ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

KAIGO.介護 巻の四十二  ICU症候群&感染症撃破

2010年08月30日 12時46分40秒 | 介護な日々
2008~2009年年末年始

このころ母は「物盗られ妄想」がちょくちょく出てきて、
ちょっと見当たらないとすぐに「盗られたんちゃうか?」と言って
大騒ぎしたり、周辺のものを布団の中に持ち込んだりしていました。
年末、友人からりんごをいただいたのはよかったのですが、
「うちへ持って帰っといて」と自分で言ったのにそこだけ忘れて
「りんごもろたはずやのにない。盗られたんや。」と何度も言うのです。
いくら言い聞かせても納得しないのでうちに連れ帰り、
神棚にお供えしてあるのを見てやっと納得。
また、靴がベッドの下に入り込んでいて上から見えなくなるとすぐ
「誰か靴盗って行った」といいました。
ベッドの下から引っ張り出して見せると
「な~んや。ヒト疑う前に自分疑わなあかんなあ~。」
と、反省するのですが、また忘れて
「靴、置いたあるか? うっかりするとすぐ盗られるから気いつけな。」
と言い出す始末・・・。

お正月はお兄一家はじめたくさんの見舞い客があり、
うちにも帰って楽しく過ごしましたが、
祭りの後の寂しさというか気の抜けた感じと言うか、
一段落したころは不機嫌な日が多かったようです。
疲れもあるのか、ちょっと熱も出て、愚痴と文句のオンパレード。
「帰る」「退院する」を繰り返し、
「一人では暮らせへんやろ?」と言っても
「一人でもなんでもええ。帰るんや。」
「ご飯の用意は?トイレも行かれへんし・・」にも
「そんなもんかまへん。」
「第一歩かれへんやんか。」には
「そんなことあらへん! さっきかてしゃっしゃって歩いてたがな!」
・・・・・
機嫌の悪いときは記憶もかなり悪いみたいで、
今しがたのことはもちろん、今の自分の状況も忘れるみたいです・・・。

でも、ひとつひとつ言い聞かせ、ひとつずつ納得するとだんだん落ち着き、
「今日は無理やけど次ヘルパーさんにも頼んで帰るようにしよ」などと言うと
「ほな、それまでここにおったらええねんな?」と得心するのでした。

何を言ってもまず否定したり拒絶したりせず、
この際嘘も方便、気持ちに沿うように答えればなんだか納得はしてくれます
・・・・というのはわかっているんですがねえ・・・
つい「それは無理」とか言ってしまうし、
「明日みんなで迎えに来るから、そしたらうち帰ろな」などというような
嘘の約束も後ろめたくてどうにも言えないでいました・・・
嘘ついたって本人すぐ忘れるのでどうってことないんですがね・・・。
(そういうことに限って「ゆうてたやんか!」と覚えてられそうな気がする・・・)


父も年末年始、父なりにはりきってしまっていたようです。
元日の日、ちい兄やお兄たちが来るというので、
車椅子に乗せてもらってデイ・ルームで待っていました。
・・・本当は車椅子に移乗したり、座り続けるのもしんどいのに・・・。
でも、寝てばかりいるとストレスもたまるし、
それなら多少しんどくても車椅子で院内をぐるっと散歩するほうがいいらしく・・・。
お正月の喧騒が去るとともに疲れがどっと出た様子・・・。


ところで・・・ICU症候群という病気をご存知でしょうか?

T先生から何度かお聞きしていたのですが、
これはICUすなわち集中治療室にいると精神的に参ってしまい
うつ状態になったり幻覚や幻聴をおこすこともある精神疾患です。
原因は、ICUにいること、すなわち自分が重篤な状態にあることを知って
強い不安や恐怖心を覚えることから来ていると言われています。
いわば一種の極限状態に置かれた状態ですから、
T先生いわくどんなに頑丈な人でも24時間ここにいると精神に変調をきたすのが普通、
ましてや何ヶ月もずっと個室で機械に取り囲まれ管をつけられて
平気でいられるわけがない・・・はずなのに。

そう、はずなのに、です。

「僕はこんなに精神力の強い患者さんに今まで会ったことがありません」
T先生が脱帽しておっしゃいました。
「こんな状態でずっと、頭がクリアなんて正直しんじられません。
いくら長くても1週間もしたらおかしくなってぼうっとしてきます。
(認知症のようになると言うことらしい)
それなのに・・・Hさんはまったくその様子がない。
多少、鬱にはなっておられますが、それでもしっかりされてます。
ほんと、びっくりしてます・・・」

確かにそうなんです・・・。
ともすると絶望したくもなるだろうに・・・
父はずっと「絶対元気になってうちに帰る」つもりでいます。
「もうええ、はよ死にたい」などとはそれこそ
「死んでも思わない」ようなのです。

ICU症候群がなんぼのもんじゃい! です。



2009年1月11日

父、38.3度の発熱。
T先生によると、肺炎・蜂窩織炎(皮膚炎)・膀胱炎の可能性は低いが
何らかの細菌感染かも知れないので抗生剤をいれていますとのこと。
もう1日様子を見て下がらなければ、別の薬を使ってみますと。

先生の講義(?)によると、感染症には
一般的には細菌感染と細菌より小さいウイルス感染の2種類が知られているが
細菌でもウイルスでもない病原体があるのだそうな。

「消化管出血は今は止まっていますが、念のためそれ用の薬も使っている。
ガンでも発熱はあるが、内視鏡検査ができないのでCTを撮ってみます。
CTに映るようなら末期ガンですが・・。」

またぞろピンチ到来のようです・・・。


2009年1月13日

T先生から電話。
「点滴の管から感染したのかもしれません。容態は悪化しており
肺血症を起こして腎機能がまた低下しています。
抗生剤を強めに入れていますがどんな菌かわからないので効くかどうか不明です。
もし、MRSAであれば抗生剤は効きません。
腎不全に対しては利尿剤を入れています。
また、血圧が下がっているのでイノバンという昇圧剤も使います。
腎不全次第では合併症が起きる可能性もあり、
ここ2,3日の治療の効果がないようであれば今週末がヤマになります。
気胸の時以来の厳しい状態です。
・・・場合によっては鎮静剤を使いますが
前に言いましたとおり、これを使うと本人は眠ったような状態になり
意思の疎通はできなくなります・・・」

いよいよか? とうとうその時期が近いのか???
「一応、お覚悟を・・・。」
そういうことですか・・・?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちい兄が急いで夜に行ってみたら・・・そこそこ元気だった。
んんんん・・・?


2009年1月15日

週末やばいの報を受け、お兄がやってきました。
・・・・・が?


2009年1月18日

父、朝36.9度、夜37.3度、微熱程度です。
感染症の原因はよくわからなかったけれど、なんか、乗り越えました。
ほっとしたけれど・・・・
・・・・・T先生、ちょっと心配性すぎちゃう?
だって・・・数値はどうや知りませんが、
父本人は熱の割には”死にそうなくらいしんどい”ことはないみたいでしたし。

まあ、ドクターとしては楽観視はできないのでしょうけどね・・・。


数字ばっかし見てないで、患者の顔色見てくだされや。のう?
コメント
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