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記者クラブ利用に長じた宮内庁長官の反乱

2009年12月15日 13時48分13秒 | Weblog
記者クラブ利用に長じた宮内庁長官の反乱 (永田町異聞)より

ことしの5月1日に「なぜマスコミは小沢嫌いなのか」という記事 をこのブログに書いた。

そのなかの一節に、「マスコミの記者たちを、不勉強だと馬鹿にしていること」とある。

天皇陛下と中国の習近平副主席が会うことについての、記者たちとのやり取りはまさに、そういう感じだった。「君は憲法読んでいるのかね」と痛いところを突かれた記者は、さらに憎悪が増したかもしれない。

対照的に、記者会見の利用に長けたツワモノが宮内庁の羽毛田信吾長官だ。

昨年2月13日、宮内庁三階第一会議室における定例会見で、羽毛田長官が語り始めた内容は衝撃的だった。

その前の年の12月、天皇が、愛子さまと会う機会が少ないと述べられたことに対し、皇太子は2ヵ月後のご自身の誕生日会見で「両陛下とお会いする機会をつくっていきたい」と語っていた。

にもかかわらず、参内がいっこうに増えないことから、羽毛田長官は以下のように発言した。

「殿下ご自身が発言なさったことなので大切になさっていただければと思う」

皇太子に宮内庁長官がこうもあからさまに苦言を呈するのは異例のことだった。平成皇室の亀裂が公になった瞬間だった。

羽毛田氏は99年に厚生事務次官になり、01年に退職したあと、小泉政権時代に宮内庁次長として再就職、2005年4月から長官をつとめている。小泉元首相とともに、女性天皇・女系天皇の容認論者でもある。

記者会見を通じて、誕生日会見が間近に迫った皇太子に意見を言い、対応を促すやり方。そしてそれが、結果として天皇家のプライベートな部分を世間にさらし、メディアの騒ぎに火をつけることになったことについて、疑問を感じた方もかなりいたのではないだろうか。

今回、小沢幹事長を怒らせたのは、内閣の管理下にある宮内庁の長官が、「1カ月ルール」という、主に宮内庁・外務省間の内部規定を持ち出して、内閣を批判したことだろう。

「天皇、皇后両陛下の外国賓客へのご引見は、1カ月以上前に外務省から願い出ていただくのがルール」(羽毛田長官)

寡聞にして、筆者は知らなかった。いかにも、このルールが常識のようにメディアで語られているが、ほんとうに報道関係者はこんな慣例を知っていたのだろうか。

「2004年以降は、陛下がその前年に前立腺がんの摘出手術を受けられたため、ご負担、ご年齢を考慮しルールを厳格に守ってきた」(羽毛田長官)

テレビなどはこの通りの表現でルールを説明している。天皇皇后両陛下の体調が万全でないのは気がかりだが、スケジュール調整のため1カ月が必要だというのは、お役所の都合という気がしないでもない。

「1カ月という期間の是非を議論しても意味がない。大事なのは政府でこのルールを守ってきたこと。それなのに、中国は大事だから、政治的に重要だから会見を、という論理はつらいところだ」(羽毛田長官)

ここから、話は「天皇の政治利用」という問題につながっていく。

「陛下の役割は国の外交とは違う。国と国の間に政治的懸案があれば陛下を打開策に、となれば憲法上の陛下のなさりようが大きく狂うことになる」

陛下の政治利用の懸念があるのかという質問に「大きく言えばそうでしょう」と答えたうえで、以下のように続けた。

「陛下の国際親善は政治的な重要性や判断を超えたところにある。天皇陛下の役割について非常に懸念することになるのではないか。政治的判断としてお願いするのはどうなのか」

皇室の政治利用はいまにはじまった問題ではない。象徴天皇は政治的活動をいっさいしてはならないと憲法は規定しており、その意味で、いわゆる「皇室外交」は憲法違反に限りなく近いのだ。

「親善」の名のもとに、どぎつい政治利用がおこなわれた一例をあげよう。

1984年、全斗煥大統領は、戦後の韓国元首として初めて来日して、昭和天皇との晩餐会に臨んだ。韓国内で独裁的な全斗煥への反発が広がっていたさなか、日韓首脳が組んだきわめて政治的な色彩の濃いセレモニーであった。

そして、86年に安倍外相は閣議後の記者会見で次のように述べた。

「全斗煥大統領の訪日に対する答礼の意味も含め、日本皇室のご訪韓が実現できれば両国関係の一層の発展にのぞましいとの見地から、今般、天皇陛下のご名代として皇太子ご夫妻の訪韓を推進する方向で検討することにした」

その翌日、中曽根首相は「韓国訪問がつつがなく終われば、次の段階で、中国にご招待の意思があれば、将来の課題となる」と語った。

こうした動きについて、牛島秀彦はその著書「ノンフィクション皇太子明仁」のなかで、「皇太子夫妻による訪米、訪韓、訪中を重ねて点数を稼ぎ、現体制の延命をはかろうとするものである」と書いている。

今回の問題が、単に「1カ月ルール」という内部規定破りにとどまっていれば、さほど騒ぐこともなかっただろうが、「憲法上の陛下のなさりよう」にまで宮内庁長官が言及したことによって、話が大きくなった。

政権に反乱するかのごとき羽毛田長官の、記者会見のねらいは、いったいどこにあったのだろうか。国民の議論を促すということなら意味がないわけではない。


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