ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

『悪魔のようなあいつ』〈追記あり〉

2010年07月23日 19時06分17秒 | ジュリー・・・思い出雑記あれやこれや
今回はめっさ長いです・・・お覚悟を!

ジュリー主演の伝説かつ幻のテレビドラマ「悪魔のようなあいつ」について・・・
もう完全に”時効”・・・というか、おそらくこのドラマをご覧になる機会は
ほとんどの方がほぼないと思いますんで、ネタバレありありバレまくりということで。

ここで少々追記・・・・この記事を書いた後、当時の新聞の切抜きが見つかりました。
別のところでアップしておりますので、興味ある方はぜひご覧あれ・・・
ジュリー・イン・キリヌキ~「悪魔のようなあいつ編」その1同その2です。〉

で、今回は、とあるジュリーファンブログの管理人さんの真似をします・・・

それでは皆様に「悪魔のようなあいつ」伝授!!
(D様勝手にゴメンナサイ!)

このドラマが放映されたのは放映キー局TBSで、
1975年6月6日(金)から同年9月26日までの全17回。
午後10時からの1時間番組、提供スポンサーは資○堂さん・・・あと忘れました。
レ○ウンさんもやってたような気がする・・・。


主人公は、ある程度年配の方ならご存知でしょうが、3億円事件の犯人という設定です。

3億円事件とは、1968年12月10日午前9時20分頃
東京都府中市の拘置所そばで実際に起こった、
東芝府中工場の従業員に支払われるボーナスを運んでいた現金輸送車が
白バイ警官を装った一人の男に強奪された事件です。
被害総額は2億9430万7500円で、当時では史上最高の被害額でした。
この事件の刑事時効が1975年12月10日だったので、
この年そのリアルタイム同時進行の形で、
実在するはずの犯人の日常を想像で追ってみるというドラマでした。

実はこの作品には原作がありました。
女性週刊誌であるヤングレディに連載されていた漫画で
原作者はなんとあの阿久悠さん。元は放送作家でいらしたんですね。
作画はなんとなんと"昭和の絵師”、上村一夫(かみむらかずお)さんです。
↓これ・・・ちゃちゃめ、持ってます・・・初版本で。全2巻。
(・・・てか、コドモがこんな本〈失礼〉買うな~!!! 本屋も売るな~!!!)

阿久悠さんは誰もがご存知だと思いますが、
上村さん、この方もある年齢以上の方はご存知かと思います。
「同棲」という言葉を世間一般に知らしめ流行語にもした漫画「同棲時代」の作者です。
余談ですが、この作品もテレビドラマ化されていて、
主人公は同棲カップルの女性のほう、今日子といいまして、
梶芽依子(かじめいこ)さんが演じておられましたが
相手の男性の方、次郎役はこれもジュリーが演じています。

それはさておき「悪魔・・」のお話ですが
原作の漫画とドラマは同時進行で、最終回に至っては最終話収録コミックスの発売翌日に
ドラマも終わるという離れ業をやっているため、当然話は別々に進行してしまっています。

で、昨今は往年の名ドラマ伝説級のドラマが次々にDVD化されていますが
本ドラマは一度だけ完全限定販売でDVDボックスが発売されたのみです。
本放送後も一度も再放送されていません。
DVD化にあたっても、ジュリー側がTBSさんにDVD化を迫ったけれど、
TBSさんが「あのビデオは紛失した」と言い張るので、
ジュリー側が倉庫をひっくり返して探し出したと言われています。
・・・ホントかどうか真偽の程ははっきりしませんが。
何故TBSさんが出し渋ったのかと言うと・・・

内容がとんでもないからです。

まあ、よくこんなものが作れたなというか放送できたなと言うかしたなというか
・・・・・よく毎週見たなというかコドモのくせに。
何しろ主人公の可門 良(かもんりょう)は・・・・
表向きはクラブ日蝕の専属歌手ですが、裏ではコールボーイ、つまり売春婦の男版で、
兄貴分でクラブのオーナーである野々村修二の男娼で
(↓演じるは藤 竜也さんです・・・渋いですねェ~!原作漫画もそっくりまんま。)

ほぼ全身ヌードは出てくるわ、レイプシーンは出てくるわ、フリンなんて当たり前、
暴力シーンもなんのその、近親相姦(相手は妹・・・)もなんぼのもんじゃい、
最後は派手に血飛沫噴き倒して、何人死んだかわからんくらい。
メインキャラのうち生き残ったのは3億円事件を追い続けていた刑事くらいです。
主人公はもちろん、妹も藤さん演じる兄貴分も、フリン相手とそのダンナも、
メインキャストとしてクレジットされる人々みんな死にます。なんやこれ・・・。
とにかくエロ・グロ・ヌード3拍子そろったすさまじい演出でした。
まあ~TBSさんがお蔵入りにしたがったワケですわ。

その演出・プロデュースはあの有名な久世光彦(くぜてるひこ)さん、
「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「世にも奇妙な物語」
など、これまた伝説の名作の数々を世に送り出した名演出家です。
脚本は知る人ぞ知る(知らない人は全然知らない知らない人のほうがたぶん多い)
映画監督(と言っても2作しか撮ってないらしい)長谷川和彦通称ゴジさん。

阿久悠さん、上村さん、久世さん、お三方とももう鬼籍に入られています・・・合掌。
・・・マージャン王・ゴジさんはお元気です。・・・たぶん。


劇中歌として、可門 良の歌うのが「時の過ぎゆくままに」です。
リアルで大ヒットしてミリオンセラー近い売り上げとオリコン1位も獲得しています。


で、ここでファンの皆様にちょいとお知らせ。ご存知かもですが。

この歌、ジュリーがリアルで歌ったものと劇中で歌ったものとは違っています。
まずアレンジが違い、エンディングが劇中の方がかなり長いです。
そして劇中では2番のあとのリフレインがありません。
それから何とキーが違うのです。
リアルではEmキーですが、劇中はAmキーなのですね。
アコギだと5カポでEmキーでいけますが
Amに転調してもさほど難しいことはありませんので、
リアルの音域が歌いづらい方はお試しください。
私は劇中バージョンの方が歌いやすかったです。
ジュリーはだいたいキーが高いので女声でも歌いやすいかなとは思いますが。
あの方、裏声ナシの地声で2オクターブ以上出ますからね・・・。

↑劇中より。かなり音が高いでしょ?ジュリーはちょっと歌いにくそうですが。
(ジュリーはこの場面3カポ?でEmっぽく押さえてますが、
 よく見ればわかります。ここでは弾いてるフリしてるだけ。
 ちなみに、ジュリーもアコギは多少お弾きになります。念のため。)

当時は一度シングルが出ると、4ヶ月間はテレビ等で歌われまして、
年に3曲ぐらいシングルを発売するといったペースでした。
そして毎日のように歌番組があった時代ですので、何度も歌われました。
が、4ヶ月も歌われていると、だんだん変化してくるのです。
この「時過ぎ」も何度も歌われるうちに特に演奏が違って行きました。

演奏は井上堯之バンドと番組専属のオーケストラでやっていました。
井上バンドにはリードギターの井上さんとサイドの速水清司クンの二人が
ギタリストで、普段はエレキギターを演奏していましたが
「時過ぎ」では速水クンがアコギ〈生ギター)を演奏しました。
でも、次のシングル(「立ちどまるなふりむくな」)発売以降は
エレキに戻り、何かで「時過ぎ」を演奏する機会があっても
アコギに持ち替えることはほとんどありませんでした。
また、アレンジがだんだんうるさくなって行ったのです〈個人の感想です)。
この歌はもともとはイントロと1番はアコギが中心の静かな演奏で
2番からはストリング系かな?の楽器が加わり伴奏が厚みを増すのですが、
いつの間にやらイントロにもストリングが入るようになりました。
オーケストラがどっじゃああ~んと演奏つけるのでうるさくて・・・。
また1番の間もエレピやエレキギターのアドリブと言うか”オカズ”が
ちょいちょい入るようになり、それも時が経つにつれて多くなって行ったのです。
ワタクシ、作・編曲者でありキーボード奏者でもある大野克夫さんは大好きでしたが
あれはやりすぎ。ちょっと”オカズ”入れすぎだと思いました〈個人の!感想です)。

本来の静かなイントロ、静かな1番に戻ったのは、
リリースされてから6年後の、バンドも井上バンドの次の次、
EXOTICS(エキゾティクス)になってからでした。
ようやく本来の「時過ぎ」らしくなり、ほっとしましたよ・・・。
ちなみにエキゾの「時過ぎ」は我らが柴山和彦カズさんがアコギです。
コンサートでやるときなど、ちゃんとエレキからアコギに持ち替えてくださいます。
ん~~、さっすがカズさん!!
エキゾの演奏が一番ですよ、「時過ぎ」は。(個人の!!感想です!!!!)
・・・てか、なんで速水クンは持ち替えてくれへんかったんやろ~・・・。

それからもう一つ! サウンドトラックをお持ちの方へ!

サントラ盤収録のメインテーマ、これがまたなぜか番組仕様と別バージョンです。
こういうのって腹立ちません?? なんで違うの?
なんで番組で使ったのをそのままレコードにしないの??
これじゃサントラとは言えないでしょう・・・。
しかもメインテーマですよ・・・。他の曲はたぶん同じ音源なのに。
基本的には同じなんですが、番組仕様の方が静かです。断然その方がいいです。
ちなみにちゃちゃめはこのピアノ演奏、当時耳コピして練習しました。
昨日娘のピアノで弾いてみたら弾けました!! 指が覚えてる~! るん♪
ワタクシ、ピアノも弾ける・・・と豪語は全然できませんが、
チューボー〈中学生)の頃エレクトーンなるものを
これは自主的にちょっとだけかじったので少しは弾ける・・・かもしれない。


・・・音楽話が長くなりましてスミマセン、閑話休題。

「悪魔・・・」の放映当時はまだ家庭用ビデオはオカネモチの家にしかない時代。
なので私は毎回見たあと、忘れないうちに出来るだけ克明に
その日の内容をノートに”レポート”書いていました勉強もせんと。
そして特に印象に残った話は漫画にまで描いていました勉強もせんと。
それらのノートはとっくに処分してしまったのですが、
おかげで今でも結構良く覚えております。

で、数年前限定DVDボックスが出た時はこの機会が最後のチャンスだと思ったので
必殺大人買いを致しました。

で、ほぼ30年ぶりに見た感想ですが・・・

コドモの時に見たのと大人になってから見るのとでは感じ方は違うもの。
ましてや当時は「ジュリーのやることはすべてステキでカッコよくて素晴しい」
”ファンフィルター”で見ております・・・。
でも今なら冷静に、主人公”可門 良”は”可門 良”として見ることが出来ます。
それで思ったこと・・・

「悪魔のようなあいつ」とはもちろん良をさしますが、初めの頃は意外と好青年なのです。
最後は狂気に走りますが、はじめはいたってマトモでした。

彼は孤児院で妹と、兄貴分の野々村と一緒に育ち、いろいろ苦労をし、
孤児院から脱走を図った時に妹が怪我をして下半身不随になったことに
責任を感じています。
自分のアイデンティティーやレーゾンデートルを求めて3億円事件を引き起こし
(と、私は解釈しました)それを青春の証と無理矢理に思い込みます。
更に時効が迫ってきた今、良が犯人であることをなんとなく嗅ぎつけて群がってくる、
犯人逮捕に燃える刑事を含めたさまざまな人間に翻弄され、時には逆に翻弄します。
また、脳腫瘍に冒されて余命いくばくもないという事実を知って
ヤケにもなるし立ち直りもするし、
そしてその病気が元で一時は記憶喪失にもなる。
この半年ほどの間にすさまじいほどの波乱万丈の日々にもてあそばれて
どんどん狂気へと堕ちて行くのです。

この作品が言いたいことはいったい何なのか・・・
当時はジュリーが主役だから見る、それだけでしたが、
改めて考えると、何がテーマなのかな・・・と思います。
少なくともリアルで起きたこの事件の、ひとつの真相を想像するといった
そういうことではないでしょう・・・。

リアルでは結局真実はわからないまま刑事時効を迎え、
1988年12月10日には民事時効も成立しています。


ところで最終回のエピソード。
ラストシーンでは血まみれの可門 良が、舞い散る1万円札の中でのたうつような最期なのですが、
リアリティーを出すためだかなんだか、舞う1万円札(聖徳太子)の100枚がホンモノだったそうです。
で、撮影が終わった後、スタジオに散らばった万札を集めたら97枚しかなかったそうで!!
3枚紛失してしまったのですよ。うん? 誰かがネコババしたのかも??

これはいまだに未解決事件なんだそうですが、・・・もちろんすでに時効は成立しておりますわん。


さて、ジュリーのお話は始めると尽きませんが、ひとまずこれにてお了い。
また、やるかも知んないけど・・・その時はまたよろしくお付き合いのほどを・・・。
コメント (8)
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