ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

創作小説 SUNSET ORANGE CHAPTER1 PART.5

2014年04月30日 20時57分29秒 | 創作小品
「・・・総くん・・・。」
「わかったようなこと言うな!! 何にも知らないくせに勝手なことすんなよ!! 続けようがやめようが決めるのはオレだ!」
「あ・・・アタシは・・・。」
「諦めたくて諦めたんじゃねえ! 諦めさせられたんだよ! オレの気も知らねえで、勝手にあれこれ言うな! おまけにこんなもんまで・・・。」
「怒ってるの? 総くん、アタシそんなにいけないことしちゃったの? アタシは・・・アタシはただ・・・総くんが少しでも元気になればって・・・」
「いいよ、もう!!・・・それ以上言うな。ほっといてくれ。・・・もう・・・帰ってくれ・・・。」
 総くんは怒鳴るのをかろうじて押さえてそれだけ言うと布団をかぶって向こうを向いてしまった。アタシは謝ることもできず身のすくむ思いで総くんの背中をじっと見つめて・・・それ以上いたたまれなくなって背を向けると黙ってそのまま部屋を出た。・・・出るしかなかった。
 
どうしてこうなっちゃったんだろう・・・。アタシは思考停止したままふらふらと廊下を歩き、ロビーを抜けて外へ出た。秋風が吹くはずの時期だというのに、日向は夏のように暑い。その暑い日差しもアタシは感じられなくなっている。それくらい気が動転している。アタマの中が真っ白なまま、アタシはふらふらと道を歩く。
どこへ行くんだろう、アタシは・・・。どこを目指しているのか自分でもわからない。総くんもきっとそうだ。今、どこへ行けばいいのかわからないでいるんだ。目指す先がわからない。どうしていいのかわからない。アタシはそんな彼に目指す先を示してあげたかったのに・・・なのにアタシ自身がたった今どこへ行けばいいのかわからないでいる。
 だけど、アタシは無意識に目指していたみたいだ。気がつけば――どれだけ時間がたったんだろ、どれだけ歩いたんだろ――海岸通りを歩いていることに気づいた。そして、無意識に目指した先がどこなのかようやくわかった。今、話を聞いてくれる人がそこにいる。アタシがこのあたりじゃ一番頼りにしている人がいる。
 いつの間にか雨も降っていた。さっきまでの晴天は薄暗い雲に覆い隠され、大した雨ではないけれど、でも確かに静かに降っている。アタシは視野にその「喫茶店」が入って来たことろで思わず駆け出した。その喫茶店とは・・・
 実はそこはアタシのバイト先。店の名前は何と「SUNSET」っていう。ユウジの歌を思い出すけど、もちろんこれはタダの偶然。この店自体はもっとずうっと前からこの店名であるんだもの。アタシはここに四年前からお世話になっている。院生になってからは実験や就活の関係で週に1回か2回、それも数時間しか行かないけれど、学生下宿で一人暮らしのアタシにとっては家族のように思える人たちがいる店だ。ううん・・・白状すると、ちょっぴり憧れた人がいる店。結果はあえなく失恋したけど、でもそれはどうでもいいんだ・・・今もずっと妹みたいに大切に思ってくれているんだもの。ホントに、ずっと・・・。
 店に近づいてアタシはようやく今日そこが定休日なのに気づいた。駐車場にはチェーンが掛かっていて、店のドアには「CLOSED」の札が掛かっている。ちょっとウッカリしていたな・・・。だけどアタシはおかまいなしに別のドアへ向かった。ここは店舗兼住宅。だから定休日でもいる可能性はある。ドアそばのインターフォンを押す・・・お願い、いてよ、店長! 話、絶対聞いて欲しいんだもん・・・。
 すぐに「はい」と男の人の声が返って来た。よかった・・・店長いてくれた・・・。
「・・・涼香です・・・。」
「・・・ちょっと待って。すぐ開けるよ。」
ほどなく鍵を回す音がしてドアが開いた。その向こうにはアタシが大好きで、憧れて、失恋して、でも今も頼りにしている兄貴みたいな――ここの店長がいつものように優しい目でアタシを迎えてくれた。・・・店長と言ってもオジサンじゃないよ、まだ30そこそこ(ついでに長身でシュッとしてて結構イケメン)。アタシはここに来て急に泣けてきて、ていうか、店長の顔を見るなりわあっと泣き出してしまった。
「涼香・・・どうしたの? ・・・とにかく入んなさい、びしょ濡れだ・・・。」
アタシは両手で顔をぬぐいながら促されて中へ入る。ああ・・・むしろ定休日でよかったよ・・・。店長はアタシを待たせて一旦二階へ上がると、すぐに女物の服を持って降りてきた。そしてそれをアタシに押し付けながら
「バスルームで着替えてきなさい。タオルは洗面所にあるもの勝手に好きなの使っていいから。何ならシャワーもかぶって・・・着替えたら店へおいで。」
「はい・・・。」
 店長がアタシに押し付けた服は奥さんのもの。ていうことは、今は奥さんは出かけてるみたい。奥さんの留守に上がりこんじゃうことになるけど、そこは大丈夫。その奥さんもアタシにとってはお姉さんみたいな人だもの。ていうか・・・お二人はめちゃめちゃ仲がいい。アタシの入り込む余地は1ミリ・・・イヤ、イチ刹那もない。だからかえって遠慮しない。特に今は・・・話、聞いて欲しいんだもの、どうしても・・・。
 アタシはシャワーを使わせてもらいながら、その音に紛れ込ませてもう少しだけ声を出して泣いた。それで少し落ち着けて、着替えた後は勝手知ったる家の中を抜けてお店に出た。カウンターの内側から出ると、店長の「座りなさい」というのに促されて、そのほぼ正面に座った。アタシの様子をうかがってたのだろう、ちょうどのタイミングで淹れたてのコーヒーを目の前に置いてくれた。ほわっとあったかい香りが店の中に漂っている。
「すみません、店長・・・お休みなのに。」
「いいよ、気にすんな。」
「みゆ希さんは? 仕事?」
みゆ希さんというのが奥さんの名前で、神奈川テレビの局アナウンサーをやってらっしゃる。以前は東京のテレビ局に勤めていたすっごくきれいで元気ありあまるパワー全開の素敵な女性。そんな人が相手じゃ、アタシは失恋せざるを得ないでしょ?! イヤイヤイヤ・・・そんな属性がなくても、彼女の店長を思い続けていた思いには、どんなセレブグラマースポーティーカリスマ知的美人でも勝てないと思う・・・。
「いや、今日はオフだよ。今はちょっと買い物に出てるだけ。アイツの買い物は長いから俺はついてけないよ。まあ、車で出てるから荷物持ちもいらんだろうし。」
そう言って笑う店長は、言いながらもみゆ希さんを思いやる気持ちがあふれて見える。はいはい、御馳走さまです、ぐっすん。でも、アタシも少し気持ちが和らいだ。やっぱり来てよかった・・・。

「で、どうしたの?・・・言いたくなければ聞かないけど。」
「ううん・・・聞いてください・・・。」
 実は、みんなのことは、これまで既にちょくちょく話していた。出会って仲良くなった時からずっと、みんなの夢の話もことも、総くんが事故にあったことも・・・。その時々に話して、そのたびに店長は耳を傾けてくれている。そして今日、ついさっきあったことを聞いてもらって・・・。アタシがいろいろ考えたことも調べたことも含めて・・・。店長は時々頷きながら黙っておしまいまで聞いてくれた。話し始めて少しした頃ちょうどみゆ希さんも帰って来て、一緒に話を聞いてくれた。ちなみに二人の愛娘たる美佳ちゃん(生後9か月くらい)は二階で爆睡中だとか。みゆ希さん曰く
「お姫様は一度お昼寝爆睡モードに入ると当分起きないから大丈夫、気にしないで話してよ。」
・・・なので、アタシは話を続けた。
ひととおり話し終わって、アタシは大きくため息をついてつぶやいた。
「店長、アタシ・・・やっぱり余計なことしちゃったのかなあ・・・。」
「うん、そうだな。」
店長はアッサリ言ってくれた。えーん・・・。
「うう・・・やっぱりそうですか・・・。」
「まあ、涼香がその彼のことを本気で心配して、あれこれ調べて考えたのは決して悪いことじゃないよ。間違ってるわけじゃない。せっかく彼のためを思って言ったのに・・・だろ?」
「うん・・・。」
「でも考えてみなよ。彼のために誰がそう思ったの?」
「え?」
「彼のために涼香が思った、こうしたらいいのにって。そうだろ?」
「・・・・・・・。」


・・・TO BE CONTINUED.
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霊界というよりもはや神がかりな不思議な何かに繋がるヒト・・・②

2014年04月29日 12時33分17秒 | 気になるヒトビト
”先生”を通して聞いた、神がかりな不思議な方のお話を前回いたしました。
その続きであります。

その方は本業のタクシードライバーとは別に、
霊的な様々な修練、修行を積まれていたそうです。
詳しくは存じませんが、霊山で籠もったり、霊所を訪ね歩いたり、
いわゆるお遍路さん、でしょうか?
そういったことも相当なさっていたそうで・・・。
そしてそれは現世に留まらず、
別のどこか常人にはうかがい知れない世界も修行して回られた・・・とか何とか。

現世での修行には息子さんも時に同行されたそうで、
お向かいにお住まいだった先生も実際見かけたそうです。

その方は様々な修行の中で知りえたことを
ちょくちょく先生に語ってくださっていたそうで
私はそれを又聞きしたわけなんですが
その伝え聞いたお話をしてみたいと思います。

まず先生のお母様のお話から・・・

当時先生のお母様はお年を召して入院生活を送っておられました。
かなりのご高齢で、意識もあるんだかないんだかというような状態が
ずっと続いていたそうです。
ところがある日、その神がかったその方は先生に、
覚悟なさってくださいというようなことをおっしゃったそうです。
その方にそう言われた先生は
「ああ、母とはおもうお別れなんやな」と悟られ、
実際そのすぐあとにお母様はお亡くなりになったとのことでした。

お母様の葬儀の時、お母様の魂はどうなるのだろうと思った先生が
その方に尋ねると、その方は
「安心して。先生のお母さんは今お釈迦様の手の中に抱かれてはるから。」
と、おっしゃったとのこと。
そして、お母様に着せてあげようと思っていたお召し物を
お棺の中に入れた物かどうか悩んだので
それをまたその方に尋ねてみますと
「お母さんはいらんとゆうて手をふってはるから、入れなくていいと思いますよ。」
と教えてくださったそうです。

お母様が亡くなって数日後、あの世でどうしているのか尋ねると
「今、お母さんは川の中に沈んではります。
その川の表面には丸太のような木がいっぱい浮かんでて、
お母さんは出られない状態ですわ。
それはね、生きてた時のいろんな罪を償うためにそうなってますねん。
・・・今僕が顔のとこだけちょっとその丸太をどけたので
顔だけは見えるようになりました。罪が償えたら川から出られます。」
とお答えになったそうです。

その方がたびたびおっしゃっていたこと・・・
「僕はそんなふうにいろんなものが見えるんやけど、
ウソはゆうてへん、ホンマにわかるんやけど
悲しいかなそれを他の人に見せてあげる力はないねん。
そやからそれがホンマやと証明することができへん。
ホンマ、見せてあげられたら信じてもらえるんやけどな、
それができへんねん。信じてくださいとしか言われへん。
それが一番悔しいなあ・・・・。」


さて、この方のお話、信じますか? それとも「ウソやん」と思われますか?


不思議な話はまだ続きます。
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創作小説 SUNSET ORANGE CHAPTER1 PART.4

2014年04月28日 20時42分07秒 | 創作小品
「特に高1の時かなあ、ユウジにハマリ始めて。すっごく影響受けてさ、総司もピアノかじってるからコピーとかしてさ。学祭ももちろんだけど、オーディションなんかも何度か受けに行ってたんだよ。まあ、現実はそう甘くはなかったってことだろ、高3になって最後の学祭の後・・・就職が決まった頃かな、スッパリやめちゃったのは。こう言っちゃなんだけど、総司が結構イケてたとしても、メンバー全員がそこそこ出来てなきゃ難しいだろ? かと言って一人でチャレンジするのもいろいろあって難しかったんじゃないかな。」
「しばらく気が抜けたみたいになってましたよ。ユウジのファンはやめなかったけど、ずーっとボーっとして聞いてるだけになっちゃって。あんなに一生懸命コピーして自分でも歌ってたのに、全然やらなくなっちゃったんですよ。高校卒業と一緒に音楽も卒業だとか言っちゃって・・・。なんか、夢を失くしたっていうのかな、そんな感じだったんです。」
「アイツ結構一途だもんな。でも、メカニックの仕事が十分こなせるようになってからはバイクにハマってさ、おかげで俺達も引きずりこまれちゃって、一緒にツーリングやるようになってやっと元気になったんだけど。・・・そしたら今度はこんなことになっちゃったろ・・・。まあ、意気消沈するのも無理ないけどな。」
 姫島くんも大きなため息をつき、路美ちゃんも黙り込んでしまった。アタシもしばらく返す言葉が見つからなくてうつむいて黙ってたんだけど、ふと思いついて姫島くんに聞いてみた。
「ねえ、総くんが作ったっていう歌、聞けるかな? それか楽譜があるとか。」
「総司の歌? うーん・・・俺達は録音とか持ってないけど・・・一緒にやってたメンバーに聞けばあるかも。でも、どうするの? それ。」
「うーん、アタシはリアルタイム知らないからちょっとどんなだったのかなって思って。」
「あ、そっか・・・。まあ、メンバーもオナチュー(同じ中学)だから連絡つくし、聞いてみてもいいよ。」
「うん、ぜひお願い!」

 その数日後、アタシは下宿の自分の部屋で一人パソコンでDVDをガン見していた。内容は姫島くんが友人に頼んで手に入れてくれた、総くんの高校時代の学祭ライブ映像だった。3年の時のだというから今から5年前かな・・・。アタシのまったく知らない総くんがそこにいた。出番は20分に満たないほどで曲数も4曲だけど、やっぱりしっかり歌ってるじゃん、『SUNSET ORANGE』。確かその頃リリースされて、この学祭はそのすぐ後くらいの筈なのに、随分歌いこんでるな~、結構上手だよ。オーディション受けに行くだけはあるよ。同時に総くんが書いたという歌の楽譜のコピーももらえた。その歌はこのライブでは歌ってなかった・・・ていうか、そのライブではオリジナル曲はやってなくて全曲誰もが知っているような曲のカバーだったけど。この曲をいつ書いたのかはわかんないけど、何となくユウジを意識して憧れて書いたんだろうな、という感じはする。(てか、アタシあんまり楽譜読めないんだけどね・・・しくしく・・・。)きっと総くんは彼のように自分もなりたいと本気で思ったんだろうな。
「捨てることないのに・・・。」
アタシはひとりごとにつぶやいた。
「そうだ・・・捨てることないよ、絶対。何かあるよ・・・きっと。」
 アタシはDVDの音声はそのままでインターネットに接続して検索を始めた。

 そして更に数日後の今日――

 総くんの病室へ向かうと、ちょうど誰かが出てくるところに出くわした。ロン毛を無造作に束ねた浅黒いその中年のおじさんはツナギの作業着姿で「じゃあなー、お大事に!」と大きな声を轟かせてドアを閉めると、ちょっと眉根を寄せて小さくため息をついてアタシとすれ違いにロビーへ向かって行ってしまった。アタシはそのおじさんを何気なく見送って、少しばかり笑顔の練習をしてから病室のドアをあけた。
「こんにちは!」
「・・・おー・・・。」
総くんは相変わらず素っ気ない。ていうか、ボーっとしているというべきかな・・・。毎日、リハビリは嫌がってはいないけど、淡々と事務的にこなす感じらしい。テレビも眺めるだけ、差し入れの本やマンガも漫然と眺めるだけ、携帯ゲーム機もあまり集中してやってはいないみたい。ユウジの音楽だけはじっと聞き入っているらしいけど、とにかく機械的に生きている感じだ。無理ないけど・・・。
「今の人は? 職場の人?」
「うん。社長。」
半身を少しだけ起こして固定したベッドにもたれたまま、総くんはぼんやり答える。アタシはわざと明るく
「やっぱり! なんかいかにもそれらしい人だね。バイク大好きっていう感じマンマンで。・・・これからの仕事の話? 続けられそうなの?」
「うん、まあ・・・。メカニックは極端な話手が動けば何とかなるから・・・できる範囲でやりゃいいから、ゆっくり養生して戻って来いって。」
「そうなんだ! 良かったね、いい職場で!」
アタシは心から安心してそう言った。障害を持ったせいで辞めなきゃならなくなったのなら、厳しすぎるもの。でも、やっぱり総くんは心ここにあらず、って顔をしている。
「総くん・・・。大変だけど元気出してよ。夢の話、前にしてくれたでしょ、砂漠地帯を走りたいっていう。」
「・・・・・・。」
「あれ、諦めることないと思う。アタシもいろいろ調べてみたんだけど、足とかに障害があってもバイク乗ってる人って実は結構いるんだって。中には足首から先を切断した人もいるらしいよ。そういう人たちの会もあるみたいよ。」
総くんは不思議そうな顔でアタシの方を向いた。やっぱり諦めなきゃしょうがないと思ってたんだね。そんなことないのよ、総くん!
「あのね、そういう人は自分の障害に合わせて自分専用にバイクを改造するんだって。そのバイクにしか乗っちゃいけないって制約はもちろんつくけど、でも、逆にそれでなら乗っていいってことでしょ。ちょうどいいじゃない、総くんはメカニックだもん、自分で自分に合ったバイク作ればいいのよ。ね、それで夢、叶えようよ!! まず日本一周からさあ。アタシもできることはなんでも協力するから。だから諦めないで!」
「涼香・・・。」
総くんの心が少し動いたみたいだ。とにかく今は、なんでもいいから気持ちを動かして欲しい。アタシは意気込んで続ける。
「それと・・・ね、コレ、覚えてるよね。」
アタシはバッグから畳んだ紙を取り出して、広げながら総くんに見せた。そう、それは姫島くんを通してもらった総くんの曲の楽譜。総くんも持ってはいるだろうけど、長いこと手にしてはいなさそうだから・・・。
「!! それ・・・それ、オレの・・・。」
総くんは身を乗り出して覗き込んできた。
「うん。姫島くんに頼んで、総くんと一緒にバンドやってた人にコピってもらったんだ。高校の学祭のDVDも見せてもらったよ。総くんカッコよかった~、それにすごい上手じゃん。そりゃプロになるのは全然簡単じゃないっていうか、ホントにごく一部の人しかなれないものだと思うけど、音楽を続けることはできるでしょ。やめることなんてないと思う。総くん今でもずっとユウジは大好きなんでしょ? プロじゃなくてもいいじゃん、好きなのにやめることなんてない」

 パンッ!!・・・と音がした。一瞬何の音だろう、とアタシは理解が追いつかず茫然となった。そして気づくと手にしていた筈の楽譜が宙を舞っていた。
「うるさいな! 誰がこんなの持って来てくれって頼んだよ!!」
パン、という音は総くんがアタシの手をはたいた音だった――



・・・TO BE CONNTINUED.
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霊界というよりもはや神がかりな不思議な何かに繋がるヒト・・・

2014年04月25日 12時19分18秒 | 気になるヒトビト
霊界・・・みたいな何かに関係あるような、ないようなヒトビトのお話を何度かしましたが・・・

すごい人がいらっしたことを失念しておりました。
もうずいぶん前にうかがったお話なので、つい・・・。

但し、これは伝聞であります。
私が直接その方にお目にかかったわけではありません。
ただ、このお話をお聞かせくださった方は大変信用の置ける方で、
神様や仏様や、霊界や生まれ変わりやあの世を素直に信じている方で、
決してふざけたり作り話をして人を脅かそうとなさるような方ではありません。
ご職業柄、先生と呼ばれていたような真面目な方です。

・・・なので、私も、少なくとも話してくださった先生が
元の語り手のお話をそのまま飾らず話してくださったものと思っております。
とはいえ、何せ聞いたのがずいぶん昔なので、あいまいな部分も多いですが・・・。

その、元の語り手の、不思議な方というは
お話くださった先生のお向かいさんでいらっしゃったそうで、
ご職業は確か個人タクシーの運転手さん。
そしてその方は、何かが見えるとか聞こえるとかいうレベルではなかったそうです。

例えば、お仕事で町を走っていて大きな交差点などを通ると、
必ずと言っていいほどそこで事故で亡くなられたヒトが
いつのまにかご乗車されているのだとか・・・
しかしその方ご自身はそれで大変な目にあうとか、
そういうことはなかったそうです。
察するに、中途半端ではなく大変霊感が強いためなんともないらしくて。

他にもいろいろとお話を聞いた気はするのですが
何分かなり以前のことですので私もよく覚えておりません。

が、ひとつ強烈なお話を聞いたのを覚えております。

というのは・・・・

その方には息子さんがいらして、その当時反抗期真っ只中で
ちっともお父様のいうことを聞かず、ちょっと悪さなどしていたそうです。
ところがある日、その方が寝ていた夜中にふと気づくと
枕元にどなたか複数の人?が立っているのがわかったそうです。
それは修験者の格好をした大変霊格の高そうな方がただったそうで
「お前の息子はなっとらん、このままなら連れてゆくぞ」
というようなことをおっしゃったとか・・・

その霊格の高そうな修験者様が来られた時、
玄関先が稲光のような鋭い光に覆われて
初めは雷でも落ちたかと思われたそうです。
実際にものすごい音もしたそうで・・・
そしてその修験者様方は修行をさせよと告げてお帰りになったといいます。

「今のはいったい・・・」
と、さすがに夢を見たのかな、と起き上がってみると
今度はその息子さんが血相をかえてお父様のところに駆け込んでこられ
「お父ちゃん、大変や! オレ、今死ぬとこやった!!」
と叫ばれたのだそうです。聞くと、
「今な、オレの枕元に山伏みたいな格好した人がいっぱい来て
お前を連れて行く、ゆうんや!! あの世へ連れてくて!
まだ死にたくないんやったらちゃんと修行せえて言われた!
オレ、ほんまやったら今死ぬはずやってん!!」


・・・・・・・。
そんなん、いくらなんでも作り話や、思うでしょ?
ところがね・・・・・


この話を聞かせてくださった先生、そしてその当事者のタクシーの運転手さん、
その方々のおうちは細い私道を挟んでお向かいさんだったのですが、
その不可思議なことの起こる前の晩まで何もなかったのに
翌朝見ると、その私道のコンクリート上、
表通りの、私道への入り口から運転手さんの家に向かって
つらつらと地割れができていたのですよ。

先生が、これはどういうことだろう、たった一晩で地面が、
どうやって、なぜ割れたのだろうと不思議に思って見ていたら
お向かいさんが出て来てそう話してくださったのだそうです。


そのあと、その息子さんはお父さんと一緒に
修験者の修行に行かれたのだそうな。

この方のスピリチュアル系のお話はまだありますが・・・それはまた今度。
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創作小説 SUNSET ORANGE CHAPTER1 PART.3

2014年04月24日 08時40分55秒 | 創作小品
 当初アタシは、路美ちゃんは二人のどっちかとつきあってると思ったけど、それをこっそり尋ねたら
「冗談! そんな気ぜんっ!!ぜんないですよお~!」
と笑い飛ばされてしまった。
「だって物心つくころから一緒に遊んでて、もはやきょうだいみたいに育ってるんですもん。よく幼馴染が恋人にって言うけど、あんなのないない!! 光ちゃんも総ちゃんもお兄ちゃんみたいなもんですよ。今更恋人なんて、おかしくてヘソでコーヒー沸くぜ、みたいな!」
「・・・お茶です・・・。」
それアニメの黒バス(黒子のバスケ)の火神と黒子のやりとりだよ。この子ガチで見てるな。イヤ、アタシもか・・・。て、それはいいとして!!
「強いて言えば総ちゃんのがお兄ちゃんかな。光ちゃん、頼りないですよ! ちっちゃい頃からメガネっ子で、近所の悪ガキにいじめられてはいつも総ちゃんにかばってもらって! 今でこそ学者然としてエラソーにしてますけどね~、白衣はためかせて。黙ってればすごくお利口に見えるのに、喋ると滑ってばっかり。総ちゃんだってカッコつけてるけどツンデレなんですよ、アイツは、照れ屋で。結局二人ともガキなんだから。年はあたしの方が二つ下ですけど、実際はあたしの方がお姉ちゃんかもしれないですね~。」

 路美ちゃんこそ、黙ってれば楚々としてて、ライダースーツよか和服の方が似合いそうな日本的美人なのに、喋るとあっけらかんとしてて、しかも結構言いたい放題だよね・・・。

 
 とにかく、アタシも仲間に入れてもらって、しょっちゅう四人で会ってはいろんな話したりオケったり、ツーリングに出かけたり(いつかアタシもバイクの免許とろうかな、と真剣に考え始めている)、遊んだり飲みに行ったり・・・そんなふうに誰でもやるようにごくごく普通に友達づきあいをして過ごしていた。そしてずっと、そんな風に過ごして行くと思っていた。行けると思っていた。・・・あの事故が起きるまでは。

 詳しく話すのツライから、結論だけ言うね。事故ったんだ、アイツ・・・、総くん。
幸い命は助かったんだけど、全治半年・・・ていうか、多分もう治らない。リハビリ次第で何とか歩けるようにはなるけど、少なくとも杖は一生離せないんだって。そして、しばらくは車イス生活を余儀なくされるんだって・・・。
 お見舞いに行って、アタシは総くんのお母さんに初めて会った。ふくよかで、人柄も朗らかでふんわりして、でも頼もしそうな人。ピアノ教室の先生をしているそうだ。姫島くんに聞いたところによると、総くんがまだ小さい頃に旦那さんとは別れたそうで、それ以来女手一つで彼を育ててきたそうだ。だからどこか逞しく、かつ総くんを頼りにもしているみたい。支え合っているんだなあ、きっと。・・・なのに、こんなことになってしまうなんて・・・。
そして当の総くんは、やっぱりショックが大きすぎたのかな・・・。意識が戻って、食事もとれるくらい体が回復してもうつろな目で押し黙ったままだ。それというのも・・・。

 この夏、アタシ達はツーリングで伊豆半島のとある海岸に行って夕陽を見た。半分ふざけて半分本気で「夕陽を眺めてセイシュンしよう」なんてテーマで行ったんだけど、実際確かに結構感動モノだった。お天気も良く、真っ赤に焼けた空と、その空を映した海がオレンジ色に輝いて本当にきれいだった。姫島くんと路美ちゃんが浜に降りて行った時、バイクの手入れと留守番に残った総くんにアタシは
「『SUNSET ORANGE』だね~。」
と声をかけた。ところが総くんはちょっと首をかしげるとこう答えた。
「う~ん・・・確かにそうだけど、オレはあの歌は海じゃないと感じてんだ。」
「え? そりゃ確かに歌詞には海は出てこないけど・・・じゃあ、街の風景?」
「何となくさ、オレ、あれ砂漠とか砂丘じゃないかって気がする。」
「えー? 砂漠? なんで?」
意外な発想にアタシは驚いて聞き返した。
「いや、だから何となく。初めて聞いた時そんなイメージが浮かんでさ、いいなあ、見に行きたいなあって。ていうか、走ってみたいって思ったんだよな。」
「走ってみたい?」
「オレ達、いつかバイクで日本一周しようって言ってるじゃん?」
元々は以前からみんなでお金をためて日本一周しようという”夢“を話していたそうだ。アタシは途中加入でしかもバイクの免許も持ってないけど、その話の流れで当然のように誘ってもらい、免許がなくても交代で誰かの後ろに乗ればいい、そして乗っけてもらう代わりに具体的な計画の下地作りや実際のいろんな手配、つまりマネジャー的なこまごましたことをやってくれたら気兼ねもしなくていいだろ・・・なんて話になっていた。
「大げさだし現実的なこと考えたら途方もないから光汰達にも言ってないんだけど、実は夕焼けの砂漠地帯をバイクで走るってのがオレの一番果ての夢みたいなもん?なんだよ。あの歌聞いた時ふっと思ったんだよな、直感っていう奴かな、これが一番の夢だなって。」
「へえ・・・。夕焼けの砂漠地帯、か。」
「言うなよ、誰にも。なんか恥ずいから・・・。涼香がユウジのファンだから話したんだからな。」
「あはは、わかったわかった。実現が見えてくるまで黙っといてあげるよ。」
リアルに考えたら確かに途方もない。砂漠ってどこよ、超暑くない? てか熱くない?とか、国際免許いるんじゃないの?とか、バイク空輸すんの? いくらかかんのよ?とか、そもそも砂漠ってバイクで走れるの?とか・・・。でも、ダメだこりゃ。オトコって変なとこでロマンチストだよね。そんな妄想持っちゃったらそれに向かって一心不乱になれるんだ。

だからその一番の夢が壊れたショックは計り知れない・・・。

 お見舞いの帰り、人気のない病院のロビーのソファに腰を下ろしてアタシ達三人は長いこと黙り込んでいた。姫島くんも路美ちゃんもしょんぼりしている。二人は総くんの一番の夢は知らないけど、その前の、みんなでバイクで日本一周が叶わなくなってしまったことは感じている。もちろん、それ以前に総くんが普通に歩くことができなくなったということ自体がまずショックなんだ。
 歩く、走る、なんて当たり前のことだと思っていた。確かに車イスで出かけている人も普通によく見かける。たいていの施設や公共交通機関は車イスの人も利用できるようになっている。だけどアタシ・・・少なくともアタシにとってそれは結局は他人事だった。大変だろうな、とアタマの隅で思うことはあってもそれだけだった。何があってその人がそんな状態になったのか、それはそれぞれ違うだろうけど、一つ言えるのは誰も望んでそうなったわけではない筈だということ。そして、そのために何かいろんなことを捨てなければならなかっただろうこと・・・。今その状態に陥った人間を目の当たりにして、アタシにはようやくその本当の大変さがわかりかけてきた気がする。
 そのうち路美ちゃんが大きくため息をついてつぶやいた。
「総ちゃん、大丈夫かな・・・。また夢を捨てることになっちゃうなんてあんまりよ・・・。」
アタシは「えっ?」と思って路美ちゃんに振り返る。
「またって・・・どういうこと? 路美ちゃん・・・。」
「え? あ・・・あの・・・。」
路美ちゃんは困惑した顔で姫島くんの顔を見た。姫島くんはちょっと視線を泳がせたけど
「菊川は知らないもんな。総司の奴、一時期バンドやっててさ、結構マジでミュージシャン目指してた時があったんだ。」
「え・・・?! そうなの?!」
驚くアタシに路美ちゃんが続けて
「総ちゃんとこのおばさんてピアノの先生でしょ。だから総ちゃんも小さい頃おばさんからピアノの手ほどき受けてたんです。でも親が自分の子どもに教えるのって何かと難しいみたいで、総ちゃん、結局は長続きしなかったんですけど、でも音楽はずっと好きで得意で・・・。それで中学生の時から音楽好きの仲間とバンドやってたんですよ。自分で歌も作ったりして。」
「そうなんだ・・・。」


・・・TO BE CONNTINUED.
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