「官房機密費」疑惑 を 英エコノミスト誌 (2010年5月22日号) も報道・・(山崎行太郎)より
マスコミが黙殺すればするほど疑惑は拡大し、犯人たちの全貌はあぶりだされてくる、というわけで、英エコノミスト誌 (2010年5月22日号)までが、「官房機密費」問題を報道し始めたようだ。これで、日本のマスメディア、政治評論家、タレント等を巻き込んだ「官房機密費」疑惑は、一挙に国際問題化し始めたということだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3582
(英エコノミスト誌 2010年5月22日号)
賢い猿が手に入るのかもしれない。日本のメディアは、おいしい話を無視している。
世界の多くの地域では、ジャーナリストは政界の裏金スキャンダルというおいしいネタの魅力に抗し切れないだろう。
日本では、秘密の資金が首相執務室近くの金庫の中に隠されており、数十年間にわたり政治的な懐柔工作のために使われてきたとの情報が漏れ出している。
そのカネは、ジャーナリストやテレビ評論家にも流れたとさえ言われている。
多くを物語るように、日本のメディアはこの件について、日光の賢い三猿に似た反応を示している。
「見ざる」「聞かざる」「言わざる」である。
裏金の存在は、昔から内部関係者には知られていた。今になって初めて、現政権がその存在を認めたに過ぎない。
鳩山由紀夫首相率いる内閣で官房長官を務める平野博文氏は、日本共産党に宛てた5月14日付の書簡の中で、昨年9月から
今年3月にかけて3億6000万円(380万ドル)を引き出し、使わなかったわずか1600万円を国庫に返納したことを認めた。
今年3月に国会で共産党議員から資金の使途の記録について問われた平野氏は、「それは私の頭の中にある」と、示唆に富む答えをした。
平野氏は「国益」を損ねる恐れがあるとして、当面、資金の使途を明らかにするつもりはないと述べている。
裏金の使用をやめるつもりもない。
麻生太郎首相率いる前政権が、昨年、鳩山氏にその座を明け渡す直前に裏金に手を出した件についても、平野氏は調査する気がないように見える。
麻生政権は総選挙の2日後、実際に政権を引き渡す2週間前に2億5000万円を引き出しているのだ。
主流の報道機関はこの件に関して、奇妙なまでにだんまりを決め込んでいる。
共産党寄りの新聞「赤旗」が長文記事を掲載したことを除け、このスキャンダルは全国紙ではごく断片的にしか取り上げられていない。
記事を書けば自らの名声が傷つくことを恐れているからかもしれない。
先月、平野氏と同じように官房長官を務めた経験がある野中広務氏は、1998年から1999年にかけて、官房機密費という秘密の貯金箱から毎月最大7000万円(当時の為替レートで60万ドル)使っていたと暴露した。
そこには首相に渡した1000万円や、当時与党だった自民党の政治家たちに配られた1000万円が含まれていた。
だが、メディアの解説者や野党議員にばら撒かれたカネもあり、一部はこうした人々の北朝鮮訪問に散財されたという。
現在84歳の野中氏は、裏金の件を告白した理由は、彼がいみじくも国民の税金と呼んだものに関する秘密を墓場まで持って行きたくなかったからだと述べている。
だが同氏は、透明性と説明責任を掲げて昨年自民党を政権の座から引き摺り下ろした鳩山氏率いる民主党を困らせようとしているのかもしれない。
政治情報誌「インサイドライン」の編集長で、裏金に関する著書もある歳川隆雄氏は、今も賄賂がメディアに流れているとは思わないと言う。
その一方で同氏は、裏金の一部が沖縄の住民、特に米軍基地の移転について政府案に反対する人々の飲み食いに惜しみなく使われているという噂があるとつけ加える。
その類のカネは、かなり気前の良いものではあるが、贈答という古くからある日本の伝統の一環だと一蹴する人もいるだろう。
だが長らく、国家財政を立て直すため、そうした秘密口座に隠された「埋蔵金」を掘り起こすと約束してきた現政権までもが、これほど真っ黒な裏金を露骨に利用しているとは驚くべきことである。
それと同じくらい異様で、言うまでもなく疑わしいのは、有力メディアの大半がこの件に関して見事なまでに沈黙を守っていることだ。
もし必要なのだとすれば、これは長年にわたる日本の政治の機能不全にメディアが中心的な役割を果たしてきたことを示すさらなる証拠である。
マスコミが黙殺すればするほど疑惑は拡大し、犯人たちの全貌はあぶりだされてくる、というわけで、英エコノミスト誌 (2010年5月22日号)までが、「官房機密費」問題を報道し始めたようだ。これで、日本のマスメディア、政治評論家、タレント等を巻き込んだ「官房機密費」疑惑は、一挙に国際問題化し始めたということだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3582
(英エコノミスト誌 2010年5月22日号)
賢い猿が手に入るのかもしれない。日本のメディアは、おいしい話を無視している。
世界の多くの地域では、ジャーナリストは政界の裏金スキャンダルというおいしいネタの魅力に抗し切れないだろう。
日本では、秘密の資金が首相執務室近くの金庫の中に隠されており、数十年間にわたり政治的な懐柔工作のために使われてきたとの情報が漏れ出している。
そのカネは、ジャーナリストやテレビ評論家にも流れたとさえ言われている。
多くを物語るように、日本のメディアはこの件について、日光の賢い三猿に似た反応を示している。
「見ざる」「聞かざる」「言わざる」である。
裏金の存在は、昔から内部関係者には知られていた。今になって初めて、現政権がその存在を認めたに過ぎない。
鳩山由紀夫首相率いる内閣で官房長官を務める平野博文氏は、日本共産党に宛てた5月14日付の書簡の中で、昨年9月から
今年3月にかけて3億6000万円(380万ドル)を引き出し、使わなかったわずか1600万円を国庫に返納したことを認めた。
今年3月に国会で共産党議員から資金の使途の記録について問われた平野氏は、「それは私の頭の中にある」と、示唆に富む答えをした。
平野氏は「国益」を損ねる恐れがあるとして、当面、資金の使途を明らかにするつもりはないと述べている。
裏金の使用をやめるつもりもない。
麻生太郎首相率いる前政権が、昨年、鳩山氏にその座を明け渡す直前に裏金に手を出した件についても、平野氏は調査する気がないように見える。
麻生政権は総選挙の2日後、実際に政権を引き渡す2週間前に2億5000万円を引き出しているのだ。
主流の報道機関はこの件に関して、奇妙なまでにだんまりを決め込んでいる。
共産党寄りの新聞「赤旗」が長文記事を掲載したことを除け、このスキャンダルは全国紙ではごく断片的にしか取り上げられていない。
記事を書けば自らの名声が傷つくことを恐れているからかもしれない。
先月、平野氏と同じように官房長官を務めた経験がある野中広務氏は、1998年から1999年にかけて、官房機密費という秘密の貯金箱から毎月最大7000万円(当時の為替レートで60万ドル)使っていたと暴露した。
そこには首相に渡した1000万円や、当時与党だった自民党の政治家たちに配られた1000万円が含まれていた。
だが、メディアの解説者や野党議員にばら撒かれたカネもあり、一部はこうした人々の北朝鮮訪問に散財されたという。
現在84歳の野中氏は、裏金の件を告白した理由は、彼がいみじくも国民の税金と呼んだものに関する秘密を墓場まで持って行きたくなかったからだと述べている。
だが同氏は、透明性と説明責任を掲げて昨年自民党を政権の座から引き摺り下ろした鳩山氏率いる民主党を困らせようとしているのかもしれない。
政治情報誌「インサイドライン」の編集長で、裏金に関する著書もある歳川隆雄氏は、今も賄賂がメディアに流れているとは思わないと言う。
その一方で同氏は、裏金の一部が沖縄の住民、特に米軍基地の移転について政府案に反対する人々の飲み食いに惜しみなく使われているという噂があるとつけ加える。
その類のカネは、かなり気前の良いものではあるが、贈答という古くからある日本の伝統の一環だと一蹴する人もいるだろう。
だが長らく、国家財政を立て直すため、そうした秘密口座に隠された「埋蔵金」を掘り起こすと約束してきた現政権までもが、これほど真っ黒な裏金を露骨に利用しているとは驚くべきことである。
それと同じくらい異様で、言うまでもなく疑わしいのは、有力メディアの大半がこの件に関して見事なまでに沈黙を守っていることだ。
もし必要なのだとすれば、これは長年にわたる日本の政治の機能不全にメディアが中心的な役割を果たしてきたことを示すさらなる証拠である。
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