「次はポルトガル」を意識する投資家、追加支援は必至との見方
[ロンドン 27日 ロイター] ポルトガルの株式と債券が売り込まれている。
ギリシャの次はポルトガルで、追加支援なしにはデフォルト(債務不履行)は避けられないとの見方が背景だ。
欧州中央銀行(ECB)による巨額の流動性供給に支えられ、スペインとイタリア、アイルランドの借り入れコストが低下する一方で、ポルトガルの国債利回りは急上昇。
破綻の影がちらつく状況となっている。
事態が急速な展開を見せたのは、2週間前のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるユーロ圏の一斉格下げだ。
ポルトガルの格付けはギリシャ同様「投資不適格」とされ、当面は市場からの資金調達が難しくなったほか、今後の債務返済が厳しさを増す状況となった。
これ以降、ポルトガルの国債利回りと債務保証コストは容赦なく上昇している。
この状況はアイルランドと対照的だ。
アイルランドは、ポルトガルが国際社会から780億ユーロの支援を受ける半年前の2010年11月に救済されている。
JPモルガンの金利ストラテジスト、Nikolaos Panigirtzoglou氏は「ポルトガルの国債利回りをみれば、2013年の債券市場への復帰は不可能だ。
ポルトガルは依然、経常赤字の埋め合わせと返済で公的部門に依存しており、このことから今年第2次支援を受けることは間違いないだろう」と述べた。
ポルトガルの債券と株式は、同国が第2のギリシャとなり債務再編が必要となるとの観測を背景に、ユーロ圏の他の重債務国と比べてはるかにパフォーマンスが悪い。
1月13日のS&Pによる格下げ以来、10年物国債利回りは3%ポイント上昇し15%に達している。
これは同時期に過去1年余りで最低水準に低下したアイルランドのほぼ2倍に相当する。
投資家が懸念するのは、ポルトガルの2年物と5年物の国債利回りがそれぞれ16.7%と20%で、長期債を上回っていることだ。
これは昨年ギリシャが第2次支援を要請した時の状況と重なる。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの為替戦略担当責任者、サイモン・デリク氏は、同行のデータは過去1カ月間に長期投資家がポルトガル国債の売りを加速させていることを示していると指摘。
格付けが投資不適格とされて以降に勢いが増した可能性があるとの見方を示した。
クレジット市場では、ポルトガルの債務返済能力に対する懸念の広がりが顕著に表れており、アイルランドとは対照的だ。
ポルトガルの1年物と2年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムは、通常であれば下回るはずの5年物の水準を上回った状態が続いている。
スタンダード・ライフ・インベストメンツの投資ディレクター、リチャード・バティ氏は「ポルトガルの状況は非常に深刻で、市場はギリシャのようになるのか懸念を強めている。
過去に十分な成長を遂げられずにきたのに、今のような環境でどうやって競争していけるだろうか」と述べた。
特に懸念されているのは、ギリシャ問題がポルトガルやより経済規模の大きなスペイン、イタリアなどにドミノ効果を及ぼすことなく食い止められるかどうかということ。
ギリシャの巨額支援が決まってまだ間がないことも懸念の背景となっている。
<民間関与の債務再編か>
クレジット市場では、ポルトガルが今後5年でデフォルトに陥る確率は70%近いとみられている。
ロイターが銀行エコノミスト50人を対象にまとめた調査でも、ポルトガルがある時点で追加支援を必要とする確率の中央値は70%だった。
50%を下回ると回答したのは10人にとどまった。
国内の財界団体のトップからは、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から300億ユーロの追加支援が必要との声も上がっている。
一部のアナリストは、ポルトガルは早くても2013年まで金融市場への復帰が望めず、国際社会からの追加支援が必要となることは明らかとみている。
ただ、ギリシャがそうであるように、追加支援でも問題の解決は見込めず、結局は銀行など民間債権者が「ヘアカット」(債務元本の減免)で多額の損失を受け入れざるを得なくなるとの見方もある。
シティのエコノミスト、マイケル・サウンダーズ氏は「最終的には民間部門関与の債務再編が必要となり、35%程度のヘアカットを迫られる」との見方を示した。
同氏は、債務再編は2012年終盤か2013年初めとみている。
(Emelia Sithole-Matarise記者 Anirban Nag記者;翻訳 中田千代子 ;編集 山川薫)
[ロンドン 27日 ロイター] ポルトガルの株式と債券が売り込まれている。
ギリシャの次はポルトガルで、追加支援なしにはデフォルト(債務不履行)は避けられないとの見方が背景だ。
欧州中央銀行(ECB)による巨額の流動性供給に支えられ、スペインとイタリア、アイルランドの借り入れコストが低下する一方で、ポルトガルの国債利回りは急上昇。
破綻の影がちらつく状況となっている。
事態が急速な展開を見せたのは、2週間前のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるユーロ圏の一斉格下げだ。
ポルトガルの格付けはギリシャ同様「投資不適格」とされ、当面は市場からの資金調達が難しくなったほか、今後の債務返済が厳しさを増す状況となった。
これ以降、ポルトガルの国債利回りと債務保証コストは容赦なく上昇している。
この状況はアイルランドと対照的だ。
アイルランドは、ポルトガルが国際社会から780億ユーロの支援を受ける半年前の2010年11月に救済されている。
JPモルガンの金利ストラテジスト、Nikolaos Panigirtzoglou氏は「ポルトガルの国債利回りをみれば、2013年の債券市場への復帰は不可能だ。
ポルトガルは依然、経常赤字の埋め合わせと返済で公的部門に依存しており、このことから今年第2次支援を受けることは間違いないだろう」と述べた。
ポルトガルの債券と株式は、同国が第2のギリシャとなり債務再編が必要となるとの観測を背景に、ユーロ圏の他の重債務国と比べてはるかにパフォーマンスが悪い。
1月13日のS&Pによる格下げ以来、10年物国債利回りは3%ポイント上昇し15%に達している。
これは同時期に過去1年余りで最低水準に低下したアイルランドのほぼ2倍に相当する。
投資家が懸念するのは、ポルトガルの2年物と5年物の国債利回りがそれぞれ16.7%と20%で、長期債を上回っていることだ。
これは昨年ギリシャが第2次支援を要請した時の状況と重なる。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの為替戦略担当責任者、サイモン・デリク氏は、同行のデータは過去1カ月間に長期投資家がポルトガル国債の売りを加速させていることを示していると指摘。
格付けが投資不適格とされて以降に勢いが増した可能性があるとの見方を示した。
クレジット市場では、ポルトガルの債務返済能力に対する懸念の広がりが顕著に表れており、アイルランドとは対照的だ。
ポルトガルの1年物と2年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムは、通常であれば下回るはずの5年物の水準を上回った状態が続いている。
スタンダード・ライフ・インベストメンツの投資ディレクター、リチャード・バティ氏は「ポルトガルの状況は非常に深刻で、市場はギリシャのようになるのか懸念を強めている。
過去に十分な成長を遂げられずにきたのに、今のような環境でどうやって競争していけるだろうか」と述べた。
特に懸念されているのは、ギリシャ問題がポルトガルやより経済規模の大きなスペイン、イタリアなどにドミノ効果を及ぼすことなく食い止められるかどうかということ。
ギリシャの巨額支援が決まってまだ間がないことも懸念の背景となっている。
<民間関与の債務再編か>
クレジット市場では、ポルトガルが今後5年でデフォルトに陥る確率は70%近いとみられている。
ロイターが銀行エコノミスト50人を対象にまとめた調査でも、ポルトガルがある時点で追加支援を必要とする確率の中央値は70%だった。
50%を下回ると回答したのは10人にとどまった。
国内の財界団体のトップからは、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から300億ユーロの追加支援が必要との声も上がっている。
一部のアナリストは、ポルトガルは早くても2013年まで金融市場への復帰が望めず、国際社会からの追加支援が必要となることは明らかとみている。
ただ、ギリシャがそうであるように、追加支援でも問題の解決は見込めず、結局は銀行など民間債権者が「ヘアカット」(債務元本の減免)で多額の損失を受け入れざるを得なくなるとの見方もある。
シティのエコノミスト、マイケル・サウンダーズ氏は「最終的には民間部門関与の債務再編が必要となり、35%程度のヘアカットを迫られる」との見方を示した。
同氏は、債務再編は2012年終盤か2013年初めとみている。
(Emelia Sithole-Matarise記者 Anirban Nag記者;翻訳 中田千代子 ;編集 山川薫)
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