明日を信じられる時代になって欲しい。日常の活動日記

時事ネタ 京都 散策 歳時記 花見頃など

どうなる「沖縄ジュゴン訴訟」

2010年06月04日 21時15分02秒 | Weblog
辺野古の基地建設は不可能・不必要!?

浦島悦子2008/04/28 名護市の米海兵隊キャンプ・シュワブ沖に生息するジュゴンの保護を求め、米国カリフォルニア州で日米の環境保護団体が起こした裁判は、1月末の判決で原告側勝訴となった。この判決を受け4月20日、那覇市でシンポジウムが行われ、今回の勝訴の意義や、市民が今後どう訴訟に関わっていけるかなどが議論された。

2009年12月2日(水)、国会議員会館で決定的に重要な緊急院内勉強会が開かれた。沖縄の人びとと環境派弁護士たちが米国で、国防長官を相手どって起こしたいわゆる「沖縄ジュゴン訴訟」(英語では提訴当時の国防長官名を残してDugong vs Rumsfeld caseと呼ばれる)の現状報告だ。

核心部分だけ要約すると、すでに米国内法(ジュゴンを天然記念物に含む米国文化財保護法)に照らして建設を違法とする第一審(連邦地裁)中間判決が言い渡されており、現在は最終判決待ち。米政府/米軍に関係者と協議を尽くすよう命令する強い判決文が出るのは必須らしい。ここは、国策調査捕鯨の闇を暴こうとすると検察から裁判所まで事実の隠蔽を図る日本とは違い、行政府と互角に渡り合う独立した米国司法の醍醐味である。

そして、その協議が続き、あるいは控訴審も争われるあいだ、キャンプ・シュワブの敷地にかかる基地は建設できないという。なぜなら、米政府/米軍は米国司法の判断に縛られるからだ。現行計画の代替ヘリポート(というより実態は大規模な海兵隊の新基地なのだが)は、日本政府がつくって海兵隊に供用することになっていて、米国の判決が直接、日本政府の行為を縛るわけではないのだが、計画が米軍キャンプ・シュワブの敷地と、基地に使用を提供された海域を使うため、日本政府が建設を実行するには、その部分に関して米政府/米軍の許可が必要となる。ジュゴン訴訟によって、この許可が出ないのだ。

ジュゴン訴訟原告団は、この許可問題をいざというときのために温存していたそうだが、鳩山政権が米側の圧力に屈しかねない山場と見て、これを発表した。院内勉強会に出席した10人以上の国会議員や多くのメディアはもちろん、おおよそジュゴン訴訟の経緯を知る私のようなNGO市民セクターの人びとも初耳だった。おそらく、オバマ大統領をはじめ米政府関係者も、この許可問題は理解していないのではないか。ようするに、米国内法で自分が許可を出せないものを、米政府は日本に「やれ、やれ」と迫っているというバカげた構図になる。万一、鳩山首相が辺野古への基地建設を決定して、埋め立て工事に着手するようなことがあれば、ジュゴン訴訟原告団はただちに米連邦地裁に工事の差し止め請求を行う構えだ。

驚いたのは、これほど重要な発表を、沖縄の2紙以外、他のメディアがまったく報道しないこと。そして、もう一つ沖縄以外で報道されないのは、沖縄に駐留する米海兵隊の主要部隊が、普天間飛行場のヘリコプター部隊も含めてグァムに移転する計画を、米側では具体的に進めていることだ。下記、宜野湾市長の公式資料を一読してほしい。普天間のヘリ部隊は、すでにグァムに移すことになっているのではないか。

http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/091126_mayor_5.pdf
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/091126_mayor_4.pdf

ここにも沖縄密約とまったく変わらず、「国民には不都合なことを知らせない」姿勢が見える。鳩山政権は事実を見つめ、オバマ政権と真剣かつ誠実な交渉をはじめるべきだ。

続:辺野古の基地建設は不可能・不必要!?

ジュゴン訴訟についてまとまった記載がないか探したら、12月11日付の琉球新報にこんな新しい展開が報じられていた。前回ご紹介したとおり、現在は米国の文化財保護法にあたる法律に訴えて、第一審の中間判決で辺野古に基地を建設するのは違法との判断を引き出しているのだが、もっと拘束力の強い「種の保存法」での新たな提訴を準備中だという。そして、鳩山首相もこの訴訟の行方を意識しているらしい。

▼「種の保存法で新訴訟 ジュゴン保護で環境法律家連盟」

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-154076-storytopic-1.html

辺野古の問題でアメリカとの関係が壊れそうだと騒ぎ立てる本土のマスコミは、なぜこれほど重要な展開を報道しようとしないのだろう。環境運動とか環境派の弁護士など取るに足らないという差別感があるとしたら、世界を知らなすぎる。少しでもまともな民主社会では、司法は本当に行政から独立し、法理に照らして政府や軍の行為に待ったをかけることができるのだ。一人の大学院生が、政府のイラク戦争加担を違憲と訴えて勝訴したコスタリカの例を思い出そう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿