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郵政社長人事に思う小沢、亀井の「保・保」関係

2009年10月22日 14時24分00秒 | Weblog
郵政社長人事に思う小沢、亀井の「保・保」関係

ものの捉え方はいろいろある。大方の見方どおり、民主党の実質的な最高実力者が小沢一郎であるとするならば、民主党は少なくとも中枢部において谷垣自民党より保守色の強い政党ということになる。

いま、自民党は中核がどこにあるのか分からず、谷垣禎一総裁が党内でどれだけの力を発揮できるかも未知数だ。

ただ、いずれにせよ自民党が党再建を託したのは谷垣であり、彼がかつて加藤鉱一の側近で、宏池会らしくリベラル色の強い政治家であることはよく知られている。

日本郵政次期社長に元大蔵次官の斎藤次郎。その名を聞いたとき、亀井と小沢の「保・保連合」を連想した。小沢と斎藤は、二十年来のつき合いだ。この二人と、読売の渡邉恒雄との関係も深い。

自社さ連立で政権に返り咲いたリベラル自民党が、細川連立政権で小沢に重用された斎藤を冷遇した過去の因縁話も、これから折にふれて話題にのぼるだろう。

「保・保連合」は、自民党が社民、さきがけと連立内閣を組んでいた橋本政権時代に生まれたと記憶する。

当時、自民党内で、小沢新進党との連携を模索する梶山静六官房長官や亀井静香らの「保・保」派と、加藤紘一幹事長、野中広務幹事長代理らの「リベラル」派が、激しく対立していた。

亀井は自社さリベラル政権の仕掛け人であったのに、のちに保・保にくら替えした格好だが、この無節操ぶりは彼の特徴といえる。

さて、保・保とリベラルの対立を象徴するのが1997年、沖縄特措法改正案をめぐる両派の動きだった。

沖縄の米軍用地の使用を継続するためには、改正案を通す必要があったが、与党であった社民党が反対した。日米安保体制を守るため、梶山は小沢率いる新進党と連携して改正案成立をめざした。

これに対して、自社さ体制の崩壊を恐れる加藤、野中、山崎拓らは猛反発したが、結局、梶山の工作が成功し、自民、新進両党の圧倒的な賛成多数で改正案は可決された。

その採決前の委員会で、野中がこう呼びかけた。

「どうぞこの法律が沖縄県民を軍靴で踏みにじるような結果にならないよう、今回の審議が再び大政翼賛会のようにならないようお願いしたい」

かつて、反戦平和やj弱者への目配りでは社会党員より社会党的といわれた野中らしい発言だった。

翌年の夏、小渕内閣の官房長官に就任した野中と、新進党解体後、自由党を率いていた小沢は高輪プリンスホテルの一室で会談し、いわゆる「自・自連立」の流れができた。

その会談の仲介役をしたのが亀井であり、つねに連立にからんで存在を誇示するこの人物が、今回、日本郵政社長に斎藤次郎を選んだのも、小沢との連携強化を意識しているという見方を否定することはできないだろう。

しかし、竹中平蔵氏が昨日の報道ステーションで語っていたように、斎藤次郎の今回のケースを「わたり」というのだろうか。

「わたり」は、現役からOBにつながる官僚の人事ネットワークを、政治とは無関係に渡り歩くことだろう。あくまで官僚支配構造の一角をなすものである。

内閣が大蔵官僚OBの東京金融取引所社長を日本郵政の社長に据えるのは、政治主導で決定したのであって、「わたり」とはいえないのではないか。

「脱官僚依存」とは、官僚に省庁人事はもちろん政策立案や国会答弁まで丸投げし、結果として官僚支配を許してきた政治状況からの脱却をめざすものである。

すなわち、政治主導で、政策や省庁幹部人事を決めていこうとするのがその眼目であろう。

日本郵政は役所ではなく、いちおう株式会社のかたちだが、いまのところ政府が100%の株を持ち、社長になるには総務大臣の認可が必要だ。

国民の土地資産を譲り受けた公的な事業体であり、社長に関しては実質的に内閣が人事権を握っている以上、「わたり」というよりは「政治任用」に近いのではないだろうか。

ただ、いくら大物大蔵次官だったとはいえ、西川善文のように銀行実務に精通しているわけでもなく、日本郵政の今後の運営に一抹の不安を感じないわけではない。

そもそも、日本郵政を今後どのようなイメージの事業体にしていくのか、いまだはっきりしないのである。

社長人事を決めた以上、亀井大臣には日本郵政の将来に大きな責任がある。民間に誰も手を上げる人がいないからなどという、いい加減な人選だとすれば、失敗は目に見えている。

なるほど、と思わせてくれるよう、斎藤次郎氏の手腕に期待したい。

(追記)西川更迭により、郵政官僚OBの社長就任を期待していた総務省幹部にとって、大蔵OBである斎藤の社長就任は意外であり、さぞ落胆していると思われる。






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