ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

KAIGO.介護 巻の三十三 嵐のまえに

2010年08月07日 09時46分33秒 | 介護な日々
2008年9月21日(日)

その日はちい兄が実家にいて、母のご機嫌伺いと父の援助をしていました。
昼間出かけたちい兄は、父の昼食の用意をして、更に雲行きが怪しかったので
「二階の窓は閉めたから、雨が降っても様子見に行かんでええで」と
念を押してから出かけました。
ところが、昼間通り雨が激しく降ったとき父は二階に上がったらしいのです。
もう・・・行かんでええてゆうたのに・・・!
性分なんですね・・・自分の目で確認しときたいという・・・

そしてちい兄が帰宅して、夕食を用意し、父にそう声をかけると・・・
父は一旦トイレに立ちましたが、戻ってきたとき居間のソファに座り込み、
息も絶え絶えに胸を押さえて急に
「あかん・・・あかん・・・!」と苦しがりました。
息苦しさがひどい・・・ということはまた胸水が溜まっているおそれがある・・・?!

だのに、どこまで辛抱強いのか
「救急車呼ぼか?!」というちい兄に、父はまだ若干迷っていたとか・・・・
あんだけT先生に
「我慢しても何の得にもなりませんよ!!!
治りませんから絶対!!すぐに!!救急車呼んでくださいね!!!!!」
と、念を押され怒られ倒したのに・・・マッタク・・・


父はちい兄が呼んだ救急車でSセンターへ向かいました。
ああ、またTセンセに怒られるわ・・・。



2008年9月22日(月)

・・・・・・怒られました、当然・・・。

長い長い長~~~いT先生のお話を要約しますと、
「ここ1週間で急に悪くなってきた。くるぶし上の浮腫は心不全由来。
僧帽弁(心臓の中にある弁のひとつ)の機能低下により心臓肥大。
手術適応なれど高齢者につき(手術のめやす80歳まで)対症療法となる。
今まで同様の生活を続けることは不能。
脊髄の造血機能低下によって貧血に。
一月ほど入院必要だが、その後も科を跨いでの観察必要のため
中規模病院へ行くのがよい。」(ちい兄の記録原文まま・・括弧内はちゃちゃ註)
ということでした。

Sセンターは特定機能病院といいまして、救急病院ではないのですが、
高度な医療技術の開発と提供を行うかなり専門的な医療機関なのです。
つまり最先端医療技術と設備をもつスゴイ病院なワケで・・・。
ですから病気の急性期が過ぎて安定期に入ったら一般的な病院への転院を進めます。
その方針に基づき、T先生も落ち着いたら
まず中規模病院へ転院しなさいとおっしゃいました。

父本人にその旨伝えると「IC病院はどうやろ・・」と答えました。
そやね、それが一番ええわ~。

IC病院へ行けば母がいます。
どうせしばらく入院が必要なら母と一緒が良いに決まってます。
世間には夫婦で同じ病院暮らしの人もいるという。
自宅で過ごせれば一番良いけれど、そこは仕方がありません。
父が傍にいれば母も安心するだろうし・・・。

母も今はIC病院ですが、いずれ隣の老健――老人保健施設に移る申し込みをしています。
そのこともあわせてT先生に、落ち着いたらIC病院へ転院したいと伝えました。
T先生もそれならIC病院宛の紹介状を書きましょうと言ってくださり
その方向で私たちも準備することにしました。


2008年9月下旬

この頃も母は元気そうで、ウチへちょっとだけ帰ったり
近所のスーパーの休憩所でオヤツを食べたり
不思議発言をいろいろしたり
「退院する」と言い張ってちょっと周りを困らせたり
機嫌も良かったり悪かったり・・・
つまり相変わらずの状況でした。

父は酸素吸入もすこしずつ減ってそのうち不要になり、薬が効いて胸水も順調に減り
脈は少し速めですが、安定に向かっていきました。
はだ、これは前からでしたが、肌のあちこちが乾燥のせいでか痒くなり
それで一番困っているとのこと。
高齢になると皮膚の抵抗力が落ちてちょっとの刺激で痒みを感じるものなのだそうです。
でも、Sセンターには皮膚科がないため、痒みについては
近所のかかりつけUI医院の若先生――Y先生に聞いてみることにしました。


ところが・・・・・
方針も決まってひとまず安心の状況が急転直下したのは10月に入ってすぐ。
父の状況において、これから後にはまさかのバトルロイヤルが待っていました。

相手?・・・いろいろです。そう・・・いろいろ。
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創作小説 SUNSET CHAPTER 5  PART.4

2010年08月07日 09時37分48秒 | 創作小品
 彼女…マキ(姓か名前かどっちだろう?)は言いながら無理矢理俺の上着を引っぺがしはじめた。俺は逆らうのもメンドいというか、もうからだが重くて頭も重くて、だるくてしんどくて、好きにしてくれ状態。いや、ホントに熱にうかされてボーッとなってたんだ。で、されるがままに重ねた毛布のにわか敷布団に寝かされ、その上に掛け毛布を掛けられ、頭の下には丸めた毛布の枕を突っ込まれ、いいように?されていた。更に彼女はタオルを絞って額に掛けてくれ、その上いったん外に出て行くと、すぐに何か持って戻ってきた。なんだろうとぼんやり見ると、備え付けのビニール袋に雪?をつめて持っている。
「これをな、きっちりくくって…うわ~冷た! タオルでくるんで…、ほい、首のうしろへ敷いとくねん。」
と、俺の頭を抱えて首筋にその雪袋を突っ込んだ。
「冷てえっ!」
思わず叫んだ…。
「でも気持ちええやろ? 熱を下げるには保冷剤とかを首筋や脇の下に挟むとええねんで。あんまり布団やら被せてぬくめるのはホンマはアカンねん。間違った常識やな。おでこ冷やしても解熱効果はほとんどあらへん。けど、あれ気持ちええからな、効果はないけどやってもええんや。これでじっとしとき。若いしすぐよおなるわ。トシいくつ?」
「20…。」
「ハタチか、え~なあ、ウチの何年前や…? ちゃうちゃう、ウチはまだ18やった!」
ナニ言ってんだ…。…24~5歳とみたぞ、俺は…。
 それから今度はごそごそと食料棚をあさり始めた。
「え~っと、こういうトコにはきっと…あれが…。あったあった、インスタント味噌汁カップ! それからお湯は…やかんのんでええな!」
そういやさっきからやかんの水が沸騰してシュンシュンと音をたてていた。
「よっしゃ、これもらお。…んで、ウチの持参の…。」
と、今度は自分の荷物をさぐりだした。
「確かいつも入れてるから入ってるはず…どこや? えー…ああ、これこれ。」
といいながら取り出したのは…??? …なんだ? 何だそれ…
「これがないと話ならん! おろしにんにく!」
なんでそんなもの持ち歩いてるんだ?! チューブ入りのおろしにんにくか…この人いったいなんなんだ?
「これを味噌汁にいれるとめっちゃうまいねん!! 芯からぬくもるしな。さあ、できたで。
アンタもよばれ。」
 そう言ってまた起こされ、無理矢理カップを渡された。…ちょっと変なにおいがするけど…うまいのか? 一応頭をちょっと下げて恐る恐る飲んでみたら、存外うまかった。
「どや?」
「…意外とうまい。」
「そやろ? 意外は余計やけど。」
そう言って豪快に笑った。アネゴ肌とでもいうのかな、こういう人のこと…。

 時刻は午後5時。まだ夕方だというのに外は暗い。かなりの吹雪だ。時折窓がカタカタいうが、二重窓は頑丈だ。外の寒さもここまではまったく入って来ない。俺は熱で頭がぼーっとしたままだし、彼女は所在なげに座り込んでストーブの火を見つめている。さっき備え付けのラジオを彼女が掛けていたが、そこでの天気予報によると今晩いっぱいは吹雪くが、明日の朝にはおさまるらしい。それまでここで待機するしかなさそうだ。ていうか、どのみち俺は動けそうになかった。
 しばらくして、彼女は俺を覗き込んだ。
「どう? 少しはマシかなあ?」
「ああ…まあ…。」
「…でもないか…。そない急にようはならんかな。まあ、寝てたらええよ。ウチがきっちり看病したるからな。」
「……どうして?」
「ん?」
「どうして…そんなに親切にしてくれるんだ? さっき会ったばかりなのに…。」
「う~ん、なんで言われても…。別に…当たり前やん? 具合の悪い人がおったら看病する。それだけやで? アンタかて目の前でウチが倒れとったらきっとなんとかしてくれたやろ?」
「……。」
「それとな、そやな、ちょっと罪滅ぼしもあるかもしれへんな。」
「罪滅ぼし?」
「うん…。ここにおったんが運のつきやと思て聞いてくれる? ウチの…まあ身の上話。」
「……。」
 俺は他人の事情や身の上話なんかに興味はないんだけど、聞いてくれるかといわれて耳を塞ぎたいほどでもない。でも、なんか面倒くさくて返事をしなかった。マキはそれを承諾と受け取ったのか、座りなおして話し始めた。
 「身の上話てゆうほどでもないけどな…、懺悔かな? たいした話やないねんで、ガッコも家も面白なかって、悪さして、退学して家出も何回もして…そういう、まあようあるヤンキー娘の話や。これもようある話やけど、トシ誤魔化してスナックとかで働いて…そのときは上にサバよんでたな、今は下やけど。そのうちとうとう親にはアイソつかされて、もうウチには帰れへんようになってってゆう…。
 それで今度は裏社会に足突っ込みかけた。うん、突っ込んでしもた、かな。ええ稼ぎの仕事あるからいわれてなあ…小さい荷物を届けるゆう仕事やねんけど、宅配みたいに…。ごっつええ稼ぎなってん。荷物の中身は内緒や。まあ、だいたいの察しはつくけどな。なんかヤバイもんやで。でも…ウチは考えへんことにした。そして何べんも運んだ。稼ぎがええから他の仕事はせんようなって、稼いだお金でいろんなたっかい買いもんして…。
 でもな、身の回りを高級品で固めれば固めるほど面白うなくなんねん。どんなブランド品揃えても、いっこもおもろない。金に釣られて寄ってくる男なんかしょうむない奴ばっかりや。顔はイケメンでも中身いっこもあらへんねん…。そうしてたらなんやあほらしなってもうてな…。さすがにちょっと真面目にならなあかんな、思た。
 まあ、こうなってしもたらもう夜の世界でしか生きて行かれへんかもしれへん。夜の仕事ゆうたらそらヤバイこともいっぱいある。それでも、その中でも真面目に働いとる人はようさんおんねん。生活のために、子どものために一生懸命真面目に働いとるような人。ウチもせめてそういう人を見習わなあかんな…思てん。
 そやから、まずこの変な荷物運びをやめることにしてん。でも、ちょっと長いことやりすぎたんかな、やめたいゆうたら頭からあかん!や。足あらわれへんゆうねん。ウチに仕事回してたんはやっぱりヤクザやった。ウチが抜けて警察かどっかにタレこんだら困るわけやろな。いろいろと。そやけど、中身はなんや知らんけど、そいつが人を不幸にするなんかやということだけは確かやろ? そやからゼッタイやめなあかん、思た。せやから…逃げ出してん。3日ほど前にな。金目のもんはカネに変えて、ホンマにいるもんだけ車に積み込んで、夜逃げしたったんや。
 …せやけどウチが逃げ出すのんバレバレやったからな。すぐばれて追っかけられて…なんとか一旦逃げたけど、また見つかって…。それを2~3回繰り返してるうちにここまで来てしもた。行き当たりばったりで逃げたから知らん間に雪山へ来てしもてさ…チェーンなんか積んでなかったから、そこの路上できっちり立ち往生や。ガソリンはまだようけ入ってるから、吹雪がやんで道の雪が融けたら何とか行けるかな、思うねん。
 まあ、とにかく明日の朝様子見て…やな。この雪やから向こうもまだここまで来れへんはずやし。追いつかれんうちにまたとんずらするわ。」

・・・TO BE CONNTINUED.
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