのかもしれませんが
もう少し長生きしてくださればなあ、とも思います。
まあ、ご病気でおられたのなら長く苦しまれるのもせんないなあとも思いますがなあ・・・

ジュリーを演奏家、プレイヤーとして支えたのは1971年初頭から1979年末までほぼ10年間でありましたが、
井上堯之バンドとしてはジュリー以外、ショーケンの出演ドラマや
それに関連して「太陽にほえろ!」シリーズの音楽、またその流れのTVドラマ音楽も広く手掛けておられました。
メインはジュリーだけれど、でも案外ジュリーのレコードの演奏は少なくて
TV出演も思ったより少なく、曲によっては一度もいなかったこともありました。
そして、ジュリーの楽曲も大野克夫さんはかなりの曲提供をされていましたが
案外井上さんの曲提供は少なかったのですよねえ・・・。
安井かずみさんが亡くなられた時は「Zuzu Songs」と銘打って追悼コンサートが行われ
その時ジュリーは冗談半分に「加瀬さんや大野さん、井上さんが亡くなった時もやります。
どうせオレよりさきやろ」などとのたもうておりましたが
そして加瀬さんが亡くなられた時、銘打つことはしませんでしたが実質追悼コンサートと言っていいライブをされました。
特に行くつもりはなかったちゃちゃだったが不思議な運命に導かれて行きましたがな、それ。記事はコチラと、コチラも。
大野さんに至っては・・・イヤ、まだ元気やけど、あのひとは(あの人はそうそう死なんやろw)
一回では到底やりきれないほどの曲数があるのですが
意外と井上さんは少ないような気がしますな・・・正確にカウントはしてませんが。印象として・・・。

とはいえ、あらゆる面でジュリーを支え続けた、欠かせない存在の人であったのは間違いないでしょう。
もちろん日本の音楽史にもその名を刻む偉大なミュージシャンであられました。
詳しくはこちらもWikiリンク貼っときます。

ちょっと昔のレコード・・・はすべてCDに買い直してしまいましたが
聞き直してお二人を偲び、ご冥福をお祈りいたします。

・・・寂しいことです・・・。

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