権限逸脱は明白、問われる東京地裁の見識 (オリーブ・コラム)より
東京第5検察審査会から「強制起訴」の議決を受けた小沢氏の弁護団が、15日東京地裁に対し、「強制起訴議決は検察審査会の【権限を逸脱した違法】なもので、全体が無効だ」とする、議決の取り消しと、これに基づく指定弁護士の指定の差し止めを求める訴訟を起こした。同時に、議決の執行停止と指定弁護士指定の仮差し止めを申し立てた。当然のことである。
検察審査会が【権限を逸脱した議決】とは、「陸山会が小沢氏からの借入金4億円を記載してないのを虚偽記載の犯罪事実としている」こと。
おそらく「小沢クロ」だと刷り込まれた人の9割以上は、これがどうして【権限を逸脱した議決】なのかと疑問に思うだろう。
「4億円を台車で運んだ」とか「水谷建設から1億円献金」だとかを聞かされた人は、特にそう思っても不思議ではない。
では、どうしてこれが【検察審査会が権限を逸脱】しているのかである。それは告発者甲による、検察審査会への「不起訴不当」の申立に基づいて第1回目の審査をし、議決した。
だが、2回目の検察審査会の議決は、その申立と議決内容を超えている。
それが、【権限を逸脱】。
分かり易く言うと、「スピード違反」で告発され、審査されたのに、2回目は交通事故を起こしたと言って起訴相当されたということだ。
この【権限逸脱】については、誰でも理解できるだろう。
だが、「小沢クロ」と思い込んでいる人は理解しても、「政治とカネ」の問題だから、2回目の議決に4億円が入っている方が当然だと言うに違いない。
確かに、「4億円を台車で運んだ」とか、「虚偽記載金額20億円」などの報道に接したのだから、そう思い込むのは不思議ではない。
だがそれが「嘘」で、マスコミと検察の狙いだったとしたら、どう思う?
石川氏など3人の訴因は、「陸山会は、平成16年10月に土地を購入したが、それを平成16年の政治資金収支報告書に記載せず、平成17年の収支報告書に、土地購入代を記載したのが虚偽記載だ」というものである。
また、2回目の議決書に「(陸山会は)被疑者から合計4億円の借入れをしたのに、平成16年分の収支報告書にこれらを収入として記載せず」とあるが、既に公告されたように、この借入金4億円は陸山会の16年の収支報告書に記載されている。
どうして虚偽記載になるのだ。
それでも納得できないのは、政治資金規正法・虚偽記載違反を「大疑獄」だと思い込まされているからだろう。
石川氏たち3人が起訴された容疑は、単なる「期ずれ」でしかない。
本来なら訂正で済む話である。
農地法から考え、登記簿等を確認すれば、訂正も不要の【真っ白】になる話である。
政治資金規正法・虚偽記載違反容疑では、この容疑より悪質なものが沢山あったが、ほとんど全て訂正で済んでいたのだ。
さて、本題に戻って、小沢氏弁護団からの提訴に対して、東京地裁はどう判断するだろうか。検察審査会法に異議申し立て条項がないことと、検察審査会が行政組織でないことを理由に、行政訴訟については却下する可能性がある。
だが、審査会は裁判所管轄下の組織である。
その組織が下した議決が無効だと訴えられたのである。
常識的に考えれば、裁判所の責任で処理すべきである。
企業人の感覚で言えば、関係会社(=検察審査会)の不始末(=法律の不備)を親会社(=裁判所)が責任をもって対応するようなものである。
もし東京地裁が、法律に定めがないとして、提訴を却下したら、憲法81条に定める「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかあいないかを決定する権限を有する終審裁判所である」に従って、最高裁に提訴すればいいのだ。
裁判所の責任もあるが、マスコミにはそれ以上の大きな責任がある。
ある意味で、第2回目の議決は、マスコミが「でっち上げた」議決だとも言える。
自らを「善良な市民」と称した第1回目の議決内容を検証もせず、法律よりも「市民目線」で議決した「起訴相当」を賞賛した。
2回目の審査会が開催されたかの疑問はあるが、このマスコミ報道が、2回目の審査会の議決に影響した可能性はあるだろう。
最後にマスコミの最大の罪は、起訴相当とした「犯罪事実」を正確に報道し、その内容を検証した記事を書く前に、「議員辞めろ」の大合唱をしたことだ。
日本は法治国家である。
推定無罪を無視したこの報道は許されることではない。
<徳山 勝>
東京第5検察審査会から「強制起訴」の議決を受けた小沢氏の弁護団が、15日東京地裁に対し、「強制起訴議決は検察審査会の【権限を逸脱した違法】なもので、全体が無効だ」とする、議決の取り消しと、これに基づく指定弁護士の指定の差し止めを求める訴訟を起こした。同時に、議決の執行停止と指定弁護士指定の仮差し止めを申し立てた。当然のことである。
検察審査会が【権限を逸脱した議決】とは、「陸山会が小沢氏からの借入金4億円を記載してないのを虚偽記載の犯罪事実としている」こと。
おそらく「小沢クロ」だと刷り込まれた人の9割以上は、これがどうして【権限を逸脱した議決】なのかと疑問に思うだろう。
「4億円を台車で運んだ」とか「水谷建設から1億円献金」だとかを聞かされた人は、特にそう思っても不思議ではない。
では、どうしてこれが【検察審査会が権限を逸脱】しているのかである。それは告発者甲による、検察審査会への「不起訴不当」の申立に基づいて第1回目の審査をし、議決した。
だが、2回目の検察審査会の議決は、その申立と議決内容を超えている。
それが、【権限を逸脱】。
分かり易く言うと、「スピード違反」で告発され、審査されたのに、2回目は交通事故を起こしたと言って起訴相当されたということだ。
この【権限逸脱】については、誰でも理解できるだろう。
だが、「小沢クロ」と思い込んでいる人は理解しても、「政治とカネ」の問題だから、2回目の議決に4億円が入っている方が当然だと言うに違いない。
確かに、「4億円を台車で運んだ」とか、「虚偽記載金額20億円」などの報道に接したのだから、そう思い込むのは不思議ではない。
だがそれが「嘘」で、マスコミと検察の狙いだったとしたら、どう思う?
石川氏など3人の訴因は、「陸山会は、平成16年10月に土地を購入したが、それを平成16年の政治資金収支報告書に記載せず、平成17年の収支報告書に、土地購入代を記載したのが虚偽記載だ」というものである。
また、2回目の議決書に「(陸山会は)被疑者から合計4億円の借入れをしたのに、平成16年分の収支報告書にこれらを収入として記載せず」とあるが、既に公告されたように、この借入金4億円は陸山会の16年の収支報告書に記載されている。
どうして虚偽記載になるのだ。
それでも納得できないのは、政治資金規正法・虚偽記載違反を「大疑獄」だと思い込まされているからだろう。
石川氏たち3人が起訴された容疑は、単なる「期ずれ」でしかない。
本来なら訂正で済む話である。
農地法から考え、登記簿等を確認すれば、訂正も不要の【真っ白】になる話である。
政治資金規正法・虚偽記載違反容疑では、この容疑より悪質なものが沢山あったが、ほとんど全て訂正で済んでいたのだ。
さて、本題に戻って、小沢氏弁護団からの提訴に対して、東京地裁はどう判断するだろうか。検察審査会法に異議申し立て条項がないことと、検察審査会が行政組織でないことを理由に、行政訴訟については却下する可能性がある。
だが、審査会は裁判所管轄下の組織である。
その組織が下した議決が無効だと訴えられたのである。
常識的に考えれば、裁判所の責任で処理すべきである。
企業人の感覚で言えば、関係会社(=検察審査会)の不始末(=法律の不備)を親会社(=裁判所)が責任をもって対応するようなものである。
もし東京地裁が、法律に定めがないとして、提訴を却下したら、憲法81条に定める「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかあいないかを決定する権限を有する終審裁判所である」に従って、最高裁に提訴すればいいのだ。
裁判所の責任もあるが、マスコミにはそれ以上の大きな責任がある。
ある意味で、第2回目の議決は、マスコミが「でっち上げた」議決だとも言える。
自らを「善良な市民」と称した第1回目の議決内容を検証もせず、法律よりも「市民目線」で議決した「起訴相当」を賞賛した。
2回目の審査会が開催されたかの疑問はあるが、このマスコミ報道が、2回目の審査会の議決に影響した可能性はあるだろう。
最後にマスコミの最大の罪は、起訴相当とした「犯罪事実」を正確に報道し、その内容を検証した記事を書く前に、「議員辞めろ」の大合唱をしたことだ。
日本は法治国家である。
推定無罪を無視したこの報道は許されることではない。
<徳山 勝>
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